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森川亮さんインタビュー「シンプルに考える 」

2015年3月にLINE(株)CEOを退任し、新たにファッションやフードを扱う動画メディアC Channelを起業して注目を集める森川亮さん。待望の初著作『シンプルに考える』は赤字企業から一転、LINEを全世界数億人が利用するグローバルサービスに育て上げた、森川流“仕事の流儀”が詰まった1冊です。本書のこと、ご自身について森川さんに伺いました。

プロフィール

もりかわ・あきら
1967年生まれ。筑波大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。コンピュータシステム部門に配属され、多数の新規事業立ち上げに携わる。2000年にソニー入社。ブロードバンド事業を展開するジョイントベンチャーを成功に導く。03年にハンゲーム・ジャパン(株)(現LINE(株))入社。07年に同社の代表取締役社長に就任。15年3月にLINE(株)代表取締役社長を退任し、顧問に就任。同年4月、動画メディアを運営するC Channel(株)を設立、代表取締役に就任。

インタビュー

■自分らしく生きない限り、先には進めない

--森川さんにとって、『シンプルに考える』は初の著作ですね。
森川さん 実はLINE(株)在籍中から、本の出版のお話は頂いたのですが、ずっとお断りしていたんです。でも3月に社長の座を後進に引き継いだので、一つの節目として、自分の仕事に対する考えをまとめておきたいと思いました。役職や世代を問わず、“仕事をする人の生き方”みたいなものを読み取って頂けるものになったかなと思っています。
--さまざまな新規事業を成功に導いてこられましたが、ご自身のキャリアは、“挫折”から始まったそうですね。
森川さん 僕は小学生の時に合唱団に入って以来、音楽に夢中になって打ち込んできたので、音楽に関わる仕事をしたいと思っていました。というか、運動も勉強もできなかったので、それ以外に生きる目標がなかったんですね。
--ピンクレディーのバック・コーラスを務めたり、テレビに出演されていたそうですね。大学時代はプロのジャズ・ドラマーを目指されていたとか?
森川さん そうなんですよ。日本テレビに入ったのも音楽番組の制作にかかわる仕事をやりたいと思ったからでした。ところが配属されたのはコンピュータシステム部門。とはいえサラリーマンですから、仕事が楽しい、楽しくないに関わらず、その状況を乗り越えるしかないわけです。会社からコンピュータができることを評価されていたので、「ここで上司の評価を超えるぐらいやらないと次のステージに行けない」と、ガムシャラに仕事をしたのが僕の20代前半でした。
--やがてテレビ局内でインターネットを活用する仕事を立ち上げ、その後ソニー、LINE(株)を経て、最終的に「自分は新しいことが好きで、結局、新しいことしかやりたくない」と思い至ったそうですね。森川さんのように、本当にやりたいことを見つけるために大切なことは何でしょうか。
森川さん 人間にとって一番大きいのは、やはり周りから評価されることだと思うんです。自分が好きなことをやるからいいのではなく、それが評価されることで自信が持てる。そのサイクルがあって初めて人は幸せにもなるし、世の中にとって意味ある存在になるのかなと。そう考えると、自分らしく生きない限り、その先には行けないですよね?だから、いったん今の状況を壊して自分らしく生きてみる。たんにわがままを通すのではなく、周りが自分に期待することと調和しながら、自分自身が変化していくような……音楽に例えるならジャズですね。ボーカルが好きな歌だけ歌って、リズムがどんどん狂っても周りがついてこないし、聴いている人も不幸ですが、リズムがいい形でうねっていれば心地いい音楽になるので。若い頃はどうしても「俺はこうだ」とか主張しがちですが、それだと周りが引いてしまう。一方で周りに合わせてばかりでも、自分の人生を生きていない気持ちになるので、両者のバランスが大事だと思いますね。

