著者インタビュー 最新号 バックナンバー
石渡美奈さん

ポッピー三代目 石渡美奈さん若干39歳の女性経営者が体当たりで挑んだ経営改革『社長が変われば会社も変わる』

 ホッピーの“空飛ぶ看板娘”こと、副社長で跡取り娘の石渡美奈さん。
弱冠39歳の経営者が体当たりで挑んだ経営改革で、会社が劇的に変わった!!
ひと昔前までは「オヤジ達の安価なビール代替飲料」でしかなかったホッピーを、
若者や女性にまで支持されるオシャレなアルコールとして定着させることに成功。
5年で年商3倍、年30%の増益をたたき出した理由とは?

注目の著書『社長が変われば会社も変わる』について、石渡美奈さんにお話を伺った。



石渡美奈さんの本


『社長が変われば、会社は変わる!』
『社長が変われば、会社は変わる!』
1,575円(税込)


楽天市場でホッピーを購入


元祖・ビアテイストの清涼飲料水 ホッピーは楽天市場でも発売中!
『元祖・ビアテイストの清涼飲料水 ホッピーは楽天市場でも発売中!』


プロフィール


石渡美奈さん (イシワタリミナ)
1968(昭和43)年東京生まれ。1990(平成2)年に立教大学卒業後、大手食品メーカーに入社。人事部に勤務、1993(平成5)年に退社。その後広告代理店でのアルバイトを経て、祖父が創業した会社、ホッピービバレッジ(旧コクカ飲料)に1997(平成9)年に入社。広報宣伝を担当。2003(平成15)年5月から副社長に就任。

インタビュー


−−『社長が変われば会社も変わる』における、一番の見所はどこでしょう?また、どんな方に読んでほしいですか?


石渡さん ホッピーの色々な姿を知ることができる! そこに尽きると思います。どんな人たちがどんなふうに作り始めたのか、どんな社員が支えているのか、ホッピービバレッジの歴史や変遷、ダメダメな会社がよい会社に変わっていく様子を知ってもらえたらいいですね。
私の場合、幸運にも、小山昇氏という経営のよき師を得、仲間となるよき社員にめぐまれて、会社をよくするためのスタートラインに立つことができました。そんなホッピービバレッジ社の、ありのままを知ってもらいたいなと思います。
働く女性には、「こんなダメな先輩がいても面白いかも」と思ってもらえればいい。経営者、女性、そして跡取りとしての生き様など、本当に色々なシーンが詰め込まれていますので、幅広い方に読んでほしいですね。


−−執筆をする上でどのような点を心がけましたか?

石渡さん うそをつかない。カッコをつけない。失敗談を赤裸々に書いています。他人の不幸は蜜の味(笑)と言いますが、前向きな気持ちを汲んで励みにしてほしいですね。おかげ様でネタに困ることはありませんでした(笑)。


−−ホッピーの経営に直接携わりたいと思ったのは、何がきっかけですか?

石渡さん  95年の地ビールの発売がきっかけですね。当時アルバイトをしていた広告代理店で仕事の面白さを知ったのと、地ビール発売のタイミングが一致して、家業は面白そうだとピンときたんです。それまでは、今思えば自分探しをしていたんですね。「何のためにこの世に生まれてきたのか」とずっと思っていたんですけど、ようやくその時がきた。ホッピー商人としての血が騒いだというか、目覚めたんですね。


−−ホッピーは昔からお好きだったのですか?

石渡さん  ぜーんぜん(笑)。実は、ホッピーにはまったく関心がなかったんですよ。学生時代は、体育会系のスキーサークルに入っていて、練習後毎日居酒屋に行く生活を送っていたんですが、ホッピーをまったく目にしなかった。当時そのぐらい、ホッピーは若者に飲まれてなかったんです。
それに昔は、私自身、あまりお酒を飲まなかったです。それが、仕事として興味を持ちはじめてからは、一変。ガンガン飲むようになりました(笑)。


−−若者や女性にホッピーがうけるだろうと思ったきっかけは?

石渡さん  うけるかどうか以前に、97年にホッピービバレッジ社に入った時に「これはダメだ」と思ったんです。社内は古い体質で、自分も含め、若い世代は会社に関心がなく、人材も育っていない。これでは会社に未来はないと。
でも、小さいころ、自分がこの会社のジャンヌ・ダルクになるとは思っていなかったですね。夫に経営してもらって、自分は事務をやろうと思っていました。跡取り娘として、小さいころから、商売のことはずっと頭にあったんです。若いころに結婚し半年で破局したのも、結婚に対する価値観が相手の方とはズレてしまったからです。若気の至りでした。家庭は仕事の基本ですから、今度は、自分を支えてくれる人と結婚したいですね(笑)。


−−「ホッピーハッピー」のネーミングやクマのキャラクター(Mr.ホッピー)は、石渡さんが考えたのですか?

