楽天ブックス 著者インタビュー

  • バックナンバー
  • 最新号

 全くゼロの状態から韓国語を勉強しはじめたごく普通のOLが、字幕なしで韓国ドラマを楽しみ、現地の人々と不自由なく会話できるようになった。その経験をもとに、教える教師の側からではなく、学んだ生徒の立場から韓国語の基礎や、学校の選び方、勉強法などを分かりやすく丁寧に解説したのが『韓国語がペラペラになった私の勉強法』だ。『冬のソナタ』に始まった韓流ブームの続く中、韓国語に興味を持ち勉強しようと思っている人は少なくないはず。そんな人たちに是非お勧めしたいこの本の著者、門脇千恵さんにお話をうかがった。

プロフィール

門脇千恵さん (かどわき・ちえ)
東京都出身。住友商事勤務。ソウルを皮切りに、プサン、慶州、『冬のソナタ』のロケ地として有名になったチュンチョンなど、韓国へ37回の旅行経験を持つ。独学後、拓殖大学外国語講座、韓国語入門コースで韓国語を本格的に学びはじめ、その後、複数の韓国語スクールを経て、現在は欧米・アジア語学センターの少人数クラスを受講中。

インタビュー

−−プロフィールを拝見して驚いたのですが、韓国には今までに30回以上も行かれているのですね。韓国語の勉強を始められたのも、韓国旅行がきっかけだったのですか。
門脇さん
本にも書いたように、会社の同期の友人たちとはじめて旅行したときに韓国の楽しさを知り、それから何度も足を運ぶようになったのですが、はじめのうちは韓国語に全く興味をもてなくて、むしろ”ハングル酔い”をしたくらい。特に勉強したいという気持ちはありませんでした。観光地で買い物をする程度だったら日本語でも十分通じますし……ただ、旅行する回数が増えるにつれ、韓国語で最低限の会話ができるほうがいいかなあ、と思いはじめて、旅行向けの会話本を購入したんですね。 で、そこにのっている簡単なフレーズを使ってみたら、意外に通じて、お世辞でしょうけれど、現地の人に「お上手ですね」と褒められたんです。気分がよかったですし、今まで知らなかった言葉が通じたことで、自分の世界が大きく広がっていく感じを抱きました。
−−そうした気持ちが、本格的に韓国語を勉強してみようという思いに発展し、韓国語の学校に通うようになったわけですね。
門脇さん
学校に行ったあとで、また会社に舞い戻って仕事をしたりすることはありますが、特に苦労を感じたということはないですね。ただ、仕事がどんなに忙しくても、授業は休まないようにしています。そのため、授業の時間に間に合わせようと、会社から学校までタクシーで駆けつけることもよくあるので、通学費は馬鹿にならないかもしれません。
−−会社の人は、門脇さんが韓国語を勉強していたことはご存じだったのですか?
門脇さん
実は、今まで、韓国語を勉強していることを会社では公にしていなかったんです。仕事の関係で、めったにかかってこない韓国語の電話をたまたま上司に取り次いであげて、「えっ、喋れるんだ!」「ええ、実は、ちょっと……」と個人的に明かしたことなどはあるのですが。ですから、会社の人たちは、私が韓国にしょっちゅう行っていたことは知っていましたが、韓国語の勉強までしているとは思っていなかったようで、今回、本を出したことは2重の驚きだったようです(笑)。
−−本の中では、実体験に基づく韓国語学習のノウハウが数多く解説されています。ご自身が教わってきたなかで、印象に残っている韓国語の勉強のコツがあれば教えてください。
門脇さん
韓国語を知らない人にも分かりやすい例を1つあげると、初級クラスのとき、日本人の先生から、韓国語を漢字で読む場合の規則を先に覚えてしまうようにと教わりました。韓国語は、ハングルで表記されていますが、実は、語彙の約70%は、漢字に由来しています。つまり、韓国語の多くは、日本語と同じように漢字で表すことができるわけです。もっとも、漢字の読み方は、日本語のように複数あるわけではなく、ほぼ1つです。たとえば、「会」は「ヘ」、「議」は「ウィ」という読み方しかありません。そこで、ハングルの発音が「ヘウィ」となっているような場合、「会議」という意味ではないかと推測できるわけです。このように、漢字の知識を利用して韓国語への理解を深める方法は、まさに日本人ならではの学習法だと思い、特に印象に残っていますね。
