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240万部の大ベストセラー『女性の品格』の著者・坂東眞理子さんが迷える親に贈る、世代を超えた『親の品格』母親だけでなく父親もぜひ読みたい一冊!

坂東眞理子さん
 女性の資質を問いかけた大ベストセラー『女性の品格』の著者が、少子化、核家族化、共働きでむずかしくなった現代の迷える親に贈る『親の品格』。小さい子を持つ若い親には子育ての指針となり、大人になった子供とのつきあい方を模索する熟年世代の悩みに、66の例をあげて具体的に語っています。著者の坂東眞理子さんにお話を伺いました。


坂東眞理子さんの本


『親の品格』
『親の品格』
756円(税込)

『女性の品格』
『女性の品格』
756円(税込)
240万部の大ベストセラー!

『子どもがいたら、どうなるの?』
『子どもがいたら、どうなるの?』
1,470円(税込)


プロフィール


坂東眞理子さん (ばんどう・まりこ)
1946年富山県生まれ。東京大学卒業。69年総理府入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事等を経て、98年女性初の総領事(オーストラリア・ブリスベン)。2001年内閣府初代男女共同参画局長。04年昭和女子大学女性文化研究所長および昭和女子大学大学院生活機構研究科生活機構学専攻教授就任。07年、昭和女子大学学長に就任。

インタビュー


−−ベストセラーとなった『女性の品格』に続いて、親としてのあり方を問いかける『親の品格』という本を出版されましたね。


坂東さん これまでにもたくさんの本をだしてきましたが、この本の出版は、私の二人の娘たちには反対されたんですよ。「製造責任をとっているのかしら」と言われたんですけどね(笑)。自分の子供のことはさておき、この本には、「親はこういうことを考えて子供を育てて欲しい」という願いをたくさん込めて書きました。

 とくにお母さんたちは、もっと自信をもって子育てをして欲しいと思います。この本に書いたようなことは身につけておかないといけないよと、はっきり言ってください。押し付けるよりも個性を伸ばしたほうが良いのではないかとか、この方法で良いのだろうかとか、迷いは多いと思うのですが、必要最低限のことをきちんと身につけておくことが、その子にとっての財産になるのです。そういうメッセージを込めた本ですね。


坂東眞理子さん−−たしかに、社会人としても大切なことがたくさん書かれていますね。

坂東さん これから送りだされていく社会の中で、子供たちが、強く生きていけるように育てることが大切なんです。いくら子供を愛しているからといっても、子供のかわりに受験したら替え玉受験になるわけですし、幸せな結婚をしてもらいたいと願っていても、代わりにデートするわけにはいかないでしょう? その子自身が、力を持てるように育てないと、社会にでてやっていけなくなるわけですから。
 

−−おっしゃるとおりですね。ですが、今の時代に、親として、書かれていることを実践しようと思うと……。

坂東さん 親自身も、かなり強くないとね。というのも現代は、さまざまな雑音が多すぎるし、迷いもプレッシャーも強いのではないかと思います。ひとりで背負いすぎないで、父母が協力してください。この本の中には、父親に対するメッセージも書いてあるんですよ。
 『親の品格』と聞くと、どうしても「母親に読んでもらいたい」という反応が多かったのですが、父親も親なのですから。それをもっとみんなに認識してもらいたいというのも、この本の大きなメッセージのひとつです。


−−お父さん方にも、ぜひ読んでほしいですね。父親に対するメッセージをいくつかご紹介いただけますか?

坂東さん 子育てを分担するのも良いことですが、どうしても時間の都合でできない時に、感謝や労いのメッセージを、自分のパートナーや奥さんに発することです。「ありがとう。よくやってくれてるね」「たいへんだね、手伝えなくてごめんね」。そういうメッセージがあるかないかで、妻の子育ての負担はかなりちがうんですよ。
 多くの父親は、女性には生まれつき母性本能があって、子供を育てるだけで幸せだと思いこんでいますね。自分たちがなにも手伝わなくても、母子は幸せと誤解しているのよね……。


