楽天ブックス 著者インタビュー

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テレビ・映画に活躍しながら、エッセイ・絵本も書くマルチな癒し系女優・本上まなみさん。ついに、翻訳した絵本も出版され、子どもたちに読み聞かせをしているという。いったいどんな絵本で、どんな思いをこめて翻訳されたのだろう。そして本上さんのクリスマスおすすめ本は? 本上さんに、お話をうかがった。

めんどりヒルダ三部作

メリー・ウォーメル/本上まなみさん(訳)『めんどりヒルダ』
メリー・ウォーメル/本上まなみさん(訳)『めんどりヒルダ』
メリー・ウォーメル/本上まなみさん(訳)『めんどりヒルダのこわいよる』
メリー・ウォーメル/本上まなみさん(訳)『めんどりヒルダのこわいよる』
メリー・ウォーメル/本上まなみさん(訳)『めんどりヒルダのたんじょうび』
メリー・ウォーメル/本上まなみさん(訳)『めんどりヒルダのたんじょうび』
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プロフィール

本上まなみさんさん (ほんじょう・まなみ)
1975生まれ、東京都出身。牡牛座、B型。4歳から20年間を大阪で過ごす。現在ふたたび東京暮らし。趣味は読書、映画鑑賞、旅行、料理、写真、散歩、へもいもの(ちょっとダサイ、イケてない、たよりない雰囲気をかもしだしている、でも愛らしくにくめない様子、の意。)収集。雑誌連載やCMでも活躍。レギュラー番組 「トラベリックス〜世界体感旅行〜」ナレーター(BS日本)、「トップランナー」(NHK教育)。12月26日20時から放映される「宿命」(WOWOW)に出演。2005年1月4日、早朝7時からフジテレビ系で、「本上まなみのサハラ紀行(仮)」放映予定。
公式ホームページ「ほんじょのうさぎ島」 : http://www.honjomanami.com/

インタビュー

−−絵本『めんどりヒルダ』3部作を翻訳されたきっかけはどんなことだったのですか?
本上さん2年前の夏に出版社の編集の方から、心のこもったお手紙をいただきました。とくにそれまで、英語は得意です、というようなキャラでもなかったし、絵本について話したりする機会もそれほどなかったので、とっても不思議だったんですね。 

ですが、お手紙といっしょに絵本が送られてきて、『めんどりヒルダ』の絵を見たとたんに、自分の子どものころを思い出して懐かしくなりました。「うちで飼ってためんどりとおんなじだッ!」と思って。羽根が茶色っていうかオレンジ色ぽくて、そっくりなんです。うちのは「ピロ」っていうんですけど、これは運命かもしれないって、思っちゃいました。
編集者手紙にも書いたのですが、本上さんのファンでした!っていうのもあるんですけど(笑)、テレビや本で拝見して、絵本に興味があるということや、子どもが好きだというイメージがあったんです。それに、この原作者のメリー・ウォーメルさんの作品のイメージが、本上さんにピッタリだなって思っていたんです。

 ウォーメルさんの作品は、今回はじめて日本で紹介されるんですが、いまの日本の児童書・翻訳書の業界では、この作家だったら、あの翻訳者っていう具合に、決まった大御所に頼るばかり。新しい作家や翻訳家が育ちにくいんですね。それを打破したい気持ちもあって、固定観念のない方にお願いしたいと思っていたんです。本上さんには、快くお返事いただけて、「ピロ」のことまでは知りませんでしたが(笑)、チャレンジ精神もみせていただいて、ほんとうにうれしかったですね。いろいろキビシイことも言ってしまいましたが、こちらも全力でやらせていただきました。
−−なるほど、キビシイこともあったんですね。翻訳をされてみて、実際のところいかがでしたか?
本上さん本当に最初は手さぐりの状態でした。文章自体は絵本ですから、そんなにむずかしい単語を使っているわけではないんですが、原作者にお会いしたことがないので、どういう雰囲気で子どもたちに読まれているのかもわかりませんし、ヒルダに対する思いもわかりません。ヒルダが何歳ぐらいで、卵をどれだけ産んだことがあるのか、どんな経験をしてきた鶏なのか、まったくわからなくって、迷ったり、悩んだりすることがとっても多かったですね。

