2006年10月2日更新  最新号の特集 プレゼント バックナンバー 
ちいさいぶつぞうおおきいぶつぞう 9月ははなさんのインタビュー掲載中!


『ゆびで編むニットの小もの』
著者:広瀬光治
出版社:雄鶏社
660円 (税込 693 円)
ニットデザイナー。日本編物文化協会副会長。高校卒業後水産会社に勤めながら、霞ケ丘技芸学院の夜間部で編み物を本格的に学ぶ。その後日本ヴォーグ社に入社し、編み物雑誌の編集長などを務める。'93年からNHK「おしゃれ工房」や「趣味悠々」を始め、テレビにも出演。'99年にフリーに。デザインや作品づくりをする一方、全国を講演に回りながらニットの楽しさを広く伝えている。

ニットファン憧れの広瀬さんにインタビュー!

ニットデザイナーの広瀬先生は、ニットの貴公子と呼ばれ、多くのニットファンにとって憧れの存在。その広瀬先生が、このたび『ゆびで編むニットの小もの』を出版。指で編むのであれば、もしかして不器用な私にもできる……!?そんな密かな期待を胸に、ニットの第一人者である広瀬先生に、編み物ド素人の私が、大胆にもニットの楽しさや手作りの素晴らしさについてアレコレ伺いました。

細編みでもこんなにオシャレなマフラーが編める!――これまで先生は、20冊以上も著書を出していらっしゃいますよね。その中でこの『ゆびで編むニットの小もの』は、どのような思いで作られたのですか?

指編みの本としては、これが2冊目なんです。1冊目はヴォーグ社から5年ほど前に出版しました。1冊目っていうのはどうしても欲張りになりまして、指編みでもここまでできるということを出したかったものですから、かなり難易度の高いものも載せたんです。
でも、あれから全国を回って生徒さんたちと触れ合っているうちに、何も子どもたちや初心者の方が、指を使いながら棒針で編むような作品を作らなくてもいいんじゃないかと思うようになったんです。基本の編み方は3種類ほどなんですけど、それでもいろいろなバリエーションで素敵な小ものが編めることを伝える本にしたかったんです。


――先生の講演会では、集まった方々に実際に指編みを体験してもらっているんですか?

講演会では、編み物って楽しいですよ、手作りって大事なことなんですよという話をするんですけど、それだけでは一方通行で終わってしまいますので、だいたいは指編みを実践していただいているんですね。マフラーや帽子だったら、30分くらいで編めますからね。その中で特に人気の高かったものを、この本に載せてみました。

――初心者向けということで、監修方法などで注意をした点などありますか?

雄鶏社の担当の方は、実は編み物に詳しい方ではなかったのですが、私はそこに大きな期待をしたんです。つまり、編み物が分からない方にとって分かるような本にしたかったんですね。今までの本ですと実際に編み物を分かっている人が作るので、端折ってしまう部分が多いんです。だから私は途中のプロセスには立ち会わなかったんです。もちろんスタッフは立ち会ったんですけどね。初心者の方が考える指編みというのを、この本の中に出したかったんですね。

プロセスを細かく写真付きで説明――先生のお考え通り、初心者の方が気軽にこの本を手に取ってくださるといいですね。

私のこれまでの本はテクニックをたくさん入れて、どちらかというベテランの方向けのものが多かったんですね。でもこれからは、もう少し若い世代の方にも私の本を手に取っていただきたいんですね。この本を見た方が、編み物というよりも、工作といいますか、手を動かすことで何かができるというのを体感できる、そんな本になってほしいですね。

――先生がお考えになる手づくりの素晴らしさって、どんなところにありますか?

今、一番高いものって、時間だと思うんですよ。手づくりっていうのはその高い貴重な時間を使ってものを作るわけですから、正直言ってばかばかしいと思うこともあるかもしれません。でも出来上がった作品には、ひとつひとつに思い入れがあるんですよ。例えば、これは子どもが小さいときに作ったセーターだ、あのときうちの子はこうだったとか。確かにマフラーを編むと1時間くらいはかかりますよ。今はマフラーなんて1000円出せば手に入るじゃないですか。でも手づくりには自分の手の温かさ、自分の気持ち、そういうものが込められているんです。

「横浜」をテーマに作られた作品は、とても華麗で、それでいてさわやかな印象――先生が着ていらっしゃるセーター、すごく素敵ですね。

私が今日着ているのは、NHKの「生活ほっとモーニング」という番組のために作った作品なんですよ。そのときのテーマが「横浜」だったんですね。だからレンガっぽい感じにしようと思ったんです。これを茶色の毛糸で編めばそのままレンガのイメージなんですけど、横浜といえば海ですから、思い切って海の色にしてみたんです。そうすると、こんなにイメージが違ってくるんですよ。

――ああ、なるほど! そういう思いが作品に込められているんですね。そのようなアイデアや発想は、どのように思い付くものなんですか?

