楽天ブックス 著者インタビュー

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『LEE』などの女性誌でも人気の、暮らしまわりのスタイリスト伊藤まさこさん。お仕事をしながら、家事や暮らしをセンス良く楽しむ姿にあこがれてしまいます。『毎日がこはるびより』・『こはるのふく』など、これまでの伊藤さんの本にもたびたび登場しているお嬢さんの胡春ちゃんも、去年から小学生。なんと、毎日お弁当をもって登校しているんですよ。そんな、伊藤さんと胡春ちゃんの、日々のお弁当を見せてくれるこの本には、かわいいスタイリングのアイデアや美味しそうなレシピだけでなく、たっぷりの愛情もつまっています。4月からお弁当がはじまるあなたの暮らしにも、たくさん役立ってくれそうです。

プロフィール

伊藤まさこさん (いとう・まさこ)
1970年横浜生まれ。文化服装学院で服づくりとデザインを学ぶ。料理を中心とした暮らしまわりのスタイリストとして料理本、雑誌に携わる。

インタビュー

−−これまでにも、かわいい小物やお料理、布など、ステキなものを日々の生活に取り入れた本をたくさん出されている伊藤さん。新しい本のテーマを考えている時にでてきた話題が、小学生になったお嬢さんの小学校のお弁当。胡春ちゃんの学校では、なんと毎日お弁当なのだそうです。伊藤さんのことですから、きっとステキなお弁当なのではないでしょうか。そこで、この本が生まれることになったとか。毎日、お弁当を作るというのはたいへんなことですよね。伊藤さんも、私たちと同じように、最初の頃はずいぶん早起きするなど緊張されていたそうですね。
伊藤さんはい。最初のうちは緊張して、夜中の1時や、明け方の4時に起きたりしました(笑)。 そういえば先日、私の友達が出張の出先から台風で帰れなくなって、たまたまその日が、息子さんの保育園のお弁当の日だったそうなんです。それでご主人に「なんでもいいから適当に入れて持っていかせて……。帰れないから!」って連絡したら、そのダンナさんも、2時とかに起きちゃったという話を聞きました(笑)。責任重大でどうしようーって、気持ちだったんですね。 私自身、毎日お弁当を作って持たせるということについては、たぶん、どうにかなるだろうとは思っていたんですけど、たいへん、たいへんと思ってするよりも、楽しいほうがいいなと思って作っていったら、けっこうなんとかなりました。毎日作るリズムができて、大丈夫そうだと思ったのは、2ケ月目ぐらいです。特別、早起きしなくてもなんとかなるようになりました
−−本には、お弁当を作る道具や、お弁当箱も写真で紹介されています。びっくりするのは、和風のお弁当箱。洋風・和風でお弁当箱を用意するという発想もステキですが、なにしろ和風のお弁当箱は秋田杉の「曲げわっぱ」なのです。おかずを盛りつけた写真もあって、シンプルな器は、料理をひきたててくれる効果もあるのか、いっそう美味しそうに見えます。子供用に「曲げわっぱ」のお弁当箱というのは意外だったのですが、軽くて使いやすそうだし、天然素材で手触りも良さそうなので、ウチもそれにすれば良かったと思いました。親子で「曲げわっぱ」を使われているんですね。
伊藤さん本にも書きましたが、娘と買いに行ったら、本人が「どうしても曲げわっぱが欲しい」と選んだんです。私も以前からほしかったので一緒に買って、形はちがうけれど、親子で使っています。そうしたら、クラスのお友達にも、5人ぐらい曲げわっぱのお弁当箱を使っている子がいたんですよ。 プラスチックのお弁当箱は、ものによっては少し人工的な感じがしますが、私もときどきは使います。洋風のお弁当のところでご紹介したマドレーヌちゃんのお弁当箱とかね。私も娘も、マドレーヌちゃんが大好きなので。
−−お弁当のレシピもたくさん紹介されています。季節のそら豆を炊き込んだ緑鮮やかなそら豆ごはん、隣のページには赤い梅干しを混ぜこんだかわいい梅ごはん。懐かしいそぼろ弁当や2段のり弁。ウサギの形のリンゴ。おかずに1品、足したい時に、あると便利な手作りの常備菜も。豪華なだけのレシピや、子供に媚びた装飾的なお弁当ではなく、昔から私たちが食べてきた基本的な素材を、丁寧に、美味しく味付けしたものばかりです。子供の頃、自分が食べていたものと同じようなものがたくさん出てくるので、懐かしい気持ちになりました。伊藤さんのお母さまが作っていたものなのですか?
伊藤さん美味しいものって、そんなにかわらないんでしょうね。私も母に、あれ、どうしてたっけ……と聞いたりして、作っています。母は料理上手なので、私が食べていたお弁当は、クラスのお友達に人気でした。見た目は地味だったんですけど、美味しかったです。そういった、楽しかったり、美味しかったという記憶は、好きな人にもそうしてあげたいなぁという気持ちになります。誰かのために作ってあげたり、自分のために作ってもらったものは、うれしいし、美味しいなという気持ちが残りますね。
−−焼きそばパンの焼きそばから手作りしてしまうなんて、すごいですよね。
伊藤さんそうですか? 焼きそばパンは、持っていったらクラスでも人気者だったらしいですよ。焼きそばは、家でも作りますよね。それをはさむだけなので、簡単ですよ。 娘は、大人と同じものをずっと食べてきたので、いわゆる子供用のかわいらしいお弁当にはそんなに興味がないんです。だから、基本的には、家で普段食べてるものをお弁当にしています。ちょっと味付けをお弁当用に濃くしたりして。冷凍しておいたものや常備菜とメインを上手に組み合わせれば、全部手作りでもなんとか作っていけると思います。
−−ピクニックや行楽に持っていけるようなお弁当のアイデアも楽しいですね
伊藤さん普段とちょっとちがった気分で楽しめる「外でごはん」ですね。テイクアウト用の蝋引きパッケージでクスクスを持ってお出かけしたり、ほかほかの蒸籠を持って公園へ行ったり。蒸籠はご近所じゃないと、冷めてしまいますけど、遊び心で楽しめば、こんなバリエーションも広がりますね

