トップ > >特集 >著者インタビュー >松井忠三さん

楽天ブックス 著者インタビュー

  • バックナンバー
  • 最新号

経営者から上司1年生、努力しているのに結果が出ない人も必読!38億円赤字の無印良品がV字回復を遂げたわけとは……?良品計画会長の松井忠三さんが「勝ち続ける会社」「勝ち続ける社員」の秘密を公開!

1980年、西友のプライベートブランドとして生まれた“無印良品”。「安くて良い品」のコンセプトのもと、独自に開発された商品は人々の心を掴み、今や海外でも「MUJI」として広く親しまれています。しかし、かつては経営不振にあえいだ時期もあったとか。ちょうどその頃、良品計画の社長に就任し、赤字から業績を立て直した松井忠三さんが、ブランド復活の秘密を明かした1冊を上梓。仕事に頑張る人へのヒントが詰まった『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』について、松井さんに伺いました。

今週の本はこちら

松井忠三「無印良品は、仕組みが9割」
松井忠三「無印良品は、仕組みが9割」
38億円赤字からの「校回復」実現の立役者は2000ページのマニュアルにあり!その根底にある仕事哲学とは
1,470円(税込)
ご購入はコチラ

注目の本

無印良品完全バイブル
無印良品完全バイブル
無印良品総ざらい、完全保存版です!
780円(税込)
ご購入はコチラ
思想としての「無印良品」
思想としての「無印良品」
無印良品を、消費社会と現代思想という切り口から読み解く1冊。
2,730円(税込)
ご購入はコチラ
⇒無印良品関連の本をもっと探す

おすすめ特集

スペシャルプライスセール
半額のバーゲン本を大量掲載!お得です!
楽天文芸倶楽部
最新からイチオシの小説まで、文芸好きの方はこちらをチェック
付録付きブランドムック特集
最新の付録付きムック・雑誌はこちらでチェック!

プロフィール

松井忠三(まつい・ただみつ)さん
1949年、静岡県生まれ。株式会社良品計画会長。73年、東京教育大学(現・筑波大学)体育学部卒業後、西友ストアー(現・西友)入社。92年良品計画へ。総務人事部長、無印良品事業部長を経て、2001年社長に就任。組織を“風土”から改革し、業績のV字回復・右肩上がりの成長に向け尽力。07年には過去最高売上高(当時)となる1620億円を達成した。08年より現職に就き、組織の「仕組みづくり」を継続している。

インタビュー

■努力を成果に結びつける“仕組み”とは?

−−松井さんが社長に就任された2001年頃の良品計画は、“谷底に落ちていた時期”だったそうですね。
松井さんおっしゃる通り、状況は結構ひどかったんですよ。創業から10年間は順調に業績を伸ばしていましたが、2000年には利益が初の減益で▲14% 、その翌年は▲53%になり、株価も6分の1まで落ち込んで、業界内では「無印の時代は終わった」と囁かれていました。
−−業績がそこまで悪くなった理由とは?
松井さん企業の業績が悪くなる理由にはさまざまなケースがありますが、無印良品の場合は大企業病、つまり危機感の喪失や、「無印はこれでいいんだ」という慢心、ブランド力の弱体化、戦略の間違いなどがありました。そうやって原因を突き詰めていくと、会社の文化や風土といったものに、根本的な問題があると分かってくるんですね。だとしたら、それを変えないといけない。この本に書いた“仕組みづくり”というのは、そうした反省点から生まれた施策だと言えます。
−−業績不振につながった社風、風土の一つとして、“経験主義”を挙げられていますね。
松井さん良品計画は西友を母体に生まれた会社で、西友はもともと経験主義の会社でした。例えば経理で1人前になるには、15年かかると言われていました。確かに15年もやれば、大抵のことには対応できるようにはなります。でも逆に言えば、その人は一生、経理をやるしかなくなるわけです。しかも経験主義だと、その人間がいなくなれば知識も情報もなくなり、誰にも伝承されずに終わってしまう。つまりレベルアップができない。 それに業績が悪くなると大抵、人を変えようとするんですね。当社も業績が悪かった時は、3年で5人の衣服・雑貨部長が変わりました。販売担当者に「なぜ売り上げが伸びないのか?」と聞いても、「あれは人災ですよ、店長が悪いんです」という答えが返ってくる。企業対企業が闘って、一店長のせいで全部の勝負が変わるなんてありえないでしょう。でも「人が悪かった」と決めつけて、衣料品担当の経験者を外部から採用するわけです。でも、そういう人たちは物を作った経験がないし、しかも前職が古い企業だったりすると、盆暮れの付け届けといった要らない風習まで持ち込まれてしまう。そういう経験を社長になって1年目に、イヤというほどしました(苦笑)。それで経験主義ではダメだと分かると、次は「運が悪かった」という考えが出てきたり。これでは埒が明かないと思い、「これまでの我が社の常識は、非常識なのだ」と考えることからスタートしたんです。
−−本書には、改革を進めていく過程も書かれていますね。仕事にムダがなくなり、社内の風通しが良くなり、生き生きと仕事できる環境が整っていく様子が伝わってきて、非常に興味深かったです。
松井さんまさに、滞っていた血が循環し始めるような感じですね。とはいえ、改革を始めた当初は「日本の小売店や専門店で一度凋落して復活した例がないから、頑張って下さい」とよく言われました。でも、実際にそうだったんですよ。

