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プロフィール

西加奈子さん (にし・かなこ)
1977年テヘラン生まれ。カイロで幼少期を過ごし、大阪で育つ。関西大学法学部卒。2004年、『あおい』(小学館)でデビュー。05年2月刊行の長編小説『さくら』(小学館)がベストセラーに。

インタビュー

西加奈子さん

−−『きいろいゾウ』は『さくら』に続く書下ろし長編小説ですね。
西さん『さくら』が書き終わった時に、今度はゆっくりしたリズムの小説を書きたいと思ったんですよ。今まで書いてきた小説が、心拍数が高いというか、忙しい話が多かったので。  それと、ちょうど友だちが離婚するという話があって、夫婦って面白いな、と思っていたんです。それで、夫婦の話で、リズムのゆっくりしたものを書こうと思いました。  田舎暮らしの夫婦にしたのは、都会に住んでいる夫婦だと、私が書くときっとリズムが速くなるから。最初は短い話のはずだったんですけど、書いていたら、どんどん長くなっちゃったんですよ。
−−奥さんの名前がツマ(妻利愛子=つまり・あいこ)、旦那さんの名前がムコさん(無辜歩=むこ・あゆむ)という、とってもわかりやすい名前なんですが(笑)、日々のできごとが代わりばんこに、それぞれの視点で描かれていきますね
西さんツマが「料理、失敗したな」と思って夕飯を食卓に並べても、ムコさんが「美味しい」って言って食べる。「ムコさんって味オンチだな」ってツマが思う。でも、本当はムコさんもマズいなと思っていて、でも、ツマには「美味しい」って言う。そういう、「優しいズレ」みたいなものを書いてみたかったんです。  それと、ツマの視点だけで「ウチは〜」って一人称で書いていくと、きっと迷走しちゃうなと思ったんですよ。後で考えると、自分とツマとの境目がなくなっちゃうと思ったのかもしれないですね。
−−ムコさんは小説家という設定ですね。
西さん田舎に住んでいてもよくて、二人がいっしょにいられる時間も長い職業。その条件を満たすということで、小説家にしました。画家も考えたんですが、画家だったら、もっと広い家がいるかなと思って。
−−田舎の様子の描写が「わかるなー」という感じで面白かったんですが、西さんは田舎暮らしの経験はあるんですか?
西さんうちのおじいちゃんちが大分の田舎なんですよ。暮らしたことはないですが、イメージは、おじいちゃんの家ですね。  じいちゃんち、池があるんで、蛙の鳴き声が凄いんですよ。夜、寝てると、蛙に囲まれているみたいに感じるんですよ。怖いでしょう?(笑)
−−怖いです(笑)。ところで、ツマが子供の頃に読んだ『きいろいゾウ』の絵本のお話が物語の基調になっていますね。このお話は小説のために考えたものなんですか?
西さん最初は、女の子がピラミッドに乗っているところだけしか考えてなかったんです。編集の石川さん(『世界の中心で、愛をさけぶ』を担当した石川和男さん)が、これは小説の中で出す出さないに関わらず、ぜんぶ書かなきゃいけないですよ、って言われて書いたんです。
−−いい話ですね。ちょっと切なくて。
西さんいいお話でしょう? って自分で言うか(笑)、言ってしまった(笑)。ちょっと大人っぽい話ですよね。ほんとに絵本になるといいなあ、と思ってるんです。
−−「のんびりしたリズムで」とおっしゃっていましたが、ツマはちょっと神経過敏なところがあって、心拍数上がり気味ですね。西さんに少し似ているところもありますか?
西さん読んでくださった方から、ウチだと思って読んでるって言われるんですけど、自分ではぜんぜんそんなつもりはないです。  ジョン・カサベテス監督の映画『こわれゆく女』が、すごく好きなんですよ。ジーナ・ローランズが演じたヒロインが、すごくいい人なんだけど、繊細で、ちょっと手におえへん感じで、家族に対してめちゃくちゃ愛情があるんだけど、表現の仕方がわからへん。  そんな過剰な女の子を、男の人がすごくやさしく愛しているというのがウチの理想なんです。男女が逆でもまたしかりで、そういう関係が好きなんですね。「あおい」のさっちゃんと風間くんもそうだし、「さくら」は兄妹やけど、ミキちゃんをカオルくんが優しく見守っているし。
−−物語が後半に進むと、ムコさんが抱えているものもわかってきて、だからこそ、ツマを受け止めようとしていることがわかります。ムコさんの刻むリズムがツマを受け止めているんですね。
西さんツマはちょっとバランスの悪い女の子なんで、文章もバランスが悪くなるんですけど、それをムコさんがちょうどうまいことバランスを取ってくれたなあ、と書き終えてから思いましたね。
−−ところで、西さんが小説を書いてみようと思ったのはいつごろですか?
西さん私、今28ですけど、25歳の頃ですね。それまでは小説家になりたいと思ったことはぜんぜんなかったんですが、「あおい」を書いて、これを活字にしたいなあ、と思ったんですよ。  永堀アツオくん(編集ユニット・文芸レアグルーヴ)が友だちで、読んでもらおうと思ったら、ちゃんとした文芸編集者に読んでもらったほうがいいよって、石川さんを紹介してもらったんです。
−−(同席していただいた石川さんに)そのときの印象はどうでしたか?
石川さん『あおい』に収録した「あおい」と「サムのこと」ともう1作読ませていただいたんですが、野球にたとえると、ぜんぶ違う種類のボールが来たって感じでした。この人は凄い。こんなボールを投げる人がいたんだと思って、「本にしたい」とすぐに思いましたね。
西さん最初は詐欺かと思った(笑)。石川さんとお会いした時は、意見をもらえるだけだと思ったんですよ。それだけでも嬉しい。  お会いしたら、その場で「本にしたいです」って言ってくれて。石川さん、「嘘だと思っているでしょう?」って言うし(笑)。
−−『あおい』に続いて出された長編小説『さくら』が、いきなりベストセラーになりましたね。
西さんびっくりしましたね。発売したのは、去年の2月末なんですが、書店の方々から反響があって、わりとすぐに売れ始めて。『さくら』って犬のイメージだから、鎖はなして、ばーって暴走していった感じで。最初は怖いって思っていたんですけど、書店を回って読んでくださった方たちから感想を言ってもらえてちょっと安心しました。  これだけ愛してもらえているんだったら、どんだけ売れようが怖がらず、どんとしていようと。いまはただただうれしいです
−−ちょっと気が早いですが、次の作品の予定はありますか?
西さん次は、中学生くらいの、中二くらいの女の子の目線で書きたいと思っています。中学生なんだけど、クール。大阪の女系家族のなかにいる女の子です。そこにへんなおっさんが出てくる。カウボーイハットかぶってるおっさんとか、大阪、多いんですよ。ジャマイカ人みたいなファッションセンスのおっさんとかね。それだけで面白いでしょ?(笑) 楽しみにしといてください。
−−楽しみです。今日はありがとうございました!

カバーイラストの印象的なゾウは、西さん自身の手によるもの。読者プレゼント用にと、目の前でサインに添えて絵を描いてくださったのだが、あれよあれよと言う間に、するするとゾウの後ろ姿が現れた。自由な筆致は、西さんのあふれ出てくるような文体にも似ている。西さんの言葉が、これからどんな世界を描き出してくれるのか楽しみだ。西さんの小説、まだ読んでいない方は、ぜひ読んでみてください! この方、大器です。
【タカザワケンジ】


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