伊藤まさこさん

−−この本が、ほかのお弁当のレシピ本と大きく異なるのが、器や箸、布やお弁当の包み方に至るまで、掲載されているところ。伊藤さんのセンス溢れるスタイリストならではの技があちこちに光っています。お弁当箱と、下に敷いた布やナプキンとの組み合わせも絶妙です。それぞれのお弁当のタイトルの下には、お弁当を包んだ写真が掲載されていて、包み方にもいろいろな方法があるのがわかります。お弁当を包んだ写真はさりげなく配置されているので、最初はわからなかったのですが、気がついてからは、全部、もう一度見返してしまいました。お弁当の形にあわせて、包み方もいろいろあるんですね。 ?
伊藤さんお弁当箱の形にあわせて、それぞれ楽しい方法がありますよね。ちょっとしたことなんですけど、好きな布の手作りナプキンを使ったり、ひもでしばったりすると見た目も変わるし、開ける時の期待も大きいですよね。お弁当に添える小物も、仕切りにするハラン(葉蘭)とか、自然のものを見つけておくといいんですよ。私もご近所の方にわけてもらって、使っています。
−−本当に、お弁当箱選びから、日々のお弁当レシピ、お気に入りの布や小物、そして外ごはんへと、次第にお弁当を楽しむ世界が広がっていくという、楽しい構成なんですね。どのようにして作られたのですか?
伊藤さん本の構成は、台割(ページ構成)を私がイラストで描いたら、そのままで進んでいって。内容は見開き単位でまとまっていて、入れ換えたりはしてもらいましたが、ここでは、外で蒸籠を使って……とかは考えました。あとは、すっきりさせたかったので、ページは全部白地で、写真をポツンポツンと配置してもらって。表紙の文字やイラストは娘が描いたものを使ってもらいました。1冊の本を作るのは、少人数でコツコツと作っていくので、おもしろいですね。 最近は、スタッフを決めたり、ページの構成を決めるところから、いっしょにやれるようになったので、自分の思いを形にすることができるようになりました。 タイトルに、「毎日」というのはぜったい入れたくて。今まで2冊、「毎日」とはいっているんですけど、毎日の暮らしを丁寧に楽しみたい、読者の方にも、楽しんで欲しいという気持ちを込めたものなんです。毎日繰り返すことって、たいへんだったり、飽きてしまったりすることもあるかもしれませんが、毎日、積み重ねていくことの大切さは忘れたくないなと思っています。
−−それにしても、どうしたらそんなふうに、毎日、センスよく楽しくキレイに暮らせるんでしょうか。そういった感覚は、お仕事で培ってきたことですか?
伊藤さんそれはあるでしょうね。スタイリストという仕事もそうですし、毎日、食卓のことを考える時にも、この器にはこれ、とか。でも、もともと子供のころから、好きでした。掃除も好きなんですよ。私って、なんだか、のんびりしていると思われているけど、わりとテキパキしているんです。実家が、わりとそういう感じなので、レンジやガス台が汚れたらすぐ拭いたり。汚いよりキレイなほうが気持ちいいですよね。 あとは……、無理をしないこと。
−−ご自身の生活の中からステキなことをテーマにされて、それを楽しむお仕事をされているんですね。どこに、その秘訣があるんでしょうか……。
伊藤さん……そうですね。私は、自分が好きなものを見つけると、好きな気持ちや魅力をまわりの人に伝えたりします。そうすると、作った人のところやその場所に取材に行ってみませんか、などと声をかけていただいたりして、広がっていくことがあるんです。だから、なるべく好きなものを見つけて、それをみんなに伝えるようにしています。 私が好きなものはいろいろあります。食べ物もそうだし、シャンパンやワインなどのフランスの食文化、子供服や食器とか……。日々の暮らしや、毎日の生活の中に、愛情と興味を持ってみていると、ステキなものをたくさん発見できるんです。それを本や雑誌でお伝えしていくことができるので、こういう仕事ができて、あぁ、幸せなのかなぁって……思います。そういうチャンスのある自分を当たり前と思わないように、毎日、いろいろな人に感謝しています
−−今日はステキなお話をありがとうございました。

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