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収納のカリスマ、近藤典子さんが初めて明かす暮らしを楽しくするユニークレシピが満載!

近藤典子さん
 収納の達人として人気を集めている近藤典子さんが、なんとレシピ本に挑戦!とはいえ収納のみならず、モノ選びから人が集まりやすく、家事がラクで、気持ちにゆとりが生まれる理想の家づくりにまで取り組んできた近藤さんのこと、これまでのお料理本とはひと味違います。「家の中をきれいに片づけるには、人を呼んでお食事するのが解決策」という独自のテーマに基づいた1冊が紹介しているのは、肩肘の張ったものではなく、どこの家にもある素材にひと工夫加えたメニューばかり。「十八番があると、暮らしが楽しくなる」と語る近藤さんが、調理はもちろん、自らテーブルセッティングまでして完成させた初のレシピ本、さらに楽しく暮らす秘訣について伺いました。


近藤典子さんの本


『近藤典子の十八番レシピ』
『近藤典子の十八番レシピ』
グラフ社
1,000円(税込)

『近藤典子の家づくり』
『近藤典子の家づくり』
集英社
1,680円(税込)

『近藤典子の収納10の常識& 100の実例』
『近藤典子の収納10の常識& 100の実例』
扶桑社
980円(税込)

『近藤典子が建てた家』
『近藤典子が建てた家』
角川・エス・エス・コミュニケーションズ
1,400円(税込)

『近藤典子の収納の基本』
『近藤典子の収納の基本』
主婦の友社
1,260円(税込)

『近藤典子のモノ選びの基本』
『近藤典子のモノ選びの基本』
角川・エス・エス・コミュニケーションズ|2007年 03月発売
980円(税込)

『近藤典子の収納テク決定版!カリスマの教え』
講談社
1,000円(税込)

『近藤典子の快適!生活Gメン(DIY編)』
『近藤典子の快適!生活Gメン(DIY編)』
角川・エス・エス・コミュニケーションズ
890円(税込)

『近藤典子の片づけが生んだ奇跡』
『近藤典子の片づけが生んだ奇跡』
小学館
1,260円(税込)

『近藤典子さんの収納で暮らしキレイ』
ベネッセコーポレーション|1999年 05月発売
800円(税込)


プロフィール


近藤典子さん (こんどう・のりこ)
アメニティアドバイザー、インテリアコーディネーター。1957年神戸生まれ、大阪育ち。引越しの荷づくり、荷ほどきサービスの仕事を通して2,000軒以上の暮らしの悩みを解決してきた経験を基にした収納スペースをはじめ、家事指導、掃除術など、近藤流の暮らしの提案が好評。テレビやラジオ、雑誌などのメディアでの活動のほか、講演会、企業の商品開発アドバイザーなど幅広く活躍中。近著の『近藤典子のモノ選びの基本』(レタスクラブ)、『近藤典子の片づけが生んだ奇跡』(小学館)、『近藤典子の家づくり』(集英社)ほか著書多数。
近藤典子 Home & Life研究所 : http://www.hli.jp/

インタビュー


−−近藤さんがお料理の本を出されるというのは正直、意外でした。近藤流なのだから、ひょっとして整理整頓されたレシピ??などと勝手に想像していたんです。


近藤さん たとえば1本のにんじんを無駄なく使う方法とか?それもいいですね(笑)。


−−拝見してみると、素麺を洋風やエスニック風にアレンジしたり、カレー味のホットケーキやかんぴょうのレシピなど、身近な材料も使い次第で豊富なメニューに変わるアイデアが盛り沢山で驚かされました。「家を片づけるには、家に人を呼ぶのが解決策」というのが今回のテーマだそうですね。

近藤さん それもちょっと気を遣うような相手がいいですね。少し心構えが必要な人を定期的に招いて食事をすると、家の中は結構きれいになりますよ。
でも、正直、私自身はお料理の本を作ったつもりはないんですよ。料理が専門の先生方がたくさんいらっしゃいますし、やっぱりプロの方とは引き出しの数が違います。それでもレシピの本を作ろうと思ったのは、「ちゃんと暮らすこと」を伝えたいと思ったからなんです。

近藤典子の十八番レシピ
−−「ちゃんとした暮らし」とは?

