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お堅いイメージの自衛隊を舞台に繰り広げられる恋愛模様“ベタ甘”ラブ×ミリタリー最強の一冊!『図書館戦争』で話題の有川浩さんの新刊『ラブコメ今昔』

フジテレビのアニメ『図書館戦争』の原作で注目される有川浩さんの新刊『ラブコメ今昔』。舞台はたいていの人がニュースなどでしか見たことのない自衛隊。そこで働く男女の恋愛模様を素敵に描きます。しかも、そこに登場する男性たちは、みんな真面目でどこか可愛げがあり、そしてとってもまっすぐで……。くすっと笑えて、じわっと胸キュンな物語が5本も詰まっています!


有川浩さんの本


自衛隊員だって胸キュンの恋もする!
『ラブコメ今昔』
『ラブコメ今昔』
1,470円(税込)

図書館シリーズ注目の最新作!
『別冊図書館戦争2』
『別冊図書館戦争2』
1,470円(税込)
本を守る6名の戦士!フジテレビでアニメ化!
『図書館戦争』
『図書館戦争』
1,680円(税込)

図書館シリーズはこちらから

人数あわせのために合コンに呼ばれた聡子…
『クジラの彼』
『クジラの彼』
1,470円(税込)

ネットで知り合った男女の瑞々しい恋愛小説
『レインツリーの国』
『レインツリーの国』
1,260円(税込)

もし明日世界が滅ぶとしたらどうしますか?
『塩の街』
『塩の街』
1,680円(税込)
横須賀を突如襲った巨大甲殻類!
『海の底』
『海の底』
1,680円(税込)

わずか8駅の阪急今津線で起こる人間模様
『阪急電車』
『阪急電車』
1,470円(税込)

今もっとも旬な7人の書き手がおくるベスト・トラック集
『Sweet blue age』
『Sweet blue age』
1,470円(税込)


有川浩さんお勧めのCD


『changes』
『changes』
Base Ball Bear
1,000円(税込)

『Base Ball Bear』のCDはこちらから

『Turn of my life』
『Turn of my life』
3,000円(税込)

鈴木達央さんのCDはこちらから

アニメ『図書館戦争』でエンディングの『changes』を歌ってもらった縁で一気に『Base Ball Bear』にはまり、出ている限りのCDを大人買いしてヘビーローテーション中です。ライブも行かせて頂きました。また、『図書館戦争』手塚役の鈴木達央さんがご自分のCD(『Break a cage』『Turn of my life』)をくれまして、これもローテーションの中に入っています。



プロフィール


有川浩さん (ありかわ・ひろ)
高知県生まれ。2004年第10回電撃ゲーム小説大賞『塩の街』でデビュー。2作目の『空の中』が恩田陸・大森望氏はじめ、読書界諸氏より絶賛を浴び、『図書館戦争』で大ブレイク。同書は「本の雑誌」が選ぶ06年上半期エンターテインメント第1位を獲得。本屋大賞にもランクインした。他著書に『海の底』『レインツリーの国』『阪急電車』などがある。

インタビュー


−−“ベタ甘”と形容される、甘く楽しい恋愛物語を書いたら最強の有川さん。ファン待望の新刊『ラブコメ今昔』には、「こんな状況でこんなセリフを言われたら…」とポーッとしてしまいそうな、キュートなラブコメが5本も。この5本は、ある意味、女性にとって理想の恋愛ですね。ステキな『レンアイ』にはステキな男性が不可欠ですが、この本にもそれぞれの作品に魅力的な男性が登場します。作品紹介をかねて、有川さんから見たそれぞれの男性の魅力を教えてください。


『軍事とオタクと彼』―――――――――――――
‐Story‐
新幹線の中で年下のいい男に出会った歌穂。自衛隊員として海外派遣に行ってしまう彼は、実はオタク……。
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−−主人公の歌穂が振り回される様子がメチャかわいいお話ですが、その彼氏である光隆クンがまたキュートですね。オタクな彼もいいなとおもわせられる一編です。

