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仕事も育児も楽しんじゃおう!笑顔のパパが世界を変える『パパの極意』でパパ改革仕事も育児も楽しんじゃおう!笑顔のパパが世界を変える『パパの極意』でパパ改革

 あなたのお家のパパ、子育てしてますか?
「育児どころか遊び方すら知らないし」「終電で帰宅して、休日は寝てばかり」「出社するパパを見て、子どもがまた来てねって」……パパたちの人生、このままで良いのでしょうか? そんな悲しいパパとママでは、子どもだって笑顔になれません……。
それだけじゃありません、最近のパパたちは二極化時代。やらないパパよりはありがたいけど、マニュアル片手にママ化する「やりすぎパパ」まで登場してるとか。
そんなパパやご家庭に、ロックな魂を持つ先輩パパのNPO法人ファザーリング・ジャパン代表・安藤哲也さんが『パパの極意』を届けます。さりげなく一冊、リビングに置いておけば、仕事もできてママと家族を愛する「カッコいいパパ」に変身?! 三人目のお子さんが生まれたばかりのスーパーパパ・安藤さんにお話を伺いました。



安藤哲也さんの本


『パパの極意』
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735円(税込)

『絵本であそぼ!』
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1,260円(税込)



安藤哲也さんのオススメDVD&CD

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プロフィール


安藤哲也さん (あんどう てつや)
1962年生まれ。NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事。「パパ検定」の仕掛け人。二男一女の父親。出版業界など9回の転職を経て、06年に父親の育児支援を行う同NPOを設立。著書に、『本屋はサイコー!』(新潮OH!文庫)、共著に『絵本であそぼ!』(小学館)。NPO法人ファザーリング・ジャパンのHP: http://www.fathering.jp/

インタビュー


安藤哲也さん−−最近は、芸能人でもジョニー・デップさんやベッカムさんなど、子育てするカッコいいパパが注目されてます。安藤さんの本でも第1章からいきなり『「カッコいいパパ」ってどんなパパ?』とはじまって、パパのカッコ良さが書かれていますが、パパだけでなくママも目が開かれる刺激的な本ですね。


安藤さん カッコ良さもいろいろあるけど、「自分なりのカッコ良さ」を持てるといいですね。でもいまの若いパパたちは、長時間労働で子どもといっしょに過ごしたくても帰れない。周りに流され生きてるみたいで、カッコ悪いです。
 反対に、真面目に一生懸命育児をしてしまう、まるで母親みたいな意識のパパもいる。そういったマニュアル主義ではなく、義務感や責任のプレッシャーにも押しつぶされるのではなく、自分のスタイルで、楽しみながら子育てできることが、カッコいいパパだと思うんですよ。
 ぼくの本では、第2章で「父親の意識を切り換えよう」と書いてます。それはOS(Windowsなどのパソコンを管理する基本ソフト)に例えて書いたんだけど、まず、昔の古い父親像をアンインストール(削除)して、時代にマッチした、現代の子育て環境や家族の状況に合った新しいOSに入れ替えて欲しい。できればLinuxのように、奥さんと一緒にプログラミングして、「父親OS」をカスタマイズしていけたらいいんじゃないかと思います。


−−なるほど、新書なので読みやすい上、そういう例え方ならパパもスーッと読めそうですね。

安藤さん 忙しいビジネスマンパパをメインの読者に想定して書きました。でもこの本に「答え」はありません。書いてあるのは、あくまで「ぼくの極意」。読んだ人がそれぞれ、自分だったらどう楽しめるかなと考え、自分なりに「パパ業の楽しみ方」をみつけてくれればいいんです。


−−なるほど。その人なりの楽しみ方を見つけるための「極意」ということなんですね。

安藤さん だれかのマネをして、マニュアル通りにやるのはカッコよくないでしょ? 主体的じゃないし、第一やらされていると思うと楽しめない。どんなパパも、自分らしさを自分で追い求めて欲しいし、無理して完璧さを目指さなくても、逃げずにその日のベスト、その日の最善を尽くしていけばいいんじゃないかな。それがカッコいいということだとぼくは思います。


