楽天ブックス 著者インタビュー

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「十代も大人も夢中になれるエンターテインメント小説」に与えられる文学賞としてスタートした「ポプラ社小説大賞」。記念すべき第1回目の大賞受賞作品が方波見大志さんの『削除ボーイズ0326』だ。過去を3分26秒だけ消去できる機械を手に入れた小学生たちは、その機械を何に使うのか?そして、彼らが直面した悲劇とは?ユニークな物語をつむぎ出した新人作家、方波見さんにお話をうかがった。

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『CUBE』「大好きですね。とくに最初の犠牲者が出るところと、ラストシーンが好きです」
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『ケツメイシ「さくら」』「『削除ボーイズ0326』を書いていたときに聞いていた曲です。ほかにはレミオロメンの『粉雪』が好きですね」
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ポプラ社大賞の本

『アンクレット・タワー』
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『ミツメテイタイ』
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プロフィール

方波見 大志さん (かたばみ・だいし)
1980年生まれ。『3分26秒の削除ボーイズ ―ぼくと春とコウモリと―』で、第1回ポプラ社小説大賞を受賞。この秋、タイトルを改題した『削除ボーイズ0326』が刊行された。

インタビュー

方波見 大志さん

−−第1回ポプラ社小説大賞受賞おめでとうございます。小説はいつごろからお書きになっているんですか?
方波見さん初めて書いたのは5年くらい前ですね。そのときは小説家になろうと思っていたわけではなくて、自分には何が合っているのか探していた時期でした。 とりあえずゲームのシナリオと150枚くらいの小説を書いてみて、小説のほうにより興味を惹かれたので小説を書くようになったんです。
−−ゲームも好きだったんですね。
方波見さん好きです。ゲームにしたら面白いだろうな、と考えながら書いていたこともありました。それに、もし人を惹きつける絵が描ければマンガ家にも挑戦してみたかったです。
−−主人公たちは小学生です。ご自身の小学生時代を思い出しながら書いたのでしょうか?
方波見さん基本的に参考にはしていません。ふと思い出したことを入れたりはしてますけど。小学生高学年から中学くらいまでは時代によって変化が激しいので、参考にしても今の人たちの共感は得られないだろうと思いました。ただ僕たちが中学生のときは主人公たちのような気の配り方はしていたので、今の子たちなら小学生でもやってるんだろうなとは思いました。書いているときは「現代の小学生」みたいなテレビ番組なんかは欠かさずに見ていました。友達、教師、親に挟まれて今の子供、それから教師や親も大変だなぁとつくづく思いました
−−小学生の話にしようと思ったのは?
方波見さん主人公を小学生にしたのはポプラ社を意識してですね。それと、以前、公募賞に応募した作品がつじつま合わせで四苦八苦した小説だったのですが、最終選考に残していただいた選評の中でドラマ性がおろそかになっているとの指摘を頂いて、ああなるほど、じゃあ今度はドラマ優先で書いてみよう、と思いました。
−−方波見さんご自身はどんな少年時代だったんですか?
方波見さん幼稚園の時まで遡ると、好きなことにはものすごく知識を深めるんだけど、マイブームが去っちゃうとすっぱり忘れる、というタイプの子供でした。恐竜が大好きで年中博物館に行っていたり、車がマイブームで通りすぎる車種をすべて当てられたりしたらしいんですが、いまは何一つ覚えてません(笑)。  小学生の時は、まったく普通の子供でしたね。サッカーが好きで外で遊んでいました。読書好きではなかったですね。小さいときに読んだのは『シートン動物記』や『ファーブル昆虫記』とかくらいです。これらもたぶんそのときに動物や昆虫がマイブームになっていたからだと思うんですけど。そういえばポケットにダンゴムシをパンパンに詰め込んだりしていたんですけど、今では虫は大の苦手です(笑)。  中学に入ってからはマンガが好きになりました。ちょうど『DRAGONBALL』が盛り上がっていた頃で、自分でもまねてイラストを描いたりコマを割ってストーリーを考えたりしていました。あとは勉強がマイブームで、成績はよかった方だと思います。競いあうことが好きだったんですね。  高校に入った直後にモラトリアムに陥りました。それまではなんとなく将来は科学者になるんだろう、と思い描いていたんですが、自分に向いていないんじゃないかと思い始めて、だったら何になりたいのか、と考えるようになりました。
