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著者インタビュー 清川あさみ 女優からアーティストまで、35人の写真に刺繍を施し
その美女のイメージに合わせた動植物に変身させる 『美女採集』

写真と刺繍を融合させた独自の手法から生まれる作品で人気のアーティスト・清川あさみさん。アートディレクションから美術作品の制作まで、さまざまな分野で活躍中の清川さんがお気に入りの美女を“採集”し、その美女に合う動植物をテーマに作品を作る、「FRaU」の人気連載が1冊の本になりました。今回採集されたのは35人の旬の女性たち。見る者を今までに見たことのない世界へと誘う、色鮮やかな作品の創作の裏側を清川さんに伺いました。

プロフィール

清川あさみ(きよかわ・あさみ)さん
1979年生まれ。文化服装学院在学中からファッション雑誌のモデルとして活動。卒業の前後から、糸や布を素材とした作品や、写真に刺繍を施した作品など、手わざを生かした個性的な創作を始める。現在はこうした美術作品をはじめ、衣装、空間デザイン、映像、広告、イラストレーションなど多方面で活躍中。2004年ベストデビュタント賞受賞。木村カエラ、JUJUなどのCDジャケットを手がけるほか、『美女採集』(FRaU/講談社)、『すばる』(集英社)の表紙のビジュアルを著名作家と制作するなど連載多数。著書に『AKB48×美女採集』(講談社)、絵本『銀河鉄道の夜』(リトルモア)、『かみさまはいる いない?』(クレヨンハウス)など。

インタビュー

 

■一人の女性のリアル×ファンタジー



−−『美女採集』の企画が生まれたきっかけから教えて下さい。
清川さん私自身、単純に女の子が好きで興味があって、グラビアからその人がかわいく見えるためにした工夫や努力が見えるのが好きだったんですね。だから女性が、女性の魅力を見つけられるグラビアがあったらいいなと。そう思って始めたのが『美女採集』なんです。
−−美女を“採集”する、というコンセプトがとても面白いですね。
清川さんタイトルに“採集”とつけたのは、糸と針を使ってその人が一番美しい瞬間をとらえていく作業が、虫ピンで蝶や昆虫を標本箱に収めていく感覚に近いと思ったから。といっても、たんにきれいでかわいい世界にはまったく興味がなくて。そもそも女性は同性に厳しいし、女性の複雑な部分が見えた方が面白くて、納得できると思うんですよ。だから美女を採集する時には、ちょっとドSな私が現れて(笑)、毒を少し入れるんです。そうやって表面だけでなく、裏側も魅力的で面白い人をコレクションして「日本にこんなに美しい人がいるよ」と、みんなに見せたいという、私のコレクター心から始まったシリーズでもありますね。
−−“毒”とはどんなものでしょうか?
清川さんもしその人を蝶にするなら、ただきれいだから蝶なのではなく、彼女がどれだけ苦労してきれいになったのか、それを裏付ける要素ですね。それを入れるためには自分のリアルな視点が必要で、それに少しファンタジーの味付けをすることで、見てもらう方に届きやすくなる。写真という、リアルな世界にアートワークが加わることでファンタジーになり、見る人が夢も抱けるし、現実にも引き戻されるのかなと。
何より私は、その人がきれいでかわいくなるための努力や、戦ったあとが見えたら、それをぐっと持ち上げて光らせたくなるんです。見た人に「どうせきれいだから、蝶なんでしょう」と言わせたくないし、そう思わせてしまう作品だとしたらつまらないので。
−−なるほど。美女の採集にあたっては、人選から清川さんご自身がされているそうですね。剛力彩芽さんをきのこに変身させて10代の愛らしさを、寺島しのぶさんを蛇にして大人の魅力を引き出すなど、どれも「これしかない!」と思わせる動植物のセレクトは、どのようにされているのですか?
清川さん雑誌などの写真資料と、動画を30分ぐらい見て、リサーチすることから始めます。写真資料なら写り方とか、動画ならしぐさや佇まいなどから、その人の性格や本質が見えてくるので。すると大体、どの動植物にしたらいいかが分かるんです。
−−ごく短時間に、その人の魅力を“採集”してしまうんですね。
清川さんそうですね。採集ですから、とにかく早く捕まえないと、と思うんです。そうでないと、また新しい蝶に興味がいってしまうこともあって(笑)。
−−ちなみにAKB48全員を“採集”された『AKB48×美女採集』では、なんと48人分のラフを1日で描かれたとか?
清川さん採集したいと思ったら、それが私にとっての旬なので。AKB48は「今すぐ採集したい!」と思い、2時間ぐらいで全員のラフを描き上げました。それに女性は変わっていくので、もう一度採集したくなる人もいます。そういう変化があるのが、美女を採集する面白さですね。

