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内藤大助さん

世界チャンピオン内藤大助さんが語る!赤裸々な“いじめ”の過去を綴った『いじめられっ子のチャンピオンベルト』

 挫折から頂点へ!世界チャンピオンの内藤大助さんには中学時代に“いじめ”という過去があった…。『いじめられっ子のチャンピオンベルト』は、中学時代の“いじめ”から、ボクシングに出会い、悲願のチャンピオンになるまでの軌跡です。
最愛の奥様とのなれそめはもちろん、なかなか語られることの無い母親への愛情や想いが込められてます。内藤さんの暖かい人柄に触れられる1冊です!



内藤大助さんの本


『いじめられっ子のチャンピオンベルト』
『いじめられっ子のチャンピオンベルト』
1,365円(税込)


ボクシング雑誌


『ボクシングマガジン』
『ボクシングマガジン』


プロフィール


内藤大助さん (ないとう だいすけ)
1974年8月30日北海道豊浦町生まれ。高卒業後に上京し、19歳でボクシングを始める。96年10月プロデビュー。1分けをはさむ9連勝で98年全日本フライ級新人王。現在、WBC世界フライ級王者・元日本&OPBF東洋太平洋フライ級王者。愛称は「北の剛拳」「最短男」。

インタビュー


−−初めて出版の話を聞いたとき、どう思いましたか。


内藤さん それはもう、“ええっ! なんで僕が?”って、ビックリしましたよ。こういった本を出すのって、すごく頭のいい方や何か偉業を成し遂げた方だと思っていたので……。


内藤大助さん−−ご自身も世界チャンピオンという“偉業”を成し遂げましたが。

内藤さん それもあんまり自覚がないんです。一生懸命やっていたらここまでこれた、という感じで。ただ、第三者の目で冷静になって見てみたら、“そうか、世界チャンピオンになれたんだもんなあ……”と思ったりもしましたけど。でも、自分がすごい人間だなんて意識は、全然ないですね。それに、“自分はすごいことをしたんだ”と、あえて思わないようにしてる部分も実はあるんです。天狗にならないように。謙虚な気持ちを忘れたくないので。


−−出版に踏み切ったきっかけは。

内藤さん そもそも今の僕の姿があるのは、まわりの人たちのおかげ。会長、ジムのスタッフ、応援してくれる人たちがいてくれたからこそ、ここまでこれたんです。だから僕は、その恩返しというわけじゃないけど、ボクサーとして現役中はもちろん、たとえ引退しても人のために役に立てる生き方をしていきたいという気持ちがあって。そこに“内藤さんの本を読んで勇気をもらえる人が、絶対に大勢いるんです”と言われたのもあって、“僕のこれまでの体験が誰かのお役に立てるのであれば、出してみようかな……”という気持ちになりました。


−−本書では、中学時代に受けたいじめについて、詳細に書かれています。そういう過去を公表することに、迷いはありませんでしたか。

内藤さん それは全くなかったですね。いじめ体験について隠すつもりもなかったし、むしろ僕が何か伝えられることがあるとしたら、あのころの体験だと思ってましたから。本の中では、中学時代の僕の写真も紹介されているんですけど、今の自分から見ても、結構しょっぱい感じなんですよ(笑)。当時、僕は身長も低くて140センチくらいでしたから、いじめに抵抗してケンカしても勝てるわけがなかった。だから、いじめグループに媚を売って、ヘコヘコしながらあとをついていくことを選んだんです。そうやって生きるしかなかった。これって情けない姿だったのかもしれないけれど、あのころの自分を晒すことで、“こんなにしょっぱかったオレでも、ここまで変わることができたんだぞ”という説得力が生まれると思ったんです。“まず聞いてくれ。オレは、中学時代こんなことがあったんだよ”というところから、始めたいから。僕のカッコ悪い時代を読んで勇気が湧くなら、いっそ、どんどん踏み台にしてもらいたい。


−−今、いじめられている子に何か言うとしたら、どんな言葉をかけますか。

内藤さん “もっと頑張りなさい”とか“強くなりなさい”なんて言葉は、絶対に言いません。そんなの無理。わからないですよ、強くなる方法なんて。いじめられている状況の中で、そんなこと言われてもピンとこないんです。僕自身そうでしたから。だけど、そういう状況でも、いずれ変われるきっかけが必ず来るんです。そのことを信じていてほしい。僕はボクシングを通して、ボクシング以外の大事なことを、たくさん経験できた。もちろん、ボクシングでなくてもいいんです。ちょっとしたことで変われるきっかけを、見つけてほしい。すぐには無理でも、絶対にそのときがくることを信じていてほしい。


