楽天ブックス 著者インタビュー

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テレビや雑誌で、一度見たら忘れられない強烈なイラストを描くイラストレーター五月女ケイ子さん。新刊『新しい人妻』は、新作イラストだけでなく「目が飛び出る」文章満載の、いままでにない人妻本だ。え、人妻? いままでにない? どんな本なのか、その答えは、五月女ケイ子さんのインタビューでどうぞ。

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五月女ケイ子さん『新しい人妻』『新しい人妻』
ジャングルの中からやってきた、新種の人間・『新しい人妻』誕生の秘密を、あなたは目撃する!
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五月女ケイ子さんの本!

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プロフィール

五月女ケイ子さん (そおとめ・けいこ)
イラストレーター。ともにベストセラーとなった『新しい単位』『【新しい】新しい単位』のイラストをはじめ,「禁じられた遊び」月9ドラマ「ビギナー」「草野★キッド」などのテレビ番組でのイラスト、TVブロス「大人の時間ですよ」など、各方面で一度見かけたら忘れられないインパクトあるイラストを大量放出中。パッケージなどのイラストを描いたタカラの「人生ゲームM&A」も大人気発売中。11月には、昨年開催した「世界のバカ展」も本になる。
公式ホームページ http://www.keikosootome.com/
「女子メモ」http://www.dansiwa.com/jyoshi/index.html

インタビュー

−−イラストや挿絵だけでなく、文章も一冊まるごと五月女さんが書いた『新しい人妻』ですが、これは五月女さんのホームページ「女子メモ」に書かれていたものをまとめたものなのですね。
五月女さん本にしたいというお話をいただいた時は、すごく「目が飛び出ました」。チャレンジャーだな、と。WEBは「女子メモ」で、その名の通りメモの体裁で、内容も、その時に思った日記的なものだったり、「はっ!」って気がついたことを書き留めたメモ感覚で書いてたもので……。

 だから「……書き直しますか?」と言ったんですけど、「そのままで」と言ってくれたので。大丈夫かなぁ、なんて思いましたけど……。でも、時間かかっちゃったんですよね、ずいぶん。やっぱり仕事がすごい忙しいので、なかなか。お芝居をやったり、展覧会をやったり、どんどん大きいことがあったりしている間に、どんどん先延ばししてしまって。1年ぐらいかかっちゃいましたね。ネタも書き足しましたし、イラストも半分以上、新しく描いて。
−−ご自身の絵も、描かれたんですね。
五月女さんそうなんですよ、辛かったです。自分の顔とか描くよりも、ほかの人を描くほうが楽しいので、けっこうたいへんでした。こうなると、自己と対峙したり、心象風景も描かないといけないのかー、と。結局、ギャグになっちゃいましたけど。
−−こんなにたくさん、イラストの新作が見られるのもスゴイですが、子供のころの宝物を紹介されていたり、ご両親と対談されていたり、楽しく読ませていただきました。
五月女さん……恥ずかしいですね。自分のいろいろな過去のまとめみたいなものなのかな。でも、伝記みたいなことではないと思います。やっぱり「女子メモ」っていう感覚ですね。自己開示的なことは、まぁ次かなとか、もっと30〜40年たってからでいいかな、と思ったので、勢いで描いちゃっているところもありました。
−−本文にもありましたが、五月女さんのイラストを見た方の中には、「あの絵はおじいさんが描いてるの?」とか、ご本人のことをもっと知りたいという人がいっぱいいると思うんです。そういう意味でも、五月女さんに迫りたい人の欲求は、この本を読めばかなり満たされそうですね。
五月女さんよく、「こういう絵を描いている人がどういう人か見てみたかった」ということを言われるんですけど、自分ではすごくヘボイ人間なので。文章も……子供の時から、長い手紙を書いたり作文も得意で、文章を書くのがすごく好きだったんですけど……こんな拙い文章で申し訳ないです。
−−いえいえ、ものすごく個性がありますよね。「目が飛び出た」とか、文章表現にも強烈なインパクトがあって、独特なフレーズが出てくるタイミングも、さすがだなぁと思います。
五月女さん女子メモを始めた時は、絵では伝わらないこともストレートに伝えたいなって気持ちもありました。メッセージとかじゃなくて、何をしているのかとか、気分転換みたいな意味もあって。「目が飛び出た」は、女子メモで生まれた言葉なんですけど、これって、自分で笑っちゃう文章なんですよね。なんか自分でも「なんでいきなり目が飛び出るんだよッ」って、自分でツッこんでいる……文章ではツッこんでいないんですけど……自分でツッこんで、楽しい文章を書いてるっていう……。

