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| 『私の男』 1,550円(税込) |
| 『赤朽葉家の伝説』 1,785円(税込) |
| 『少女には向かない職業』 609円(税込) |
| 『桜庭一樹読書日記 少年になり、本を買うのだ。』 1,680円(税込) |
| 『青年のための読書クラブ』 1,470円(税込) |
| 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』 525円(税込) |

| 『青い春』 5,040円 (税込) |
| 『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ スペシャル・コレクターズ・エディション』 7,140円 (税込) |
| 『バナナマンのDVD』 |
| 『千原兄弟のDVD』 |

| 『THE YELLOW MONKEY MOTHER OF ALL THE BEST』 3,465円 (税込) |
| 直木賞受賞の実感は? −−直木賞受賞おめでとうございます! 発表から二週間がたちましたね。 桜庭さん ありがとうございます。今回が2回目の候補で、1回目は「うわー、落ちたー」ってしみじみ感じたんですけど、今回は発表翌日からバタバタしたこともあって、まだ実感がわかないですね。 受賞のお知らせが来て、最初に家族に電話したんですが、母親が「ホントなの? 夢じゃないの?」ってすごく驚いて「もう一回、周りの人に確認しなさい!」って。それを記者会見で言ったら、そこだけテレビに流れちゃって、母親が友だちに「あならたしいわね」って言われたって言ってました。 数日後に電話したら母もだいぶ落ち着いていて、「素敵だわ。嬉しいわ。空から花束が振ってきたような気持ち……」ってうまいことを言っていました(笑)。親の反応を見ていたら、ますます実感がわかなくなってきましたね。 −−ユニークなお母様ですね(笑)。桜庭さんは読書家としても知られていますが、ご両親の影響もあったのですか?
桜庭さん 最近はあまり見かけませんけど、昔は文学全集や百科事典が家にあるのって普通でしたよね。うちの本棚にもあったので、自然に読んでいました。それに、週に一回、祖父母の家に行くたびに少年少女向けの世界文学全集を一冊ずつもらって帰るのが楽しみだったんです。 もうちょっと大きくなると学校の図書室に行って、自分で選んだ本を読むようになりました。おこづかいが限られているので、買うのは古本屋さんの文庫本。100円のワゴンセールにちょっと昔のSFやミステリがあって、よく買って読んでいました。だから、いまだに上の世代の人たちと話しが合いますね。 ちょうど今朝、中学のときの友だちから久しぶりにメールをもらったんです。彼女も本をよく読む人で、一緒に図書室に行ったりしていたんですが、もう結婚して子供もいて、家事の合間にふとテレビを見たら私が出ていたそうなんです。メールに「ミヒャエル・エンデの『モモ』の時間泥棒を思い出しました」って書いていて「本読みらしいな。わかりやすい!」と思いました。私もあの頃の友だちがこんな大人になったんだ、と思ったらきっと時間泥棒を思い出すだろうなって。 少年少女向けから一般小説へ −−桜庭さんは99年に第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門に応募した作品で佳作を受賞し、デビューを果たしました。デビュー後は少年少女向けの小説で活躍されていましたね。 桜庭さん 賞をとったときにはジャンルはあまり意識はしていなかったんです。SFやミステリが好きで自分でも書いてみたいと思ったんですが、近未来SFのような内容なので、大人向けの文学賞にはなじまない内容じゃないかな、と思ったんです。この賞だったら、何でもありなんじゃないかと思って応募しました。 でも、実際に少年少女向けで書き始めてみたら、なんでもアリなんてことはなかったですね。子供の読者が多いから、子供を主人公に書くようにと言われて「子供って高校生くらいかな?」と思ったら「中学生で」と。こんな大人になってから中学生の話を書けるのかなあ、と最初は不安もありました。 でも、書いていると自分が中学生の頃のことを思い出してきました。大人になると、住んでいるところや職業によって考え方が変わってくるし、信じるものも変わってきますよね。でも、少年少女時代はある程度共通しているんじゃないかなと思います。あの頃、こういうことで悩んでいたよな、とか、こういうことで苦しんでいたとか。 地方を舞台にしていたのも、都市部で生まれて育った人よりも地方の人のほうが多いから。私は極端な状況で苦しむ人を主人公にしたわかりづらい話を書いてしまいがちだったんですが、地方都市を舞台にして少年少女を主人公に書くと、子供の読者は共感しやすいし、大人の読者にとっても自分の中にあるものを思い出しやすいかもしれない。だったら書けるんじゃないかな、と思いました。そういう作品は、少年少女向けではそんなに売れなかったんですが、意外と大人の読者が読んでくれて、懐かしい感じがする、と言ってくれたのは励みになりましたね。 −−桜庭さんは少年少女向けを書かれているころから大人の本読みの間で名前が知られていました。そして、2005年刊行の『少女には向かない職業』から、大人向けの文芸に活躍の場を移していますね。 桜庭さん 少年少女向けではなかなかヒット作が出せなかったり、文庫で出て絶版になるのも早かったので、自分はこのジャンルで書き続けていくのは難しいのかな……と感じていたところに、タイミングよく「大人向けの小説を書かないか」と複数の出版社さんから声をかけていただいたんです。 −−般向け小説のほうが書きやすいと感じましたか? 桜庭さん 子供向けだと書きづらいテーマがあったり、書くときには気をつけなくてはいけないことが多いんですよ。たとえば、私の場合、小説の中ではお父さんは乗り越えなきゃいけない存在だから悪く書いてもいいけど、お母さんのことをひどく書いてはいけないと思っていたんです。子供が読むものだから、お母さんは大事にしてあげたいな、と。 大人向けの小説を書くようになって、子供向けということで遠慮しながら書いていた部分が書けるようになりました。『少女には向かない職業』に出てくる主人公のお母さんは初めて書いた“怖いお母さん”なんです。 −−大人向け小説の中でも、ミステリやSF、恋愛小説などのジャンルがありますが、桜庭さんの作品はジャンル横断的というか、収まりきらない部分がありますね。 桜庭さん ジャンルを意識せずに書くことが、私にとっては一番書きやすいですね。いろんなジャンルの影響を受けながら、どのジャンルともいえないような小説を書くのに向いているような気がします。その人の読書歴によって、私が書いた小説をミステリとして読む人もいるだろうし、恋愛小説として読む人もいる、というような。どう読むかは読者にゆだねてよいと思います。 −−執筆中の一日の流れを教えて下さい。 桜庭さん だいたい、お昼前には起きて、ご飯を食べてコーヒーを飲んで、プロットを読んでから、2〜3時間かけて10枚〜15枚書いて、一日の仕事はそれで終わりです。一気に書くので、夕方にはすごく疲れているんですよ。それから外に出かけて本屋さんへ行ったり、打ち合わせに行ったり。夜は本を一冊読んで寝ます。それを毎日繰り返しています。地味な毎日です(笑)。でも、それを繰り返すと小説ができていく。一日15枚を10日続けると150枚。プロットを考えるだけの時期もあるんですけど。 作家さんによっては、締め切りギリギリに一気に書くという方もいると思いますが、私は気が小さくてそれができないんです。締め切り間際だと思うと怖くて眠れなくなってきたりするんですよ。だから、なるべく早め早めに書くようにしています。 まっすぐに書いた『私の男』 −−『私の男』は父親と娘でありながら、男と女としてもお互いを必要としている二人の濃密な関係を描いています。タブーに触れる危険な題材でもありますね。 桜庭さん 『少女には向かない職業』で、義理の関係ですけど「親殺し」、昨年再刊した『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』 は「子殺し」の話を書きました。これまでもタブーといえるテーマは書いてきたと思うので、今回、初めて、という感じはしなかったですね。 ただ、これまでは重たいテーマの小説を書くときは、子供の一人称にしたり、軽くてポップな文体にしていたんですが、今回はそういうことはせずに正面から書きました。そういう意味では、今まででいちばんまっすぐに書いたものだと思いますね。書いている私のほうも、その重さにぐったりしながら書いていました。 −−桜庭さんのこれまでの作品でも「性」は重要なモティーフだったと思うんですが、『私の男』ではこれまでの作品以上に大胆に性描写に挑戦されていますね。 桜庭さん 子供向けの小説で書けないことの一つに性的な問題があります。『少女七竈と七人の可愛そうな大人』で性的に奔放な母親を書いて、『赤朽葉家の伝説』、『青年のための読書クラブ』とだんだん制約を気にせず書けるようになってきました。 ずっと鎖につながれていた犬って、鎖を外されてもしばらく気づかずにそこにいるんですよね。それと似ていて「これは大人向けだから、子供向けでは書けない怖いことを書いてもいいよ」と言われてもしばらくは離れられなくて。だんだん鎖がないことがわかってきて、遠くまで行けるようになりました。今まででいちばん遠くまできたのが『私の男』かな、と思います。 −−第1章はヒロインの花の一人称で始まりますが、各章それぞれ一人称の語り手が変わり、多視点で語られていきますね。 桜庭さん 今回の小説は、テーマがテーマなので、この関係を信じている主人公二人だけの価値観で書きたくなかったんです。客観的にこの二人を見たときに、怖いとか気持ち悪いと感じる部分も書きたかったし、刑事の田岡さんや大塩のおじいさんのような、二人と対立する人たちの価値観を入れたかった。主人公たちを一方的に肯定する話になってしまうのは違うな、と思いました。 −−花と淳悟の関係はインモラルですが、どこか哀しく、切ない。二人の一人称による章では、一種の極限状況に置かれた二人の内面を掘り下げて書いていますね。 桜庭さん これまで言葉にされたことがないことってあると思うんです。男女の間でも、家族の間でも。日本にもともとLOVEという概念はなかった、という話がありますけど、わかるなあ、と思うんです。「愛」という言葉を当てたときから、それまで名付けようのなかった概念が確認された。それと同じように、家族の情愛と男女の愛情がごっちゃになってしまった感情を名付けようとしたら、「私の男」と名付けるしかなかった。 私はこの小説で、ふだんあまり意識されていないことに名前を与える行為をしたかったんだと思います。そのために、かたちのないもの登場人物たちを作って、人間のかたちを与える作業をしました。それはこれまで書いてきた小説とは違う重さのあることでしたね。
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