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著者インタビュー 朝井リョウさん 『少女は卒業しない』 平成生まれの作家・朝井リョウさんが描く 高校卒業を控えた少女7人の別れと旅立ち……青春のすべてがここに! 就職活動をはさんで書いたというこの小説について、朝井さんに伺いました。

大学在学中に『桐島、部活やめるってよ』でデビューして以来、若者たちの日常をリアルにとらえたリズミカルな文章で、多くの読者を引き込んできた朝井リョウさん。最新作『少女は卒業しない』は校舎の取り壊しが決まった地方の高校で、最後の卒業式を迎える少女7人の恋愛、友情、成長までを描いた連作短編集です。7つの物語がいつしかリンクし、学校にまつわる「うわさ」の真相も明らかになっていく……。就職活動をはさんで書いたというこの小説について、朝井さんに伺いました。

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プロフィール

朝井リョウ(あさい・りょう)さん
1989年岐阜県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。2009年に『桐島、部活やめるってよ』(集英社)で第22回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。著書に『チア男子!!』(集英社)、『星やどりの声』(角川書店)、『もういちど生まれる』(幻冬舎)がある。映画『桐島、部活やめるってよ』は8月全国公開。http://kirishima-movie.com/ 朝井さんと橋本愛さんの対談も読める!『少女は卒業しない』特設サイト http://www.shueisha.co.jp/sotsugyo/

インタビュー

朝井リョウさん

■テーマにしたのは女子、恋愛感情、卒業式



−−『少女は卒業しない』は女子高生の目線で描かれた7つの物語から成り立っていますが、“卒業しない”というタイトルがとても印象的ですね。
朝井さん僕自身、高校時代というものから、いまだに卒業できていないんじゃないかと思う時がすごくあるんですね。あの3年間の出来事、感情などが今の自分の土台になっているので、卒業したからといって、スパッと自分から切り離したりはできないというか。でも僕にかぎらず、人には少年少女であったことから卒業できないところがあるのかなと。そうした思いからこのタイトルをつけました。
−−実際に読ませて頂くと先輩や先生に憧れる気持ちをはじめ、誰もが経験したことのある感情がぎっしり詰まっていて、胸がキュンとなることもたびたびでした。
朝井さん女性の方にそう言って頂けるととてもうれしいです。というのも『桐島、部活やめるってよ』でデビューした時、女子目線の描写について言及されたことが多かったんですね。2作目の『チア男子!!』で男子モノを書いたので、今度は主人公を全員女子にして、恋愛感情、卒業式をテーマに7パターンの話が書けるのか、という挑戦をしたのがこの作品でもあるんです。
−−女子目線といえば、朝井さんの小説を読むたびに女心の描写がリアルで、どうしてこんなに女子の気持ちがわかるのかと思うんです。
朝井さんいや、わかっていないですよ(笑)。僕はあくまでも男子から女子を見た視点で書いているだけで。女性作家の方たちの作品を読むと、やっぱり女性にしか書けないことがあるなと痛感します。だからこそ自分に見えるものは全部拾って書きたい、という思いはありますね。
−−卒業式の翌日に学校が取り壊されるという設定は、どのように生まれたのですか?
朝井さん僕は最初に設定をすべて決めてから書き始めるのですが、女子、恋愛感情、卒業式をテーマに7本書こうとすると、どうしても似通った話になってしまうんです。どうしようかと考えていた時に、大好きな三谷幸喜さんの「物語に制限を与えることで、逆に物語が膨らむ」という言葉を思い出して。それで高校が卒業式の後に取り壊される設定にして、最後の一日の朝から晩までを順番に書くことと、校舎の中で東棟は使えないことにしたんです。おかげで東棟には幽霊が出るうわさがあるとか、物語が広がった。設定をがんじがらめにしたほうが、想像力が膨らむというのは発見でした。
−−そうして書かれた7作はそれぞれが1本の映画のようでもあり、ところが読んでいるうちにいつしかつながって、一つの高校、そこに生きる高校生たちの姿が鮮やかに浮かび上がるのを感じました。
朝井さん全編高校生の話を書くのが『桐島〜』以来だったので、差別化する意味でも今回は一つひとつに起承転結をつけて、それぞれが1本のドラマのようになればいいなと思って書いたところはありますね。