−−それが、第3章の『子育てパパは仕事もできる』での仕事との折り合いのつけ方だったり、第5章『地元は最高のトレジャーランド』や、第6章『笑っている父親が社会を変える』に発展して書かれている、自己改革から社会改革までつながっているわけですね。

安藤さん この10年間、父親をやってきた中で、いろいろ気づくことがあったわけです。子育てを積極的にやると仕事に有効なスキルがたくさん身につきますね。また目の前の子育てだけでなく、次世代の子どもたちが生きる世界や環境を良くしていくのも父親の役割のひとつだと感じます。
そのためには、子育ては家庭内で完結するのでなく、親同士や地域とのつながりも大切です。本に書きましたが、実際、ぼくの身の回りでもいろいろな事件が起きました。そういった時に、ひとりではなく、いろいろなパパ友・ママ友とチームを組むことで対処できたこともありました。それは結構ハードな闘いでしたが、その活動はまるでバンドを演るのと同じような快感だったりしました。そういったことも、パパ業を楽しむ極意のひとつとして、伝えたかったんですね。


−−第3章には、「ワーク・ライフ・バランスは勝ち取れ!」と、書かれていますね。

安藤さん はい。まだ日本の組織は古いです。「あいつなら仕方ない」と思わせないとね。そのためにはパパは仕事でも成果を出さないといけません。早いうちに成功体験を積みましょう。
 また良いパパを目指す人たちほど、ワーク・ライフ・バランスという言葉にとらわれ過ぎているところもある。バランスをとらなければと思い込みすぎて、辛くなってる感じがします。人の人生は仕事だけで構成されるわけじゃないし、仕事か育児かどちらか片方しか選べないトレードオフなものでもない。本の中にも「ワーク・ライフ・バランスは寄せ鍋理論で」という考え方を書いてますけど、さまざまな要素(仕事・育児・キャリアアップ・地域活動など)を混ぜ合わせ、そのブレンド具合を楽しみながら、自分にあわせた重心のとり方をすればいいいんじゃないかな。


−−ほんとに、人生はさじ加減ですね。ひとりひとり楽しみながら、美味しい鍋を作っていこう、そしてそれをまわりの、会社の人にも広めていくことができればなお良し……ってことですね。

安藤さん そうそう。それが「鍋奉行の醍醐味」だしね。鍋がどんどん美味しくなれば、またいろいろな人が食べにきてくれて、鍋はさらに味わいを深めていくんだから。子育ても仕事もライブ感覚でどっちも楽しんじゃえ!っていう発想で取り組めば、バランスに悩むことはないんじゃないかな。
 それに、ワーク・ライフ・バランスというのは、単なる仕事術や労務管理の話じゃなく、自分の生き方全般のマネジメントのこと。子どもができたということは義務でなく、「自分はどう生きるか」という課題を考えるきっかけが与えられたということなんだよね。


安藤哲也さん−−その切り換えですね。自分のやりたいことのひとつに、ちゃんと子育てがあるという感覚を持つことができれば……。

安藤さん そうそう。全部つながっているんだよね。ぼくは、保育園で出会ったパパ友、ママ友たちとも仕事をしたし、その果てにこうやって子育て支援のNPOもやっているけれど、これって子どもがいなければおそらく知らなかった世界。直感的に「おもしろそうだな」と思ったことを続けてきただけで、それで自分の世界が広がっていったんです。子どもの目線を通して今まで見えなかった社会的な問題も見えて市民感覚も養われたし。ほんとにこの10年、子どものおかげで自分がすごく成長したと思えるんですよ。今年もうひとり子どもが生まれたので、この先また自分がどう変わっていくか。それが楽しみですよね。
(……ベビーや子どもたちの写真をとりだし)
 それにね、新しい家族が増えると上の子二人の変化もすごくおもしろくって。10歳の娘は、すっかり母性のスイッチがはいっちゃって、産まれる前から「たまごクラブ」とか読んでたし、いまではオムツ替えもうまくやってます。彼女にとってはいい勉強ですね。甘えん坊だった7歳の息子も「もうママはぼくだけのものじゃないんだ」って淋しそうだけど、お兄ちゃんになったんだから「しっかりしなくちゃ」と家のお手伝いしたり。そういうのがまたいじらしくて可愛いですね(笑)。
 新しい家族が生まれることで、これまでの家族がそこからまた成長するでしょう。それを日々見ていくことは、父親としてとても楽しいことです。


−−第4章『ママとのハッピーな関係を築こう』は、女性ならだれでもグッときちゃいますね。日本の男性のほとんどがシャイで、奥さんに愛してるとか、なかなか表現できないじゃないですか!