編み物というは、基本の技術は非常にシンプルなんです。技術自体は普遍的なんだけれども、例えば使う糸はいろいろあるわけです。今はフェイクファーのものがあったり、ミックスヤーンやツイード調のものがあったりしますよね。それに表編みとか裏編みとかちょっとした工夫を組み合わせるだけで、まったく違った表情を見せるようになるわけです。
このセーターだって、長編みと細編みだけの組み合わせなんですよ。でもさっき言ったような工夫をして、さらに襟をちょっと立ててみようとか、ボタンはこんなものを使おうとか考えていくんです。よく「先生の作品、スゴイですねぇ」と言われるんですけど、よく見るととてもシンプルなんです。そのシンプルとシンプルの組み合わせが、シンプルにならないで無限大に広がっていくのが編み物の世界なんですね。


指編みでも工夫次第で、こんなにキュートなコサージュだってできちゃいます!――ベテランの方になると、そういった発想でオリジナルなものを作るということが多いのですか?

ベテランの生徒さんは、例えば「花の写真を撮ってきたんですけど、この花を編地にどう表現すればいいでしょうか」などと、質問していらっしゃいます。私がそのイメージに合いそうな技術などをアドバイスすると、生徒さんはそこからヒントを得て、さらに自分の気持ちや思いのようなものを込めてオリジナルの作品を作り上げていらっしゃいますね。

――やはりオリジナルということが大切なのでしょうか。

私の教室には、初心者の方からベテランの方まで、150人ほどの生徒さんがいらっしゃいますけれど、全員違うことをやるんですね。私はいつも、まったく同じものを作るのは不自然だって言うんですよ。みんな顔も違う、体型も違うわけですから、同じものを作るのではなくて、自分なりのものを作っていただくんです。今手掛けている作品が仕上がる少し前に、次は何を作りたいですかとお聞きするんです。それで、あの人の作品が素敵だから私も編みたいとおっしゃると、では糸を変えてみましょうとか、ちょっと襟ぐりを変えてみましょうとか、相談しながら人とは違う形にしていきます。私たちのやっているのは、オートクチュールの世界なんですから。マイブランドニットなんですよ。

――ところで先生は22年間勤めたヴォーグ社を辞めて、フリーになられましたよね。何かきっかけがあったのですか?

編集の仕事は好きだったんですけど、どうしても一方通行なんですよ。私が日本編物文化協会の会報を担当したときに、「こんにちはサークル」という企画を考えたんですね。自分が出掛けて行って編み物を通していろいろな方とお話をするというものだったんですけど、これが非常に楽しかったんですね。いろいろな国籍な方、初心者の方からベテランの方までいろいろいらっしゃる。その方たちが、「広瀬さん、何で編み物の本のモデルは外人さんなんですか。着るのは私たち日本人なのに……。」などと、どんどん言ってくださるんです。ああ、なるほどと思わされることがたくさんありましてね。
さらにちょうどその頃、NHKの「おしゃれ工房」からのお話があって出演したんですね。そうしたら文化協会の会員さんではなく、一般の方からの反響がものすごく大きかったんですよ。これもひとつの方向ではないかと思いました。でも私はサラリーマンでしたので、テレビや雑誌に出演するのはあまり好ましくなかったんです。それで、一般の方と触れ合うためには私が会社を辞めて、全国を回って講演会で教えるのが一番いいのではないかと考えたんです。


巻末にはQ&Aのページがあり、至れり尽くせり!また、本で使用している糸が通信販売で買えるのも嬉しい限り。――今はどのくらいの頻度で講演会をされているんですか。

教室の他に、講演会は1年に100日くらいでしょうか。ちょうど昨年、全都道府県を講演会で制覇できたんですよ。でもまだまだ回っていない所はたくさんあります。例えば北海道では、利尻とか礼文、稚内にも行きましたね。それまで札幌、旭川、帯広には行っていたんですが、利尻や礼文の方たちは、旭川や帯広まで出掛けて来れないわけですよ。まだまだそういう場所がたくさんあるなと思いますね。毛糸屋さんもないような小さな町、都会から遠く離れた所を回って地元の方たちと触れ合うのが、自分のライフワークかなと感じます。

