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今だから話せる“ガンダム”“聖闘士星矢”の舞台裏アムロや星飛雄馬を演じた声優・古谷徹さん初の本ヒーロー声飛雄馬とアムロと僕の声優人生

「アムロ、行きまーーーす!」。ロボットアニメのヒーローなのに戦いたくないネクラな少年。そんな複雑な役どころに、声でリアルな命を吹き込んだ声優・古谷徹さん。今だから話せるヒーロー達の舞台裏や43年の声優人生をつづった一冊『ヒーローの声〜飛雄馬とアムロと僕の声優人生〜』が今、話題です。悩んだり、立ち止まりながら星飛雄馬、アムロ・レイ、ペガサス星矢など数々のヒーローを演じてきた古谷さん自身も、紛れもないヒーローの一人です。


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プロフィール


古谷 徹さん (ふるや とおる)
俳優・声優・ナレーター。神奈川県横浜市生まれ。明治学院大学経営学部卒業。代表作に『巨人の星』(星飛雄馬役)、『機動戦士ガンダム』(アムロ・レイ役)、『ドラゴンボール』(ヤムチャ役)、『聖闘士星矢』(ペガサス星矢役)、『きまぐれオレンジ☆ロード』(春日恭介役)、『美少女戦士セーラームーン』(地場衛/タキシード仮面役)などがある。

インタビュー


古谷徹さん−−著書に「星飛雄馬を演じられたのが13歳のとき」とあり、びっくりしました。13歳であの複雑な役を演じるのは、とても難しいと思うんですが。

古谷さん 難しかったです。星飛雄馬も最初は小学生だったんで、自分の気持ちをストレートに出せばよかったんですが、彼はどんどん成長して高校生になり、プロ野球選手になって、大恋愛をして…と、星飛雄馬に僕が追い越されちゃうわけですよ(笑)。特に大変だったのは、本気で愛した人が死んでしまったシーン。飛雄馬はボロボロになって、あんなに夢中になっていた野球ができなくなってしまう。そんな劇的な心境を、中学生が演じるのはとても大変でした。


−−どうやって乗り切ったんですか?

古谷さん 元になる体験がないわけですからね(笑)。音響監督の山崎あきらさんという方が、セリフの裏にある感情を一つ一つ解説してくださったんです。そして、耳元で一回しゃべってくれた。そうすると、「あ、こういうニュアンスでしゃべれば伝わるんだ」ということがとてもよくわかって、まずその音を耳コピして、さらにそれに自分の気持ちを入れ込んで演じていました。気持ちを作りこんで演じていたので、飛雄馬が滝のように涙を流して号泣するときは自分もボロボロ泣いてしまう。涙で台本が読めなくなるので、ほとんどセリフを覚えてから演じていました。


−−アニメの声優としては43年のキャリアになります。声優としてのやりがいは?

古谷さん やはり、演じていて気持ちいいというところですね(笑)。俳優だと、自分の性別やルックスに縛られてしまい、演じられる役柄に限界がありますが、声優だと、少年でも青年でも老人でも演じられる。ガンダムのアムロのように、宇宙で巨大ロボットに乗って戦うなんてことは実体験では絶対できないし、実写だと合成で作ってしまうので、自分の中に深く残らないんです。でもアニメだと、主人公の気持ちを作り、その世界にのめりこんで演じているので、なんていうんだろう…細胞レベルでバーチャルな体験として残る気がします。
僕はとても作品に恵まれていて、『巨人の星』の星飛雄馬、『聖闘士星矢』のペガサス星矢、『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイなど、たくさんのヒーローを演じることができて、ヒーローと同じ人生を何度も歩んできたようなもの。人の何倍も青春を体験できました(笑)。


古谷徹さん−−著書の中に、星飛雄馬役が決まったとき、役作りのためにまず弟とキャッチボールをしたとか、ペガサス星矢の普段のコスプレで『聖闘士星矢』のオーディションに行ったとあって面白かったです(笑)。役作りの裏にそんな疑似体験があったとは想像できませんでした。

古谷さん 幼い頃からずっと子役だったので同級生と野球をしたことがなくて、『巨人の星』で野球のルールを覚えたようなものだったんですよ(笑)。『聖闘士星矢』のときは、僕のやる気をスタッフに伝えたかったんです。役が決まってアフレコ現場に行くときも、星矢の普段の服装が赤いTシャツでジーンズなんですが、キーカラーの赤を必ず身につけて、ジーンズで。また『美少女戦士セーラームーン』のタキシード仮面は…。


−−まさかタキシードを…(笑)。

古谷さん 着てません(笑)。だけどタキシード仮面=地場衛(ちば まもる)は大学生で、いつもグリーンのジャケットを着ていたので同じ緑のジャケットを着たり、ボトムもジーンズははかないようにしていました。『ママレード・ボーイ』の名村慎一は、高校教師でメガネをかけていたので、必ずメガネをかけて、事務的なカバンを持って、スーツやネクタイで行ってました。


−−アムロはどうしたんですか?

