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あべみちこさん絵本の世界をおいしいごはんに! あべみちこさんの『ものがたりレシピ』と『たべものかるた』でママとこどもにたっぷり豊かな心の栄養を!

 「今日のお昼ごはんはなあに?」「あなたの大好きな『おおきなかぶごはん』よ!」
『ものがたりレシピ』というカワイイ本を知ってますか? 子どもたちの大好きな絵本と、おいしいごはんを一緒にパクッと楽しめるステキなアイデアの詰まった一冊です。「ものがたり」部分は、みんなが知ってる絵本が紹介され、「レシピ」には、その絵本にちなんだ料理の作り方が紹介されてます。たとえば表紙の美味しそうなライオンごはんは『ラチとらいおん』の絵本から。カボチャが添えられた『シンデレラカレー』なら、苦手なカボチャもモグモグ、ゴックン。ママもなつかしい「おしゃべりなたまご焼き」や「おおきなかぶごはん」などなど名作絵本と、毎日の「食べること」の楽しみをつなげてくれるユニークな提案です。親子で楽しめる『ものがたりレシピ』の著者、そしてみんなで楽しめる愉快な『たべものかるた』を作ったマザール代表あべみちこさんにお話を伺いました。



あべみちこさんの本


『ものがたりレシピ』
『ものがたりレシピ』
1,575円(税込)

『たべものかるた』
『たべものかるた』
1,365円(税込)

『赤ちゃん絵本ノート』
『赤ちゃん絵本ノート』
1,680円(税込)


あべみちこさんのオススメ本


『赤土に咲くダリア』
『赤土に咲くダリア』
1,470円(税込)

『カラスのジョンソン』
『カラスのジョンソン』
1,680円(税込)

『Dear Nobody あなたへの手紙』
『Dear Nobody あなたへの手紙』
1,575円(税込)



あべみちこさんのオススメDVD&CD


『TOKKO-特攻-』
『TOKKO-特攻-』
4,935円 (税込)

『ALWAYS 三丁目の夕日』
『ALWAYS 三丁目の夕日』
3,990円 (税込)

『男はつらいよ 寅次郎の告白』
『男はつらいよ 寅次郎の告白』
2,800円 (税込)

『NHKみんなのうた チグエソ地球の空の下で』
『NHKみんなのうた チグエソ地球の空の下で』
2,000円 (税込)

プロフィール


あべみちこさん
有限会社マザール代表/コピーライター&クリエイティブディレクター。
東京都生まれ、横浜市在住。明治学院大学法学部卒。広告会社のコピーライターとして活躍中に、妊娠・出産、2カ月で復職。育児休暇のない過酷時代を走り続けた後、子育て応援媒体「ベビカム」編集長を努め、「マザール」を起業。現在、母と子を元気にするテーマで広告やサービスの企画制作を手がける一方、雑誌やウェブでルポやインタビューを執筆、オーガニック弁当のデリバリーサービス「べんとう」をプロデュースするなど活躍は多岐にわたる。絵本好きが高じて、ガイドブック『赤ちゃん絵本ノート』(マーブルトロン)を共同監修。著書に『ものがたりレシピ』(幻冬舎)、『たべものかるた』(ほるぷ出版)。
マザールのHP : http://www.motheru.jp/

インタビュー


−−娘と一緒に拝読して、思わず『スイミー』の絵本を引っ張りだし、久しぶりに読んで『スイミーゼリー』を作りました。スイカはなかったのでイチゴでしたけど(笑)。こういう発想でごはんやデザートを作ると、食が細かったり、食べるのが苦手なお子さんも、なんだか楽しく食事ができそうですね。


あべさん この本で紹介している料理は「しぜんの国保育園」と「成瀬くりの家保育園」で長年培われてきた「物語メニュー」という給食献立で、わかりやすくいうと絵本の世界と「食べること」とつなげてみようという試みです。保育園のこうした試みを知ったのは偶然の出会いが重なってのことですが、こんなに素敵な世界を知ってしまったからには、この保育園に通われる方以外にも広めていきたい。そうでないともったいない!という思いから本にしようと考えました。