それで、1回訳をして、編集の方にこんな感じにしてみましたって提出をした時には、いろいろ、ほんとにいろいろ言われて……。

自分が飼っていた経験もあるし、楽しそうなほうがいいなぁって思って、たとえば「めんどりはトコトコ歩きました」という具合に「トコトコ」なんていうフレーズを勝手に足したりしていたんですね。自分で抱いていたイメージで、言葉をいれてしまったのですが、そうしたら、編集の人から「ヒルダがどんな風に歩くのか、それは子どもが自分で想像する部分なんですよ」っていわれて、「あ、え?そうなんだ!!!」って。まず、そんなささやかながらも大きな出来事にびっくりして、そのヒトコトで、目からウロコが落ちました。

そこで、もう一回、シンプルに翻訳しなおしていきました。絵を見ながら、声にだして読んでみて、「ちょっとここは意味が伝わりにいくんじゃないか」、とか、「このセリフは日本の感覚だとこれでいいかなぁ」という具合にさまざまな言葉をあてはめて、何度も何度も繰り返し読みながら、少しずつ作っていきました。
−−はじめての体験だし、たいへんだったんですね。
本上さんさん本当にはじめての翻訳の仕事なのに、最初から3部作っていうのが決まっていましたから。一冊できてもまだ2冊ある…って思うと、…ハードルが高くて。しかも、1冊1冊が独立して読まれることも考えないといけないし、やっぱり難しかったですね。
−−子どもたちに、読み聞かせもされているそうですが、反応はいかがですか?
本上さんさん作っている時には、実は子どもがまわりにいなかったので、なかなかそういうチャンスがありませんでした。実際に子どもに読んで聞かせたのは、本が完成してからです。どんな反応をされるかコワイ気持ちもあったのですが、読むっていうことが、こんなにもむずかしいものなのかっていうのもはじめてわかりました。

小さい子どもたちにも伝わるような読み方はどうしたらいいのか、それは、声のトーンだったり、速度だったり、ページのめくり方だったり、いろんな方法があるんだなと気がつきました。ドキドキするところはパッとめくってあげるとか、知らないことだらけでしたね。何人もの子どもたちの瞳の前で読むと、集中する子もいれば、飽きちゃう子もいるし、こうなるんじゃないかって予想をしてくれる子までいて、刺激的でしたね。

そういう表情を見ながら読むと、「次はこうしてみよう」とか、どんどん工夫したくなる。読み聞かせについては、進歩していかなくてはいけない分野だと思っていますが、楽しく経験することができましたね。
−−今後も翻訳や、創作など、本をだされていきますか?
本上さん自分でも『めんどりヒルダ』と平行して、お話と絵を描いた『ぱたのはなし。』を作ったんですけど、翻訳をするということと、自分で一から作るのはまた別の意味があって、それぞれがすごくおもしろいなって思いました。まったく自由な環境と、ある程度決まった枠の中でどれだけ自分の表現ができるのか。機会があったら、どちらもまた、挑戦したいなっておもいます。あと、原作のウォーメルさんにもぜひお会いしてみたいです。
−−本に限らず、来年の豊富など、今後やりたいことはどんなことですか?
本上さんさん今年は、やりたいなぁって思っていることが実現したりして、すごく幸せな環境でした。ここのところドキュメンタリーで海外にいくことが多かったんです。ふだん自分が体験できないようなことを、見たり聞いたりして吸収することが多い1年でしたから、来年はそれを、新しい、自分らしい形で発表できるような機会を作っていきたいなと思います。

