楽天ブックス 著者インタビュー

  • バックナンバー
  • 最新号

 『私は、産みたい』で、赤裸々な不妊治療の手記が話題となった野田聖子氏。その一方で、少子化時代の政策マニフェスト本ともいうべき、『だれが未来を奪うのか〜少子化と闘う』を着々と書き進めていたという。
政治家「野田聖子」のすべてをさらけ出し綴った入魂の「野田2部作」を通じて、世に伝えたかった「少子化」への思いをうかがった。

今週の本はこちら

野田聖子さん『だれが未来を奪うのか〜少子化と闘う』『だれが未来を奪うのか〜少子化と闘う』
少子高齢化、人口減少を切り口に、日本がただちに取り組むべき政策を提言
1,470円(税込)
ご購入はコチラ

野田聖子さんの本!

不器用『不器用』
野田聖子さんの本をもっと探す!

プロフィール

野田聖子さん (のだ・せいこ)
1960年福岡県生まれ。83年、上智大学外国語学部比較文化学科卒業後、帝国ホテル入社。87年、岐阜県議会議員(当時最年少)。93年、衆議院議員に。96年、郵政政務次官就任。98年、郵政大臣就任。2000年、自民党政務調査会副会長、同筆頭副幹事長に。自民党の女性に関する特別委員会委員長、同少子化問題調査幹事などを務める。 著書に、『国民のみなさまにお伝えしたいこと』(PHP研究所)、『私は、産みたい』(新潮社)などがある。

インタビュー

−−前著『私は、産みたい』に書かれていたような経験をされた前後で、野田さんの少子化に対する考えや思いはどのように変わられましたか?
野田さん単純に、世の中を2つに分けて考えるようになりましたね。「女性である自分は子どもを産めるが、男性は産めない」と。男性と女性の圧倒的な違いを認識しました。

やはり子どもを産むということに関しては、女性が主体であり「自分は主体者で産む側にいるんだ」と実感しました。何よりも、心臓を2つ持つ経験が、私にとってはドラマでしたね。産み育てることの尊さ、命への尊敬の念を教えてくれました。 それから、行政や企業などで少子化対策がなされていないのは、男性が考えている仕組みだからだと気づきました。(笑) 日本は、地域や女性の目が排除された、男性仕様の社会なんですよ。
−−『私は、産みたい』は私的な告白本という位置づけでしたが、『だれが未来を奪うのか』では政治家としての視点から、正確なデータに基づき、少子化政策について提言されていますよね?
野田さんええ、同時進行で書き進めた2冊なんですが、「野田2部作」と位置づけていただければと思います。私は、政治家である以上、誰よりも正直であらねばならないと考えているんです。よく政治家は汚いなどといわれますが、だからこそ、「野田聖子」という人物をさらけ出してあからさまにする必要があったんです。『だれが未来を奪うのか』では、等身大の自分の目線で考えた少子化を、政策として訴えています。
−−自らの経験を通じて身をもって感じられたことが、マニフェストに生かされていると?
野田さんそうですね。日本では、女も男も子どもを産むということに対して、あまりにも当たり前と思ってはいまいか?と感じます。私にしてみれば奇跡とさえ感じられることなのですから、もっとみなさん、命の尊さを理解していただきたいですね。今の日本が、命の尊さを感じられない状態になっているのが問題だと思います。国が無策で少子化国家に導いているのも罪だと思いますが、民族危機の怖さを国民全体が感じてほしいです。