有川さん オタクという属性はマスコミに面白おかしく加工されて、マイナスイメージが誇張されているきらいがあると思っています。でも私が知ってる「オタク」の人は決してそんな人ばかりじゃなく、むしろかっこよかったり素敵なところがたくさんあるし、きちんと常識をわきまえておられる方のほうが多い。だからマスコミの面白おかしく「オタク」をあげつらう傾向には反発を感じていて。自分と重ならない層だから安心して見下してるんじゃないかと制作側に対して穿ってしまいますね。
 例えば「オタク」を知らない人が「引く」絵ヅラばかりクローズアップする。ちょっとどうよ、という人がいるのも確かでしょうが、それがスタンダードだと思われるような加工をされても困る。非常識なオタクに一番迷惑してるのは善良なオタクでしょうよ、と。非常識な人が一定の割合でいるのはどんな分野でも変わらないし、それを平均値だと思われるとその分野の人が一番迷惑なことも変わらない。
 だから歌穂の弟が言うところの「世間を意識してる系のオタク」をクローズアップしたかった、という意識はありましたね。
 あと、自衛官の方にも色んな分野でオタクはけっこうおられて、そのプライベートでのギャップがかわいいなというのは常々思っていたのでこの機会に(笑)


『青い衝撃』――――――――――――――――
‐Story‐
ブルーインパルスという航空ショーの花形パイロットの妻、公恵も元自衛官。モテモテの夫をストーキングする女性から挑発的なメッセージを受け取った公恵は…?
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−−ブルーインパルスのパイロットってこんなにもモテモテなんだ……というのがまず驚きでした。公恵の、相手への反撃も見事。不安になる様子もたくさんの人の共感をよぶのではないでしょうか。

有川さん あとがきでも書いてありますが、ブルーインパルスに関してはちょっとフィクションとしての誇張が入っています。さすがに女性ファンはそこまで多くない。でも航空祭には皆さんの想像よりも女性客が多いと思います。
 個人的に結婚して幸せになる秘訣は、油断しないことだと思っています。夫婦というものは一番何でもさらけ出せるリラックスした関係だと思いますが、信頼を下地にしたリラックスと油断は似て非なるものです。油断は「その幸せな状態が無条件に続く」と思い込むことではないかと。その幸せは本来の意味で「有り難い」ことなのだとお互い忘れないことが大切なのだと思います。出会ったことも結婚に至ったことも平穏に暮らしていることも全てが奇跡のようなものです。それを忘れた瞬間、油断は始まると思います。
 公恵は油断していない人だと思いますが、だとすれば「油断していたんじゃないか」と不安になるような要素が現れたらどうなるだろう? というような感じで後ろ襟の女が物語に現れたんじゃないでしょうかね。
 紘司はステキな旦那というより、天然で「リラックス」と「油断」の違いを知っているだけ、という感じがします。そして公恵に天然で色んなものを預け切っているんでしょうね。


『ラブコメ今昔』――――――――――――――
‐Story‐
オジサン世代の習志野空挺部隊二等陸佐・今村和久氏。鬼の上官と言われる彼が、新任の広報部員・千尋から、お見合いで結婚した奧様との馴れ初めをむりやり取材されて…。
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−−年上好きとしては個人的に、たいへん萌えました。父世代の今村氏ですが、日本の男性が過去に持っていたさまざまな魅力が凝縮しているように思います。ただ、男らしい今村氏と、それに尽くす奧様の様子は、最近の若い世代には「ありえなーい」と言われてしまいそうですね。