安藤さん パートナーシップはすごく大事なこと。もちろんそれはパパがリードしないとね。奥さんの関係もさることながら、夫婦仲の良さは子どもの発育にとっても影響が大きいと思う。親の笑顔は子どもにとって、一番の栄養源だからね。
 夫婦の関係というのは、親子とちがいます。親子は血が繋がっていてもともと絆があるけれど、奥さんはそもそも他人。他人だからこそ、いつもいい関係でいる努力が大事です。
 もしも地球が滅亡する時に、ノアの方舟にひとりだけ乗せられるとなったら、ぼくは奥さんと行きたいなって思います。


−−!! あの……どうやったらそういう風に言ってもらえるか、教えてください!

安藤さん い、いや、ぼくだってまだ面と向かって言ったわけではないですけど(笑)。でも世の中のパパはみんなそう思ってるんじゃない?


−−その愛する家族と奥様のために、安藤さんは職住接近を実践され、上のお子さんたちの時も送り迎えされたり、毎日、絵本の読み聞かせをされていたんですね。

安藤さん ええ、職場(書店)を自宅のそばに作りました。おかげで年間、毎朝、保育園に行けたし、職住接近だと時間的に余裕ができるから忙しい毎日でもフレキシブルに対応できました。また娘に絵本を読むのは、ぼくの楽しい日課。それを楽しみたいがために、やるべき仕事は早く終わらせて帰っていたわけですが、子育てピーク時(3歳&0歳の頃)はやっぱりたいへんでした。子どもを寝かしつけてから会社に帰ったり。でも子育てのために楽しい仕事をあきらめることも、逆に仕事があるから楽しい子育てをがまんすることも、どちらの考えもぼくの中にはなかった。どっちも楽しいなら、どっちも楽しめばいいと思ってやってました。身体的にはかなりしんどかったですが(笑)。
 それは、今も同じです。NPOの仕事以外に、会社の役員、小学校のPTA会長もやっているし、絵本の読み聞かせボランティアもおもしろい。体はひとつだし1日24時間しかないけれど、そこは自分の時間をうまく編集して楽しんでます。楽しみをあきらめるということは、したくないんですよ。


−−それでも、よほどパワフルでないとできないのではありませんか? そのエネルギーはどこから?

安藤さん うーん。エネルギー源はやっぱり家族かな。でもエンジンは自分の中の好奇心や、物好きな性格かな(笑)。あとは「ロックスピリット」。人を揺さぶる、つまりロックできることに出会うと、やらないと気が済まないんだよね。
 たとえば、今月は小学校の卒業式があります。PTA会長なので挨拶するんですが、そこで何をやろうかなと考えるとき「フツーじゃ嫌だな」と。弾き語りで歌おうと思ってます。PTA会長の挨拶なんて、ぼくもそうだったけど普通はすぐ忘れちまう。だったらギター担いで登場して歌ったら、誰しも想い出深い卒業式になるんじゃないかなと思ってね(笑)。


−−本に書かれている学校との関わり方もおもしろいですね。パパはPTAなんて関係ないと思っている人が多そうですが。

安藤さん PTA会長に推薦された時は「これまでのことはよく知らないけど、予定調和的なことは嫌いだから、いろいろ新しいこともやっちゃうよ」って言ったんです。それでもいいって言うから引き受けたけど、すぐに『PTA改造講座』(小田桐誠著)や、『レモンさんのPTA爆談』(山本シュウ著) なんていう本を読み、学校でどうロックできるかと楽しみでしょうがなかったですね。PTAって揺さぶりがいがあるなーって(笑)。
 PTA主催でいろいろ仕掛けるのは、会社で新規事業を立ち上げるのと同じ。たくさんの人をどうやって巻き込んでいくかということだから。一部保護者には、PTA活動に参加することを面倒だと思っている人もいますが、損得じゃないし、なにより、やったほうが絶対おもしろい。そのことにお父さんたちも気づいてほしいですね。


−−そういう場所にビジネス経験があるパパが参加するというのも、刺激的ですね。学校の校庭もそうですが、パパが入ってくることでどんなことが変わりますか?