−−それで、出来たスタイルなんですね。
五月女さん女子メモを書き始めたのは去年からで、締め切り前とか、忙しい時ほど書いてしまうという、現実逃避もありますね。

そういう「たいへんだ、ツライな」っていう時に、女子メモに「草野仁さんがハダカで叫んでいる絵を描いた」とか、「昔のオリンピックで、全裸の人が50人くらいで競技している絵を描いた」などと、どんなイラストを描いたかもメモしていくと、自分で「何を描いてるんだろう」って脱力するというか「ツライのがバカだ」という気持ちになれます。文章にすることで、逆に勇気づけられるというか、元気になるというか、癒しのような感じもありました。

絵では、言葉にならないものを描くようにしているんですけど、言葉にするのも面白いんだなぁっていう発見があって。書いてるうちに発見し、書いてるうちに学んで。なんか発見ばかりで、楽しかったです。
−−言葉にならないものを描いてらっしゃるという、そのイラストなんですが、すごいインパクトでクッキリした印象がありますね。テレビでチラッと写っただけでも、一度見たら忘れられないのですが、これは狙った表現なのですか? もともとそういうふうに、自然に描けてしまうのですか?
五月女さんイラストのインパクトですか? それってまだ、私も探検中っていうか、自分探しじゃないですけど……女子メモもその一環なのかな……自分のどこからでてくる絵なのか、自分でわかってないんです。でもたぶん、なんでもすぐ感動したり、なんでも疑問に思ったり、なんかヘンに盛り上がっちゃうからでしょうか。そういう時って、あとで見ると、スゴイ絵だなって思うような絵が描けてたりするのですが。それはやはり人様に見せてはいけないだろうって思ってたのですが、出したら、意外にみんながほめてくれる。なんでだろうって思ったりしますけど。でも、とにかく楽しいです、描いてる時って。

描いてる時は、わりと作為的っていうか、驚かせてやろうとか、ガキ大将がイタズラをしかけるような、落とし穴を掘るような気持ちだったりします。……調子に乗って描いてるんです。
−−お父様との会話で「パソコンで描くと似ちゃうから」とか、「新しい、今までにない絵を描きたい」ってお話をされてますね。
五月女さんお父さんは、いつもパソコンで描けばって言ってるんですが、なんか一番アナログな方法で世に出てしまったので……。 新しいってことでは、そうですね……イラストって馴染んじゃうものだから、馴染まないようにしたいとか。かわいいものが好まれるから、かわいくないのを描こうとか。ひねくれてるんです(笑)。
−−文章も含めてですが、けっこう女の子の本音が描いてあるような気もするんです。五月女さんみたいに思っていても、口に出して言ってはいけない、とか、女の子だから言わずにいようとか。そんな、自分では表現できないようなことも、この人はちゃんと描いてしまうんだ!という驚きというか、女子のナイショ話のような……。
五月女さんそうですか? 女の子らしいのかな。でも「小学生感覚」ですよね、それで喜んでたら(笑)。

とはいえ、やはり疑問に思うことってありますね。カツラをかぶっている人って、どういう経緯でかぶりはじめたのだろうとか。そういう、なんでだろうって考えるのが……勝手に哲学? 哲学なんていうとアレですけど……勝手に考えるのが好きなんですよね。

どうでもいいことで、役に立たないことでも、不思議なことってありますよね。たとえば犬って、なんであんなに種類があるんだろう、大きさも種類もちがうのに交尾して大丈夫? とか不思議ですよね。それなら、猫とでもいいんじゃない? とか。でも、やはりちゃんと犬どうしで交尾する。そういうのがけっこう詰まってるのかな、とか。「13日の金曜日」のジェイソンのありふれた一日を描いたページもあります。たぶん、金曜日以外はけっこうヒマだと思うので。
−−本のタイトルはどうして『新しい人妻』になったのですか? ベストセラーの『新しい単位』と、似てるけどちがうものですし、「人妻」と「新しい」という言葉のミスマッチな感じが気になりますが。
五月女さんなんか、思いついちゃったんです。あんまり、こういう人妻はいないかなって思って。それで、人妻っていうと「セクシー」だなと思って、人妻しおりをつけました。着せ替えとかもできるんです。テレビでも、「人妻」だと視聴率が上がると言うじゃないですか。検索もたくさんされるかな、と。中身にはあんまりでてきませんが(笑)。
−−人妻……ということでは、ご主人の細川徹さんが主催する「男子はだまってなさいよ!」の舞台にも出たりしてらっしゃいますが、ご夫婦でネタのやりとりとかするんですか?
五月女さんネタのやりとりしか、ないですね(笑)……そんな人妻なんていないですネ。結婚は7年目ぐらいですが……。
−−7年目というと「7年目の浮気」とかいろいろ言いますけど……。
五月女さん二人とも浮気するヒマはないですね。あ、浮気はして欲しいかな。そういう欲求は満たしてくれればいいかな、なんて……。
−−浮気して欲しいんですか? それこそ、新しすぎます!
五月女さん
……私、女兄弟ばかりで、男性のこと、あんまり知らなくて。男の子の遊びもほとんど知らないし、ジャッキー・チェンとかも見たことなかったし……それで、男性の世界ってすごく新鮮で面白いなって。それで、イラストを描き始めたんです。想像はするんですけど、男性の気持ちはなかなか……。それで、男の人は肉体的な欲求が女性よりあるんだろうから、それに答えられない時は……っていうのを勝手に想像して、浮気していいよって言ってるんですけど……そう言われると、しづらいかなぁ。そういう人妻はありえないですか? 実際されたら、ムカつくかもしれないけど。
−−なるほど、五月女さんそのものが、「新しい人妻」なんですね。それじゃ反対に、ご自分で描いてるお好きなアイドル、たとえばマッチと楽しもうとか、浮気するとか、そういうのはありませんか?
五月女さん自分がその世界にはいってアイドルと……とか、そういう想像をする人もいるんでしょうけど、わたしは、そうではなくて、マッチに乗り移るようなのが好きなんですよね。人の人生を勝手に想像するのが楽しいんです。マッチの歌とか大好きですが、マッチがこの歌をどういう気持ちで歌っているんだろう……とかって、想像しはじめちゃうんですね。恥ずかしいセリフとかありますけど、これは自分の意志で言っているのか、それとも言わされているのか、バカなのか……全部、妄想ですけど、そういうことを勝手に想像するのが楽しくて、そのうち感動してきて、やっぱり……人っていいな!って。