「しぜんの国保育園」では、28年も前から「物語メニュー」を開発していて、園児の保護者に毎月メニューの献立表を配ったり、自費出版でこれまで3冊の本を作ってこられました。「子どもの食事づくり」という点では、保育園も普通のお家も同じように食事の時間は大切です。ところが、仕事を続けながら子育てをするお母さんや、料理が得意でないお母さんは、どうしたら短時間で献立をたてられるか? 子どもが喜んで食べるようなご飯になるか? 栄養バランスもとれたものか? など考え出すといろいろなプレッシャーがありますよね。でも、こんなふうに絵本のイメージと重ねるご飯にするだけで豊かな会話がうまれますし、家族一緒に感動できる体験を積み重ねることで、幸せな時間を過ごせます。食事を通じて、そうしたささやかですが確かなことを伝えられたら、と思い作った本なのです。
紹介したメニューでは主食をメインに、普通のご家庭で毎日食べられるものをセレクトしました。たとえば、保育園ではアレルギーのお子さんもいるので、一番最初に紹介している「おしゃべりなたまご焼き」は給食献立にはありません。でも家ではたまご料理はよく登場しますし、こんなふうにたまご焼きの中にいろいろな野菜を刻んで入れて、絵本を読んでイメージを膨らませてから料理を目の前にすると、キライな野菜があってもペロリと食べちゃったりするものです。

おうち流で工夫して作っていただけるように、「物語メニュー」という給食室で使われている名称を、普通のご家庭で毎日作ってもらえる「ものがたりレシピ」として、各ご家庭で工夫して捉えられるようにしています。


ひまわりそうめん−−なるほど。それがこの、絵本をヒントにした料理のレシピと、料理のヒントになっている絵本を紹介するという構成なんですね。紹介されている絵本も、昔よく読んだ、なつかしいものばかりですね。

あべさん 絵本の選書についてもいろいろ考えました。私たち親世代が手にしてなつかしいものを中心にしています。自分も読んできた絵本を、親子で読み継いでいけるよう訴求していきたいな……と思いまして、何世代にわたっても読み継がれている名作や、日本ならではの文化を伝承している作品もセレクトしています。


−−次のページにはそれにつながるコラムと、さらに、おまけの絵本が何冊か紹介されていますね……。

あべさん コラムでは絵本の紹介だけではなく、実用的な料理の知識や梅干しやみそなど日本の伝統食の話題、それから食卓まわりの工作アイデアなど、たとえばランチョンマットやコースター、果物の皮で染め物を作ったり。ちょっとした手づくりの遊びですが、そういうものをテーブルに添えると気持ちが和らぎます。
今は、買えばなんでもすぐこと足りてしまいますが、小さな頃から自分で何かを作る喜びを味わっていると、人生それだけで楽しいものになると思うんです。つまり、人から与えられるもので満足するのではなく、自分で考えてものを選ぶようになる。
ひと手間かけて自分で作ったものをお客様やお友達に楽しんでもらえる体験は、子どもの自信にもつながりますし、親もそんな子どもの成長を知ることが喜びになると思います。


−−「しぜんの国保育園」「成瀬くりの家保育園」さんとはどういう出会いだったのですか?

あべさん これにはいろいろな偶然の積み重なりがあります。私は「マザール」 (http://www.motheru.jp/)という企画制作会社を運営しておりまして、「お母さんを社会に混ぜる」という復職応援のプロジェクトも手がけています。仕事をもう一度始めたいお母さんへの再就職アドバイスをはじめ、トレーニングとしてマザールの業務をお手伝いしてもらっています。
そこに来てくれていた方が、たまたま保育園の方と知り合って「実は、素晴らしい保育園があって、こんなにかわいい給食を作っている。どうすれば伝わる本になるのか試行錯誤されているようなので、マザールが力になれませんか?」といったような相談をされました。うちの息子も生後4ヵ月から保育園児として育ちましたが、保育園での生活は未熟な親として見習いたい点がたくさんありました。そしてビックリしたことに、「しぜんの国保育園」と姉妹園の「成瀬くりの家保育園」のある場所は、私が中学2年生から大学を卒業して働きだすまで約10年間住んでいた町だったんです。そうしたご縁もあって、自分の育ってきた町に何かお返しできるのならお話だけでも……と園に直接伺ったことから、その魅力や社会的に求められている情報価値があると気づいて、ぜひこれを伝えていきたいと強く思いました。


−−不思議なつながりですね。制作は順調だったんですか?