古谷さん コレが困って…(笑)。宇宙だから…というだけの理由で、銀のジャンパーを着て現場に入ってました(笑)。


−−アムロ役はやはり非常に大きかった、と著書にも書かれています。『機動戦士ガンダム』の他の声優チームとの出会いや現場の雰囲気、打ち切りが決まったときの様子など、ガンダム世代としては読んでいてとてもワクワクしました。

古谷さん 僕にとってはとても大きな転機です。星飛雄馬の古谷徹、というイメージが強くて、情熱的なヒーローの役がとても多く、僕自身、力をこめて言うセリフになると語尾が“飛雄馬調”になってしまうのもジレンマで。評価はありがたいけれど覆したい、と思っていたときにガンダムのアムロに出会いました。彼は等身大の少年で、情熱的どころか、むしろ戦いたくない、熱くない少年だったので、このアムロをリアルに演じることができれば、飛雄馬から抜け出せるのではと。
僕自身、いくらアニメでも日常会話であんな力いっぱいなしゃべり方はしないなとちょっと思っていた部分もあって、アムロはその思いを試せるキャラクターでした。ガンダムのキャラクター達も、ブライトやリュウ以外は民間人でごく普通の人だったので、そこもやりやすかったですね。
打ち切りのときは「再来週で最終回です」と突然言われて「あ、そうなんだ」と普通に受け止めていたんです。ストーリー的に、違和感なく盛り上がっていたし。でも考えてみたら、一年シリーズだったから52話のはずなのに43話って、9本足りなくないか?って(笑)。放映中盤くらいから、ジワジワとガンダムブームが盛り上がってきて、延長されるんじゃないかくらいに思っていたので、とても残念でしたね。でも3部作の映画になり、大きなムーブメントにもなっていったので、やはりいい作品はみんな分かってもらえるんだと感じられてうれしかったです。


古谷徹さん−−ガンダムのアテレコ舞台裏や、聖闘士星矢の声優交代の様子など、今初めて明らかにする事実が語られていたのですが、声優の小山芙美さんとの結婚・離婚、声優の間嶋里美さんとの再婚など、古谷さん自身のプライベートも堂々と書かれていて驚きました。ここまで書いたのはなぜですか?

古谷さん 実はガンダムがヒットして以降、本を出さないかと言う話はいくつかあったんです。でも僕自身まだ20代だったし人生経験も浅いので本なんてまだまだ、とお断りしてきました。ただ、数年前からまたちょこちょこお声がかかり始めていて、自分も初めて本を出すなら、伝統があって大手で、気心の知れたスタッフがいる角川書店さんから出したいと思ってガンダムエースの編集部に持ち込んだんです。芸能生活50年になるいい節目でもあるし、ちょうどガンダムが30周年でもある。僕の中でもやはりガンダムのアムロは、数々演じてきたヒーローの中でも飛びぬけて大きな存在だったので、この機会にぜひ出しましょうということになったんです。
そのときにまず思ったのは「僕にしか書けない本にしたい」ということ。これまでは、僕が演じたヒーローの裏話をしたらイメージが壊れてしまうんじゃないかと怖くて、本音を語ることは避けてきました。しかし、かっこいいヒーローは、裏でいろいろ悩み苦しみながら生み出しているんだということを伝えたい。今僕がこの話をすることで、ヒーローのかっこよさやイメージが壊れるということは、もうないんじゃないかと思えるようになったんです。だから本音でいままで公開してこなかった裏話やトラブルに近いことも書いた。そして僕や僕が演じたヒーローを支えてくれた音響監督さんや声優仲間のことも必ず書きたかった。そしてその中には自分が影響を受けた人、つまりプライベートでの小山さんや妻、娘のことも欠かせなかったのです。ただ、僕が書くことで誰も傷つけたくないと思っていたので、小山さんにも車田正美先生にも、ちゃんと許可を得て、文章も見てもらいました。


−−古谷さんにしか書けない部分で、この本の読みどころの一つですね。今後の目標ですが、大河ドラマのナレーションをやりたいと。

古谷さん もともと時代劇が大好きで(笑)、大河ドラマはずっと見ています。今アニメでも戦国ブームなので、戦国武将の役も演じてみたいですよね。


−−時代劇のどこにそそられますか?

古谷さん やっぱり明日をも知れない男達が戦うという、もう日本のヒーローの原型でしょう。しかも鎧兜が美しい。


−−誰か演じたい武将はいますか?

古谷さん うーん。上杉謙信か、やっぱり信長かなあ。川中島とか桶狭間、本能寺とかのシーンを演じてみたいですよね。


−−『機動戦士ガンダム00』ではナレーションもされていましたが、ナレーションの面白さとは?
古谷さん ナレーションの原稿は、奥が深くリズムのある、完成度の高い、端的な文章にまとまっていることが多く、それを思い通りに語れたときがツボですね。『機動戦士ガンダム00』では予告ナレーションもやったのですが、あれはすごくよかった。短い文章の中に次週の物語が凝縮されている。ほんの4・5行の文章でぞくっとさせたいですよね。


−−今後はヒーローだけでなく、古谷さんの悪役なども聞いてみたいです。

古谷さん やりたいですね!『機動戦士ガンダム00』でリボンズ・アルマーク(蒼月昇名義)を演じたとき、なんかものすごく気持ちよかったんですよ。あんなに悪いやつだとは思わなかったけれど(笑)、とても快感でした。実は僕は長くヒーローを演じてきたので、演じる役のルックスにこだわっていたところがあって…。


−−それは「カッコよくないとヤダ」っていう…。

古谷さん カンタンに言っちゃうとそうです(笑)。自分が好きにならないと演じられない、と思っているところがあったんですが、『パプリカ』で、100キロ以上ある巨漢の時田浩作と言う役をやらせてもらってから、「ヒーローはルックスじゃなくて生き様だ」ということに気がついたんです。演じ方一つでヒーローになれる。むしろヒーローになりにくいキャラクターを、ベテランの自分の力量でヒーローにしてやろう、ということにやりがいを感じるようになりました。僕の中でのヒーロー像の幅が広がった今、今後はもっと新しい、さまざまなヒーローを演じていきたいと思っています。









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