近藤さん  ちゃんとというと、堅苦しくとらえてしまいますが、私のちゃんとは全然違います。料理をするにしても、ちゃんと買い物に行って、出汁を取って……というのは王道ですが、子育てや仕事で時間がない人もいれば、料理が不得意だったり、面倒くさがりの人もいるでしょう。みんな個性が違うのですから、「あなたに合った、ちゃんとした暮らし」であればいいのです。外食が多いのであればちゃんと外食すればいいし、コンビ二弁当ばかり食べている人なら、ちゃんとコンビ二のお弁当を食べる。その時に副菜をひとつ加えてみる、それもコンビ二で買ったものでいいんです。もう1歩頑張れるのなら、お皿に盛りつけたりと、自分が気持いい「ちゃんと」の形でいいわけです。
思うに、お料理するにしても、お化粧するにしても、それはひとつの現象に過ぎないんですね。でも、そうしたことの1つひとつを心ゆくまで楽しむためには、やはり自分の暮らしを支える土台作りをしておかないと。暮らしの土台があれば、たとえ1ルームでも人は呼べるのです。家の大小ではなくて、自分がどんな精神状態で相手に何をしてあげたいのか、それが大事なんですね。


−−お料理はもともと得意だったのですか?

近藤さん  食べるのは好きでしたから、主婦になってから、家事の中で逃げ場になるのが料理でした。とはいえ根がすごく大雑把で怠慢なので、作るのはこの本で紹介しているような簡単なものです。エッセイ(『近藤典子の片づけが生んだ奇跡』)にも書きましたが、子供の頃から収納とか片づけが本当に苦手だったんですよ。学生時代にロッカーの検査で呼び出されるのは私だけでしたし、お弁当箱をしまった場所どころか、存在自体を忘れてしまうので、翌日には母が別のお弁当箱に入れてくれて、それをまた忘れての繰り返し。しばらくしてロッカーからお弁当箱がミルフィーユみたいに重なって出てきたり(笑)。収納や片づけという言葉は私の辞書にはありませんでした(笑)。


−−それが今、収納の達人として活動されているというのは、とても興味深いですね。

近藤さん  でも、不思議なことではないんです。昨年から「暮らしアカデミー」という講座を始めたのですが、生徒さんたちにお話するのは、料理でも片づけでも、「何ができないか」ではなく、「これができない、それはなぜか?」と、できないことの原因を探ることが大事だということです。何かをするのに時間がかかる人もいれば、神経質な人もいます。十人十色なわけですが、どれも間違いではないのです。だから何かができないことや、自分の性格や特徴を嘆く必要はまったくなくて、むしろ自分をちゃんと理解して、気持ちよく暮らせるための最低限の基準を知ればいいのです。自分を許して好きにならなければ、家族も周りの人も愛することができません。人が幸せを感じるのは何かができるようになったからではなく、自分自身を知ったからなんです。

近藤典子の十八番レシピ
−−人それぞれの個性の違いを強く意識されたのは、2,000軒以上の家の荷づくり、荷ほどきの仕事に携わった体験の影響が大きいのでしょうか?

近藤さん  そうですね。2,000軒の家があれば、その数だけ特徴があります。たとえ同じマンションの間取りでも住む人によって違いますから、家の中の様子は今でも全部覚えていますね。
でも、仕事を始める前は、引越しの仕事は体力があればできると思っていたんですよ。ところが始めてみると、どんな家の中にもその家なりの秩序があって、体力でどうにかなるものではありませんでした。たとえばある時、トイレを掃除しようと掃除機をかけ始めたら、お客さんが目を吊り上げて飛んできて、「トイレは家の中と違うのだから、掃除機を使うとは何事か!」と怒られたんですね。それで次に伺ったお宅では雑巾でトイレ掃除をしました。すると、今度は「プロのあなたは時間単位で雇われているのに、なんて不合理なことをするの!文明の力があるじゃない」と怒られました。こうしたことがあらゆる場面であるわけです。でも、どれも間違いではないんですね。常識は非常識の始まりだというのは、仕事を通して知ったことです。


−−そうした経験が、今の活動の原点になっていると?