■今日、一番いいやり方を共有するための“マニュアル”
だから日々、進化させることが前提なんです。

−−本書では、そうした改革の中で作られた、無印良品のマニュアルの一部も公開されています。ディスプレイなど店舗業務のすべてがマニュアル化されていて、しかも2000ページにも及ぶと知って驚きました。
松井さん無印良品には店舗用の「MUJI GRAM」と、本部の業務の指針となる「本部業務基準書」という2種類の分厚いマニュアルがあり、これらは全社員の知恵と努力の結晶でもあります。マニュアルが必要だと思ったきっかけは良品計画の事業本部長に就任した頃、ある新店舗のオープンの時でした。オープン前日、ようやく売場ができたと思っていたら、応援に来た他店の店長が「こうした方がいい」と手を入れ始めて。それが終了したと思ったら、また別の店長が「いや、そこはこうした方がいい」と再度作り替えて行くのを目の当たりにして、「こんなやり方をしていたら未来はない」と思ったんですね。
−−なるほど。とはいえ無印良品が、ここまでマニュアル化されていたのは意外でした。なぜなら、お店に行っても積極的に売り込まれたり、常に「いらっしゃいませ」と声をかけられる、いわゆる“マニュアルっぽさ”をまるで感じないからです。
松井さん確かに、マニュアルには冷たくて管理的なイメージがありますよね?それは作っておしまいだからなんですよ。無印良品の場合は、常に社員がアイデアを出し、マニュアルを進化できる仕組みになっています。今やお客様のほうが知識をお持ちの時代ですから、店員が店頭で感じたことをどんどん「MUJI GRAM」 に落とし込んでもらう。そうすることで、マニュアルを越えたマニュアルになります。能の世界でも、一度型を習得した人が型を破るからこそ、また新しい型が生まれるでしょう。でも、もともとの型がなければ「型無し」になる。無印良品では今日の時点での一番いい仕組みが必ず動いているので、マニュアルといっても型に押し込めるのではなく、型を進化させていくのです。
−−ご自身についても少し伺わせて下さい。大学では体育学部だったそうですが、もともと流通業界に興味があったのでしょうか。
松井さん実は興味はなくて、ずっと教員になるつもりでした。高校ではバレー部に所属していましたが、あと一歩で全国大会に行けなかった。そこで大学でもバレーを続けていましたが、大学2年の時にデモに参加して警察に捕まって。ちょうど学生運動の世代で、20歳の誕生日は留置所で過ごしました。そこで、もう教員になるのは無理だなと。でも、就職はしないといけない。当時は流通業界が全盛で「東の西友、西のダイエー」と言われていた時代です。そこで西友を受けたわけですが、面接の時に「君は動機が希薄なんだよねぇ」と言われましたね(笑)。人事課長も京都大学の全学連の元闘士で、大らかだったんでしょうね。採用してもらえました。
−−そんなご経験があったとは!その後、西友でキャリアを積まれた後に良品計画に行かれたのは、左遷だったそうですね。
松井さん上司に媚を売ることもしないし、何でも言うことを聞くタイプではなかったので、上司は使いにくかったんでしょう。西友時代もいつも本流から離れたところにいましたから。でも、この本を読んだり、この間出演した「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)を見た当時の人事部長が、「俺は左遷したつもりはない」と(笑)。だけど、良品計画に来た時に「お前、浮いていたから取ったんだ」と言われたので、やっぱり左遷なんだと思いますよ。
