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夢じゃない!あなたもロンドンに家が買える!? 井形慶子さん 『突撃!ロンドンに家を買う』

「イギリスに家を買う」…一般人にはおよそ現実味のない夢物語に感じられるかもしれない。しかしこの夢を実現させてしまった日本人がいる。作家であり、日本でイギリス生活をテーマとした雑誌などの出版を手がける会社社長、井形慶子さんだ。『突撃!ロンドンに家を買う』では井形さんがロンドンでも屈指の高級住宅街ハムステッドに家を買うまでの紆余曲折、笑いあり涙ありの半年間を紹介。今回は著者である井形さんに、空前のポンド安で日本人にも購入しやすくなったというロンドンの住宅事情とともに、日本で物件購入を検討している人にも参考になるお話をたっぷりお伺いしました。

プロフィール

井形慶子(いがた・けいこ)さん
1959年長崎県生まれ。19歳の時、旅したことがきっかけでイギリスに魅了される。大学在学中よりインテリア雑誌の編集に携わり、その後90ヶ国に流通 する外国人向け情報誌を創刊。28歳で出版社を立ち上げ、英国の生活をテーマにした情報誌『ミスター・パートナー』を発刊。『古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家』『老朽マンションの奇跡』など、90回にも及ぶ渡英経験を活かしたイギリス関係の著書や家のリフォーム、インテリア関係などの著書多数。東京新聞連載「本音のコラム」毎週水曜日が話題。

インタビュー

■最高に楽しかったロンドンの家探し

−−約半年間かけてついにロンドン屈指の高級住宅街「ハムステッド」に家を購入されたわけですが、日本に住みながらロンドンに家を探すというのは大変だったのでは?
井形さん いえいえ大変なんて感じたことはないんですよ(笑)。私の場合は少し厳しい条件で探していたのでかなり難航した部分はありますが、むしろ家を探していた時期は人生の中で一番幸せな期間でしたね。ネットで夜な夜な物件を探している時も楽しくって。漠然と家を見るのと、資金を用意して家を探すのとではワクワク度が段違い(笑)。イギリスに家を持つのは30年来の夢だったので、とうとう夢が叶うのかと思うとうれしくて。仕事柄もありますが、この30年間、イギリスで見た住宅の数は1,000軒を下らないと思います。
−−1,000軒!それはすごいですね。
井形さん でもイギリスの家って日本と違って本当に色んな種類の家があるから全然見ていても苦痛じゃないんですよ。元馬小屋からお屋敷を改造したフラットまで家のタイプだけでも日本よりはるかにバリエーション豊かだし、建築様式も様々なんです。築60年以上の建物がほとんどですが、家の中はそれぞれに手を入れてるから個性豊か。だから見てまわるのも楽しいんですよ。
−−それだけ見てまわるとさぞ目も肥えたと思うんですが、一番こだわった点は?
井形さん やっぱり何をおいても「ロケーション」ですね。実はずっと迷いがあったんです。これは家を買う時に誰もが通る道かもしれませんね。好きなのはスコットランド、でも仕事をする上ではロンドンのほうが便利だし、だけどロンドンはゴミゴミしていて嫌だし…という決め切れない状況がここ10年続いてたんです。コッツウォルズみたいな田舎のコテージも素敵だなとか。でも、仕事でロンドンとイギリスの田舎を行き来するうちに、やっぱりロンドンがいいな、中でも田舎風情が色濃い、吉祥寺に似たハムステッドがいいなという風に気持ちが固まっていったんです。

