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松本隆博さん

松本人志の兄、隆博が初めての著書『松本の兄』で松本家について書いた楽しくも切ないエピソードの数々の裏側に秘めた思いとは?


  松本人志の兄、隆博さん。松本家の長男であり、弟・人志の番組にギターを持って登場したこともある彼は、教育コンテンツ配信会社(株)ヒューマックスの取締役であり、CDデビューを果たしたミュージシャンでもある。その彼が松本家で育った少年時代を題材に初めての著書を刊行した。いま、本を書き、CDを出した理由をうかがった。



松本隆博さんの本


『松本の兄』
『松本の兄』
松本の兄
松本隆博
秋田書店
900円 (税込 945 円)



松本隆博さんのCD


『尼崎なオカン♪』

1,143円 (税込 1,200 円)



弟・松本人志さんの作品


『人志松本のすべらない話 其之参』
『人志松本のすべらない話 其之参』
出演: 松本 人志
コロムビアミュージッック


『人志松本のすべらない話 其之弐』
『人志松本のすべらない話 其之弐』
出演: 松本 人志
コロムビアミュージッック


『人志松本のすべらない話』
『人志松本のすべらない話』
出演: 松本 人志
コロムビアミュージッック




プロフィール


松本隆博さん
1961年兵庫県生まれ。ヒューマックス(株)取締役。ブログ「取締役 松本隆博」が人気ブログに。2006年、「商売繁盛で・・かかってこんかい 〜大阪エヴェッサ応援歌〜」でCDデビュー。今年7月にはオリジナルCD「尼崎なオカン♪」と書籍『松本の兄』を同時リリースした。松本人志氏の兄でもある。

インタビュー


松本隆博さん−−松本さんは、ダウンタウンの松本人志さんのお兄さんとして有名ですが、今年は「松本隆博」個人の活動が活発ですね。書籍『松本の兄』とCD「尼崎なオカン♪」を同時リリースされています。


松本さん 自分でも面白いなあ、と思うのは46歳でこんなやつおらへんやろな、ということですね。本を書き、歌も歌い、ラジオでパーソナリティもやり、会社の取締役をやってますから。


−−松本さんの本業は会社の取締役なんですよね。ブログ「取締役 松本隆博」がきっかけで『松本の兄』を出すことになったとか。松本さんが「好きなことをどんどんやってやろう!」と思われるようになったのはいつごろですか?

松本さん この何年かですけど、それまでもずっと鬱積しているものはあったんですよね。


−−『松本の兄』にも書かれていますが、子供の頃から近所でも評判の「面白い子」だったそうですね。松本さん家の子が吉本に入ったって聞いた近所の人はてっきりお兄さんのほうだと思ったという逸話があるとか。

松本さん  そうなんですよ。素人名人会に二回も出てますからね。弟は一回しか出てないですから。小学生の頃から、落語も漫才もやっていたんですよ。
 社会に出てから、僕はずっとSE(システム・エンジニア)をやっていたんですよ。引っ込み思案なんでしょうね。実はうちの弟もそうなんですよ。弟も、浜ちゃんに誘われなかったらふつうのサラリーマンだったと思いますよ。
松本隆博さん 僕はたまたまいい相棒がいなかった。漫才やっても相方がいなくなる、バンドをやっても、ぼくナマイキだから、ヘタクソは相手にできないってケンカ別れ(笑)。一人が好きなんです。気づいたらギターも落語も一人でやっていた。
 40歳の時に、縁があってヒューマンアカデミーさんとの関係ができ、そこでなりたい自分をめざしている若い子たちに出会ったんです。セミナーで若い子たちに話をしてくれと頼まれて、ハタと自分を見たときに「俺、なりたい自分をずっとおいてけぼりやんけ」と思ったんです。
 それで、ブログが本になるという契機もあったし、今度は歌をきちんとやってみよか、と思ったのがCD「尼崎なオカン♪」を出すきっかけだったんですよ。
 DVDを出そうと決めたのが去年の8月です。最初はネットで配信しようと思って撮ったんですが、映像を見たら「これ、ちゃんとしたら売れるんちゃう?」と思った。それで12月にDVDを発売しました。その中に「尼崎なオカン♪」を入れたんです。そのときには先々、この曲をダウンロードできる商品にしようという頭がすでにありましたね。DVDのプロモーションで、インストア・ライブをやるだろうと。そこまで想定して、今のところそのとおりになってます。ありがたいことにレコード会社さんからも引き合いが来て。SEをやっている頃には考えられないことですわ。
 大手のレコード会社さんと契約するというお話もあったんですが、そうなると、会社を辞めなあかん。プロモーション費用もかけて売り出すわけですから、会社員の片手間というわけにはいかない。でも、いま取締役をやっているヒューマックスは僕が創業者の一人として立ち上げた会社ですから、辞めるわけにはいかへん。それで、大手はお断りして、昔からの知り合いのレコード会社に頼んで、会社の仕事に支障のないようなプロモーションをするようにしています。それでも、仕事との両立は十分キツいですが。


松本隆博さん−−ライブもはじめられたそうですね。

松本さん  週一回やってます。アホでしょう? そこまでやるのは(笑)。中途半端が嫌いなんです。人前で歌ったりしゃべったりすることが好きなんですよ。それがやっとわかってきた。その試金石がライブだったんですよ。


−−三十代、四十代で夢をあきらめるのが普通だと思うんですよ。でも、松本さんは、四十代でもう一度夢にチャレンジしようとしている。すばらしいことだと思いますが、本業をやっていればいい、というような外野の声はありませんか?

