楽天ブックス:浅田次郎さん、中国が舞台の名作『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』の取材で旅した中国を描く、作家視点の中国案内本
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執筆取材で巡った中国を描く『浅田次郎とめぐる中国の旅』清朝シリーズ最新作へ「中国の旅」 変わる「都市のかたち」
執筆取材で巡った中国を描く『浅田次郎とめぐる中国の旅』清朝シリーズ最新作へ「中国の旅」 変わる「都市のかたち」
中国・清朝末期を舞台にしたシリーズ小説『蒼穹の昴』や『珍妃の井戸』、『中原の虹』(講談社)で、苦難の中国近代史とそこに生きた人々を描く浅田次郎さん。今月、取材の様子を元にしたガイド本『浅田次郎とめぐる中国の旅』(講談社)が刊行され、来年には張作霖爆殺にまつわるシリーズ最新作の執筆も予定されている。浅田さんに話を聞いた。


浅田次郎さんの本

『浅田次郎とめぐる中国の旅』

『浅田次郎とめぐる中国の旅』
1,575円(税込)


『地下鉄に乗って〜特別版〜』
『地下鉄に乗って〜特別版〜』
1,680円(税込)

『鉄道員(ぽっぽや)』
『鉄道員(ぽっぽや)』
1,575円(税込)

『壬生義士伝』
『壬生義士伝』
1,600円(税込)

『蒼穹の昴』
『蒼穹の昴』
1,890円(税込)

『中原の虹(全4巻セット)』
『中原の虹(全4巻セット)』
6,720円(税込)


浅田次郎さん原作の映画化作品

【DVD】『壬生義士伝』
【DVD】『壬生義士伝』
(出演:中井貴一・佐藤浩市)
4,441円(税込)

【DVD】『シェエラザード 海底に眠る永遠の愛』
【DVD】『シェエラザード 海底に眠る永遠の愛』
(出演:反町隆史・長谷川京子)
6,426円(税込)

【DVD】『憑神 特別限定版』
【DVD】『憑神 特別限定版』
(出演:妻夫木聡・香川照之)
5,481円(税込)

【DVD】『地下鉄(メトロ)に乗って THXプレミアム・エディション』
【DVD】『地下鉄(メトロ)に乗って THXプレミアム・エディション』
(出演:堤真一・常盤貴子)
5,386円(税込)

【DVD】『鉄道員(ぽっぽや)』
【DVD】『鉄道員(ぽっぽや)』
(出演:高倉健・大竹しのぶ)
4,536円(税込)

【DVD】『オリヲン座からの招待状』
【DVD】『オリヲン座からの招待状』
(出演:宮沢りえ)
4,441円(税込)


プロフィール

浅田次郎さん (あさだ じろう)
1951年、東京都出身。95年『地下鉄に乗って』(講談社)で吉川英治文学新人賞、97年 『鉄道員』(集英社)で直木賞、 00年『壬生義士伝』(文藝春秋)で柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』(中央公論新社)で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』(講談社)で吉川英治文学賞を、それぞれ受賞。ほかに『シェエラザード』(講談社)『天切り松 闇がたり』シリーズ(集英社)『プリズンホテル』シリーズ(集英社)などがある。

インタビュー

浅田次郎さん−−清朝末期を舞台に選んだ理由は。

浅田さん 中国は日本の明治維新より約50年遅れて近代化の道を歩み始めますが、すんなりといきませんでした。動乱の時期が長く、スケールも大きい。昔からこの時代に興味があり、小説にしたいと考えていました。


 −−近代史を小説にする難しさは。

浅田さん 例えば「項羽と劉邦」の時代は、資料は残っていないが歴史として確定していて、これ以上は解釈のしようがありません。ところが清朝末期は現政権まで連続性があり、現政権から見た解釈は行われても、客観的な歴史としては確定していません。そういう意味で、とてもやっかいです。


−−確定していないという意味では、登場人物たちも個性豊かです。

浅田さん 歴史に善と悪はないはずです。結果的に成功と失敗はあります。けれど西太后にしても袁世凱にしても、一つの政権をとって国を動かしたのだから、善悪以前に偉大な人間だったことは間違いないでしょう。そう客観的に考えると、例えば私たちが考えている西太后像というのは西洋史観にもとづいた「悪女」です。アヘン戦争で滅びるはずだった政権を40年も50年も保たせたのだから、実際の彼女は、偉大な外交家であり偉大な政治家です。そこを考えて、私は私自身の人物像を考えました。


浅田次郎さん−−日本人が中国近代史を描くということについて。

浅田さん 私が書くときの基本は、私たちが学んでいる歴史は西洋史観にもとづいているということです。明治維新というのは、日本人が西洋に同化するための意識変革でした。以来、私たちが見てきた歴史は西洋史観というレンズを通した歴史です。日本人の中国観も、決して日本的な見方ではありません。西洋列強と同じ目です。文化的な親密度・地理的な近接感から考えても、これでは矛盾を引き起こします。日本と中国の悲劇の始まりです。だから私は、そういう立場で、西洋史観にとらわれない「本当はどうだったのだろう」というものの考え方で、小説を書いています。


−−シリーズには、母国と中国とのはざまで揺れる登場人物たちも描かれています。

浅田さん トーマス・バートンや岡圭之介、あるいはカスティリオーネといった、中国で長く暮らしている外国人たちは、中国を理解している人たちです。そういう意味で、彼らを時代の良心として登場させました。ある利欲のために中国に来させられたけれど「正義とは何か」と考えた人たちです。だからトーマス・バートンは、あるシーンで「ジャーナリストに必要なのはジャスティスとコモンセンス」と語ります。「それ以外は何もいらない」と。それは彼が長い間、過酷な現場でジャーナリストとして得た結論、すなわち人間としての結論だと思います。


−−中国の近代化が遅れた理由をどこに見ますか。

浅田さん 規模の違いです。我々が幸せだったのは、この国のサイズです。小さいところに多くの人が住んでいるから教育がしやすい。本当は明治維新の際、このことに気がつく必要がありました。軍事大国でなければ一流国ではないという考えが領土拡大政策をもたらし、結果、一番の利点を放棄してしまいました。その点、中国は最初からサイズが大きく、時間がかかります。実はまだ、その決着はついていないのかもしれません。共産主義が現実的に敗北し、それでも共産党一党独裁の下で自由化政策をとっているのが今日です。しかし自由化するということは共産主義を放棄するということで、共産党一党独裁とは矛盾します。だからまだ、決着したとは言い難いですね。


浅田次郎さん−−近年の中国の変貌をどう思いますか。

浅田さん もう10年、取材で通い続けているのですが、行くたびに「こんなに変っていいものか」というくらい、どんどん変わっていきました。例えば北京の「都市のかたち」はずいぶん失われ、胡同(フートン)と呼ばれる古くからの細い路地も今や郊外でしか見られなくなってしまいました。明治維新以降、西洋化を推し進めて、古いもの、日本的なものを大切にしなかった日本人はあまり強く言えませんが、東京オリンピックのときがそうであったように、経済的な繁栄の裏側に犠牲があるということに、気づく必要があると思います。


−−読者に一言お願いします。

浅田さん パソコン・携帯もいいですけれど、やはり活字で本を読みましょう。教養は活字からしか吸収できません。パソコン・携帯からも、多少の教養というのは得られるでしょうが、実際は栄養補助飲料を飲むようなものです。だから、その程度のもの(教養)で乗り切ろうとすると、大変なことになります。今、日本の社会は、そういう岐路に立たされていると私は思います。













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