■一針一針、その人が一番きれいな瞬間を縫う



−−『美女採集』では撮影、作品制作までのすべてにかかわられているそうですが、衣装はどうやって作られるのですか?
清川さん基本的には撮影前に作っておいて、あとは撮影当日に本人とお会いして、違うなと思えば、その場で作り直します。でも写真や動画でその人の肌質や肌の色を見れば、実際の感じは大体分かるんですよ。いずれにしても、撮影現場で色味のバランスを見ながら、一番その人が綺麗に見えるようにしますね。
−−資料と実際に会った印象がまったく違っていた、ということは?
清川さんほとんどないですね。それはたぶん、その人にすごく興味があって、写真や映像をまっすぐに見ているからだと思います。
それにみんなかわいい人に対して、「かわいいからいいじゃない」と言ったりするけれど、そうではなくて。それぞれに悩みやコンプレックスがあると思うんです。そういうものも含めて、私はきれいに見せたい。だから、撮影中に何かを気にしているのが分かったら、絶対にきれいに仕上げるからと約束します。そのために撮影現場には何色もの布を持って行って、瞬間的に衣装を足したり作ったりしますね。
−−ご自身もモデルとして活躍されていたからこそ、被写体の気持ちが理解できる、ということはありますか?
清川さんそれはあると思います。私もコンプレックスがあったので。すると、このライティングだとかわいく写らないなとか、自然と分かるんです。この衣装のここをつまんでくれたら、もっと綺麗に見えるのに、と思ったり。今思えば私は、写る仕事をしていた時から、ずっと裏方の感覚だったのでしょうね。
−−写真に糸やビーズ、布などを縫い込んでいく作品づくりは、非常に緻密な作業だと思いますが、もともと手仕事はお好きだったのですか?
清川さんまったく逆ですね。基本的に引きこもるよりも、外とつながっていたいタイプなので。創作中は無心で、ものすごく集中していますけど、大変なのは確かにそうですね。だから、あれは、きっと別の自分がやっているんですよ(笑)。
−−(笑)それでも糸と針を使った手法を選ばれる理由とは?
清川さん針を刺していく行為を通して、コレクションしている感覚になるからだと思います。作業が大変なことを忘れるぐらいに、美女をコレクションするのが好きなんですよ(笑)。それに針を刺していると、その人の瞬間を刻んでいるような、一人の女性の裏側や人生、すごく重い物を刺している気持ちになれるというか。私にとっては一針一針が、その人を表現する上でとても大事なんですね。
−−ところで、GWに開催された「清川あさみ|美女採集」展では、男性を被写体としたご自身初となるシリーズ『男糸(danshi)』が注目を集めました。永瀬正敏さんや高良健吾さんなど、魅力的な男性陣を“採集”してみて、いかがでしたか?
清川さん楽しかったですね。男性ってこだわりがあるし、こだわりが好きですよね?だから『男糸』では生き方にこだわりを持った歴史的人物を、被写体になって下さった方たちに当てはめました。でも男性の場合は、本来は“採集”してはいけないんですよ。男のロマンとか、空想が個々の頭の中にしっかりあるので。それはやっぱり邪魔してはいけないのかなと。そこが女性との違いでもありますね。
−−『美女採集』の今後は?
清川さんコレクターの私としては、コレクションが貯まるほどうれしいので、『美女採集』は続けていきたいですね。女性なら誰でも、「もっとかわいくなりたい、きれいになりたい」という欲求があるはずなんです。この1冊にも女性ならではの面白さが集まっています。この本を眺めて夢見心地になってもらってもいいし、悩みや向上心があったりする人には、絶対に刺激になると思います。本当にいろいろな女性がいるので、自分はどのタイプかなと考えたり、こうなりたいなと思ったりしながら、見てもらえたらうれしいですね。
−−清川さんのさらなる“採集”を楽しみにしています。ありがとうございました。
【編集後記】
「清川あさみ|美女採集」展会場の表参道ヒルズで行われた今回の取材。老若男女問わず、本当に大勢の人々が、清川さんの作品に魅入っている姿が印象的でした。被写体を“まっすぐに見る”ことから創作を始めるという清川さん。『美女採集』を開くたびに驚きや発見があるのは、相手の奥深くに潜む魅力までが一針に込められているからなのでしょう。手元において、いつでも眺めてみたい1冊です。
取材・文/宇田夏苗


美女採集
美女採集

内容紹介
私の仕事は、奥のほうにある美しさを浮かびあがらせ、採集し続けること。

アーティスト清川あさみが、女優からアーティストまで、35人の写真に刺繍を施し
その美女のイメージに合わせた動植物に変身させる。
見る者を今までに見たことのない世界へと誘う1冊。

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