−−逆に、いじめをしている子には。

内藤さん もちろん、今すぐにやめてほしいと思います。ただ、“いじめはダメだ!”って言うのは簡単なんです。人に聞けば、誰もがそう答えると思う。でも、いじめが特に多い10代のころって、頭ごなしに怒っても余計に反発する年頃じゃないですか。いじめている本人たちは、それがカッコイイと思ってるのかもしれないけれど、僕は、“なーにしてんだよ、だっせーなあ。もっとカッコイイこと、他にあるって!”と身近な感じで声をかけたい。


−−いじめる子、いじめられる子。双方に等しく接する感じですね。

内藤さん ああ、そうかもしれないですね。いじめる側にも、他人をいじめることによって、自分がいじめられないようにしている子もいると思うし。だから、どうやったらいじめる側の心に響いてくれるかを考えて、接していきたい。例えば、“そんなことしてるなら、ジムに来てオレをいじめていいからさ、ボクシングやろうぜ!”って肩を組めたら、ちょっとは心に届くかな、とか。


内藤大助さん−−本書では、お母様との関係にも触れられています。ボクシングによって親子関係に変化は。

内藤さん あります。むしろ、ボクシングに出会えたことで、親子関係も上手くいったような気がするくらい(笑)。僕の母親は、ものすごく子供に厳しい人だし、怖かったですからね。これまでに褒められた記憶なんて一度もないんですよ。だから、子供のころは褒められたい願望がすごく強かったように思います。そんな母親が、一生懸命ボクシングをやっている僕を応援し、協力してくれた。これって、ある意味“認めてくれた”ということだと思うんです。もしボクシングをやっていなかったら、“どうせ何をやっても、オレのことを認めないんだろう”とひねくれてしまって、親子関係も変わっていたかもしれないですね。まあ、世界チャンピオンになれた今でも、母親が僕を褒めることは絶対にないですけど(笑)。


−−ご自身も、そう受けとめられるだけの自信や余裕ができたのでは。

内藤さん 確かに僕自身も成長したんだと思います。そんな母親の態度を“ああいう人なんだから”と、受け入れられるようになりましたから(笑)。


−−これまでに、ボクシングをやめたいと思ったことは。

内藤さん それはもちろん(笑)。ボクサーじゃない生活に憧れたこともありました。減量しなくていいし、朝走らなくていいし、お酒だって好きなだけ飲める。しかも、こんなつらいことを続けて、いざ試合で殴られて痛い思いまでするんですから(笑)。でもね、ボクシングには、それ以上のものがあるんですよ。だからここまで続けてこれたんです。


−−具体的に言うと、どんなことですか。

内藤さん 僕の場合は“人”ですね。まわりが、こんな自分を応援してくれることが本当に嬉しい。それまで、いじめ体験がずっとトラウマになっていたんですよ。当時、友達だと思っていた子たちまで、いじめグループに命令されて僕を叩いたり、避けるようになって……。あのときのショックがずっと心に残っていた。だから、自分のことを応援してくれる人の存在がありがたくて、ありがたくて……。“試合のチケット買ったから、応援行くからね〜”と言ってくれる人に対して、“これは、絶対に勝って恩返しをしなくちゃいけない!”と思うんです。


−−最後に、現在のボクシング界への思いを。

内藤さん 今の日本のボクシング界では、たとえプロになっても試合のファイトマネーだけで生活していくことは、とても厳しいのが現状なんです。僕も昨年、世界タイトルに挑戦したときは、昼間に仕事をしながらトレーニングを行うという状況でした。だから、ボクシングの人気がもっと出て、ボクサーが試合に集中できるような環境を整えていけたら嬉しいですね。それには、みんなが注目するような、いい対戦カードをどんどん組んでいくことが必要なんだと思います。まあ、いろいろと大変だとは思いますが、ちょっとずつでも変わっていけたらいいんじゃないでしょうか。


−−3月8日(土)には、2度目の世界タイトル防衛戦です。頑張ってください。

内藤さん ありがとうございます。そう言っていただけると、すごく嬉しいです。今度の対戦相手は、前・世界チャンピオンで、過去に17回も防衛に成功していたメチャメチャ強いボクサーなんですよ。だから僕自身が、チャンピオンではなく挑戦者の気持ちで挑むつもりです。そして、応援してくれたみなさんに“いい試合だったね”と言ってもらえるよう、必死に頑張ります。











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