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「カップルに真似されたらうれしい」中村航さん「僕の好きな人が、よく眠れますように」

透明感あふれる文章で、若い恋人たちを軽やかに描く中村航さん。新刊『僕の好きな人が、よく眠れますように』(角川書店)は、大学院生の主人公と、同じ研究室に1年間の期限付きで入ってきた「めぐ」との恋を描いた作品です。昨年のクリスマスには『一番小さなメリークリスマス』というタイトルで、俳優の成宮寛貴さん、片瀬那奈さんを主演に、ラジオドラマ(J‐WAVE)として放送、携帯電話やパソコンにも配信されて話題になりました。クリスマスを前に、中村さんにお話をうかがいました。


中村航さんの本



北海道から僕の通う大学院にやってきた、魅力的な研究員。だが、彼女はすでに既婚者だった…。
『僕の好きな人が、よく眠れますように』
『僕の好きな人が、よく眠れますように』
1,470円(税込)

切なすぎる恋物語。涙なくしては読めないベストセラー。
『100回泣くこと』
『100回泣くこと』
480円(税込)

“回文”という言葉遊びを題材に2人の知的・詩的・素敵センスが豪華にコラボレーション!
『終わりは始まり (中村航/フジモトマサル)』
『終わりは始まり (中村航/フジモトマサル)』
1,050円(税込)

第39回文藝賞受賞作。“姉さん”に拾われて“半沢良”になった僕は・・・
『リレキショ』
『リレキショ』
515円(税込)

“熱くてクール、馬鹿でクレバー。最高にして最低なメンバーを大募集”そんな呼びかけに集まったバンドメンバーは…
『ぐるぐるまわるすべり台』
『ぐるぐるまわるすべり台』
500円(税込)

手紙・月・星をそれぞれモチーフにした3話構成のイラスト+ショートストーリー
『星空放送局(中村航 /宮尾和孝)』
『星空放送局(中村航 /宮尾和孝)』
1,365円(税込)

「十日間ほど留守にします」。吉田くんの家出がきっかけで2組のカップルに危機が?!
『夏休み』
『夏休み』
515円(税込)

「恋を突き抜けて、愛に飛び込め!」……もみじ饅頭を持って私の前に現れた男子
『絶対、最強の恋のうた』
『絶対、最強の恋のうた』
1,365円(税込)

幼なじみの又野君に会いに、3年ぶりに小田原を訪れた吉田君。しかし又野君はすでに・・・
『あなたがここにいて欲しい』
『あなたがここにいて欲しい』
1,470円(税込)


プロフィール


中村航さん (なかむら・こう)
1969年岐阜県生まれ。芝浦工業大学卒業。2002年「リレキショ」(河出書房新社刊)で第39回文藝賞受賞。2003年「夏休み」(河出書房新社刊)で第129回芥川賞候補。2004年「ぐるぐるまわるすべり台」(文藝春秋)で第26回野間文芸新人賞受賞。ほかに『100回泣くこと』(小学館) 「絶対、最強の恋のうた」(小学館) 『あなたがここにいて欲しい』(祥伝社) 『星空放送局』(小学館)などがある。また2007年には第2回日本ケータイ小説大賞の選考委員をつとめ「ケータイ小説」にも造詣が深い。現在、野性時代(角川書店)にて『あのとき始まったことのすべて』を連載中。

インタビュー


中村航さん−−主人公と「めぐ」のやりとりが微笑ましいですね。

中村さん 赤裸々なのかもしれませんね。二人だけの世界。二人にしか通じない、例えば作中の「スマキ」や「〜なのは〜だけかしら」のような、二人だけに通じる言葉みたいなものって、みんなあると思います。ない人もいるかもしれないけど、そういう人は「みんなやろうよ」と(笑)。それをどうやって描くかということですが、恥ずかしいのと素敵なのと、そのへんのぎりぎりの寸止め感を測りながら描きました。でも本当は寸止めになってなくて、打ち抜いちゃってるのかもしれない(笑)。


−−「めぐ」は北海道に夫がいながら、東京で主人公と恋に落ちてしまいます。

中村さん このカップルには「春になったら…」という時間的な区切りだったり、これ以上近づけないというラインだったり、あるいは秘する恋という制約だったりがあるんです。そのために世界は閉じるんだけど、そういう閉じた世界を描きたかったんです。閉じると深くなるんですよ。深くなるということは、俯瞰(ふかん)して見たとき、実は広いのかもしれない。狭いからこそ、誰も行けないところまで行けるのかな、とも思いました。


−−デートシーンが魅力的です。

中村さん そう言っていただけるのはとてもうれしいです。既刊の『絶対、最強の恋のうた』であれば水族館に行ったり、デビュー作『リレキショ』であれば、お寺みたいなところでデートしたり。ただ、これまでの作品は、二人で並んで同じ方向を向いているものが多いのですが、今回は向き合って近づいていく小説なんです。それは象徴的な意味でもそうだし、実際のデートもそう。向かい合ってくるんと回ったり、抱き合ってごろごろしたりとか、そんなシーンが多いんです。


中村航さん−−『絶対、最強の恋のうた』の登場人物「木戸さん」が本作にも登場します。

中村さん 最初は「木戸さんのような人」を出したかったんです。この主人公たちは身の回りの人に相談したりすることはない。その代わりに、星のように主人公たちを見守る、遠い関係の人を出したかったんです。その一方は、よき象徴としての主人公の妹。遠くにいて、主人公と関係なく何かを機嫌よくやっている天使みたいな存在。妹を南斗だとすると、もう一方の木戸さんは北斗。悪い象徴(笑)。「こういう人を」と当初は考えていたのですが結局「それって木戸さんじゃないか?」と思いました。小説なので名前を変えればいいのですが、なかなかここまで具現化されている人物だと、ほかの人物として出すより、ここは一つ木戸さんにご出座願おうと考えました。懐の深い人物なので、すぐに物語にもなじんでくれました(笑)。


−−この小説は、2007年冬、J-waveでラジオドラマ化した『一番小さなメリークリスマス』を小説として書き直したものですが、ラジオドラマとはタイトルが違いますね。

中村さん 『一番小さなメリークリスマス』というのも気に入っていたのですが、昨年のラジオドラマは、クリスマスに発表するということで、先にタイトルを考えて走り出したというのもあります。仮タイトルのようなものですね。その後、小説として仕上げて、ストレートな小説だし、作中に出てくる言葉でストレートに自分の思いをあらわしたセンテンスをタイトルにしようと考えました。


中村航さん−−本作は昨年、携帯電話やパソコンでも配信されていました。

中村さん 配信用ということで書き方・見せ方が違いましたね。改行を多くしたり、あとは会話を多めにしたというところがあるかもしれません。最初、ラジオドラマ向けに書いたのは、自分の中ではスケッチを描くような感じでした。あとで小説として構成をしなおすとき、かぎかっこを使わずに会話を延々と書いたところがあり、それをぱっと見たとき「詩」のようだと思いました。普段の会話よりも引いて、遠くで鳴っている音みたいな感じになる。そんなところはとてもよかったので残しました。


−−読者に一言。

中村さん 普段、本を読まないような人にも、ぜひ手にとって読んでもらいたいです。読み終わったら、自分の見えるものが、読む前とちょっとだけ違う色に見えるかもしれない。そういう読書の楽しみみたいなものを感じてくれたらうれしいと思います。また、真似したくなることがあるかもしれません。作中の「ふわふわドーム」とか、カップルはどんどん行けばいいと思います(笑)。








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