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わらべきみかさんインタビュー「『てのひらしかけえほん』シリーズ」

キリンの首が伸びたり、カバが大きく口を開けたり……ページを開くたびにダイナミックな“しかけ”が広がる『とびだす!うごく!てのひらしかけえほん』。2004年の発刊以来、幼い子どもたちの心を虜にし続けている、人気シリーズの最新作「れっしゃ」が12月20日ごろ発売予定です。作者は、これまでに手がけた絵本がなんと370冊以上というわらべきみかさん。かわいいイラストも魅力のこのシリーズの誕生裏話、知育絵本の魅力について、わらべさんに伺いました。

プロフィール

わらべ きみか
熊本県天草生まれ。大学在学中からイラストを描きはじめる。370冊を超える絵本を出版し、海外でも多数翻訳出版され、子どもから大人まで海をも超えて幅広く支持を得ている。『てのひらしかけえほん』シリーズ、知育ドリル『はじめてのおけいこ』シリーズ(小学館)、『あかちゃんずかん』シリーズ(ひさかたチャイルド)ほか、著作多数。保育用品にも作品を提供。

インタビュー

■小さいからこその良さがある

--大人気の『てのひらえほんシリーズ』が生まれたきっかけから教えて下さい。
わらべさんもともとは小学館の編集の方が育児休職中に僕の絵本をお子さんと読んで下さって、その時にすごく反応が良かったそうなんですね。そこで仕事に復帰された時に、「一緒に絵本を作りましょう」と声をかけて下さったことがすべての始まりです。小さくて子どもが手に取って楽しめる絵本、しかもしかけ入りにしたいと伺って。もっと大きくてシンプルなしかけ絵本を作ったことはありましたが、手のひらサイズにしかけがたっぷり入っていたら面白いだろうなと思い、すぐにお引き受けしました。でも、ここまで続くとは正直思っていませんでしたよね。それまでにも知育絵本のシリーズは手がけていたので、最初の何冊かはよく読まれても、それ以降はテーマが薄くなるなど、シリーズ化の難しさも感じていました。どうぶつや乗り物という定番の題材はいいとしても、それ以上にどこまでテーマを広げられるのかなと。でも編集の方が『ぼくじょう』をはじめ、僕が到底思いつかないテーマを提案して下さるので、まだまだテーマが広がる気がしています。
--最新作『れっしゃ』も新幹線がひゅんと飛び出したり、大人でもワクワクさせられます。この形にするまでには、どんな試行錯誤があったのでしょうか。
わらべさん絵本を閉じた時、しかけがちゃんと手のひらサイズに収まらないといけないので、範囲を決めて絵を描くのですが、しかけによって自分の絵のフォルムが変わってしまうことがあって。その場合はしかけの考案さんにお願いして直してもらい、それをもとに僕がイラストを描き直して、というやりかたを繰り返します。これまで13冊描きましたが、それぞれ苦労しました。『サーカス』のピエロが鳩を出すしかけ、『ぼくしょう』の馬が走るしかけ、『きょうりゅう』のトリケラトプスがどすどす走るあしの動き、ティラノサウルスが口をわっと開けるしかけなど何度やり直したことか。 『れっしゃ』に出てくる路面電車も、最初は停留所で待っている設定だったんです。でも車が周りに走っているほうが路面電車らしいし、他の見開きに乗り物を待っている画面があるので、急遽車5台に描き変えました。そんなふうに、ページをめくるたびに新たな驚きがあるようにと常に心がけていますね。
--それにしても、これだけのしかけが詰まった絵本は、このサイズでは珍しいのではないですか。
わらべさんそうかもしれないですね。小さい子の場合、読んでいるうちに絵本を破いたりすることがありますが、それは当然のこと。小さいサイズだと壊れにくい利点もありますね。

