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ハリウッドのステージで、一番最初に母の名前を言いたい!イラン空爆から生き延び、日本で女優として花開く5月25日重版決定!5月25日重版決定!サヘル・ローズさんが始めて語る半生『戦場から女優へ』 Photo by, Tomohiro Akutsu

滝川クリステルさんの物真似で話題となった「滝川クリサヘル」こと、サヘル・ローズさん。空爆体験、孤児院生活、ホームレスにいじめ……。最近人気急上昇の彼女の半生は、その明るい笑顔からは想像もつかない壮絶なものだった。思い出すことすら過酷で壮絶な過去を、赤裸々に語ろうと決心した理由とは一体?


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プロフィール


サヘル・ローズさん
1985年、イラン生まれ。イラン・イラク戦争の空襲で、両親と10人の兄弟をすべて失い孤児に。その後、孤児院での生活を経て、現在の養母に引き取られる。8歳で日本に移住。ホームレス生活やいじめなどにくじげることなく、当時通っていた小学校の校長に日本語を学んで、高校より芸能活動を開始。現在は国際派女優を目指して、舞台やバラエティ番組などで幅広く活動中。6/27オンエアの『風に舞いあがるビニールシート』(NHK総合)では、難民出身のピアニスト役を、また、6/24〜28公演の舞台『龍馬疾る!』では、マーガレット役と重要な役どころを演じており、今注目したい若手女優の一人となっている。

インタビュー


サヘル・ローズさん−−大変な経験を本にしようと思ったきっかけは?

サヘルさん 育ててくれた母と「私たちの人生について、本を書いて映画化する」と約束していたんです。これまでは、自分の人生を誰かに話したことなんてなかったんですけど、私も母もいつかは死んでしまいますよね。そうすると、イラン空爆で住んでいた村ごと失った私にはもう家族がいないので、誰かに残すということができなくなってしまう。血のつながらない私を空爆から助け、孤児院から助け、日本へ連れてきてくれた養母のすばらしさ、フローラという人間の存在を、世の中に残しておきたい。しかも、自分が一番知ってもらいたい人たちに伝えたい。そう思って、幼い頃の記憶が薄れてしまう前に、本を書こうと決心したんです。


−−執筆中に辛くなったこともあったのでは?

サヘルさん そうですね。特に、孤児院での生活と母の元フィアンセの話については、思い出すのが辛かったですし、書くかどうかも悩みました。どちらも思い出したくもない話だけど、本当にあったことでもあって、どう触れたらいいのか自分の中で葛藤しましたね。嫌な思い出をたどると、その当時抱いていた怒りや失望も思い出してしまう。そんな嫌な感情まで、もう一度なぞらなくちゃいけなかったのが一番辛い作業でした。でも、書いたものをあらためて読んでみると、いろんな嫌なこともプラスになる体験だったんだ、と考えられようになりました。自分自身の記憶に留めていると、どうしても第三者の目で見ることができなかったけれど、文章にして客観的に見ることで、私の人生はこれで良かったんだなと自分自身を少し好きになれました。


−−サヘルさんの体験もすごいですが、そんななかでもサヘルさんを守り、愛し抜くお母さんの強い愛情がまたすごい!

サヘルさん それが私がもっとも伝えたかったことなんです!この本を通して、自分自身の両親や大事な人へ感謝の気持ちを伝える大切さや、里親を求める子供たちの多さに気づいてほしい、というのが私の願いでした。決して「サヘルはいろいろあってかわいそうだったね」とか「大変だったんだね」という、自分に対しての感想が聞きたいわけじゃない。「本を読んで、両親のありがたさに気づきました」とか「見方が変わりました」という意見を聞くことが一番嬉しいんです。あと、母から学んだことをもっと広く伝えたいという希望もあって。ブログなどで、「ぜひ友人にも勧めたい」「子供にも読ませたい」というコメントを見ると、人と人とを紡いでいく感覚が実感できて、とても嬉しく思います。


−−お母さんは、「本当の親よりもあなたを愛せる自信がある」と断言してましたが、なぜそこまで深く愛せるのか尋ねたことはありますか?

サヘルさん よく尋ねますよ。だって不思議でしょう?血がつながってないだけじゃなく、祖母との決裂やフィアンセとの不仲など、私の存在が母の人生を変えてしまったことが二度三度とあるわけですから。「それなのに、どうして私のことが好きなの?」「自分の子供も産みたかったでしょう?」と聞くんですが、答えはいつも同じなんです。「なぜそんな質問をするのか、その理由がわからない。好きなものは好きなんだもの」と。


サヘル・ローズさん−−なんて明快な! 偉大ですね。

サヘルさん 母自身、「なぜ血のつながってない子供を引き取ろうと思ったのか」と聞かれることが多いんですが、決まって「それが私のやりたいことだったから」と答えています。たぶん、それが普通だと思っていて、それほど大それたことをしている感覚はないんじゃないかと。だから、どれだけ驚かれても、母にとっては「それが何か?」という感じ(笑)。とはいえ、ここまで深く愛せるのは、母が強い人だからだと思います。実の親子以上ですよね。私自身、普段の生活では、母と血がつながっていないと思うことはないんですよ。インタビューで聞かれて、「そうだ、産みのお母さんじゃなかったんだ」と思い出すくらい(笑)。他人だと思ったことは一度もありません。


−−お母さんは、「孤児院育ちの子供なんて、特別な人になれるわけがない。引き取るだけムダ」と中傷されていたようですね。

サヘルさん 実は、私はまったく知らなくて。偏見や中傷は、一切私の耳に入らないようにしてくれていたので、辛いとか苦しいとか感じることは一度もなかったんです。後でそんな話を聞いて、あらためて母のために何かしなくちゃ、と思いました。今まで育ててくれた恩を返したかったし、そんなことを言った人たちを見返したいという気持ちもあったし。


−−サヘルさんは、わりと負けず嫌いな一面があるようですね(笑)。

サヘルさん そうなんです(笑)。正確に言うと、負けず嫌いというより悔しがりなのかな。やりたいと思うことが達成できないと、自分に腹が立って、泣いて悔しがるタイプです。周りの方は「(それができなくても)大丈夫だよ」と言ってくださるんですが、女優として上を目指しているので、低いレベルで終わりたくないというか。


−−最近、一番悔しかったことは?

