楽天ブックス 著者インタビュー

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パソコンやケータイから手軽に送信できるメールのおかげで、ハガキや封筒からちょっと遠ざかってしまった最近。だけど、自宅の郵便受けに懐かしい人から、ポトンと封書が届くと、ほんわか、あったかい気持ちになったりしませんか? そんな手紙のアイデアを満載したエッセイ本を書いたのは、『anan』などで活躍中のイラストレーター木下綾乃さん。本の編集をしたWAVE出版・飛田さんといっしょに、手紙の魅力を語ってくれました。

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木下綾乃さん『手紙を書きたくなったら』『手紙を書きたくなったら』
手紙が大好きなイラストレーター木下綾乃さん。だれでも試せる、身の回りのものを使った工夫でステキな手紙にする方法やアイデアを、手紙にまつわるハートフルなエッセイにおりまぜて紹介した一冊。ディック・ブルーナさんに手紙を書いて会いにいった話や、アパートの住人との不思議な置き手紙のやりとり…。ポンとおすだけのはんこ、使い古された外国の切手、シーリングなどを上手に使って、人柄や個性をにじませるオリジナルな手紙を、あなたも出してみませんか?
1,400 円(税込)
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木下綾乃さんの本!

ブックカバー『ブックカバー』
『わたしの鎌倉』
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プロフィール

木下綾乃さん (きのした・あやの)
イラストレーター。小さい頃からの手紙好きが高じて、切手・文具・はんこコレクターになる。封筒や便せんにひと工夫を加えて、友人に手紙を出すことが好き。最近はレターヘッドやポストカードを刷るために、活版印刷機を購入し、活字拾いの楽しさに目覚めた。『anan』など女性誌中心に活躍中。ホームページは http://kiino.net