−−韓国語を勉強してきて、仕事や実生活などで役だったと感じることはありますか。
門脇さん
今、韓国に旅行する人って多いですよね。やはり韓国に私は愛着をもっていますから、この国を嫌いにならないで帰ってきてほしい、満足のいく旅をしてほしいという思いがあります。そのため、自分の周りで韓国に行くという人がいると、「宿泊するならどのエリアがいいか」「どの店がおいしいのか」などなど、自分にできるアドバイスを積極的にするよう心がけています。そういうアドバイスをする中で、韓国語についての知識が役立つことはよくあります。「こんにちは」「ありがとう」という簡単な韓国語を、カタカナ書きして教えたり、アカスリをしたいという人があれば、顔なじみの店を紹介し、「私の友人なのでよろしくお願いします」と店長にあてたメモを韓国語で書いて手渡したり……。旅行から帰ってきた友人が、「すごいよくしてもらえた」と喜んでいる姿をみると、私自身も嬉しくなりますね。
−−本の中で、韓国ドラマを使った勉強法を解説していますね。勉強仲間と夜通し韓国ドラマを丸ごと1シリーズ見続けるビデオ合宿の話は実に楽しそうでした。ところで、韓国語の勉強のためにドラマを見る際、何か気を付けておいたほうがよいことはありますか?
門脇さん
勉強という意味では、チェ・ジウさんの発音は舌足らずなので、そのまま真似してしまうのはよくないかもしれません。女性が韓国語の発音を勉強するのであれば、はきはきしている女優さんのほうがいいですね。たとえば、『オール・イン』にでているソン・ヘギョさんや、ペ・ヨンジュンさんが主演の『ホテリア』でヒロイン役を演じていたソン・ユナさんがお勧めです。  それから、ソウルではなく、地方の田舎を舞台にしたドラマだと、登場人物の発音になまりが入っています。やはり、最初に勉強するのであれば、標準語のほうがいいと思うので、そういうドラマは避けた方がよいでしょう。  また、同じような意味で、時代設定が古いドラマも注意が必要です。たとえば、今、NHKBSで放送している『宮廷女官 チャングムの誓い』 は、16世紀初頭の韓国の宮廷を舞台にしていて、登場人物のセリフが、日本語でいうと「そちも悪じゃのう」という言い方になっているんですよ。これが普通の韓国語だと思って韓国人の前でセリフを真似してしまうと、「この日本人、なんでこんな古くさいことばで喋っているんだろう?」と思われてしまうかも。あと、自分と似ている声質の俳優をお手本にするとよいと思います。声質が同じだと、聴き取りやすく発音を真似しやすいですから。
−−これから、新たに挑戦したいことは何かありますか?
門脇さん実は、今度は、中国語の勉強をしようと思っています。日本の言葉の多くは、たぶん、中国から韓国を経て、あるいは中国からダイレクトに日本に伝わってきた。そういう観点から、語源となっている言葉を、韓国、中国とさかのぼって勉強してみるのも楽しいかなと。面白いことに、私の周りの韓国語の勉強仲間にも同じことを考えている人が多く、すでに中国語をかじり始めている友達もいます。彼女がいうには、やはり中国語の言葉の中には、日本語以上に、韓国語の発音によく似たものが少なくないそうです。
−−先ほど、もともとは中国語も勉強の選択肢に入っていたとおっしゃっていましたから、そういう意味でも中国語に挑戦されるのはごく自然の流れなのかもしれませんね。いつかぜひ「中国語がペラペラになった私の勉強法」も読ませてください。本日はありがとうございました。
体験談を交えて勉強法を語るスタイルの語学入門書は、英語では一般的だが、韓国語では全くはじめて。そうした新しい試みが注目を集めたのか、版元である中経出版の話によれば、『韓国語がペラペラになった私の勉強法』は、発売からわずか2週間で増刷されるなど、同社発行の語学書としては異例な勢いで売れている。「これまで勉強してきた過程では正直、足踏みしたときもあって、もっと効率よく勉強していたら、もう少し早く韓国語が上達していたと思います」という門脇さん。これから韓国語の勉強を始める人には同じ間違いを繰り返してほしくないーーーそうした思いから、自らの失敗談・反省点についても本書では率直に述べられている。まだ勉強を開始していない人はもちろん、始めたばかりの人も、そこから韓国語の学習に役立つ貴重なヒントを数多く得られるはずだ。

このページの先頭へ