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仲山進也さんインタビュー「あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか ネット時代の老舗に学ぶ「戦わないマーケティング」」

ビジネス書評サイトで、「表紙からしてゆるーい本かと思いきや、ものすごく読み応えがある」と話題になっている本書。楽天大学学長が多くの実践事例をもとに、巨大企業と競争しないでファンを増やす方法を指南しています。掲載された12の事例は、宣伝会議のニュースサイト「Advertimes(アドタイ)」で毎回アクセスランキングNo.1となった人気コラムが書籍化されたもの。著者に、消耗戦を抜け出して、顧客に選ばれ、長続きする商売のスタイルを確立するヒントを聞きました。

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あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか
あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか
楽天大学学長である仲山進也氏が、価格競争、過当サービスではない、「顧客との関係性を深める」ビジネスの方法を「究極の対面販売の道」として推奨。どんなにがんばっても大手資本に太刀打ちできない「消耗戦」を抜け出して、楽しくかつ顧客満足度を高めるビジネスの方法を指南。また、それを実践しているECショップの事例を12件掲載。
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プロフィール

仲山 進也(なかやま・しんや)
北海道生まれ。
慶應義塾大学法学部卒業。 シャープを経て、1999年に社員約20名の楽天へ移籍。楽天の初代ECコンサルタント9人の1人となる。2000年に「楽天大学」を設立、Eコマースのみならず、チームづくりや理念づくりまで幅広く、楽天市場出店者41,000社の成長パートナーとして活動中。楽天が20名から数千名の組織に成長するまでの経験をもとに人・チーム・企業の成長法則を体系化、社内外で「自走型人材」の成長を支援している。2004年、Jリーグ「ヴィッセル神戸」の経営に参画。2007年に楽天で唯一のフェロー風正社員となり、2008年には仲山考材株式会社を設立、Eコマースの実践コミュニティ「次世代ECアイデアジャングル」を主宰している。