もちろん俳優として、本業もがんばりたいと思っています。それから、自分の中での大きな仕事のひとつに『トップランナー』(NHK)のMCというのがあります。聞き手にまわるというのはこれまでなかった体験ですが、本当に難しいですね。いつもいつも勉強しています。でも、いろんな人と出会えるのはすごく楽しいし、刺激を受けています。
−−さて、絵本『めんどりヒルダ』3部作の読みどころを教えてください。
本上さんはい。まずヒルダのキャラクターがかわいいんですね。けっこうマイペースで、ちょっと思い込んだらまっすぐにそっちに進んでいってしまうところとか。少しコワガリだったりとか、喜びを体中で表現するようなノビノビとしたキャラクターなんです。
◆『めんどりヒルダ』
一冊目は卵を産む場所をずっと探して、「ヒヨコたちの居心地のいい場所はどこだろう」って冒険をしていくんですが、それを、臆病でもなく、一生懸命あちこち、どんどん先に進んでいくのが頼もしいんですね。ちょっとずつ成長していって、最後にたどりついた場所では、ほんとにここは大丈夫かしら、と、余裕を見せたりして、そこが好き。
『めんどりヒルダのこわいよる』
私はこれが一番面白かったです。暗闇でいろんなものが見えた時に、想像力が働いて、ちがうものに見えてしまう、そんなドキドキがたくさんつまっている本なんです。こわいけれど挑戦してみて、「なんだ自分でもがんばればできるんだ」っていうのがどんどんでてきます。夜があけて朝になると、ヒルダは、自分が辿ってきた冒険の道のりが 全部見渡せる場所にいるんですけど、それが実際に何だったのか、彼女や仲間にとっては不思議なまま。読んでいるほうにとっては「これはあそこで泳いだ池だ」というのが見えている。ぜんぶ種明かしされるわけではなくて、絵で見せているので、大人の方にも楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。
◆『めんどりヒルダのたんじょうび』
飼っていた「ピロ」のことを一番思い出したのが、この本です。全部、自分のいいようにアレンジして考えているヒルダが面白くて。花壇の花を全部、引っこ抜いてしまうとか、うちの「ピロ」もそうだったんですよね。ヒルダにしたら、花を抜いて散らかしているんではなくて、きれいなお花がイッパイあるステキな砂浴び場っていうことになりますから。人もでてくるんですが、めんどりヒルダと人間の関係や、ヒルダが人間をどう思っているかも見えてきて、いろんな視線があるんだなっていうのがおもしろいと思います。
−−では、本上さんがお好きな、クリスマスおすすめ絵本についても教えてください。
◆『ぐりとぐらのきゃくさま』
ぐりとぐらのシリーズは小さい頃から大好き。いつ読んでもわくわくするお話です。この『おきゃくさま』は、クリスマスのお話でサンタクロースがぐりとぐらのところにやってくるんですが、この二人には、サンタクロースっていうのがなんだかわかっていないようで、それが楽しいんです。普通のサンタさんがでてくるお話とちがっていて、「サンタさんだ、サンタさんだ」っていうふうに大歓迎にならないんですよ。最後にぐりとぐらの友達がいっぱいきて、にぎやかなパーティーになると、サンタさんらしきその人はいなくなっている…。夜遅くに来て、煙突から家の中にはいってきて、プレゼントを置いて帰るっていうイメージじゃないサンタさんが新鮮で面白いなぁって思っています。
◆『エーリカ』
大人向きの絵本なんですが、もともと、絵を描いているドイツの画家のヒャエル・ゾーヴァさんが、すごく好きなんです。彼が来日した時に「ゾーバさんを囲む会」というのがあって、私も行きました。清里絵本ミュージアムの館長の渋谷さんもお好きということで、そこの展覧会にも行きました。
 この本では、ピンクの大きなブタのぬいぐるみが重要な役割をはたすのですが、肌触りだったり、色の感じだったり、五感にうったえてくるような絵がステキです。お話はわりとビターな雰囲気です。昔、結婚していた男女が、クリスマスに再会することになって、会いに行く途中で衝動買いしたエーリカっていうブタを連れていくんです。せつないけど、心がちょっとあたたまるようなストーリーです。ひとつひとつ、ことばの脚注というか、説明があるんですが、それもまたユーモラスで、本当に何回読んでも楽しめるステキな作品です。クリスマスのプレゼントにもおすすめです。
◆『ぱたのはなし。』
はじめて書いた本なので、気持ちもいっぱいこもっているし、ちょっと空回りしてるのかもっていう不安もあるし、いろいろな要素がつまった本なんです。もともと絵を描くのがそんなに得意ではないので、自分でお話を考える時に、自分が描ける絵じゃないとダメだって気がついて、絵の練習と、お話を考えるのを同時進行していったんですね。それで描いてみて、まぁまぁ及第点だなっていうものは登場動物に加えていけたんですけれども、登場させたいのに自分の腕がついていかなくて、ダメだった動物もいて、そのへんがけっこう悔しいし苦しいところでした。
主人公のぱたに関しては、鳥が空を飛んでいる絵を描くのは好きだったのですが、それにしても一冊の本にするには、主人公が毎回ページに登場しますから、同じ角度からばっかりってわけにはいかなくて。どんな角度からみてもぱたに見えるように描くのが至難の業でした。
でも、一冊完成すると、次はどんな話にしようかなって考えるのもすごく楽しくて。ぱたももうちょっと大きくなって、おとうさんみたいに立派な仕事ができる人になっているだろうし、別の主人公のところにぱたが登場するとどうだろうとか、いっぱい想像がふくらみます。
この本ではデザイナーさんが色がつけてくれて、パキッとした色使いで好きなんですが、次回作があるとしたら自分で塗るとまたちがうかなって思って、色鉛筆のセットや、絵の具のセットを買ったりしています。
−−今日はありがとうございました。

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