■収入は今の自分の価値。未来の価値を作るには投資が必要

--森川さんの仕事術は「計画はもたない」「ルールはいらない」「差別化は考えない」などシンプルでありつつ、従来とは逆転の発想ばかりです。もともとこうした考え方だったのでしょうか。
森川さん ビジネスの変化が速いと、速く意思決定して、それを伝えられるようにしないといけなくなるんですね。従来の日本型経営はしがらみや社内の諸事情を優先して「まあこれでやるしかしょうがない」ということが必ず出てきます。日本人同士ならいいですが、外国人は理解できないですよね。ある一定の基準で説明できないとグローバルでビジネスができないし、特にIT業界は変化のスピードが速いので、“しょうがない”は通用しません。だから「しょうがないものってあるのかな」と考え始めた。そこから会社にとって、また仕事をしていく上で、本当に必要なものが見えてきたところがありますね。
--ビジネスは「戦い」ではない、とも述べられていますね。
森川さん ビジネスって厳しいので、戦わないといけない場面は結構あります。でも音楽に置き換えるなら、相手がドの音を出してきて、それに対抗して同じ音をぶつけても、たんなるエゴになるし、世の中にとってはあまり意味がないと思うんですよ。なので、なるべく戦わずにしていいハーモニーが奏でられられないかと、いつも考えます。
--とはいえ企業同士でも、個人同士でも、戦う姿勢を崩さなかったり、理解し合えない相手もいますよね?その場合は、どう対処したらいいのでしょうか。
森川さん そういう時は縁がないと思うしかないですよね。結局、相性が悪いということでしょうし、世の中ってほとんど好き嫌いで決まっているので。それに真っ正面からぶつかってもいい結果は生まない。僕の場合は、あまりそこに長居はしないですね。
--そんなふうに、常に原点に立ち返って物事を考えることができるのはなぜですか。
森川さん たぶん不器用だったから、こういう考え方になったのでしょうね。日本テレビに入社した時、上司に飲みに連れて行かれても、お酒がそんなに飲めなかったので最初「資源の無駄です」とか言っていましたし。だから上司にも好かれませんでしたよね(苦笑)。賢い人であればもっと要領よくやって会社に残れたはずです。僕はそうではなかったので。今はもう少しは器用になったとは思いますが(笑)。
--不器用な新入社員時代を過ごされた森川さんから、若い世代にアドバイスを頂けますか。
森川さん 今は皆さん、リスクを考えますよね?たぶん何も持っていないから、その上就職できなかったらどうしようと思うのだろうし、その気持ちも分からなくはないですが、要はリスクとリターンのバランスなのだと思います。もし就職できないと食べられなくて死んでしまうのであれば、相当なリスクなので、多少猫を被っても就職をしたほうがいい。一方で世の中を見渡せば、仕事っていくらでもありますよね?だからもう少し自分らしく仕事を選択して、最初は給料が少なくてもそれをやりきって、自分なりのスキルと経験を持った上で、自分の価値を高めて行くほうが、将来を考えると価値が高い気がしますが。猫を被ったまま大人になるよりもね。
--ご自身は「転職のたびに収入が半減した」そうですが、大きな決断ではなかったですか。
森川さん 収入というのは、現時点の自分の価値であって、未来の価値ではないんですよ。未来の価値を作るためには、投資が必要ですよね?収入が減るというのは、その分を未来に投資するということ。社会に一番学ぶところがあるので、学べるところに行くほうが、正しい生き方だと僕は思うんですね。
--ご自身は4月にC CHANNELを起業されましたが、今後の目標とは?
森川さん 未来に投資すると言いましたが、若い世代が元気にならないと未来はないですよね?若い世代が元気になるには活躍する場が重要で、その一つがメディアでもある。メディアは働く場でもありますが、それを楽しむ人も、そこに出る人も若い世代が中心であるような、世界に出て行けるプラットフォームを作りたいと思っています。そういうメディアはないので。今なら日本の食やファッションが特にアジアでは受けていますから、そういうものを中心に、若い人が直感で楽しいと感じるコンテンツを集めて彼らを、ひいては日本を元気にしたいなと。LINE(株)でいろんなことをやらせて頂いたので、これ以上、僕が成功したい気持ちはあまりなくて、これまで培った経験などを次の世代に伝えていきたい。そんな使命感みたいなものがあります。
--最後に、森川さんにとって“仕事”とは?
森川さん 社会を豊かにすること、ですね。社会といってもいきなりカンボジア難民を救うというのではなく、まずは身の周りの人、一緒に働いている人たちを幸せにしないといけないし、ユーザーであるお客さんを幸せにしないと。それが僕にとっての仕事の在り方ですね。

【取材】 宇田夏苗

シンプルに考える
シンプルに考える

内容紹介
「あれも大事、これも大事」と悩むのではなく、「何が本質なのか?」を徹底的に考える。そして、本当に大切な1%に100%集中する。シンプルに考えなければ、何も成し遂げることはできないーー。LINE株式会社CEOを退任し、動画メディアを運営するC Channel株式会社を起業した、注目の著者が初めて明かす「仕事の流儀」!

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