インタビュー

■勝たなくていい。がんばればがんばるほど、しんどくなる人に読んでもらいたい

--前作、『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』以来の本コーナーご登場となります。前作はチーム論がテーマでしたが、本作はEコマースについての本と考えてよいでしょうか。
仲山さん楽天スタッフの著作というと、Eコマース、ネットショップに特化したものだと思われがちなのですが、実はそうではありません。私はいつも「ネット」と「リアル」を区別することなく、「商売」とか「人が物を買うというのはどういうことか」といった視点で考えています。なので、本を読んだ方からは、「ネットの本だと思っていたのに、意外と自分に当てはまることが多かった!」といった感想をいただくことが多いです。
--それでは改めまして、今回はどのような方向けに書かれた本になりますか。
仲山さん基本的には、しんどそうに競合と戦っている人向けです。がんばればがんばるほど強い競合が現れて激しい消耗戦を余儀なくされ、先が見えなくて疲弊している人。価格競争やサービス競争、巨大企業による寡占化といったことがビジネスの世界で起こっていますが、ネットではその変化が早く見えやすい部分があります。そのネットの世界でいち早く消耗戦を抜け出している人の商売スタイルを参考にすると、誰にとっても役に立つヒントが見つかります。事例の主体はEコマース事業者ですが、取り組み内容はネットにとどまらずリアルと統合的に行なわれているものが多くなっています。  また、マーケティング3.0とかソーシャルマーケティング、CSV(Creating Shared Value:共創価値)、コミュニティデザイン、エンゲージメント、O2O(Online to Offline)といったキーワードに興味を持っている人は、本書の具体的事例をご覧になると、実践レベルの高さに驚かれるようです。
--Eコマースは変化のスピードが速くて世の中の縮図として見えやすいとのことですが、この先予想される展開はどのようなものでしょう。
仲山さんモノを売るお店と、ほかにない価値を売るお店の二極化です。モノを売る店は、買物にかかるコストと流通にかかるコストを下げるという方向性で「コンビニエンス」を売る。ほかにない価値を売る店は、自分だけの強みを活かして「エンターテイメント」を売る。中途半端なお店は、利益を削って「単なる値引き」を売らざるを得なくなります。
--がんばればがんばるほどしんどくなるとのことですが、真面目にがんばるのは日本人の特性かと思うところもありますが。
仲山さん多くの人が「とりあえず売上を上げようとする」んです。なぜなら、「みんなが売上を上げようとしている」から。そこで立ち止まって、「なんのために売上を上げようとするか」と考える人は多くない気がします。単にみんながやっているから、というだけ。真面目にいろいろ勉強して売上を伸ばそうとするんでけど、でもそれは「みんながやっているのと同じやりかたを頑張っている」わけです。お客さんの立場からみれば、どのお店も似たようなものなので、安くて、早く届く便利な馴染みのお店(=巨大店舗)で買うということが起こっている。
日本人は、他の人と違うことをあまりやりたがらないですよね。基本、みんなと同じことをやりながら、最後に小手先で差をつけて「差別化」という人が多い。だけど専門家にしかわからないような僅差でしかなかったりするので、お客さんはどれを買っていいかわからない。だから「いつも買っているところで買えばいいや」と、巨大店舗で買うことになる。このお店なら間違いないという「いつもの安心感」の価値です。買ったことがないお店で買うというのは面倒くさい。その「面倒くさい」を超える独自価値や面白価値を提供できるかどうかが問われることになります。
--そういったいわば個性的な魅力を持ち合わせた小さな店舗が「いつもの安心感」をもつ巨大店舗を凌ぐ可能性はあると思いますか。
仲山さんそもそも凌ぐ必要がないのです。凌ぐというのは「上をいく」という意味だと思うのですが、それより「自分のお店を選んでくれる人が確実にいる状態」をつくることが重要です。ラーメン屋さんって、人気のお店が成功しているよう見えますが、人それぞれ好みのお店が違うので、独自の価値を気に入って買い支えてくれるだけのファンがいれば細くても商売を続けていける。そういう状態がラーメン以外のどのジャンルにもあります。それが「戦わない」という意味です。凌がなくてもいい、勝たなくてもいい。負けなければいい。なのに、わざわざ巨大な店舗に戦いを挑んでいつまでも負け続けるから疲弊していってしまいます。
 結局、自分のなかに価値基準がないので、みんなに合わせようとしてしまう。または、自分で「これがいい」と思うことがあっても、それをやろうとすると「おまえ、なに変なことやってるの?」とか「遊んでないでちゃんと仕事したら」などと変人扱いされて、真面目にみんなと同じことをやるほうへ戻ってしまったりする。  そういう人たちは、本書でいう「老舗(変人)スタイル」でやっている人たちを知ることで、「こういうのもありなのか!」とすごく元気になるようです。
--「老舗スタイル」というのは具体的にどういうものでしょうか。
仲山さん「老舗スタイル」は一括りにはできなくて多様です。なぜかというと、それぞれの「強み」を活かしたスタイルを編み出したものだから。それぞれ得意技が違うから、たとえ同じ商品を売っていたとしてもスタイルが違う。得意なことをやっている人というのは、自然体で、楽しそうにやれている。その姿を見て「あ、これでいいのか」と思えれば、じゃあ自分の得意技はなんだろう……と考えるようになって、初めて自分のことがいろいろ見えてきます。 私がやってきているのは、みんなで集まって、「他にどんな人がいるのかがちょっとわかることで、自分のことがちょっとわかる」、そのきっかけをつくること。自分の強みは、他の人と相対してわかるものなので。 そこで「じゃあ自分はこうしてみよう」「こんなことやっている人いないけど、やってみよう」と思える。なぜなら、自分はそれをやりたくて、得意だから。そうすると「価値」が生まれて、いつしか喜んでくれたお客さんから「ありがとう!」というメールが届くようになります。そうやって、本書の事例のようにさまざまな老舗スタイルのお店が生まれてくるのです。 売上を生みだすということではなく、価値を生みだすということが大事。ここを勘違いしてしまうから、仕事がしんどくなってしまうのです。

