楽天ブックス 著者インタビュー

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手帳を駆使した時間管理のエキスパートとしても知られ、ビジネスパーソンから絶大な支持を集める佐々木氏が、就職に悩める若者に向けて書き下ろした新著が『シゴトのバイブル 入門編』だ。そこには、シンプルだがこれぞシゴトの本質ともいうべき内容が、ぎゅっと凝縮されている。ワークライフバランスの見直しが叫ばれる今、すべてのシゴト人が、「何のために働いてるの?」と、自分に問うてみたくなる1冊だ。日々のシゴトがクリエイティブで楽しくなる秘訣について、佐々木さんに伺った。

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シゴトのバイブル 入門編『シゴトのバイブル 入門編』
コミュニティーサイト「イー・ウーマン」で一躍有名に。オリジナル手帳「アクションプランナー」、著書『ミリオネーゼの手帳術』も大ヒット!「とくダネ!」コメンテーターなどで活躍する著者の、シゴトで磨かれるためのアドバイス。
1,260円(税込)
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プロフィール

佐々木 かをりさん (ささき・かをり)
1959年、神奈川県生まれ。上智大学外国語学部卒業。米国エルマイラ大学に留学。在学中より通訳として活躍。’87年、70言語対応のコミュニケーションのコンサルティング会社(株)ユニカルインターナショナルを設立。’89年にはプロ意識のある女性のネットワーク(NAPW)を設立。2000年、(株)イー・ウーマンを設立、コミュニティーサイトイー・ウーマン開設。’96年より毎夏、「国際女性ビジネス会議」開催。日本で活躍する女性13人として、96年4月来日中のヒラリー・クリントン氏との昼食会にも招かれる。
フジテレビ「とくダネ!」コメンテーター。多摩大学客員教授。各種政府審議会委員、大手企業などの経営諮問委員を務める。「ニュースステーション」元リポーター、「CBSドキュメント」元キャスター。
2児の母。海外渡航歴約30ヶ国。

インタビュー

−−『シゴトのバイブル 入門編』は、どんな方にどんな風に読んでほしいですか?
佐々木さん就職を意識し始めた大学生や、シゴトを始めて10年以内くらいのの20代の方にぜひ読んでほしいです。「シゴトってなんだろう?」「どんな風にシゴトを選んだらいいんだろう?」と自問自答している人たちに贈る、私の体験の分かち合いです。せっかく就職した会社を「想像していた仕事と違う」と短期間で辞める人たちも少なくないと、いくつもの企業から聞きます。本当にもったいないことです。インターネットの影響もあってか、行動より、情報過多になっている人が多いからだと思うんです。だから「シゴト」の本来の目的を一人ひとりが考えてみる機会を持って欲しいという気持ちで書きました。
−−「いくら合わない場所でがんばってもダメで、本当に好きな仕事でなければ成功できない」という考えも一方にはあると思うのですが。
佐々木さん「絶対転職するな」とは言わないけれど、環境のせいにして短期的な結論を出すと、他の場所でも同じことになってしまいます。自分自身の視点を変えてみたり、仕事へのアプローチの仕方を改善してみることが、まず最初。相手や環境を動かすためにも、自分がまず変化しないと。

だって、待っているだけで自分にピッタリ合う職場が現れることなんて絶対にないでしょう? 毎日、熱心なシゴトを積み重ねていくからこそ、「天職」につながるのです。辞めた職場を誇れるようにして辞めたほうが、結局自分のトクにもキャリアにもなります。

私自身、20代で、当時人気ナンバーワンの「ニュースステーション」のレポーターに思わぬきっかけから採用された経験があります。誰もがなりたい憧れのシゴトに抜擢されましたが、実際の現場は厳しい。新人だからといって、学びのステップが用意されているわけではなかったのです。

一流の人たちの集まる熱気がある職場だけに、未熟な私は手も足も出ない無力感を感じました。でも、ここで辞めては自分のためにならないと感じたんですね。自己流で2ヶ月目から取材し、番組に出演し、繰り返しシゴトをしながら、やっと3年目ぐらいから、取材やレポートの面白さ、ダイナミズムがわかってきました。1〜2年で辞めなくて本当によかったと思います。そしてその後も、世界各国で取材し、貴重な学習をしました。自分の経験から考えると、「石の上にも6年」(笑)だと思いますよ。