松本さん  そりゃ、ありますよ(笑)。うちの会社はコンテンツ配信もやっているので、そのコンテンツでもあるという拡大解釈のギリギリでやっていますけど。まあでも、一種自分のわがままでもある訳ですから、会社には感謝してますし、成功でお返ししたい気持ちが100倍ありますね。


−−でも、いくつになっても夢を追いかけるという「生き方」を見せるという意味では、若い人たちへ与える影響も大きいはずですよね。

松本さん  セミナーで若い子たちに教えてますけど、逆にこちらが教わることが多いんですよ。セミナーやると、いつも「ありがとう」と思いますね。18や19で自分の夢をしっかり持っている若者が多いんですよ。


松本隆博さん−−『松本の兄』を読んでいると、松本家のご家族がそれぞれユニークな個性の持ち主だということがわかります。子供時代から書かれていますが、こうして文章を書くことで振り返ってみていかがですか?

松本さん 書いていて楽しかったですね。ブログが元にはなっていますが、本にするということで書き下ろしを十数本、一気に書いたんですよ。書くことに楽しさも見出しましたね。歌をやるときの歌詞の書き方と似ていますね。頭の中にちらばっている言葉を集めて書く。文章を書くときもパソコンに向かって思いついたことを書いていきます。先にオチだけ書いたり、順番はばらばらですね。


−−ご自身の原点を見つめられているということも興味深かったですね。「おもしろくなければダメ」という松本家の家訓は松本家の子供たちに共通するテーマなんじゃないかと思うのですが。

松本さん  面白くない人っていないと思うんですよ。恥ずかしがっているだけ。それがムカつくんです。


−−スカしているってことですか?

松本さん  そう! 「恥ずかしい、恥ずかしい」って、なんでそこでフタをするんや! 誰も見てへん思うてやれや! って。そこはまったく人志と同じですね。


松本隆博さん−−お父さんが「子供は隆博だけいればいい」とおっしゃったというエピソードなど、隆博さんが松本家の希望の星であり、長男としてしっかりしなければいけないというプレッシャーを感じていたことがうかがえます。そのことで、自分を抑圧していた部分があったんじゃないかと。

松本さん  ものすごくあったんでしょうね。書いていて気づきましたよ。僕、大学出て最初に勤めた会社、信用金庫ですもん。転勤がないから、親に喜ばれる、と思っていたんでしょうね。


−−『松本家の兄』の中ではあの松本人志の兄ということでご苦労されたことなども書かれています。おそらく、その思いをバネにして、お仕事をがんばってきたと思うんです。

松本さん  それはものすごくありますね。一生懸命がんばったつもりはあります。会社を立ち上げたのは、一度くらい会社を作ってみたかったんです。資本金を出したわけではないですが、自分で株式会社の作り方という本を読んだりして、実務的なことから何からやった。それも、人志の兄ということだけじゃなしに、俺だってやれるんだぜ、ということを見せてやりたいという気持ちはありましたね。
 会社設立がうまくできたら、今度は歌を歌ったり本を書いたりという欲求が止められなくなった。うちの社長に言われたんですよ。「(本を書いたりCDを出したり)そんなことやらなくてもええんちゃう?」(笑)。でもね、それは違うんですよ。「(松ちゃんの)お兄さん、お兄さん」と呼ばれる。宴会でも、松本人志の兄としてオチを期待される。プレッシャーですよ。これまでずっとストレス抱えてきてるんだから、せめて音楽でとことんやれるところまでやらせてくれてもええんちゃうかあ、と思うわけですよ。
 成功する、せえへんは別にして、ここまでやったんや、ということを残したいんですよ。本を書くことも歌を歌うことも、自分にとっては、いま、絶対に必要なことなんです。








軽妙なトークは取材時間いっぱい続き、撮影のときにはギターを手に一曲披露してくれた松本さん。サービス精神に頭が下がりました。「僕が言うのもなんですが松本家は全員才能豊かなんです(笑)」とおっしゃっていましたが、その才能の片鱗がうかがえるのがこの『松本の兄』。松本家独特のテイストが感じられる個性的な一冊です。
【タカザワケンジ】


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