ロンドン屈指の高級住宅街 ハムステッドの町並み
 ロンドン屈指の高級住宅街、ハムステッドの町並み

ハムステッド・ヒースの丘
 ハムステッド・ヒースの丘



井形慶子さん
 ロンドンに拠点ができたことで、スタッフの団欒が可能に

■「来訪者」の視点を失うのが怖かった

−−ロンドンに家を買ったことによる変化は大きいですか?
井形さん 2010年12月、大雪のためにロンドンの交通網が寸断されたんです。その時には「ロンドンに家を買って良かった」と痛感しましたね。飛行機が欠航したので空港近くのホテルは全部満室だったんですが、そんな時でも戻る場所があるというのは大きな安心でしたね。また、これまでは取材時もロンドンの狭いドミトリーに宿泊させていたスタッフと、ハムステッドの家で生活できるようになった。このようにロンドンに拠点ができたことで自由自在にイギリスの僻地への取材が組めるようになりました。
−−井形さんご自身の心境にも何か変化はありましたか?
井形さん これまでイギリス関係の著書を多数書いてきましたが、常に「来訪者」としての視点を失わないように心がけてきました。その視点がイギリスに家を持ったことで逆に失われてしまわないか、と恐れていたんですね。私は「英国礼讃」だってよく批判されるんですが(笑)、どの国にだって悪い部分もあるし、良い部分もあることは明白ですが、私は外国を見る時にできるだけ良い部分を取り上げようと考えてきました。でもやっぱり住んでみると悪いところもいっぱい見えてきます(笑)。クレープの食べかけやTシャツが道に投げ捨てられていることも、自宅周辺となれば「マナーが悪い」ではすまない。日本では信じられないことも前から知ってはいましたが、今でもそこを追究することに余り意味がないと思うんです。それより気温がマイナス10度なんていう時も、セントラルヒーティングの仕組みが発達しているせいか、外気温は日本より低いはずなのになぜか寒さを感じない、でもなぜだろう、とかね。
−−これだけイギリスに通っていても、住んでみないとわからないことってあるんですね。
井形さん そうですね。住んでみて強く感じたのが今のロンドンの「パワー」です。ロンドンの高級デパートを見てるとよく分かるんですが、お金を持った中国人がスーパーブランドに列をなしている。アラブの富豪がリムジンで乗りつける。世界中のお金がロンドンでぐるぐる回っているのを感じるんです。それに合わせてこの不況下でも不動産価格が1年で10%以上も上がってるんですよ。私の購入した物件も1年でかなり価格が上がりましたから(笑)。ロンドンに引っ越してくるアメリカ人もセレブが多いですし、かつてのニューヨークのような勢いを今のロンドンに感じますね。日本のみならずイギリスも経済的には大変な状況ですが、2011年1月からは消費税を20%に上げて公務員も大幅カットと大胆な改革が行われます。4月にはウィリアム王子の結婚式があり、来年はロンドンオリンピックも開催されますし、今のロンドンには勢いがありますね。

井形慶子さん
 家を探す時のコツを笑顔で教えていただきました


■こんなに違う日本とイギリスの不動産事情
−−これまで30年来イギリスに関わってこられた井形さんですが、それほどにまで井形さんをひきつけるイギリスの魅力って何でしょう?
井形さん 他の国にも行くんですよ、クロアチアとかパリとか、ロシア、中国も。でもやっぱりイギリスなんですよね。自分が子供を抱えて離婚したすごくつらい時期に、娘と一緒にロンドンで暮らしていたから、とても思い出深い場所なんです。お金がなくてもハイドパークに行けばリスもいるしウサギもいる、寒くなれば大英博物館で娘と2人で絵を見て過ごしました。全部無料ですからね。それに近所の家のきれいなお庭を見て歩くだけでも楽しくて。その頃、1980年代のイギリスはサッチャーさんの「英国病」退治で大変な不況だったのに、こうして素晴らしいものを世界中のみんなが分かち合えるようにしている。そういうイギリスの懐の広さみたいなものに惹かれたんでしょうね。あの頃はロンドンの、しかもハムステッドに家が買えるなんて思いもしませんでしたけど(笑)。それに家でも何でも古いもの、伝統のあるものほど良いとされる、そういう価値観にも共感するのかもしれません。
−−著書の中にも「日本人はイギリスに見習うべき点がある」というくだりがありましたが、具体的にはどのような点でしょうか?
井形さん これは日本人には難しいことかもしれないですが「自己責任」と「勝ち取る」感覚でしょうか。今イギリスには様々な国から移民がなだれこんできているので、家を買うにしても、大学に入るにしてもものすごい競争があります。その中で自分の目で見て、自分の欲しいものを勝ち取っていく、他人をあてにしない感覚は大切だと思います。それとイギリス人ってものすごく引っ越し回数が多いんですよ。イギリス政府が持ち家制度を奨励しているということもありますが、20代の若いうちから小さなワンルームや郊外の2DKを買って自分たちで手を入れる。そうすることで物件価値を上げ、買った時よりも高い値段で売る。それを繰り返して理想の家にたどりつくんですね。売買回数が多い、もうひとつの理由は、イギリス人ってすごく「変化を楽しめる」人たちなんです。当然のことながら物件を見る目も肥えてますし、住む場所の変化が多いことでリフレッシュされて人生にもいい影響が出てるんじゃないでしょうか。
−−イギリスの不動産売買には「不動産鑑定士」と「弁護士」が仲介する、というのも日本との大きな違いですね。
井形さん そうですね、イギリスでは家を買う前にまったくの第三者である「不動産鑑定士」に調査を依頼しなければならないんですよ。それで家の状態だとか、家の価値を公正に判断してもらう。その報告書を持って次は弁護士に依頼するんですね。不動産鑑定士が指摘した確認箇所を弁護士が一つ一つ確認していく。たとえばこの水道管を交換したのは何年で業者は誰だ、なんてことを。売買が決定してからもお金のやり取りは双方の弁護士を通じて行うんです。だから不動産売買において欠陥住宅をつかまされる心配が一切ないんです。そこは今回家を買うにあたっても安心な点でしたね。欧米諸国はほとんどこういった制度を取り入れているので日本でも早く導入すべきだと思います。