−−特に女性は、お茶汲みやコピー取りの雑用やルーティンワークを与えらることが多く、「こんなはずでは…」となってしまいがちではないでしょうか?
佐々木さん「与えられているシゴト」は合っているシゴトなんですよ。上司が部下にシゴトを依頼するときだって、意地悪して不得手なシゴトを命じても、会社にとってメリットがないでしょう? お金と時間をかけて選びぬいて採用したのに、合わないシゴトを与えるわけがないんです。本人が適性に気付いていなくても、上司が見抜いて与える場合が多い。与えられたシゴトは自分に合ってるから、巡ってきた、と思ったらいいのではないでしょうか。

それに、コピー取りって、すごく面白いと思いませんか? どんなに簡単だと思えるシゴトでも、依頼した人の気持ちになって自分なりに工夫することで、初めて「シゴトをした」といえます。上司のコピー取りを積極的に引き受けて、渡す途中に目を通して情報を得る人だっています。お茶を出すのだって、すごくいいチャンス。普通は入れない会議に10秒といえども入り込めるんですから! こういう発想が出来る人は伸びるんです。チャンスを与えられれば、すぐに上に上がれる。

私だったら、コピーをきちんと取れない人に、さらなるシゴトは与えません。熱すぎるお茶や薄〜いお茶を入れる人にも、「もう頼まないでおこう」と思います。おいしいお茶をタイミングよく出せる人には、違うシゴトを任せたいと思うのは当然のことです。

お茶汲みをしているから昇進しないのではなく、今のシゴトへの取り組みが足りないからだということに気付かなくては。必ず見ている人は見ていますよ!

−−佐々木さんのシゴト人生は、高校1年生のころのチラシ配りから始まったと伺いましたが。
佐々木さんええ、大好きなチューリップのコンサート会場で、知りあったレコード会社の人に、チラシ配りのアルバイトを頼まれたことがきっかけです。その後、そういったシゴトを継続してやってみようと、電話帳でコンサートのプロモーション会社を探し、自らアルバイト先を開拓したんです(笑)。とにかくよく働いたので、チラシ配りから、チケットもぎり、ミュージシャンの楽屋の雑用係と、アルバイトとして、どんどん出世していきました(笑)。
そうそう、当時のアルバイト先で知り合った方々が、今でも様々な企業から、シゴトを下さるんです。ばったりお会いすると「懐かしいね。応援してるよ!」と声をかけられたり。本当に嬉しいですね!
人は、出会いの数と体験の数で器が決まるもの。いいシゴトをして、出会う人たちといい関係をつくると、次のチャンスを持ってきてくれるんですね。
−−新著に「プラスの変化を起こす人でありたい」とありますが、佐々木さんがそのことに気付いた具体的なきっかけは、どこにありましたか?
佐々木さん10代の頃から、いつも、期待されていた以上のシゴトをしていましたが、よく考えてみると「迷惑をかけないように」、つまり「マイナスをつくらないように」という発想だったと思います。

でも、24才の頃、ビジネストレーニングに通訳者として関わり、「win-win」の発想に触れる中で、「マイナスをつくらないだけでは、最高がゼロ。プラスを生み出すことが大切」と痛感したのです。

例えば、それまでの私は、掃除を頼まれたら、依頼主が気付かない細かなことまでやり、10頼まれたとこを12やることで、人の役に立ちたいという気持ちでした。これでは、「マイナスを作らない」シゴトの仕方なんです。
私から「お手伝いしましょうか?」と言うことはなかった。言われないことをやるのは、相手から断られるリスクもあるからです。それに気付き、震えがくるぐらい愕然としました。

これまでの自分の生き方は、プラスを生み出していなかった。プラスを生み出すほうが生きている甲斐がある。そのことに気付いてからは、プラスを作ることに挑戦していきたいと思いました。

−−日本では、まだまだキャリア教育がなされていない状況ですが、今後、しっかりしたキャリアを個人が描くためには、どういった社会の取り組みが必要だと思われますか?
佐々木さん現在、中央教育審議会の委員でもあるのですが、キャリア教育もテーマに上っています。私個人的には、「自分が何に向いているか」なんて、小中高校生でしっかり決まらなくてよいと思います。私自身、会社を立ち上げるなどと考えたのは、25歳を過ぎてからだったと思います。

まずは、自分の足で生きていくことを、しっかり覚えることが大切なのでしょう。厳しい言い方かもしれませんが、「働かざるもの食うべからず」です。屋根があって、水が出て、トイレもある、という生活がどうやって出来上がっているのか。自分が1円も稼がないで継続できる生活は不自然だと思わなくては。そうすれば、何か自分でやってみようと思うはずです。