石渡さん  もともと、「ホッピー飲んでオーハッピー」は、父のアイディア。それをアレンジしました。キャラクターのクマは、私が大のクマ好きなことと、ホッピーのビンがクマっぽいから。実はMr.ホッピーは、父がモデルなんです。


−−これまで経営に携わってきた中で、失敗談と成功談をお聞かせください。

石渡さん よくも悪くも、昨年2月に、工場長をはじめ工場にいる全社員から辞表を出されたときです。あの出来事がきっかけで、「愛とは関心を持つこと」と気づかされました。もっと社員とコミュニケーションをとらなくては。どんなにいいことを勉強して会社に持ちこもうとしても、コミュケーションなくして社員は変われないのです。この経験は、最大の失敗だけれど、そのことに気づかされたという点で、成功でもあります。

この事件までは、コミュケーションの大切さに気づけなかった。どんなに小さい会社でも大企業でも、社長は1人。たった1人の社長が自分に関心を持ってくれて、嬉しくない社員はいないですよね。それが社員のモチベーションになる。社長が社員1人ひとりに声をかけることは、とても大切なことなんです。


社員に渡す手書きの手紙。月50枚書いてます。−−具体的には、社員への声がけをどのようになさっていますか?

石渡さん  手書きの手紙を社員1人ひとりに出す「サンクス葉書」作戦です。月間で多いときで100枚、1日2、3枚。月に60枚のノルマを自分に課しています。小山さんは年間1,000枚以上とおっしゃっています。
それに、現場に行く回数を増やす、懇親会の回数を増やすなど、どんなことでも回数が大事と心がけています。


−−50代社員が多いとお伺いしましたが、年上の社員の方とはどのように接していますか?お若い経営者ということで、ベテラン社員に気をつかうこともあるのでは?

石渡さん  まずは、私が社員と一緒に勉強することにしています。共通の言語で共通の価値観を増やしていく。いつ火がつくかは人それぞれですので、じっと待つ。でも、いつか必ず火がつきます。一緒に学ぶことと待つことが秘訣ですね。
幹部も、社員も、経営者も、同じ教科書を学ぶ。その中で、各々どうあるべきかを学んで、共通の言語と共通の価値観で行動するよう心がける。
ですから、思いやりの心、感謝の心は別にして、お互い変に気をつかうことは一切ありません。
経営者は方針を決定し社員はそれを実行する、というシンプルなことなんです。
やはり人材が命。我が社は、採用費と教育費は青天井です。


−−経営改革の第1弾として、売り上げにすぐ結びつかないと思われがちな「環境整備」を実行され見事に成果をあげましたが、どのようにして社員を説得しましたか?

石渡さん  説得しないですよ(笑)。説得したとしても、聞いたフリをされるだけです。とにかく始める。(株)武蔵野さんから講義をしてもらったりはしますが、社員が説得されるわけない。形から入ってとにかく習慣づけることが大事です。実際にきれいになると気持ちがいい。毎朝20分の掃除はおしゃべり大歓迎のコミュニケションタイムです。
私は、どんなことでも変に気をつかったり説得することはしないんです。人の心と過去は変えられない。実践で必要性を自ら感じてもらうしかない。とにかく経営者と社員の根くらべですね。形から入り楽しく続けられるように、いろんなしかけをしています。例えば、環境整備1回で100円がもらえるんです。全部たまると5,000円になる。5,000円が欲しくてみんながんばる。動機は不純でいい(笑)。

環境整備は、社内でも、徐々に定着しつつありますが、我が社の文化になるまで20年かかると思っています。あとは、定期的に他社のベンチマーキングをしています。仲間の企業をみんなで見に行って、良いところを真似る。真似ることは、最大の戦略です。


−−今年はじめて新人を採用されたそうですが、最初の新人研修は、どのように行ったのですか?

石渡さん 師匠の小山さんに相談して、内定者に関しては、小山さんが社長を務める(株)武蔵野と合同で研修しました。それに、小山さんの著書『仕事ができる人の心得』を組み合わせたり。週に1回、本の中からランダムに言葉を選び、それに対する感想をボイスメールに入れて、私がコメントする。とにかく新人も巻き込んでコミュニケーションの回数を増やす。こうして、価値観を共通にしていくことを心がけました。
また、実際に顔を合わせたときは、必ず懇親会をやりました。


会社への思いを熱く語る石渡さん。−−研修の成果はいかがでしたか?

石渡さん 社内の雰囲気が劇的に変わりましたね。全社員30人のうち、7人が新入社員。なにしろ4人に1人が新入社員という状況です。とにかく明るく元気な人を採用しましたから、後押しされるように、先輩が変わっていきました。


−−小山昇さんという経営の師との出会いで劇的に変わったホッピービバレッジ社ですが、石渡さんのようによい出会いにめぐり会う秘訣は?

石渡さん 本気で経営の師匠を探していたから、小山さんに出会えたと思います。このままではマズイと瀬戸際に立たされたので、必死になって師匠を探したから、めぐり会えたのです。
あれもこれもよくばると、結局何も入ってこない。受験のときに参考書をいろいろ買いあさるけど、結局どれも勉強しないのと同じです。ひとつのことを勉強することが、血となり肉となる。
1ヶ月前の自分と今日の自分は、違う自分。だから、同じ話でも、聞く時期によって、気づけることが違う。だから、繰り返し聞くことが大事。あれもこれもやると、パニックになってしまいますし。
1人の師匠を決めて、繰り返し繰り返し勉強することが大切です。


−−とにかくへこたれず前に進んでいける原動力はなんですか?