それと、子どもを増やすための考えが、日本の場合は諸外国とまったく逆なんですね。統計的には、女性の働く意欲の高い国の方が、出生率が高いんです。それに反し、日本は、子どもを産ませるために女性を家に閉じ込めようとしているように感じます。このナンセンスな考え方は、日本の男性を中心として作られてきたもの。これを改めない限り、どんな少子化対策も無意味なんです。だから、この本は、男性にこそ読んでほしいですね。 女性同士も、「産む」「産まない」の対立の構図にのせられないで、女性同士が結託して子どもを産みやすい社会作りのためにチームワークを組まなければ。まずは、相手との違いを認める事が重要です。
−−「負け犬」だ「勝ち犬」だと女性同士で対立している場合ではないということですね。
野田さんええ。ですから、これから結婚する女性、ワーキングマザーなどすべての女性にこの本を読んでほしいんです。私たちが協力して社会を変えることができれば、子どもだけではなく自分にとっても幸せということをわかってほしいです。 「女性が子どもを産みやすい社会にするためには政治から変えるしかない」と思った瞬間、自分には関係ないと考えて諦めてしまう人が多いと思いますが、そうではないんですよ。 インターネットで情報が入手できる時代なのですから、例えば、応援する政治家にロビー活動をしたり、選挙活動の手伝いをしてみるなど、政治に参加するチャンスはいくらでもあります。

自分が主体的に動かなくては何も変わりませんから。努力しないで文句ばかりではだめだと伝えたいですね。
−−政治の世界といえば、野田さんの職場である永田町では、少子化対策はどうとらえられていますか?
野田さん「永田町には子どもを産む人はいない」という前提ですね。(笑)

国会議員には育児休業制度もありませんから。国会欠席の理由に「妊娠・出産」の項目が最近できたぐらいです。子だくさんで知られる橋本聖子参議院議員は、3年前「国会を出産で休むなんて」とバッシングを受けて、産後15日で国会に出てきたんですよ! もし私が出産したら、ガツンと休んで前例をつくりますよ。

あ、でもね、画期的な企画があって、4〜5年内に国会に保育施設ができる予定です。議員のためだけではなく、近隣の人の利用をイメージしたシンボリックなものにしたいですね。 現横浜市長の中田宏さんが国会議員だった頃、一緒に企画したんです。 当時は、荒唐無稽と思われていた不可能に近い試みが、ここにきてやっと実現しそうで嬉しいですね。
−−少子化対策として、ワーキングマザーの大変な側面ばかりではなく、「充実した憧れのライフスタイル」のイメージを世に広めることも重要と思います。そのために、何かお考えですか?
野田さんフランスをイメージしたらよいと思います。2人より3人子どもがいるほうが保障が手厚く、どんどんリッチになっていく構造です。他の先進国では基本的に子どもの医療費なども無料ですが、日本では所得制限が厳しく、個人支出が多すぎるんです。保育園や幼稚園などの教育費や塾の支出もかさみ、若いうちに金銭的しわよせがくる構造ですね。
−−そうなんです! 自治体にもよりますが、所得制限があるために、子どものいる家庭すべてが、小児医療費の無料制度や児童手当を、利用 できるわけではないのが現実なんですよね。
野田さん日本は、まずは、子ども・子育てにお金を使うことが必要です。社会的金銭的配慮というのは、その対象者に対しての感謝の気持ちでもありますから。その意味で高齢者に対する金銭的配慮は否定しませんが、厚過ぎる感がありますね。それに比べ、子供や子育てに関しての金銭的配慮がなさすぎます。

つまり子供を産んで育てることへの感謝の気持ちを、日本は持っていないんです。 高齢者政策に偏重したお金を子育てへ少しまわし、保育園や学校は無料にする、子育て期間は税金を安くするなど、思い切った金銭的配慮が必要です。 現在の少子化は、「荒れ果てた大地に花も咲かない」状況だと思います。
−−次世代法で「子どもが産まれたら100万円支給」などの企業や市町村の事例も出てきていますが、次世代法の有効性についてはどう思われますか?
野田さんう〜ん、まだすべての企業には義務づけられていないので、ないよりましかなという程度でしょう。 世間のイメージを良くするために少子化対策に取り組むのではなく、「優秀な女性を採用するため」という発想法の転換が必要です。自社の利益のために企業保育所を設けるという発想にならないとだめですね。

そういう意味で、女性が働くことと子どもを産み育てることの両立は不可欠ですね。働く意欲の高い女性ほど、子どもを産みたいという現状のデータもあります。子どもを産むということは、最低でも10ヶ月程度は職場を離れるわけですから、それを認めて、復帰できる、働き続けられる職場風土や制度が必要ですね。