朝井リョウさん

■就職活動の体験は、やっぱり大きかったです



−−7作の主人公となる少女たちはみんな自分の想いにまっすぐで、とても魅力的ですね。彼女たちからは各々が直面する「別れ」に対する覚悟や、新たな世界に向かう決意のようなものも感じます。
朝井さん就職活動をはさんで書いていたことが、やっぱり大きいのかなと。卒業ライブを舞台にした5話目を書いたのが大学3年の11月で、ちょうど僕も大学のダンスサークルで学園祭準備の真っただ中にいたので、あの物語はテンションがすごく高いんですよ。でも12月から就職活動を始めて、それから書いた6、7話目はトーンがまるで変わっているんですよね。
−−就職活動は、それぐらい大きな体験だったんですね。
朝井さんそうですね。これで長編を1本書きたいと思うぐらいの体験でしたし、自分にとって必要なことでした。学生でいられなくなること、年を取っていくことに対して、それまでとは意識が大きく変化したので。一つ就職活動中に気づいたのが、大学時代にデビューして、こんな風に取材を受けていたせいか、面接の時に緊張しなかったんですよ。本当に良かったなと思いましたね(笑)。
−−作家活動が、なんと就活に役立ったわけですね(笑)。もともと大学卒業後は就職したいと?
朝井さんそれが当然だと思っていました。作家って、世間的にはいわゆる芸術家ですけど、自分に関して言うと、ただの超ミーハーな人間なんですね。小説すばる新人賞の授賞式で、初めて文壇の錚々たる先生方を目の前にした時に、ただ者ではない迫力に圧倒されて。いまだにその感覚から変わっていないんです。何よりこうして本を出させてもらえるようになってから、いかに自分が普通の人間なのかが、より身に沁みてわかるようになったので。
−−とはいえ初めて小説を投稿したのが小六の時だそうで、とても普通には思えませんが……。
朝井さんでもその時に応募したのは、いわゆる文学賞ではなかったんです。自分の中では黒歴史とも言えますね(笑)。
−−そもそも小説を書きたいと思ったきっかけとは?
朝井さん小六の時に、初めて文章を先生に褒められて。それがうれしくて、もっと認めてもらいたい、そのためにもっと上手になりたいと思って書くようになったのがきっかけです。あの時の感情があまりに強過ぎて、それをずっと追い続けているというか、今でも小説を書くモチベーションになっているところがありますね。
−−大学時代は執筆を続ける一方で、ダンスサークルでも活躍されたそうですね。大学生活を謳歌したり、普通の生活を過ごすというのは、小説を書く上でどんな影響を与えていますか?
朝井さん大学は謳歌したというより、サークルに入ったり、たまに授業をさぼったりという、ごく普通の大学生をやっていただけなのですが(笑)。ただ僕は基本的にすごく寂しがりやなので、常に人と関わりながらでないと生きていけないというか。そういう意味では、普通に生活して、人と関わる中で生まれる感情というものを、どの作品でも書きたいというのはありますね。小六の時には小六の1年間の話を、中学の時は中学を舞台に書いていましたから。16歳ぐらいの頃に純文学に憧れて、書こうと試みた時期もありましたけど、やっぱり無理でした。それならもう抵抗せずに、普通でいようと。その中から生まれる話を書けばいいのかなと思ったんです。
−−なるほど。いよいよ春から社会人との二足のわらじ生活になりますが、今の心境は?
朝井さん今は不安ばかりですね(笑)。これから入る会社には作家活動のことも話しして試験を受けたのですが、人事の方に「応募者の中であなたが一番普通だったから採用した」だと言われて。変な期待をされて就職したくはなかったので、すごく安心したんです。それが入社を決めた一番の理由でもありますね。 僕はきっと会社生活を楽しむはずなので、時間を決めて書かないと、と思っています。就職にかぎらず、この先結婚して子どもが生まれたりとか。そうした経験を通して、いろいろなものを書いていけるようになれればいいなと。 1冊の本を出すまでには、本当に沢山の方が協力して下さるのだから、書きたいものだけを追求するのではなく、多くの方に読んで喜んでもらえるものにしたい。それは忘れずにいたいと思っています。『少女は卒業しない』もいろいろな世代の方に読んで頂けたらうれしいですね。
−−最後に、もし高校時代に戻れるとしたら、一番やってみたいことは?
朝井さん海で授業をさぼる。屋上で昼休みを過ごす。それからバンドと陸上部、ですね。高校時代はバレー部で、バレーも大好きなんですけど、孤高に練習する陸上部に憧れていたんですよ。もし高校時代に戻れたら、この4つをやろうと決めています(笑)。そうやって自分ができなかったことを、小説の中に込めて書いているところもありますね。
【編集後記】
社会人になられた朝井さんの作品も楽しみにしています。ありがとうございました! 取材・文/宇田夏苗


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