近藤さん 仕事を始めた時に自分の鎧をはずせたのが良かったですね。知らないこと、出来ないことはこれから吸収できると思いましたから。根っからのポジティブな性格なんですね(笑)。収納にしても、こんなところに柱があって邪魔だというのではなく、「よく出っ張っていてくれた」と考えて使えばいいんです。


−−凸凹を利用した収納のアイデアに定評がありますが、「人生は思い通りにならないけれど、その凸凹を上手に利用して歩いていけばいい」とエッセイの中で述べられていたのが印象的でした。

近藤さん  そうなんですね。時間がもったいないので、本や雑誌の撮影などは自宅でやることが多くて、その時、編集者の方などは忙しくて食事をお弁当で済ませることが多いので、合間にキッチンに立ってちょっとしたものを作るんですね。お味噌汁や、きゅうりを塩もみしただけの即席漬物が加わると、お弁当が生きるじゃないですか。そうするのはわずか20分でも楽しみたい、という思いからですが、その話が口コミで広がって、この本につながりました。だから自分ではまさかこうした形になるとは思ってもみなかったんですよ。
本のタイトル「十八番レシピ」は、「人それぞれに色があって特徴があるから、それを自分の十八番にしてください」という意味でつけました。私はこの「十八番」の言葉が大好きで、ずいぶん救われてきました。自分ができないことも、言ってみれば十八番なんですよ。


近藤典子さん−−暮らしに関わるさまざまな活動をされる中で、先ほども述べられていた「暮らしアカデミー」を
開校された理由は何でしょう?

近藤さん  今まで出させて頂いた本はおかげさまでご好評を頂いたのですが、たくさんの方に読んで頂いている割に、暮らしのレベルが上がってきていないと感じたからです。実際の授業では片づけや衣類の管理などの技術を学びますが、最後には皆さん「技術を学びに来たはずが、生き方を学んだ」と仰います。「彼氏となぜ別れたのかわかった」という人までいました(笑)。
昨年、ドイツとイタリアに出かけた際、普通のご家庭に伺って家の中を見せて頂く機会があって、そこで感じたのは片づけは圧倒的に日本人が上手いということでした。一方で、自分の暮らしを大切にして、楽しむ感覚は欧米の方のほうが長けていると思いました。掃除に人を雇ったり、家事を全部自分でやらなくても、暮らしがどういうものか、自分の暮らしのスタンスを知っているから、レジャーも料理も楽しめるのですが、日本の場合はそうした意識の順序が逆なんですね。アカデミーで伝えたいのはちゃんと暮らすのは自分のためだということ。たとえば料理学校に行ったら、心ゆくまで楽しんで料理ができる、そうした土台作りですね。


−−今後、新たに取り組みたいことはありますか?

近藤さん  今の日本はいろいろな事件や問題がありますが、反省すべきは大人で、大事にしなければならないのは子どもだというのは、先日、「課外授業ようこそ先輩」の収録で私が卒業した小学校を訪れた時にもつくづく感じました。実は今、小学校の教科書づくりに関わらせて頂いているのですが、子どもからおじいちゃんまで、食べることは人をつなぐことなんですね。キッチンはたんに料理をする場所ではなく、家族の絆を作るもうひとつのリビングです。私は料理研究家にはなれませんが、「ちゃんとした暮らし」を伝えるのに、一番分かりやすいのが食事だと思うので、今後も深く関わっていくつもりです。そしてこれまでは家やキッチンだけでしたが、生活に根ざしたものづくりをものすごいスピードでやっていきますよ。昨日もバスローブの形を思いついたので、アイデアを使ってどんどん作っていきたいですね。何より、暮らしを楽しみたいですから(笑)。


−−近藤流のものづくりを楽しみにしています。今日はありがとうございました!







レシピの中かららっきょうの甘酢漬けを使ったザワークラウトに挑戦したところ、その新鮮な味にビックリ。「この材料をこんな風に使っていいのか!」と気づかせてくれる1冊には、特別なものを揃えなくても、身近なもので暮らしは楽しくなる、という近藤さんの想いがつまっています。手軽に作れるレシピの数々を通して、食卓の上だけでなく、日常に美味しく楽しいスパイスをぜひ加えてみて下さい。
【インタビュー 宇田夏苗】



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