安藤さん 学校の行事にパパがいるだけで、単純に子どもたちが喜びますね。お父さんがPTAに積極的に参加しているところの子どもはやはり活発ですよ。お父さん自身も、義務と思わないで楽しめばいい。子どもとの新しいコミュニケーションを築くこともできるし、仕事で得た能力だって活かせるんです。学校はおもしろいですよ。ぼくは昔のハラッパで遊んでいるような感覚ですね。お父さんたちも昔はみんな、のび太やスネオや、ジャイアンだったわけだしね。


安藤哲也さん−−それこそまさに、安藤さんが代表されているNPO法人ファザーリング・ジャパン(以下FJ)の活動と重なりますね。FJでは具体的にどういった活動をされているのですか?

安藤さん ファザーリングというのは「父親であることを楽しもう」というコンセプトです。そんな笑っているパパを増やすべく、セミナーを開催したり、「パパ検定」などさまざまな事業を展開しています。
 セミナーのテーマは、「父親のワーク・ライフ・バランス」「男の育児休業」「パパの地域活動参加」「奥さんとのパートナーシップ」などですね。でも理論だけ学んでもダメで、仕事を切り上げて早く帰ってなにをするかという目的を持たせるべく、各種ワークショップも考えています。
例えば、料理に関心のあるパパには、「お父さんのためのお弁当講座」ですね。弁当箱を子どもが空にして帰ってくると、それってものすごい快感。まるで、難攻不落のクライアントを落としたくらいの喜びがあるんです(笑)。それにハマれば、また違うメニューで子どもにお弁当を作ってあげようと思うでしょう? 朝ごはんでもいいですね。「パパが作る朝ごはん」っていいと思いません? それを楽しみにしている家族がいれば、父親だって「スーパーの開いてる時間に帰ろう」と思うんですよ。そうすると、今日は何時までに仕事を終わらせようって、業務効率も上がっていくんです(笑)。


−−会社も家庭も一気に円満ですね!

安藤さん いまの日本の会社組織だと、そんなに簡単ではないでしょうけどね。でも人生を長い時間軸で見れば、子育てしてる時間なんて短いものです。その貴重な時間を子どもと共有しない手はないと思いますよ。あとで「やっておけばよかった」と思っても取り返せないんだから。
日本の男性は古い性別役割に捉われて、子育てなど家庭生活に重点を置きすぎるとキャリアに傷がつくなんて思っちゃうのかもしれないけど、実は違います。メインストリートからちょっと横道に入ってみるといろんなことに気づくんです。その寄り道こそが、「パパ力」を鍛えてくれるし、人としても成長して、笑っているパパになれるんじゃないかな。
それに今後、子育てをやる男とやらない男の二極化はますます進み、子育てしない男は間違いなくモテなくなるし、老後、奥さんに見放される可能性はますます高まりますね。

 この前、仕事を終えて夜帰宅したら、小学生の娘と息子が赤ちゃんに、絵本を読んであげてたんです。あの姿には、ちょっと感動しました。ああ……こうやって父親としての想いは繋がっていくんだな。10年間ずっと子どもに絵本を読んできたことがこういう形で実を結ぶんだって……。
 たぶん息子が将来パパになった時、自分の子どもに絵本を読むでしょう。娘は結婚相手に絵本を読まない男はきっと選ばない。だって「絵本を読むのはパパの仕事だ」って信じてるから。そうやって歴史は変わっていくんですよね(笑)。


−−世界中のお父さんが、みんなステキなパパになりますように。今日はありがとうございました。

(インタビュー 波多野絵理)

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