■「教育にいいから」とはあまり思わないで

--知育・赤ちゃん絵本は今でこそ、書店にコーナーがありますが、わらべさんがこの分野を手がけ始めた30年前は、こうした絵本があまりなかったそうですね。
わらべさんそうですね。でも、当時から必要なものだと思っていました。
--そもそも知育・赤ちゃん絵本に興味を持ったわけとは?
わらべさん実は、学生時代は漫画家になりたくて、手塚治虫先生のアシスタントをしていたんです。ちょうど手塚先生が『火の鳥』などを描かれていた頃ですね。ところが実際に漫画の世界に入ってみると、自分に漫画は無理だと思った。まあ、手塚先生が偉大過ぎたこともありますが(苦笑)。でも絵は描き続けたいと思い、自分の絵が活かせる場所を探したんです。そのうちに、赤ちゃん向けの図鑑を手がけるようになり、漫画で使っていた線画も活かせるし、「これは自分に向いているな」と気付いた。つまり僕にとっては自分の絵を見せられる場所が、知育・赤ちゃん絵本だったというわけです。
--知育・赤ちゃん絵本を描く上で、大事にされていることは何でしょうか。
わらべさん知育絵本は子どもが初めて触れる絵本、絵本の入門篇なので、シンプルなほうがいいし、分かりやすく認識させることを考えるようにしています。絵に関しては、かわいく描く、というのはテーマにしていますね。怖いおおかみでも、どこかかわいく描くようにしたりとか。作家によっては、かわいく描くことを嫌う方もいらっしゃるでしょうが。芸術性がないと言ってね。僕はファンシーなものも、キャラクターもたくさん描いているし、商品を作る仕事もしているので、1枚の絵として見た時に、かわいらしがあるといいなと思うんです。
--お孫さんや身近な子どもたちの姿は絵本を描く上でのヒントになりますか。
わらべさん孫は小学生を頭に3人いますが、僕の絵本は見ているのかな(笑)。僕から強制はしないですし、子どもにも自分の絵本を見せた記憶があまりないんですよ。「子どものために描く」というのもおこがましい気がして。喜んでもらえるのが一番うれしいし、励みにはなりますが、あまりそこを意識しても媚びるだけなので。それよりも、自分がいいと思うように描くほうがいいのかなと。教育にいいとか、考え過ぎても描けなくなる気がします。心がけていることがあるとすれば、ゾウを描くなら、写実的という意味ではなく、それがゾウだと分かるように、いかにシンプルに、かわいく描くか、ということですね。
--なるほど。わらべさんは、ひらがなや数字などを遊びながら学べる知育ドリル『はじめてのおけいこ』シリーズも手がけられていますね。最新作『めいろ』は、楽しくてかわいいイラストとともに、64問がたっぷり詰まっていますね。
わらべさん僕は普通にお話がある絵本もいくつも描いていますが、基本的には同じキャラクターを何度も描くのが苦手で、飽きてしまうんですよ。その点、『はじめてのおけいこ』も『てのひらしかけえほん』シリーズも、見開きごと舞台を変えられる(笑)。そこが僕にはいいのでしょうし、逆にページをめくるごとに驚きがないなと感じたら、何度も描き直します。
--だからこそ、わらべさんの絵本はいつも驚きがいっぱいなのですね。長年、知育絵本を手がけてきた作家として、幼い子どもを持つママ、パパに絵本との付き合い方のアドバイスを頂けますか。
わらべさん絵本ですから、特に僕が作っているのは一人で読むものではないので、ぜひお子さんと一緒に楽しんでほしいですね。ただ、いやがるものを無理矢理見せてもしかたないかなと。好きな本は、子どものほうから何度も「読んで」と言ってくるはずなんです。自分の絵本がそういう1冊になればいいですが、それを目的にするのではなく、やはり自分がいいと思うものを描くことが大切なのかなと思います。
--デジタルの絵本も手がけていらっしゃいますが、どんな魅力を感じていますか。
わらべさんデジタルには実際に音が出たり、動いたりすることで、世界が広がる良さがあると思います。子どもが喜ぶのは確かでしょうし。一方で、親としては「どうだろう?」と思う気持ちも分かりますね。
--わらべさんの作品は、アジア各国やフランスでも翻訳出版されていますね。さまざまな国の子どもたちに向けて、絵本を作る楽しさとは?
わらべさん絵が万国共通になるのが、一番いいのかなと思いますし、いい絵が描けた時はやっぱり楽しいですよね。慌ただしいとなかなかそう描けないけれど、時間がたっぷりあればいい絵が描けるともかぎらない。モチベーションを保つのは年齢的にだんだん厳しくはなっていますが(笑)、描いている時が一番楽しいですから。あまりどうすればいいとか考えずに、これからも絵本を描いていけたらと思っています。

【取材】 宇田夏苗

今週の本はこちら!!

『てのひらしかけえほん』シリーズ
『てのひらしかけえほん』シリーズ

内容紹介
てのひらしかけ絵本最新刊!今度はれっしゃがとびだす!うごく!!

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