――では先生のこれからの夢を教えてください。

ここ数年、作品づくりにおいて少し易しいものも手掛けるようになって、若い人にも広まり始めているのが嬉しいんです。ですからより多くの人に作っていただける作品を、そこに私のテイストを編み込んでデザインをしていきたいなと思いますね。反面、これでもかっていうくらいの難易度の高いものにも引き続き挑戦していきたいですね。 あとは、やはり100%満足のいく作品を作るために、糸づくりからやってみたいという思いがありますね。結構、大変なんですけどね。
そういったことの積み重ねで、編み物を日本の文化、そして世界の文化というところに位置付けられればと思います。編み物の世界では文化勲章を受章している方は少しはいらっしゃるんですけど、人間国宝はいないんです。染め、織り、塗りなどと同じ技術なのに、です。編み物の地位が向上することで、若い人たちがそれを目指して頑張っていこう、技術を磨こうというきっかけになると思うんです。なかなか厳しく険しい道のりだと思いますが、何とかそこに近付けたいですね。


――壮大で切実な夢ですね。広瀬先生のお力で、ぜひ、実現させてください。今日はどうもありがとうございました。

涼しげで端正なたたずまいの広瀬先生は、まさにニットの貴公子に相応しい方でした。でもそのクールな外見とはうらはらに、ニットに対する思いや情熱に、インタビューの間中ずっと圧倒されっぱなしだった私。本当にニットを愛して止まない方なんだなと感じました。
ちなみに、根気のない人に向けてのアドバイスをお聞きしたのですが(^^;)、目標を持つことと教えてくださいました。何となくやってみようではダメで、彼氏にまずは手編みマフラーをプレゼントする! でも何でもいいから、まずは目標を持って始めてみてくださいとのことでした。 さっそく毛糸屋に直行したシホは、まずは指編みマフラーから挑戦しまーす!!
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広瀬さん新刊本「ゆびで編むニットの小もの」

著者:広瀬光治
出版社:雄鶏社
660円 (税込 693 円)
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広瀬さんの本と毛糸のセット販売

ふわっとはおったり首もとにぐるぐる巻いたり、アレンジ自在の嬉しいアイテムです。

内容:「ゆびで編むニットの小もの」本
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価格:3,800円 (税込 3,990 円)
 

リボンを通して、キュッとしぼっただけの簡単ケープ。お出かけにもお部屋でも大活躍します。

内容:「ゆびで編むニットの小もの」本
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価格:2,400円 (税込 2,520 円)
 

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内容:「ゆびで編むニットの小もの」本
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価格:1,800円 (税込 1,890 円)
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■広瀬光治さん関連本書籍一覧
『ゆびで編むニットの小もの』
『華麗なニット模様編み250』
『大人のニット“アフガン編み”』
『広瀬光治のかぎ針編み入門』
『ゆびで編むニットの小もの』

雄鶏社
660円 (税込 693 円)
  『華麗なニット模様編み250』

日本ヴォーグ社
2,400円 (税込 2,520 円)
  『大人のニット“アフガン編み”』

日本ヴォーグ社
1,400円(税込 1,470 円)
  『広瀬光治のかぎ針編み入門』

成美堂出版
900円 (税込 945 円)
『広瀬光治が贈るシックに着るニット』
『美しいニット』
『広瀬光治のこどものてあみ』
『広瀬光治のカジュアルニット』
『広瀬光治が贈るシックに着るニット』

雄鶏社
1,000円 (税込 1,050 円)
  『美しいニット』

日本ヴォーグ社
1,200円 (税込 1,260 円)
  『広瀬光治のこどものてあみ』

日本ヴォーグ社
505円 (税込 530 円)
  『広瀬光治のカジュアルニット』

講談社
1,200円 (税込 1,260 円)
『別冊トップランナー 広瀬光治―ニット界の貴公子』
『羊からの贈りもの』
『優雅なメッシュワーク』
 
『広瀬光治』

KTC中央出版
1,200円 (税込 1,260 円)
  『羊からの贈りもの』

モデラート
1,300円 (税込 1,365 円)
  『優雅なメッシュワーク』

日本ヴォーグ社
1,200円 (税込 1,260 円)
   

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