−−さまざまな経験をされてきた松井さんにとって、仕事をする上でのモットーとは?
松井さん僕は何事も中途半端にできなくて、全力を尽くして与えられたミッションを達成しないとイヤなんですね。そういう意味で、左遷を経験したことは良かったなと。第一に、見える景色が変わるので。すると、組織全体のことも分かってくるんですね。左遷されて腐る人ももちろんいるでしょうし、そういう人を沢山見てきました。でも腐ってしまったら、そこで終わりなんですよ。僕の場合、性格的にそれができなかったわけですが。だから「与えられた場所で全力を尽くす」ことが、自分の生き方なのかなと思います。
−−経営者はもちろん上司やリーダーの立場にいて、成果が上がらないことに悩んでいる人は多いと思います。最後に、松井さんからアドバイスを頂けますか。
松井さん改革を実行しようとすると、抵抗勢力が必ず現れるんですね。「MUJI GRAM」を始めた時、一番の抵抗勢力は優秀なベテラン店長たちでした。彼らを排除することもできますが、僕は逆に「MUJI GRAM」の作成チームに入れたんです。すると一生懸命やってくれるんですね。あとは3年辛抱すれば、従来の経験主義はなくなると思っていました。なぜなら「MUJI GRAM」によって教育された新入社員が店舗に配属されるようになるので。実際にそうやって「MUJI GRAM」の導入はスムーズに進みました。それから大抵の人は上司の顔色を伺って仕事をするものですが、ちょっと遠慮がちに言ってくる部下の言葉は、大体正しいんですよ。それをすくい上げるためにも、プライドは捨てたほうがいいですね。そうでないと嫁姑の関係と一緒で、延々に続く問題になるので。上司によって仕事の仕方、方向性が変わるのではなく、誰であろうと皆が同じように動いていく。人間関係も仕組みで解決しないと、会社全体の効率は上がらないと思いますね。
僕自身、何かに行き詰まって知恵が欲しい時には、他のメーカーさんなどにヒントをもらいに行くことがわりあい多いんですね。世の中には優れた方たち、企業がたくさんあるので、先に悩んで結果を出しているところから学んだほうが早い。すると視点が変わって新たな発想が出てきます。そういう意味で、ずっと他者から学んできたので、そろそろ立場を変えて、自分の経験やノウハウを公開することで、努力をしているのに結果につながらない方たちに、元気になってもらえたらと。そう思ってこの本を書きました。多くの方に役立てて頂けたらうれしいですね。

【取材後記】
社長の立場にも関わらず「他のメーカーにどんどん意見を聞きに行く」という松井さん。競合他社でありながら、気軽にアイデアや意見を交換できる“ギブアンドテイクの人間関係”を築くには「一緒にお酒を呑むのが一番」と語る笑顔からは、成果を上げるまで決して諦めない信念、生き方を感じました。松井流“仕組みづくり”のは一個人でも大いに活用できます。本書をきっかけにぜひ、努力を成果につなげて下さい!
取材/文 宇田夏苗


■松井忠三「無印良品は、仕組みが9割」
■松井忠三「無印良品は、仕組みが9割」

内容紹介
38億円赤字からの「校回復」実現の立役者は2000ページのマニュアルにあり!その根底にある仕事哲学とは

ご購入はコチラ

このページの先頭へ