−−それは、先生にはっきりと書いていただけて、本当によかったです。

坂東さん もうひとつは、広いものの見方を伝えるということ。必ず一心同体で、父母が同じことを言うという必要はありません。父親は父親の視点で、長期的なアドバイスをすべきなんですよ。たとえば母親はどうしても、小学受験や中学受験で人生が決まってしまうみたいに、のめり込みますが、おそらく社会にでたら、学歴なんてone of them(ワンオブゼム)。ひとつのアイテムにしかすぎません。いい学歴を持っているより、コミュニケーションが上手な人の方が成功することが、しばしばあるのですから。

 ちがう立場からのアドバイスや視点を子育てに持ち込む役目は大きいと思います。


坂東眞理子さん−−そういう意味では、今の時代の親は、子供から大人になりきれていない感覚の人もたくさんいるように思いますが。

坂東さん 子育てによって親も成長しますが、子供が小さい時には、親は大人として、前の世代の知恵をしっかり伝えていかないといけませんね。

 もうひとつ書きたかったのが、いままでの子育て本ではほとんど書かれてこなかったことです。これまでの子育て本は、著者が児童心理の方だったり、小児科医だったように、未熟な子供を育てるという視点が強かったんですね。ところが、高齢化社会とはなった現在、大人となった子供と、どうつきあうかということも、親にとってはすごく大きな要素なんです。
 昔のように三世代同居なんてしないのが当たり前ですが、離れていてもコミュニケーションはしなければいけません。子供時代には親がおしみなくプレゼントしてくれたように、子供が社会的にも経済的にも自立したら、今度は親にプレゼントするべきなんです。そういった配慮が少なすぎるのではないかと思うのです。親から子へ向うパイプはとても太いのに、子から親へ向うのは、本当に少ない。これはきっと、戦前に親孝行を強制しすぎた反動かもしれないけれども、そんなことを言っても、ほかの誰よりも、一番愛して世話をしてくれたのは親なんですよね。それに対する感謝を、きちんと表さないといけません。


−−本の最後には「遺言の品格」まで書かれていて、幅広い年代の「親」が読める本なんですね。

坂東さん 親子の関係というのは長く続くものです。とくに遺言については、日本の社会では、長男の一括相続から、子供すべてが平等に相続できるようにかわってきましたが、そうは言っても、本来、建前として平等でも、とても親切にしてくれた子と、そうでもない場合、差をあってもいいのかもしれません。尽くしてくれた子には、感謝の気持ちを多めに表すとか、そういった差を、自分でつけるというのは必要なことなのではないかと思うんですね。


−−その差は、あってしかるべきですね。

坂東さん 子供だからみな同じでいいか、単純には割り切れないものですよ。それに対しても、自分で判断・配慮するということが、「親の品格」としても、自分の人生観の反映としても大事なのではないかと思うんですよ。


−−そういうことまで含めて考えると、『親の品格』となっていても、もっと幅広く人間としての生活プランや人生設計まで考えさせられる本なのですね。

坂東さん 子供に依存して、将来、養ってもらおうなど考えている人はそんなにいないでしょうが、心情的には割り切れていないのではないかと思います。養われることを期待しているわけではなくても、子供というのは特別な相手で、子供の成功や不成功が、親の成功・不成功にまでつながってくるような意識ですね。そこにとらわれていては、親子どちらのためにもなりません。

 さらに人間には、血はつながっていなくても、社会的DNAというか、自分の仕事の後輩や、苦労をともにした仲間、自分のことをよく知ってくれている若い人などに、自分の経験や、人生観を伝える、社会的な親という役割もあるのですから……。


−−社会的な親という概念は、日本ではなかったものですか。

坂東さん なかったですね。そういうことも含めて、親というのは「次の世代を育てる存在」という広い意味で使いたいです。私たち全員が、生物的な子供がいる、いないに関わらず、若い世代に対して、親たる気持ちで臨まなければいけないということなんですよ。