サヘルさん ドラマでピアノを弾くシーンがあったんですが、ちゃんと演奏してスタッフの方を驚かせたかったんです。練習期間は8日間だけ、しかも曲はショパン。それじゃ、いくら練習してもそんなに簡単には弾けないですよね。でも、できなくて当たり前とは思いたくない。ハリウッドの女優たちは、太った役を演じろと言われれば40kg台の体重を簡単に70kg台にしたり、盲目の役を演じるために目隠しで1ヶ月間生活したりと、全身全霊でその役柄になりきっています。なのに、役になりきれていない自分が悔しくてしょうがなかったんです。性格的にも、決めるまでにはちょっと時間がかかるけど、何かをやるぞと思ったらあきらめないタイプ。この意志の強さは母譲りだと思います。サヘルを娘にして育てると決めたら揺るぎなく育てるし、元フィアンセについても、日本での唯一頼れる人だったにも関わらず、もう会わないと決めたら二度と会わないし連絡もとらない。本当に母は強いです。


−−サヘルさんご自身の恋愛は、どんな調子ですか?

サヘルさん 私、40歳までは結婚したくないんです。


−−えっ、どうしてですか?

サヘルさん (笑)。今は、仕事などやりたいことに専念したいですし、彼氏ができると恋愛ばかりに気がいってしまって、母にちゃんと向き合えなくなるのもいやで。彼氏に50%、母に50%と、愛情を分けることはできないというか。だから、40歳までは仕事を頑張って、母の面倒をみたいですね。母以上に好きになれる人が現れたら話は別ですが、母を好きな気持ちはかなり強いので、かなりハードルは高いかと(笑)。


サヘル・ローズさん−−ちなみに、お母さんは何と?

サヘルさん 「30歳までは絶対結婚しないほうがいい。好きなことをやって、いろんな経験を積むべき」だと言っています。ただし、恋愛は奨励しています(笑)。「特に、あなたは表現者を目指しているのだから、失恋することも大事な経験。世の中はきれいなことだけじゃないから、ブラックな部分も見ておきなさい」と。家庭を作りたいという願望は、今のところないですね。もしも、将来子供が欲しいと思ったら自分で産むのではなく、孤児院の子供を引き取りたい。母のおかげで、血のつながりがなくても愛情がもらえるということを知ることができました。でも、孤児院には、いまだにそういう愛情を知らず、冷たい気持ちになっている子供がたくさんいます。そんな子供たちに、1人でもいいから「あなたを愛してくれる人がいるんだよ」と伝えてあげたいです。母と同じように、深い愛情を注げるかどうかは正直わからないです。もう、母は本当にすごかったですから。同じようにできる自信がないから、まだ子供はいいやと思うのかもしれませんね。


−−成長されてからイランに帰国されたことは?

サヘルさん ありますよ。ただ、生まれた町には行っていません。戦争で壊滅しましたし、その後の状況は、母が行かせてくれないのでわからないんです。ただ、私がいた孤児院は訪問しました。といっても、中まで入ったのは母だけで、私は門の前で待っていたんですけどね。母は、日本で少しずつ貯めたお金を孤児院に持っていって、寄付したり、子供たちに新しい服を買ってあげたりしているんです。私も、母の絨毯の実演の仕事を手伝うよう担ったり、高校生になってラジオのパーソナリティの仕事を始めてからは、少しずつ貯金をして一緒に寄付しています。


−−お母さんは、サヘルさん以外に、まだ孤児院の子供たちを救いたいんですね。

サヘルさん そうですね。でも、中東では、母のしていることってそんなに珍しいことじゃない気がします。日本だと驚かれますが、中東ではお金を持っている人が、お金がない人を助けるというのが教えのなかにあるんですよね。母は教えに忠実なだけで、私たちが特別というわけじゃないんですよ。


−−それでも、やっぱり尊敬します。では、今後の目標は?

サヘルさん 「滝川クリサヘル」という物真似でみなさんに知っていただけるようになりましたが、これからはサヘル・ローズという女優として、名を知られるようになりたいですね。コツコツとした道のりになるとは思いますが、ひとつずつ女優へのステップを登っていって、将来はオスカー賞を取りたいんです。世界のハリウッドのステージで、一番最初に母の名前を言いたい!あの場で言うことで、全世界に母の存在を発信したいです。母はお金に興味がなくて、「家を買ってあげる」と言っても、「いらない。サヘルが目標に向かって歩き続けるのを見られるだけでいい」と言うんですね。だから私は頂点を目指して頑張って、母にオスカー像を渡してあげたいなと。そして、いつか母と一緒に帰国して、イランに孤児院を作るのが夢です。今は名だたる大スターでも、50歳や60歳になって初めてオスカー賞を取る女優はたくさんいます。だから、年齢に関係なく、あきらめないことが大事だと思っています。私は、今まであきらめなかったからこそ、母とも会えたし、日本に来られたし、自分のやりたかったことも見つけられた。だからこそ、あきらめなければ夢は叶うと思っています。


−−応援しています! いいお話を聞かせていただいて、ありがとうございました。





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