私が、高校でアルバイトを始めたのは、親からのお小遣い3000円ほどをもらいたくなかったからです。自分でお小遣いを稼ぐので、それまで以上にモノを大切にする気持ちが増したと思います。

−−子どもの頃から「将来●●になりたい」と、具体的な職業を決めつけない方がよいのでしょうか?
佐々木さん強く思ってその道を歩むのもいいですが、そうでなくてもまったく問題ない、と思います。むしろ、決めなくてはならないという圧力はプラスの影響がないと考えています。

実際の社会では、「企画をやりたい」「編集をやりたい」と決めても、シゴトの中には経理など事務的なシゴトも含まれます。シゴトというものは、幅を持ったものです。例えば、料理人だって、料理を作るだけではなく、材料の管理や発注をすること、時にはお皿を洗うこと、キッチンを磨くことも、シゴトでしょう。

キャリア教育では、「自分の使うものは自分で賄う経済力を持ちなさい」ということと、自分が生きるためにもっとも大切な、「人のためになりたい」という気持ちを生み出すことこそが重要だと思います。働くことは、自分が社会に貢献すること。人に喜びを与えること、人の役に立つこと、プラスを残すこと、その見返りが、お金だと考えればいいですね。

−−ライフワークバランスの見直しが叫ばれている昨今ですが、シゴトと育児の両立など、佐々木さん御自身のライフワークバランスを保つための秘訣をお知らせください。
佐々木さん「両立」という言葉は、私は使わないんです。2本の柱が屋根を支えるように、シゴトと育児が常にまったく同じ太さと長さであり続けることをイメージさせるでしょう。それは不可能。

ですから私は、1人の人間としてどちらも楽しむことをイメージして、行動しているんです。具体的には、「自分の人生をどれだけ豊かに過ごし、プラスを残せるのか」を念頭に置き、シゴトも育児も長期的に見たときに成果があるように、自分の人生をタイムマネジメントしていく、と考えています。短期間、単体では評価をしないこと、です。

昨年から、会社のスタッフにも、18時にシゴトを終わらせ、家に帰ることを推奨しています。早い日は、18時30分くらいに社員が誰もいない日もありますよ(笑)。私も19時ぐらいに家に着いていれば、子どもと食事をしたり、お風呂に入ったり、本を読んだりと触れあいの時間を持てるのです。もちろん、講演などで夜遅い日はありますが、自ら夜の会食を入れることはありません。

−−最後に、キャリアアップや自己実現を求めて悩んでいる方に向けて、アドバイスをお願いします。
佐々木さん「もっとリラックスしていいよ」と言ってあげたいですね。人生は長い。どうせ生きるなら、楽しく笑顔で生きたほうがいい。だから「ありがとう」と周りの人に言ってもらえるシゴトへの取り組みをしましょう。

キャリアアップや自己実現、などといった言葉に惑わされず、「今日よりももっと周りの人を喜ばせるには、明日は、自分を、どう変えればよいか」という風に、毎日考えて、行動すればいいと思います。

「どうぞ」のひと言をそえてお茶を出すなど、ちょっとした工夫の積み重ねで変化が起きます。「ありがとう」と言われることを密かな目標としてみてください。「うれしい」と思ってくれる人を増やすことで、将来、その人たちがあなたにチャンスを運んできてくれることがあるかもしれませんよ。

−−本日は、本当にためになるお話をありがとうございました!

2社の社長で2児の母。美人で語学が堪能で、絵に描いたような憧れのキャリアウーマン、佐々木さん。
実際にお会いした佐々木さんは、小柄な体から溢れんばかりのプラスのエネルギーを周囲に与えてくれる、凛としたまっすぐな方だった。
若い読者ばかりではなく、私のような子育て中の女性にとっても、開眼させられるヒントが満載のこの本。シゴトだけではなく、ふだんの生活にも応用できる手法ばかりだ。
お茶汲み、コピー取りの仕事で鬱々と過ごしていたOL時代の自分にタイムトリップして読ませたい内容だ。「もっと早くこの本に出会っていれば、人生変わっていただろう」と思う。そして、「今からでも変われる」と勇気が湧いてくる。
充実した人生を送りたいと願うすべての人、必携のバイブルだ。
【インタビュー 常山あかね】


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