以前、女子メモにも書いたんですが、深夜・午前3時に、スターウォーズのC-3POの声を聞いた時にも、感動というか震えてしまいました。いったいどういう設定で、午前3時にスターウォーズを……しかも吹き替えで見るの? と思ったら、見てる人に乗り移りたくなっちゃうんですよね。顔は見えないですけど、アパートの2階で、部屋の電気とかは道から見えていて。そういうのをすぐ、女子メモにメモ!みたいな。
−−この本はどんな人に読んでもらいたいですか? タイトルを聞いた男性も女性も、興味を持ったというのを編集さんに伺いましたが……なかでも、40代の男性にウケたそうですが……。
五月女さん40代男性?(一同大爆笑)。タイトルを間違えて「あやしい人妻」って読んだのでしょうか? 「女の部分」とか「おっぱいプリン」とかって目次があるから? たしかに、おじさまには、見てもらいたいですね。
−−そうすると……あれですね、目次を見て、ピンときたら、とりあえずそこを読んでみるという……?
五月女さんそうですね、そういう読み方がいいかもしれないです。一日で読もうとしないで、トイレとか用足しの時間に、ちょこっとずつ読んでもらえれば……。

あとは、よく、私たち夫婦を見て、自分も結婚したくなったっていう人が多いんですけど……それはたぶん、夫婦っぽくないからでしょうか。こんなでも夫婦なんだとか、こんなでも人妻になれるんだっていう気持ちになれるからだと思うので、人生を難しく考えすぎる人とか、結婚やいろんなことで悩んでいる人とかに読んでもらえたら……。
−−たしかに、人生が変わるかもしれませんね。
五月女さんこの本で、そういう難問も、どうでもよくなってくれればいいですね。私の両親とかも、本当に驚いていました。こんなのが出るのかって。
−−小説が書きたいというのもありましたけど……ご予定は?
五月女さんもともと小説家にもなりたかったんですけど、10代の時に挫折して。コラムっていうよりは、物語を書くとか想像するのが好きなので、それで次は、絵と文章で物語が描ける漫画家になろうと思ったんです。ところが、枠線とか描くのが面倒くさくて(笑)。枠線はツライ……と思って、それも挫折して。でも、年を重ねると、10代の頃にはわからなかったことがわかってきたり、いろんな発見が毎日あったりするので、もしかしたら、そういうのを言葉にできるようになるといいなって思います。そうですね、いつか物語を書けるといいと思っています。

……とは言っても、自分のことを書くのは恥ずかしいので、マッチとかを主人公にして書いたら、きっと枚数も増えると思います。そういうのがいいですね。80年代のアイドルを、勝手に想像で……。
−−それは、ぜひ読んでみたいですね。今日は、ありがとうございました!
はじめてお会いした五月女ケイ子さんは、細くて小さくて、カワイイ声の少女のようなイラストレーターでした。あの絵をこの人が? しかも結婚7年目の人妻? と、ますますナゾは深まるばかり。ただ、話を聞いていくと、『新しい人妻』の中のイラストと文章の絶妙な間合いは、たしかにこの人の味わいだ……というのが、じわじわと伝わってきます。強烈な個性で、人生のふとした可笑しみと疑問を猛烈に盛り上げる、イラストスプラッター・五月女さん。彼女の感性を絵と文の両方で堪能できる『新しい人妻』であなたも「目が飛び出る」を、体感してください。【インタビュー 波多野絵理】

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