日本の9割以上を占める中小企業には、それを現実的な補助金という形でフォローしていかなくてはと思います。
−−本の中で、少子化対策として「みんなで子どもを育てる環境」を提唱されていますが、やはり今後、地域社会の再生が鍵になると思われますか?
野田さん昔のように、地域で子どもを見合う社会が理想的だと思うんです。お母さん1人では子育ては無理ですよね。昔は周りに乳母の役割を果たしてくれる人がたくさんいましたが、今は実母に預けるか、保育園に預けるかで、選択肢が少ないですね。 そこで、地域の専業主婦やリタイア後の高齢者などが、ボランティアやNPOで「子育て」という形で社会参加できれば、中高年の女性の再雇用促進にもなるし、生涯働くことにもつながります。核家族でも子育てできる環境を作ることができるんです。

特に50〜60代の女性パワーって潜在的にすごいと思うので、NPOなどの活動を通じて、その力を活用しない手はないですね。保育を社会的評価へシフトすることで、自分の孫の無償の子守ではなく「社会的正義」のために貢献するというモチベーションを保つことができますし。

中高年の方には、世代間扶養のシステムがある以上、少子化対策が自分たちの幸せになると気づいてほしいですね。
−−女性が仕事と子育てを両立するのに最も適した形態の1つがSOHOだと思います。SOHO支援については、どのように取り組まれていますか?
野田さんSOHO支援は、障害者、老人、育児中などの女性を対象に、積極的にすすめています。ただ、企業が始めた場合、インフラ面では問題ありませんが、SOHOで働けるコンテンツメニューがないのが実態です。ソフト面の整備が急務ですね。現行の日本の会社の仕事のやり方だと、会社に出勤すること自体に意義があるのでは?と思います。(笑)

本来は経済産業省などすべての省庁が結集して取り組むべき大きな課題ですが、厚生労働省、総務省と、縦割り行政の弊害で小さな単位の中で対策が行われていることが問題ですね。
−−最後に、ワーキングマザーやこれからワーキングマザーを目指す女性に対してメッセージをお願いします。
野田さん男性にはできない女性ならではの人生の醍醐味を、女性自身がいちばん感じてほしいですね。男性と同じように働かなくても、女性ならではの勝負の仕方があるし、決して対立する必要はないんです。 そもそも、子育てを否定するほどに優先される仕事があるのはおかしいですよね。 望むように子供を産み育て、働ける社会になるよう、力をあわせていきましょう!
−−病児保育の充実も必要ですが、それ以前に、子どもが病気の時には仕事を休むことができるような、人間らしい社会が理想ですよね。 世の男性についても、ひと言お願いします。
野田さん自分を犠牲にして働き、けなげ!「もっと手を抜いて」と言いたいですね。(笑)

男性は、これまで頑張ってきてくれたのだから、これからは人間らしく生きてもらいたいです。もっと女性をうまく活用する度量があれば、楽になれるのに、と思いますね。
−−本日はありがとうございました。次は、野田3部作(?)の完結編を期待してます!
野田聖子インタビュー中、子どもが3人いることを伝えると、「あなたはエライ!」と力強いお褒めの言葉をいただいた。建前ではなく、歯に衣を着せぬ自分の言葉で熱く理想を語る野田聖子さん。 野田聖子さんなら、出産への挑戦も見事に成し遂げるであろうと思わせる、ただならぬ迫力を感じた。インタビューしているこちらも、少子化社会を変えられるような気がして、勇気をいただいた。永田町のおやじ文化(?!)をしなやかな女性文化へと変革して、ぜひとも「少子化対策政権」を誕生させてほしい。ちなみに、著書にサインしていただいた言葉は「夢」。女性として、政治家として、あくなき「夢」を追う姿は、カッコいいです。同じ女性として「大志」を抱かなくてはと切実に思わされたインタビュー、本当にありがとうございました!【インタビュー 常山あかね】

このページの先頭へ