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『こくはくします!』

子供も大人も胸がキューンとなる注目度No.1 の絵本作家 のぶみさんが描く幼稚園児の初恋のお話 『こくはくします!』


20代にして、すでに80冊以上の絵本を出版。さらに“すいはんきくん”をはじめ、個性的なキャラクターたちが登場するアニメ「ぼくのともだち」、子供たちに大人気の「おしりフリフリ」の作詞、ギャグ・コミック「にじこしいいんちょう」、死をテーマにした物語集『3日間の日記』にいたるまで、絵本作家の枠を超えた、ユニークな作品を生み出し続けているのぶみさん。同じく人気作家のもとしたいづみさんとともに描いた『こくはくします!』は、幼稚園児の初恋をストレートかつほのぼのと描いた作品です。ほぼ毎月1冊のペースで新作を出すたびに、これまでの絵本とは違う、まったく新しい独自の世界を見せてくれるのぶみさんの創作の秘密、絵本への思いとは……?



のぶみさんの本


『こくはくします!』
『こくはくします!』
え:のぶみ
ぶん:もとした いづみ
くもん出版
1,200円 (税込 1,260 円)

『ホネのことならガイコツマン』
『ホネのことならガイコツマン』
のぶみ
アートボックスインターナショナル
1,200円 (税込 1,260 円)

『ちゅーりっぷこうえんのブランコちゃん』
『ちゅーりっぷこうえんのブランコちゃん』
のぶみ
文渓堂
1,200円 (税込 1,260 円)

『しんかんせんくん うちにくる』
『しんかんせんくん うちにくる』
のぶみ
アートボックスインターナショナル
1,300円 (税込 1,365 円)

『にらめっこだいすき』
『にらめっこだいすき』
木村裕一 /のぶみ
主婦の友社
780円 (税込 819 円)

『いぬかって!』
『いぬかって!』
のぶみ
岩崎書店
1,300円 (税込 1,365 円)

『0さいまるごとひゃっか』
『0さいまるごとひゃっか』
のぶみ
ひかりのくに
880円 (税込 924 円)

『1さいまるごとひゃっか』
『1さいまるごとひゃっか』
のぶみ
ひかりのくに
880円 (税込 924 円)

『2さいまるごとひゃっか』
『2さいまるごとひゃっか』
のぶみ
ひかりのくに
880円 (税込 924 円)

『にんじゃおばけどろろろん』
『にんじゃおばけどろろろん』
のぶみ
岩崎書店
1,300円 (税込 1,365 円)

『るんたのはみがき』
『るんたのはみがき』
のぶみ
主婦の友社
700円 (税込 735 円)

『うたうのだいすき』
『うたうのだいすき』
木村裕一 /のぶみ
主婦の友社
780円 (税込 819 円)

『赤ちゃんと話そう』
『赤ちゃんと話そう』
のぶみ
主婦の友社
700円 (税込 735 円)

『あかちゃんおうさま』
『あかちゃんおうさま』
のぶみ
ひかりのくに
1,200円 (税込 1,260 円)



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プロフィール


のぶみさんのぶみさん
1978年、東京生まれ。99年に『ぼくとなべお』(講談社)でデビュー。同年から02年までNHK「おかあさんといっしょ」で放送されたアニメ「ぼくのともだち」で人気を集める。02年から05年にはアニメ「ガギグゲゴーゴーギンガくん」(NHK教育テレビ)で話題に。作詞を手がけた「おしりフリフリ」「おっとっとのオットセイ」は、05年の「おかあさんといっしょ」年間月歌人気ランキング1位を獲得。近著に『いぬかって!』(岩崎書店)、『ホネのことならガイコツマン』(アートボックスインターナショナル)、『ちゅーりっぷこうえんのブランコちゃん』(文溪堂)など。最新作は『しんかんせんの しんかんくん』(あかね書房)。奥様と息子の勘太郎くん、猫2匹と暮らす。
のぶみさん公式ホームページ