■「ひたすらお客様のため(自己犠牲的利他)」から「自己中心的利他」へ

--仕事として自分しかできないことをやる、というのは面白くやりがいがありますね。
仲山さん老舗スタイルのネットショップは、お客さんから「ありがとう」と言われることが多いです。ある店長さんからこんな話を聞きました。「いやぁ、ネットショップは楽しいね。実店舗で20年くらい店番やっているけれど、『ありがとう』なんて言われたことないのに、ネットだと1日1通は『ありがとう』っていうメールをもらえるから」と。日本人は恥ずかしがりで、面と向かってだとありがとうを言えないけれど、ネットだと言いやすい、ということがあるみたいです。また、モノを通して人と人が接している証拠でもあると思います。
--本書のキーコンセプトである「消耗戦」に陥りやすい会社はどんな会社でしょう。
仲山さん分業の進みすぎた会社です。価値創造・価値伝達の基本は、自分で生み出した価値をお客さんに伝え、買って使ってもらって、フィードバックをもらう。そのフィードバックをもとに価値をさらにブラッシュアップするという繰り返しだと思うんです。でも、分業が進んで「つくる人」と「売る人」が別々になると、価値創造のプロセスがブツ切れになってしまう。本来は全体が生きて循環している有機的プロセスなのに、それが分断されると活動に命が失われて、それぞれの人は何の意味があってこれをやっているかわからなくなる。分断された作業を単にくっつけても、命は戻らない。そんなイメージの会社です。 本書に出てくる事例は、自分でモノをつくっているメーカーの人もいれば、モノでなく価値をつくっているメーカーの人もいます。いずれも共通して、自分で価値を生み出し、自分で伝えてフィードバックをもらうという循環が成り立っています。だから仕事を楽しめるんだと思います。
--「仕事を楽しむ」とは、「自分のやりたいことをやる」ということなのでしょうか。
仲山さん自分だけ楽しんで「価値」を生み出さないのは、仕事ではなく単なる趣味です。「自己中心的利他」というキーワードがあるのですが、「お客さんに喜んでもらうことを面白いと思える人」が「自己中にやりたいことをやる」ということです。同じ利他でも対照的なのが「自己犠牲的利他」。これは、「自分を犠牲にして、ひたすらお客様の言い分を聞こうとする姿勢」です。一見よさそうですが、それだと長続きしないと思うわけです。
--たしかに、事例に出てくるお店はみんな「自己中心的利他」にあてはまりそうです。
仲山さんあてはまりますね。今回の本について、もらって嬉しかったフィードバックの一つに、「ウェブ連載の事例は全部読んでいたけど、書き下ろし部分のフレームワークと合わせ読んだことで、事例の意味が違う視点で、深くわかった」という感想です。  よく「成功事例」という表現がされますが、多くの人は「具体的にどういうことをしたら成功したのか」という視点でとらえようとします。でも、本書の事例は、同じように真似したとしても、同じ結果が出ない。なぜなら、「強みを活かしてそれをやった」からこその「成果」だから。本の冒頭で「結果と成果の違い」という話が出てきますが、表面だけ真似しても「成果」は出ないわけです。なので、老舗事例を観察するための視点として、第1章で「一発屋と老舗の違い」という視点を書き下ろして解説させていただいた次第です。それが伝わってうれしいです。
-最後に読者に伝えたいメッセージを。
仲山さん本書のひとつのメッセージは「変人でいいんです」ということ。他の人がやっていない価値あることをやって、それを「いいね!」といってくれる人がまわりにいないと孤立するわけですが、ネットの時代なら必ず出会えます。「いいね!」といってくれる人がまわりに増えてきて、食べていくのに困らなくなるラインを超えられれば、それが「老舗(ブランド人)」です。 「仕事は我慢してやるものだ」と思っている人が少なくない気がします。学校で、授業の時間は我慢して放課後に遊ぶ、みたいな価値観が刷り込まれて、それがそのまま、みんなが大学に行くから大学に行くし、大企業に就職するから大企業を目指す。で、授業時間のごとく「我慢して仕事」して、放課後が「土日は遊ぶ」になる。ここでいう老舗スタイルの人は、仕事が授業ではなくて「部活」とか「文化祭の前日」みたいな感じなんです。やりたいことを楽しみながら夢中でやっていて、その姿をみてお客さんが「楽しそうだけど何やっているの?」とのぞきにきてくれて、「今こんなことやっていて」とおしゃべりして…という感じで広がっていく。本書がそういう働き方をする人が増えるきっかけになったら本望です。

あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか ネット時代の老舗に学ぶ「戦わないマーケティング」

あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか ネット時代の老舗に学ぶ「戦わないマーケティング」
内容紹介
楽天大学学長である仲山進也氏が、価格競争、過当サービスではない、「顧客との関係性を深める」ビジネスの方法を「究極の対面販売の道」として推奨。どんなにがんばっても大手資本に太刀打ちできない「消耗戦」を抜け出して、楽しくかつ顧客満足度を高めるビジネスの方法を指南。また、それを実践しているEC ショップの事例を12件掲載。

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