石渡さん 自虐的なんですよ(笑)。苦境に立たされれば立たされるほど、なにくそ、と燃える。経営者はみんなそうだと思います。会社は社長の器に合わせてしか大きくなれないし、社員もそれ以上には成長しない。だから、社長が勉強して成長しなければいけないんです。そうしないと、社員もその家族も幸せにできない。仕事の中に人生があるし、お父ちゃんがどれだけがんばって働いているかで、その背中を見て育つ子供の人生が決まる。社長の肩に、社員の生活も子供たちの人生もすべてかかっていると思います。


−−中小企業の経営者の方に何かアドバイスをお願いします。

石渡さん 中小企業では、人の問題が重要。大企業のように代わりはすぐにいないし、人に仕事がついているという側面が強い。私の場合、工場長が会社を辞めたいと申し出たときも、小山さんが間に入ってくれたことで救われましたが、本人が本気で辞めたいと思ってないことがわかって助かりました。本当に辞めたい社員、辞めたくない社員、辞めさせてはいけない社員、辞めさせてもいい社員を見誤ると、根幹がゆるみ取り返しのつかないことになるのです。私も、あのとき、工場長を辞めさせてしまったら、今のホッピービバレッジはなかった。社員に辞めたいといわれたら、経営者は意地ををはりがちだけど、見極めが肝心。人事を誤ると、致命的な大事件になりかねません。


お気に入りの万年筆を見せていただきました。−−仕事で活躍したいと思う女性にメッセージをお願いします。

石渡さん 私がこの仕事をするようになったのは、DNAが騒いだという感じです。
小さなご縁を大切にして、自分の中のDNAに耳を傾けてみてください。
また、「とんびは鷹を生めない」ということを実感しています。
突拍子もないことに手を染めるのではなく、小さいころから好きなことや得意だったことを磨くのが一番だと思います。

私は、文章を書くことが好きだから、「ホッピーミーナ」の跡取り修行ブログも10年続けることができた。「芸は身を助ける」と言いますが、文字を書くことがとにかく好きです。
先日の出版記念パーティーでは、170冊の本にサインしたけど全然苦ではなかったです。好きなことを常に生かすことは、楽しく生きるコツ。誰にでも強みはあるもの。好きなことを生かせるのであれば、人間、絶対やりますよ。
それは、主婦であろうとキャリア女性であろうと変わらないと思います。


−−これからの夢をお聞かせください。

石渡さん 「三代の社長の中で最高」と言われるような良い社長になることですね。これは相当ムズカシイと思っていますが。
社員と共に目指しているのは、「ホッピーを感動工場にすること」。小さくてもキラッと光る会社、ホッピーの工場に行ってみよう、というお客様の電話で回線がパンクしそうになる会社が理想です。


−−今後、新商品の開発などもお考えですか?

石渡さん ホッピーのよさが本当に伝わる飲み方は、この東京でもまだまだ知られていないと思います。私たちは、ホッピーのよさを広めることを、「ホッピー世直し運動」と言っています(笑)。そして、従来からのホッピーの味、サイズを見直すマイナーチェンジをしたり、営業方法を工夫するなど、お客様の声を聞き、お客様のニーズに応えることを心がけていきます。

新商品に関しては、体にやさしい、安心して召し上がっていただけるものがいいですね。来年、大卒の社員で3名技術系が入るので、いよいよ商品開発室を発足させようかと考えています。


−−ホッピーの一番おいしい飲み方を教えてください!

石渡さん ジョッキをキンキンに凍らせ、ホッピーもよく冷やす。
そこに、120ccの焼酎を入れてホッピーを一気にそそぐ。アルコール度7%で、飲んだときのコクのある味わいは醸造酒、スッキリとしたノド越しは、蒸留酒。これが、ホッピーならではの旨みなんです。
ホッピー初心者には、ホッピー5対焼酎1の、70ccの焼酎量がオススメ。ビールと同じくらいのアルコール度数です。特に、宮崎本店の「亀甲宮」の焼酎はくせがなくサラサラッと美味しい。夏にはジンで割って楽しんだりもしています。


−−これからもがんばってください。本日はありがとうございました!



石渡さんは、とても元気で周りを明るくしてくれる方。その元気が周りの人の感動を呼び、オープンに人を巻き込むから支えてくれる人も多いのだと感じました。
文章を書くのが大好きで、お気入りの万年筆を20本近く(!)と、葉書を持ち歩いておられたのが印象的でした。社員1人ひとりに心のこもった葉書をしたためる様子が目に浮かびます。環境整備を通しての会社の再生など、小さな会社を営む私にとっても参考になることばかり。目からウロコが落ちました。
部下との関係に悩んでいる方や、中小企業の経営者の方、そして仕事で輝きたい女性に
必ず役立つ1冊です。
【インタビュー 常山あかね】


最新号 バックナンバー

このページの先頭へ