インタビュー


ご自宅でお会いするなり、「話をする前に、絵本を読みましょうか?」と笑顔でたずねてくれたのぶみさん。『こくはくします!』『ホネのことならガイコツマン』、まだ手描きダミーの段階の『しんかんせんのしんかんくん』を読んで頂き、のぶみワールドにひたったところでインタビューが始まりました。

『こくはくします!』−−大人になってから、こんな風に絵本を読み聞かせてもらったのは初めてですが、声に出して読んでもらうと、絵本の世界が目の前に広がる感じで、大人でも本当に楽しいものですね。


のぶみさん そうなんです。この間、保育園で『こくはくします!』を読み聞かせたら、子供たちの反応がすごく良かったんですよ。5、6歳の年長クラスの子供相手だったので、「告白っていう言葉の意味知ってる?」と聞いたら、「好きな人に好きっていうこと」ってみんな知っていました。お話を聞いている間は照れくさそうだったのに、後で聞いたら、『こくはくします!』を読んでから、実際に告白した子もいたそうです(笑)。


絵本を描く時は、いつも実際に子供たちに読み聞かせてみるのですか?


のぶみさん そうですね。そこで子供たちに受け入れられるかどうかを判断します。読みにくい本だとしたら、何度も読みたくならないじゃないですか。だから、いい本は読みやすいんですよ。絵本とテレビはまったく違うメディアですが、今の子供たちはテレビ世代なので、僕はなるべく文字が少なくて、リズムがあって、動きがある絵本がいいと思っています。30年前に絵本ブームがありましたが、当時から今まで読み継がれている絵本の中にも、文字が少なくていい本が多いですね。


−−『こくはくします!』というタイトルを聞いて、絵本にしてはかなり斬新だと感じたのですが、子供が使う言葉自体、30年前と今とではだいぶ違う気がします。


のぶみさん その点は、この絵本を作る上で意識したところでもありますね。「告白」という言葉は、大人の言葉のようだけど、僕は今の子供たちの中に存在すると思ったので。


−−今回はもとしたいづみさんとの共著ですが、どのように物語を作っていったのですか?

のぶみさん もとしたさんの『すっぽんぽんのすけ』が大好きなこともあり、文をお願いしたのですが、もとしたさんが書いて下さったもののひとつに、「○○ちゃんを好きになった」という話があったんです。それを告白する話にできないかということで、何度もやり直していきましたが、最初はもっとあっけらかんとした話だったんですよ。でも、“月9”のTVドラマなんかを見て育っている子供たちだから、ただ「○○ちゃん好き」だけでは盛り上がらない気がして、あえてドラマチックにしました。

『こくはくします!』

−−はるなちゃんが告白するシーンは、大人が読んでいてもドキドキしてしまうほどでした(笑)。


のぶみさん 保育園で子供たちに読み聞かせた時も、興味津々でした(笑)。告白って、大人が隠しているようなものに思えるから、それを知りたい気持ちがあるのでしょうね。


『ホネのことならガイコツマン』−−そもそも絵本作家を志したのは、保育士になるための専門学校に通っていた時のことだそうですね。


のぶみさん 実はその前にすごくやんちゃだった時代があって、160人以上をまとめていたんです(笑)。それには理由があって、“のぶみ”ってちょっと変った名前なので、小・中学校でいじめられたんですね。でも、高校に入ってもいじめられるのは嫌だったので、どうやったら自分を守れるかと真剣に考えて、たとえ暴走族が相手でも、誰に対しても、きちんとものを言うようにしてみたんです。他の不良みたいに誰かを力で抑えて従えるというより、みんなを楽しませたり、一緒に遊ぶことを考えてやってたら、「コイツといると面白い」ということになって、いつのまにか大勢をまとめてた(笑)。
ところが、そうしているうちに、なんだかつまらなくなってきたんです。世の中に対して悪いことばかりしていたら、それが全部自分に返ってくる。これは良くないな、と感じ始めて。もっと優しい女の子に知り合いたいという願いもあって(笑)、それまでの生活から方向転換して、保育の専門学校に入りました。


−−それからなぜ、絵本に興味を持ったのですか?