有川さん 自衛隊という括りがあるシリーズなので、職業以外のバリエーションが必要だろうなというのは漠然と考えておりまして。だとしたら、まだ年配幹部クラスの方は書いてなかったよなぁ、というような感じです。
 個人的に男と女は性別が違う以上、適性も違うと思います。「男らしい」「女らしい」といった表現を男女差別のように捉える方がいらっしゃいますが、私にはその感覚は分からない。本来違うイキモノである男と女を全く同じに扱うこと自体に無理があると思っているので。男女差を認識したうえで、あとはそこに個性が載るだけです。男らしい男がいて、女らしい女がいて、濃やかな男がいて、男前な女がいて、それらの何が悪い。と思います。
 今村はそうした意味で「男らしさ」に自分で拘っているような気がしますね。でも男らしい男でもタジタジするし弱気になる。それは周りから見ると魅力なんですが、本人にはみっともないとしか思えなくてジタバタする。そのギャップが今村の隠し味なのかな、と。どんな人でもそうですが、ギャップが一匙入っていないとその人の魅力は引き立たないものだと思います。


『広報官、走る!』―――――――――――――
‐Story‐
映画やテレビドラマに自衛隊が出演協力することがある。テレビ局からの撮影要請を担当した広報官の政屋は現場の大混乱を美人ディレクターと二人三脚で乗り切ることに…。
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−−しばらく前にヒットしたあの映画に自衛隊が協力した時の様子がモデルかな?と思いました。スマートに気配りする政屋氏に、日常、イヤな上司に無理難題をふっかけられてる女性は拍手喝采ですね。

有川さん 撮影が複数同時進行した、という以外に参考にしたところはないんですが……とにかく広報がてんやわんやになるとしたらそういう状況だろうな、という感じで。むしろ実際に参考にしたのは領海侵犯事件のほうですね。当時の広報官の方に領海侵犯した潜水艦を空から追跡した人がいたので、心境などを綿密に伺えました。
 広報への取材のきっかけというのは必然と申し上げるほかないです。防衛省に取材を申し込むとまず出てくるのは広報なので。そして私が海幕広報にお邪魔したときは非常に個性的な広報室長がおられて、フランクにお話ししてくださったんですね。政屋のモデルになった人を掴まえて「女たらしです」と連発していたのもこの人。私と『ファントム無頼』の話で盛り上がってくれた三佐が海幕広報におられたのもこの代でしたね。
 そういう意味で、非常に型破りな面白い代の広報室にお邪魔できたと思っています(もちろん今でもよくしていただいていますが)。何しろ広報室長自らが「うちが協力した本です」と『萌える自衛隊』(タイトルうろ覚えですが)とかの本を出してくる。「いやー、擬人化で萌えてるようじゃまだまだですよ」と私が申し上げると「あー、オレ分かんねえんだよな、そういう機械萌えって」と返されました。「萌え」という言葉を正確に使いこなしている年配男性、しかも自衛官幹部は初めて見ました。


『秘め事』―――――――――――――――――
‐Story‐
よりによって上官の愛娘と恋に落ちてしまった岳彦。カミングアウトのタイミングをどんどん失っていった二人の付き合いはすでに2年。二人の間に徐々に隙間が空き始め…。
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−−終わりの男同士の拳のシーンに、イマドキの日本ではこういうのってなさそうだけど、こんな状況になったら、女性としてはほんとにたまりませんね。人柄もおだやかで、真摯な彼ですが、男らしさを見せてくれるあたりに、感動します。

有川さん 途中までちょっと不甲斐なかったのでモデルにさせていただいた方には申し訳なかったかな、と。でも不甲斐なさを挽回できるのも「男らしさ」の条件の一つだと思います。不甲斐ない瞬間が少しもない男性なんているわけない。それは女についても同様で。私は完全な人より何らかの意味で不完全な人のほうが好きです。完全な人間なんているわけなくて、現実にいるのは不完全な自分だけど日和るまいと誠実にあがく人々です。自衛官に限らず私はそういう人たちがとても好きですし、尊敬します。


『ダンディ・ライオン〜またはラブコメ今昔イマドキ編』――
‐Story‐
『ラブコメ今昔』で上司を追いかけ取材する元気な千尋も、自分の恋のお相手・吉敷には手こずってしまう…。
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−−有川さんが書かれる女性は、元気で頭が良くてカワイイ……という印象がありますが、この千尋はまさに典型的。また、この作品は書き下ろしなんですね。ほかの作品は『野性時代』での不定期連載を収録されたものですが、これを書き下ろされた経緯は?