インタビュー

−−はじめてお会いした木下さんは、はにかんだ微笑みの少女のようなイラストレーターさんでした。テーブルの上には、手作り封筒の手紙の束や、ハンコがはいった空き缶、切手帳などが所狭しと置かれています。あー、なんだかカワイイ手紙グッズがたくさんありますね。
木下さんいろいろ持ってきました(…笑…)。(透ける封筒の裏に印刷した紙をいれたものとか、さまざまな手紙を手にしながら)
−−木下さんの本と聞いて、最初はイラスト集かなって思いましたが、手紙に関する楽しいエッセイ本なんですね。きっかけは?
編集・飛田さんもともとイラストのお仕事を頼んでいたんですが、おつきあいするうち、静かななかにもマニアックなものをお持ちの方だって感じて(笑)。はじめは切手の本を…と思ったのですが、切手だけの本だと、ただの雑貨本になってしまう。もう少し間口を広げて、「手紙」というテーマにしていただきました。なにしろ、仕事で送ってくる請求書の封筒から、個展のお知らせまで、なんでもない手紙が、すごくかわいいんです。貼ってある切手も熟考してあって。手紙も大好きっていうのを感じていました。
−−普段のお仕事や、日常、出す手紙も、コダワッタものなんですね。
編集・飛田さんそうなんですよ! ケシゴムやクリップといったオマケがはいっていたり、宅急便までかわいい封筒に入っていたり。そういう、なんでもないところの工夫が、受け手をうれしくさせるんですよね。
木下さん…そういわれると、そういうことをやっていますね…。
−−そういうお仕事をいただいて、いかがでしたか?
木下さんすごくうれしかったんですけど、自分では、そんなにこだわっているつもりはなくて。もともと切手はすごく好きだったので、本にするのもいいかなって思ったんですけど、手紙となると、かえって普通のことになってしまっていたので、ちゃんと本に書けるか、けっこう不安でした。ですけど、すぐに思い入れとか、さまざまな思い出が甦ってきて、書くこともいろいろあるなぁというカンジで…、海外文通とかアパートの置き手紙とか、いろいろ…。
−−そうですね。手紙を楽しむためのノウハウもたくさん書かれていますが、書かれているエピソードのひとつひとつ、どれも「いいお話」ですね。アパートの置き手紙なんか、数年前に放送されていた『すいか』っていうドラマを思いだしました。(注:『すいか』日テレ系で放映。東京・三軒茶屋を舞台に、古い洋館の下宿アパートにさまざまな年代の女性たちが住んでいるテレビドラマ)その中のエピソードみたいでしたね。書かれたものの、絵が浮かんでくるようなお話ですね。とはいえ、本業のイラストではなく、文章のお仕事はいかがでしたか?
木下さん6月ぐらいに企画が通って、原稿のしめきりが9月1日。なので夏休みの宿題みたいに、冷房がない中、汗をダラダラかきながら、書きました。最初は、普段、あんまり文章を書かないので、苦労したんですけど、後半は、身体が慣れてきたので、書くこともすごく楽しくなりました。
−−本を作る過程で、一番楽しかったところは?
木下さん撮影がすごく楽しかったです。撮影も自宅でやりまして、スタッフもカメラマンさんも、みんな家に来てくれたんですよ。デザイナーさんが、撮影で使う小物にアイロンをかけてくれたり。ほんとに手作りの本になりました。掲載している品物も、全部、もともと持っていたものです。この本のために買ったりしたものとか、ないんですよ。だから、あまり気負わず、だれでも手紙を書いてみたいなって思ったときに、身の回りにあるもので工夫して、すぐできるような内容の本になっていると思います。
−−散りばめられてるアイデアだけをみても、すごくいろいろできそうですね。いままでの暮らしの中でずっとやってこられたっていうのは、やはり手紙がお好きだったからですか?
木下さんそうですね。紙ものが好きで、やはり手を動かすことがすごく好きなんでしょうね。すごくちっちゃい時から…。で、なんだろう…(しばらく考えて)。そういう好きな要素がすべてあるのが手紙なんですね。小物も入れられるし、印刷とかも好きなんですけど、あとハンコ(スタンプ)もできるし、タイプライターも持っているので、文字を打ったりするのも好きだし、切手は小さな絵だし…。雑貨も印刷物も好きで、絵を書くのも、文字を書くのも好き。それが全部できるので、きっと手紙が好きなんじゃないかなぁ…。
−−好きなものの集合体みたいなものなんですね。
木下さんそうですねー(微笑んでいる)。
−−読ませていただいてすごいなって思ったのが、ディック・ブルーナさん(オランダの画家。ミッフィーちゃんの作者)に、手紙を書いて会いに行った話ですね。思ったことと実行を、直接、結びつけることができる人なんですね。
木下さん住所と手紙の送り方を聞いて、ほんとにすぐ手紙を書きました。翌日、EMS(国際スピード郵便物)の速達で出しました。
−−そういう風に手紙を出して、人に会いにいかれることって、ほかにもあるんですか?
木下さんイラストの仕事をはじめた時なんかも、絵に手紙を添えて、好きな雑誌にファンレターを出す…じゃないですけど、「いつも拝読しております」「とてもステキな雑誌なので、送らせていただきました」みたいなことを書いて、送ります。それを読んだ編集の方から「じゃぁ、来てください」みたいなお返事をいただいて、それでお仕事になったりとかしたことがあります。最初は、ずっとそうでしたね。
−−すごくいい自己紹介ですね。
木下さんブルーナさんの時も「昔から好きでした」みたいなことを書いたのですが、素朴な文章のほうが伝わると思うんですね。営業みたいなお手紙も、手紙の実用書とかを読まずに、自分の言葉で書いていました。ほんと半分、ファンレターみたいなカンジですね…。それから、気に入っている、絵を展示したい画廊やギャラリーにも、そういう手紙をだして、展示をしたことがあります。
編集・飛田さん手紙はメールよりウソをつけないんですね。やりたくない雑誌に心をこめた手紙は書けないものです。木下さん自身、すごく正直な人なので、それが手紙を書くっていうスタイルにつながっているんじゃないかなって思います。社交辞令の手紙って苦しいですもんね。自分の気持ちを素直に書くから、手紙って楽しいんです。
−−たしかに手紙は、相手に、どこか真意が伝わってしまうようなところがありますね。さて、この本の中には、切手とスタンプのいろんなコレクションも紹介していますね。
木下さんはい、いくつか、今日も持ってきました。(と、コレクションを見せてくれる)
−−かわいいー。ちゃんとした切手帳に入れてるんですね。
木下さんそう、郵政省が出してるストックブックに入れてます。こういうのがあと家に2冊ぐらいあって、全部で1000枚ぐらいはあるかもしれない…です。
−−木下さんはどういう基準で切手を買われるのですか?
木下さんあ、もう、パッと見で、デザインがいいなって思うものを。お気に入りは、外国切手だと(といって、本のページを開いて「外国切手コレクション」の「北欧切手」で紹介されている切手の実物を出して)これとか、実物はすごく印刷がきれいで色もあざやかなんです。これが今一番好きかなぁ。あとは消印の、このあたりとか。消印のハンコのデザインにもこだわり…ます。あとは普通の、日本でいったらメジロの切手みたいな、普通切手も最近好きです。文字だけのものもいいですね。
編集・飛田さん切手屋さんに連れていってもらって(こういった切手が買える店の情報もこの本にでてきます)、3枚100円でしたっけ、で、木下さんも買って、私も買って、終わってから近所の喫茶店で見せあうと、好みが違って、ホントにおもしろいんですよ。人柄がでるというか、切手占いが できるんじゃないかって思うくらい。みんなが切手帳を持っていると、その人の内面が見えてしまうかもしれません。
木下さんそうそう、傾向がちがいましたね。どうして、こんなにって思うくらい…。
−−で、そういう外国切手とかは、封筒の飾りにしたり、集めながら、いろいろな使い方ができるんですね。?
木下さんそうなんです。使います。プレゼントのラッピングに貼ったり、封筒の後側に貼ったりいろいろ使えますから、シールがわりにペタペタ貼っています。
−−本当に手紙の楽しみはたくさんありますね。では、人に手紙の良さを人にオススメする理由はなんでしょうか?
木下さん手紙のいいところは…やっぱりあの…、ゆったりした気分になれることだと思うんです。出す、相手の人のことを考えて、パッと思い浮んだら、机に座って手を動かす。そうすると、…なんでしょう…、メールよりも、自分の気持ちが素直に書けると思うんです。そうなると、向こうから返信されてきた返事も、メールより、断然おもしろいんです。もう一段踏み込んだ印象で…。

便箋を選ぶのもその人だし、ペンを選ぶのもその人。文字ももちろん、その人のその時の気分が表れるし、書く内容にも反映します。いろいろな情報が、きっとメールの数倍つめこまれていて、そういうことを意識せずに感じることが、手紙のいいところなんではないでしょうか。
−−なにか、書き手の気配とか、そんなカンジですね。
木下さんそうですね。手紙って、十人十色で、本当にその人っぽいものになりますね。手紙が届くと「その人がうちに来た」みたいなカンジがするんです。
−−ありがとうございました。私も手紙を書いてみたくなりました!
メールでは届かない、差出人の気配もいっしょに届ける手紙。そんな、人柄や気配をにじませるオリジナルな手紙にまつわるアイデアと心あったまるエピソードがタップリ書かれたこの本は、きっとあなたのハートにも、豊かな時間を届けてくれることでしょう。(インタビュー 波多野絵理)

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