あべさん ものすごくたいへんでした(笑)。素晴らしい企画ですね!と理解してくださる編集者もいらっしゃいましたが、これまでにないテーマなので、どう構成すればよいのか迷いの多い企画でした。幻冬舎から出版することが決まったのが2007年1月。3月には撮影を済ませて、そこから半年以上かけ編集作業を重ね……、長かったですね。その間、編集さんや保育園の先生方をはじめデザイナーさんや校閲さんなど、多くの方にご協力いただきました。
本の「おわりに」で書いておりますが、制作スタッフは第一線で活躍中の方ばかりです。デザインとアートディレクションは「サルビア」(http://www.salvia.jp/index.html) のユニットで人気のセキユリヲさん。セキさんの元でデザイナーとして仕事をしていた武田まいかさんは撮影後に妊娠が発覚し、いまや一児の母です。イラストレーターの得地直美さんは園の給食室の取材も丁寧にされて、こんな絵がわかりやすいですよね、といったイメージまで考えてくださいました。撮影カメラマンは田辺わかなさん。スタイリストは雑誌・LEEで一躍注目されて今や大御所の貫禄すらある伊藤まさこさん。伊藤さんとは『赤ちゃん絵本ノート』の対談で知り合いまして、ぜひ本業でお仕事ご一緒したいなぁと願っていて実現できました。絵本の選書とあらすじの執筆協力は、マザールの仕事をサポートしてもらい、企画のきっかけにもなってくれた武本佳奈絵さん。彼女もこの本を制作中になんと第二児を出産し、いまや二児の母。そして制作スタッフだけでなく、もちろんこの保育園の齋藤謹也総園長をはじめ、美智子園長先生、たくさんの保育園の先生方のお力があったからこそ、こんなに素敵で、見ているだけでワクワクする楽しい一冊に仕上げることができました。この出会いはほんとうに一生の宝物、心から感謝しています。


我が家流の「ものがたりレシピ」を工夫して!

−−それにしても、この絵本がこの料理というつなげ方のアイデアも見事ですね。『100万回生きたねこ』の『どらねこ丼』なんてびっくりするつなげ方で。

あべさん ねこの登場する絵本は、たくさんありますから何を選書するかも考えどころでした。「物語メニュー」ってお顔のご飯でしょ?と誤解される方もいらっしゃるのですが、そうではありません。『ものがたりレシピ』は、最近よくある絵本レシピとはまったくコンセプトが異なります。たとえば普通の絵本レシピですと『ぐりとぐら』にでてくるからカステラ……というように、本にでてくるスイーツを紹介するデザートブックがありますが、この『ものがたりレシピ』は、絵本のなかにその料理がでてこなくても、絵本の世界をイメージしたごはんを作ります。主食だけでなくおやつもありますが、たとえば『スイミーゼリー』にしても、『スイミー』にゼリーは登場しません。でも、あの物語の名場面「ぼくが目になろう」というシーンを形にしたものが、『スイミーゼリー』なのです。子どもたちは「スイミー、絶対ぼくが食べる!」と大喜びです。


−−この本のレシピ通りに作りましょう……というのではなく、こんな風にイメージを膨らませたり、自分のお家流に工夫できる。そんな、アイデアやヒントがたくさんある本ということなんですね。

あべさん まさにそうして独自にアレンジしていただけたらなぁ、と願って作りました。お好みによっていくらでも工夫できると思いますし、そのお家流にできれば一番素敵ですよね。絵本もそれぞれのご家庭にいろいろ揃っていらっしゃると思いますので、お子さんがお気に入りの「我が家のベストセラー」とか、お子さんが創作したお話からごはんを作ってもいいんです。