■ここが大事!家探しのポイント

−−井形さんが考える「家探し」で一番大切なこととは?
井形さん これから家探しをされる方にはぜひ事前にこの本を読んでいただきたいと思うんですが(笑)、やはり先も述べたように「ロケーション」ですね。家はどんなに古くてもリノベーションしたり建て直したりできますが、場所や環境だけは変えられないですから。今の日本は家も余ってるし、子供も減る一方なのでどんなに素敵な家でも不人気の街、不便な場所に家を買うのはおすすめできないですね。人生何が起こるかわからないので、必ず家を売る時のことを想定して買ったほうがいいと思います。となるとやはり人気のある街は値崩れしにくい。あと一口に人気の街といってもその街の何丁目、にまでこだわったほうがいいと思います。というのもいくら人気の街でも、駅前はゴミゴミしてて歓楽街もあったりするわけです。だからエリア、ロケーションだけは徹底的にこだわって、その場所でいい物件が出たら中古でも買うくらいの気持ちでいたほうがいいと思いますね。あとはとにかく色んな家を見て回ること。その中で勘も養われると思います。
−−なるほど、参考になります。ところで普通の日本人でもロンドンに家を買うことはできるんでしょうか?
井形さん ええ。購入されて、現地で貸される「buy to let」の方は昔からいらっしゃいました。ロンドンの不動産業者の間では日本人のイメージはすごくいいですから買いやすいと思います。日本人専門の不動産業者もありますし。それに日本人もイギリスで住宅ローンを組めるような制度も整いつつあります。空前のポンド安でもありますから、長年の憧れを実現させたいと、今ロンドンに家を買おうとしてる日本人の方も増えているようです。
--なんとも夢の広がるお話ですね。まずはロンドンに家を見に行くところから始めてみたいと思います(笑)。本日はありがとうございました。

<ナカガミシノブ>

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井形慶子さん

家選びのルールは万国共通!
これから家を探す人にアドバイス!
【1】『突撃!ロンドンに家を買う』で予習しましょう。
【2】家は「ロケーション」が命です。町の名前だけではなく、何丁目、という単位までこだわりましょう!
【3】いい家に出会うには、たくさん家を見て、勘を養いましょう。

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  • ★井形さんの本は昨年までイギリスの住んでいた私にとって日本で触れられるイギリスなので新刊が出るたびに購入しているのですが、この本はイギリスの不動産事情を非常によくとらえていてすごく面白かったです。読んでいて何度もうなずきました。日本で読んでいてもこれだけ面白いから、イギリス在住で家を購入しようとする人には特にお勧めします。私もオリンピックが終わってもっと値段が下がったときに、イギリスに家を買う時の参考にさせてもらうつもりです。

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