のぶみさん それまで勉強してこなかったので、専門学校に入っても、授業中に座り続けていることさえ無理で、授業もよくわからないから面白くない。そんな時、同じ学校の生徒だったうちの奥さんに出会って、彼女に絵本が好きだと言われたのがきっかけです。それで図書館に行って、絵本を読んでいるうちに、人を楽しませるのは得意だったので、「僕にも描けるんじゃないか」と思い始めたんです。それから毎日、何か描いては彼女に見せに行きましたね。


『しんかんせんの しんかんくん』−−21歳で絵本作家としてデビューするまで、300冊もの絵本を描いて、2年間、出版社への持ち込みを続けたと聞いて驚きました。

のぶみさん 最初は本当にダメで、編集者の方からボロクソ言われたんですよ。でも、「僕は何も勉強してなかっただけで、悪くはない」といつも思ってた(笑)。そう思いながら持ち込みを続けているうちに、最初は15分で帰されていたのが、30分、40分と話をしてもらえるようになって、最後にデビューが決まった時は、編集者と3時間、話していました。


−−どうしてそこまで頑張れたのですか?


のぶみさん とにかく絵本を描くのが楽しかっただけで、本当に何も考えてなかったですね。ただ、売れるかどうかはわからないけど、デビューはできるんじゃないかと確信してました(笑)。
アニメやエッセイを入れると、デビューから9年間で500を超える作品を発表しましたが、最初から順調だったわけではないんです。「おかあさんといっしょ」のアニメがヒットしても、子供のいない大人はアニメなんて観ないのだから、町に出ても自分は誰にも知られていないんじゃないかと不安に思い、部屋から出たくなくなったり。急に注目されたので、世間からの風当たりも強かった。それで23歳の時、全部やり直そうと、その時に持っていたお金をはたいて家を買って引っ越しました(笑)。


『ちゅーりっぷこうえんのブランコちゃん』−−いきなり世間から注目されると、才能を潰されたり、自ら潰れてしまうケースもありますが、そうならずにすんだ理由は何でしょう?


のぶみさん もし、「飽きた」と言われても、僕はまだ生きているわけだから、才能が死ぬわけではないし、自分で高めていこうとすれば大丈夫だと思っていたから。過去のことや、「こうなりたい」という未来のビジョンにとらわれていた時期もありましたが、結局、今日を頑張ることが一番大切なんです。以前は絵本がアニメ化されるとか、100万部売れるとか、そうやって認められなくては、と思ったこともありましたが、今はそんなことは別にいいと思っていますね。


−−これからも描き続けますか?


のぶみさんのぶみさん まずは今日1日を頑張ることですね。年をとっても絵本が描けたらいいなと思っても、今日を頑張ってからじゃないと何も始まらない。とはいえ、自分で考えることもなく、ただがむしゃらに過ごしても楽しくないので、毎日、ストイックに自分を突き詰めるよりも、描ける時に描いたほうがいいと思いながらやっています。
絵本を描く面白さは、複雑にすると子供に伝わらないから、考え方がどんどんシンプルになること。最近は、内面的なことを掘り下げるよりも、絵で見せる面白さを追求したほうが、絵本はもっと良くなる気がしています。これからも作風は変るだろうし、絵ももっと上手くなると思います(笑)。絵本作家として、自分ではまだ何も始まっていないと思っているので、今、持っているものを精一杯出して、失敗して恥をかいたりしていきながら、“絵本作家 のぶみ”になっていきたいです。



サインをする際、きまって“絵本作家 のぶみ”と記すのぶみさん。理由は「自分が思う絵本作家にまだ到達していないから」だそう。『こくはくします!』で大好きなゆうくんに気持ちを伝えたはるなちゃんの笑顔に、失敗を怖れず、何かをやってみることの素晴らしさを再認識。清々しいはるなちゃんの姿は、プライドや従来の枠組みにとらわれず、自分の世界を描き続けるのぶみさんの生き方にもつながっている気がします。絵の細部にまで驚きが盛りだくさんののぶみワールドが、一体どんな進化をみせてくれるのか……目が離せません!
【インタビュー 宇田夏苗】


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