−−我が家流の「ものがたりレシピ」ができたら、ブログとかにアップして紹介すると、もっと広がりそうですね。子どもが大きくなったら、自分で料理してもいいわけだし。

あべさん そうそう。小さな子も、一緒に作りたがると思いますよ。
「子どもの食育」は、たんに食べ物の勉強というだけではなくて、食べる楽しみを感じて体験することが大切だと思うんですよ。
それで、食べるメニューについて子どもたちに積極的に知ってほしくて『たべものかるた』も作りました。ものがたりレシピはお母さんのために役立つ情報も盛り込みましたが、かるたは言葉と絵で遊びながら、しぜんと興味がわくようにと思って。読み札の言葉の裏にはレシピが、絵札の裏には料理の絵と両面あるので、ふつうのかるたの二倍楽しめます。五種類の遊びができますし、親子であたらしい遊び方を作り出してもらってもいいです。おじいちゃん、おばあちゃんもご一緒に、長く愛される『たべものかるた』になるといいなと思っています。


−−両方とも、おうちで使うだけでなく、小学校の家庭科の授業のヒントなどにもなりそうですね。

あべさん そうですね。物語がフックになって、食に関心をもつきっかけになると思います。絵本のキャラクターを料理にするだけでなく、物語の場面にあわせて季節を織り交ぜたり。たとえば春なら、ゆかりを混ぜた「桜ごはん」にしてみたり。心に残る物語のシーンをアレンジしてお料理に関連づけるか考えてみるのも楽しいですよね。


スイミーゼリー−−イマジネーションのつながり具合が勝負ってことですね。今後は、イベントなども予定来されているそうですが。

あべさん おかげさまで、東京ガスさんにご理解いただいて『ものがたりレシピ』を作って食べるだけでなく、絵本の読み聞かせとドッキングさせ、食の大切さを伝えるセミナーもセットにしたイベントを予定しています。
それから将来的には、地元横浜でマザールカフェをオープンしたいと思っています。オーガニックな食と絵本を提案するクレヨンハウスのローカル版のようなお店をイメージしています。その夢に先駆けて、今年はオーガニック弁当のデリバリーサービスのプロジェクトをスタートします。「安心・安全・あたらしい」というコンセプトで作る「おべんとう」ならぬ「べんとう」というネーミングで。
きっかけは、私の息子が週3回弁当もちで学習塾に通い始めたのですが、仕事をしていると朝お弁当を作って電子レンジでチンして持っていかせるしかない。でも、それだと入れるお惣菜も限られてきますし、なによりあたたかくない。私以外にも困っているお母さんはきっといると思ってリサーチしたら、やっぱり結構いたのです。ですので、地元で評判のお店さんとタイアップして「べんとう」を始めることにしました。塾や地元の学校をはじめ、ゆくゆくは高齢者の方にも広げていきたいと考えています。

食の問題は、生きていく上でさまざまなこととつながっています。私は食の専門家ではなく、ことばの専門家。難しい何かをやさしく伝えることは得意なんです。
識者の方と会ってお話を伺っていく中で、食は地球環境や個々のライフスタイルに直結するテーマだと思い至りました。
 『ものがたりレシピ』で訴求したいのもまさにそういうことで、お料理の紹介に終始せず、子どものライフスタイルや親子で過ごす時間の過ごし方の提案をしています。食育という切り離した単語で考えるだけでなく、日々の生活で食事の時間をどうするのか、生活そのものを大切にしていけるような情報や場、一人ひとりの関わり方が大切、ということなんです。

そうした想いは、人と人が交流することで伝わっていくものではないかと。知恵や知識を交流する場をつくりたいなと考えて、さきほどの「マザールカフェ」という構想となっています。個人と地元との関わり、若い人と年配の方の交流、女性や高齢者の仕事づくりなど含めて、食と絵本を通じて街でほっとできる環境をつくることができたらいいな、と。イメージできたことは実現してみよう!という信条ですので(笑)、応援してください。


−−たしかに、『ものがたりレシピ』は心の栄養、暮らしの喜びにつながるものですね。4月にも新刊を出されるとか。

あべさん はい。明治大学文学部教授の齋藤孝先生のユニークなアイデア『絵本アルバム』という新しい絵本の読み方アイデアを伝授する本です。著者は齋藤先生となっていますが、マザールも執筆・編集に関わっています。マザールのメンバーの親子さん6組が実践編では登場してくださいましたし、私も齋藤先生と対談をした章があったりと、わかりやすくて楽しい、これまでにない一冊です。
今年はオリジナル絵本の創作企画を一つ実現テーマに掲げていますので、お楽しみに。


−−今後も幅広い展開を期待しています。ありがとうございました!

(インタビュー 波多野絵理)





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