−−それこそ成熟した社会を作っていくために、必要なことですね。

坂東さん 女性たちは血を分けた子しか育てないと思われてきましたが、後輩や一緒に仕事をする仲間を育てることもできるんです。もちろん、学生も……。
 戦後、日本のお母さんたちは、自分の血をわけた子供だけに愛情を限定してしまったような気がします。戦前のお母さんたちのほうが、社会的な活動や役割をたくさんこなしていましたよね。今はお姑さんもいなければ、家督相続もなくなって、親類つきあいも減り、すごくひ弱な狭い家庭になってしまいました。そこで、ひ弱な子供が育ってしまっている。そこのところを、みなさんたちと、もう一度考えてみたいと思っています。


坂東眞理子さん−−大事な問題ですね。やはり学生や後継を育てるということは、昭和女子大学の学長になられたことで、いっそう感じることがあったのでしょうか?

坂東さん 感じますね。この人たちを一人前に育てて、世の中に送りださないといけないと責任重大です。 昔だったら、未熟な状態で卒業しても、会社が行儀作法からもう一回、鍛え直してくれました。しかし、最近の会社はそういうことはやってくれません。求められているのは即戦力ですから。

 大事なことが、家庭でも伝えられないし、企業も教えてくれなくなっている。そういった社会的なトレーニングを積むという部分でも、大学の役割は増してきていると思います。
 それこそ、「社会的な親」ですね。


−−ところで、今の時代に知っておきたい、子供とインターネットとのつきあい方も書かれていますね。ケータイの使い方など、親としても心配なことがたくさんでてきますが……。

坂東さん ケータイを子供にもたせるということは、友達とばかり会話して親と話さなくなるといったような直接的な問題だけではなく、ケータイを窓口として闇サイトなどのキケンな世界にはいっていくということがあります。そういったことを、親もしっかり認識しないないといけないと思いますよ。

 テレビにしろ、パソコンにしろ、一緒に見たりすることが大切ですね。個室にテレビは、ほんとうに良くないですよ……。
 もっと、子供とコミュニケーションをとりましょう。親は受験勉強をしていれば安心してしまうけれども、子と親の会話が受験のことだけ、なんていうさみしい話を聞いたこともあります。


−−そういったさまざまな意味からも、子育てに直面している親にとって、心の支えになる本だと思います。これらの内容を、どのようにして自分たちの生活に反映していけばよいでしょうか?

坂東さん 子供の成長の段階によっても異なりますが、子供が小さい頃には、書かれていることが、即使える、現実的なアドバイスとして役にたつと思います。小・中学校時代になって、社会的な活動もできるようになってきたら、とにかく子供にいろいろな経験をさせることだと思います。学校だけでなく、ガールスカウトやボーイスカウト、スポーツクラブでもいいと思います。勝敗にこだわらない団体競技やグループ活動がいいですね。
 ホームステイもたくましくなりますよ。海外まで行かせなくても、田舎に預けるとかね。親が子供を抱え込まない、子供も親の世話に頼れないような場を作ってあげることが大事ですね。どうしても、日本の親子は密着しがちですから。 さらに、親自身が社会的な視野をもつことも大切です。社会的な役割ですね。
 以前の女性は、どうしても母として親子セットで評価されてきました。女性を女性としてみないで、母親としてしか評価しないのはよくない。女性が個人として評価されることが大事だと、当時のフェミニズム運動などでは、強く主張していたのですが、そこが誤解されてしまったこともあるかもしれません。 女性は、母親の役割を持ちつつ、その役割に埋没しないで社会的な視野や役割も、両方ともに果たさなければならない。それが、きちんと伝わらなかったんですね。本来、その両方ともが同時に大切なことなんです。


−−母として、社会的な役割も担うということの大切さはよくわかります。しかし、両方・両立するのは、とってもたいへんなことですね……。

坂東さん もちろん、両方とも100点になろうとおもったら、どちらも無理がでてきますよ。わたしだって60点の親なんですから。

 ただ実の子には60点でも、社会的な親として60点とれたなら、両方あわせれば、120点でしょう? ひとつの役割を100点にするのはたいへんなことですが、ふたつあわせれば、実現可能ですよ!


−−迷える親に勇気がでる言葉を、ありがとうございました。この本を読んで自信をもって子育てしていきたいと思います。







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