楽天ブックス 著者インタビュー

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日本社会のなかでも頭角をあらわしてきたIT企業。その双璧ともいえるソフトバンクと楽天をテーマにしたノンフィクション2冊がほぼ同時に発売される。著者はどちらも児玉博さん。本人も含め、それぞれのべ300人、400人に取材を敢行して書き上げた、骨太のノンフィクションだ。その児玉さんに聞いた。

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児玉博さん『“教祖”降臨  楽天・三木谷浩史の真実』『“教祖”降臨  楽天・三木谷浩史の真実』
楽天の創業者・三木谷浩史を、その生まれから中学・高校・大学を経て今日まで追いかけた、ノンフィクションの評伝
1,470円(税込)
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児玉博さんの本!

成長点の秘密 あなたもネットワークビジネスで成功できる
『成長点の秘密 あなたもネットワークビジネスで成功できる 』
幻想曲 孫正義とソフトバンクの過去・今・未来
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プロフィール

児玉博さん (こだま・ひろし)
1954年、東京生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、ナショナルの住宅設備機器会社で設計積算、工事現場の監督を経験し、73年2級管工事施行管理技士免許を取得。その後、PBO東京マイクロフィルムセンターに移り、1級マイクロ写真士(1982年取得)として働きながら、在職中に行政書士の資格を取得する(1981年取得)。後に埼玉県大宮市の行政書士事務所に働き、このときにF社のネットワークビジネスに出会う。F社のビジネス理念に魅せられ、1983年、ゼネラルマネージャーとしてF社創業に参画。以来22年間、神奈川県を中心に東北・東海地方の担当者をかわきりに、現在、神奈川県、山梨県の営業所の責任者を兼任しながら、トップディストリビューターに向けて、グループの構築とビジネス展開理論をアドバイスしている

インタビュー

−−ソフトバンクの孫正義氏、そして楽天の三木谷浩史氏。2人についてまとめた本が、ほぼ同時に発売されましたね。
児玉さんどちらも雑誌「日経ビジネス」「日経ビジネスアソシエ」の連載をまとめたものです。孫さんの本「幻想曲」は、02年まで連載していた記事がベースになっています。 取材のきっかけになったのは、もともと私が長年追いかけていた旧大蔵省のスキャンダルなんですね。孫さんというすごい経営者がいる。キワモノ扱いされているけど、ぜんぜん消えない。そんなとき、ふと旧大蔵省の取材のなかで出てきた孫という名前を思い出したんです。調べてみるとこれは孫さんのお父さんだった。孫正義とはいったいなんなんだ? という思いが、すべての始まりだったと思います。
−−「幻想曲」は連載終了から出版までに2年半かかっていますが、これは内容をめぐって裁判を起こされたためとうかがいましたが。
児玉さんそうなんです。自分から言うことではないので本には書いていませんが、裁判は、最高裁までいきました。結果は、しっかりと取材していたことが認められて、私の全面勝利で決着しました。だから、本が出せた。訴えたのは、ライブドア騒動でも一躍有名になった北尾吉孝氏(SBI社長)ですね。彼の私財について記述した部分が争点になりました。ただこの2年半の間にプロ野球やフジテレビ問題などがあって、世間のIT企業への関心はものすごく大きくなっていますよね。まあ、結果論なんですが、2年半というブランクはあったけれど、ものすごくいいタイミングで出せたと思っています。本当に巡り合わせというか、偶然というか。本というのはそういうものかもしれないですね。
−−1番の読みどころは?
児玉さんやはり一番印象に残ってるのは、何度も足を運んだ孫さんの生地ですね。孫さんのおばあちゃんがリアカーを引き、一家がひっそりと暮らしていた場所です。ここから孫さんは、ソフトバンクという帝国を作りあげ、日本社会の既存の商取引や規制をつぎつぎ破壊することで自己実現を果たしていった。孫さんが輝けば輝くほど、日本経済の理不尽さが浮き彫りになって、言ってみれば日本経済の陰画紙のような人でもある。彼がどうやって天才経営者と呼ばれるようになったか、そしてどういうキャラクターの持ち主なのか、これは大きなテーマのひとつでしょうね。
−−おふたりのキャラクターを、どのように比較して見ていますか?
児玉さん孫さんは稀代の天才経営者として誰もが畏敬の念を持っているけれど、孫さんになりたいという人はなぜか少ない。一方で三木谷さんは、みんなが意識して目標とできる人。IT企業が誕生してから、さまざまな経営者が登場していますが、こうやってロールモデルになれるような人は、考えてみるとそうはいないんですね。孫さんはこの先、世間を驚かせるようなことをやっても、もう世間が驚かない気がするんです。一方、三木谷さんにはこれからも展開があるように思います。 孫さんは、まさに1000回分の人生をひとりでやってきたようなところがあるじゃないですか。その孫さんのやってきたことを、制度として作っていくのが、次の世代、三木谷さんたちかもしれない。というか私としても、そこはぜひぜひやってほしいという思いですね。
−−社長本が人気ですが、これから取り上げたい人はいますか?
児玉さん 社長じゃないですが……ブッシュ大統領かな(笑)。まあ、誰でも、会えば会ったで、おもしろいんですよ。ただ、何か自分にひっかかるものがないと、通り一遍の伝記のようなものになってしまう。三木谷さんの場合ですか? そうそう。最初は、なんでこの人ヒゲを生やしたんだろうというのが、ひっかかりでした。それからもうひとつ、今やろうとしていることがあって。ホリエモンは高校時代、17キロの道のりを、毎日自転車で学校に通っていたそうなんです。ここは近いうち訪ねて、自分でもチャリこいでみようと思ってます。この長い道のり、何を考えながらペダルを漕いだんだろうとか思いながらね。
「三木谷さんの取材で何度も来た場所。感慨深いですね」。そう言ってインタビューのため、楽天ブックス本社に登場した児玉さん。「時代の観察者」という姿勢は、本のなかの淡々とした口調にもあらわれています。

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