有川さん 『ラブコメ今昔』なので、『イマドキ』担当の二人の話がないのは落ち着かないな、と。それから、連載が単行本になったり文庫落ちしたりするときは、できるだけ何かオマケをつけたいと思ってるんです。雑誌と単行本と両方買ってくれたり、単行本と文庫と両方買ってくれたりする読者さんがやっぱりいらっしゃるので。そういう方にお礼の意味で小さく何か付け足せたらな、と。
 書いてみると吉敷は非常に屈折したキャラクターでしたね。そして臆病でもある。自分の前に現れるはずがなかった女性がいきなり現れて、パニックを起こして突っ放してしまう。実は欲しかったと気づくのはやらかしちゃった後なんです。書きながら「ここまでこじれさせてどうすんだろ、こいつ」と思ってました。千尋を逃がしてたら独り者の道をまっしぐらだったような気がします。


−−こんな具合に、ステキな彼がたくさん登場しますが、女性たちもかわいくて賢い魅力的な女の子ばかりです。有川さんに似ているのはどの子でしょうか。

有川さん 私に似ている人、というのは特にいません。考え方や感性の一部が似ている人なら男女問わずいるかもしれません。私は書き手=彼らを観察する透明なカメラであると同時に、彼らのデータベースでもあるので。キャラクターが「あ、これは自分に似合う」「これは自分がもらう」と私の記憶の中から思考やコトバをつまんでいくことはあります。


−−ステキな『ラブコメ』が詰まっていますが、“ベタ甘”といわれる有川さんの恋愛物語は、女性の理想のひとつだと思います。有川さんにとってのラブコメの定義を教えてください。

有川さん 恋愛というものはどこか滑稽なものだと思います。例えばどんなすごい大失恋をしても、いつか涙は止まるし思考に余計なものも混じってくる。おなかも空くしトイレにも行く。学校や会社にも行かなきゃいけない。生理的にも生活的にも、恋愛は即物的な問題と両立せざるを得ませんよね。
 そういう滑稽さにフタをしないのが私にとっての『ラブコメ』です。すこーしフタをしたり、シリアス成分が増したら『ラブロマ』。微妙に違うんです。両方ひっくるめて私は『レンアイ』と表記することが多いですけど。


−−自衛隊の男性が主人公で、巻末にも取材されて題材とされたお話を書かれていますが、通常、有川さんはどのように取材されているのですか。自衛隊にもさまざまな舞台やテーマがあると思いますが、題材はどのように選んでいらっしゃるのでしょうか。

有川さん 資料を当たったり、実際に自衛隊施設に出かけたり、そのときどきで違います。
 資料を眺めるにしても、人に話を聞くにしても、物語になるときは「透明なカメラ」が起動しはじめますね。あとはライブで勝手に最後まで走ります。
 一番苦労するのはキャラクターの名前です。名前が決まらないと書きはじめられないので。


−−自衛隊のラブコメということでは前作『クジラの彼』のシリーズがあります。前作との読み所のちがいや、『クジラの彼』のアピールなどがあれば、ぜひ。

有川さん この辺自分で語るのは苦手なので担当さんにバトンタッチ。よろしくお願いします。
編集担当:ひたむきでかわいい大人たちが、大切な何かを誠実に守りながらも恋に邁進するのが、有川ラブコメの醍醐味だと思います。『クジラの彼』もそこのところは全力・全開でしたが、今回『ラブコメ今昔』は描かれている恋のありかたも、登場するひとたちの魅力も、さらに多彩になっています。例えば、怖い上司のン十年前の純情模様がこんなにも胸キュンなんて、誰が思うでしょう。……自分のことみたいに共感できる、あるいは「こうなれたらいいな」と素直に思える恋が、必ずどこかに(もしかしたら全部?)見つかるはずです。


−−最後に、今後の執筆テーマや、読者へのメッセージなどがありましたら、お願いいたします。

有川さん 楽しんで頂けますように。それ以外願うことは何もありません。








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