−−ストーリーとキャラクター、どちらを先に考えたのでしょうか?
方波見さんこのところは流れ作業的に物語を考えていたので、細かいことはもう覚えていません。ネタ帳を作って書きとめておいたものから、そのとき一番書きたい物を書いて新人賞に応募していました。今までもそうなのですが、主人公とされる人物にはわりと深刻な試練を与えることが多いです。今回は、兄を救うためにはどうすればいいか、と考えていったんだと思います。  プロットノートを持ってきたんです(とバッグの中からノートを出して見せてくださった。中には細かい字でびっしりとストーリー展開がブロックに分けて書かれている)。  最初に登場人物の関係性みたいなものを書いて、それから起承転結を書いてきます。はじめは、全文を手書きで書いてからパソコンで清書する、というのをやってましたけど、いまはプロットノートに細かくストーリーの展開を書いてからパソコンで直接文章を書いています。いまはこのやり方に落ち着きましたね。これから変わるかもしれませんけど。
−−小説を書くようになったのは大学生になってからですか?
方波見さん浪人時代ですね。志望が変わったりして、大学に入るまで三年かかっているんです。物理や生物、医学部なんかも志望しました。全部理系です(笑)
−−小説をお書きになった頃、ほかの作家の小説は読んでいましたか?
方波見さん自分で書き始めることから読むようになりましたね。とくに好きだったのが沙藤一樹さんの作品です。『X雨』というホラー小説が印象的でした。初読では意味がわからなかったんですが、読み返すうちに影響を受けて「自分もホラーを書いてみたい」と思ったんです。2作目に書いた作品は全編二人称だったのですが、奇をてらう書き方がよかったのか公募賞の最終選考に残していただきました。それからですね、具体的に小説家になりたいと思うようになったのは。
−−ホラーをお書きになっていたんですね。たしかに『削除ボーイズ』にもちょっと怖いところがあると感じました。前半は小学生の、ジュブナイルっぽい話からスタートするんですが、後半はかなりシリアスな展開になりますね。決して子供向けという印象ではないですね。
方波見さんポプラ社が一般書をたくさん出していて、今回の賞も一般文芸作品を募集しているというのは、実は応募してから知ったんです。ポプラ社を意識して子供を主人公にしたつもりだったので、「こりゃダメだな」と思いました(笑)
−−いや、子供向けという感じではないですよ(笑)。ホラー作品を志向されていたということは、怖い話を考えることが好きなんですか?
方波見さん怖い話を考えることは好きですけど、書くのは下手でした。初めはホラーとして構成するんですが、できあがるものはまったく怖くないんです。致命的でした(笑)。他にはミステリーやサスペンスも好きですね。次にどうなっていくのか、読者をハラハラさせるような物語が好きです。
−−登場人物たちのなかで、好きなキャラクターはありますか?
方波見さん主人公の妹ですね。唯一、何も考えないでその場の雰囲気で書いたキャラクターです。
−−ちょっと変わった言葉遣いの女の子ですね。
方波見さん変なしゃべり方をするので、校正者の方から「これでいいんですか?」とチェックが入ったんですが「妹はこういうしゃべり方をするから、これでいいんです!」と押し切りました。妹が出てくるところを書いている時には癒されましたね(笑)。
−−たしかに、ホッとさせてくれるキャラクターですね。キャラクター作りは入念にされたのですか?
方波見さん主要人物に関しては書く前にみっちりやりましたね。とくに主人公には、なりきるというか、役作りをするように集中して書きました。小学生にとっては重過ぎる二つの事件、ハルの事件と兄の事件を核としているので、あまりに幼すぎても話を解決に導けないと考え、乗り越えられるキャパシティーを持った人物にしようと思いました。小学生、という制限はなかなかネックになりましたが。
−−主人公だったらどうするかを考えるんですね。では、方波見さんご自身がKMDを手にしたら何に使います?
方波見さん消したいと思うことはたくさんあります。我ながらひどいできの落選作を応募しようとする瞬間、とか(笑)。ただ、実際に装置を持っていたとしたら、そういう、今の自分にも関わってきそうなことは結局は消せないと思います。それよりも、飼い犬に噛まれた、とかのこぢんまりしたことを消したいです(笑)。
−−なるほど(笑)。次回作を楽しみにしています。今日はありがとうございました!

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