楽天ブックス 著者インタビュー

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物語は女優・森野美咲の離婚会見から始まる。「いつまでも男と女の関係でいられる夫婦が理想でした」と語る森野美咲。このセリフ、どこかで聞いたことはないだろうか?そう、作者の杉本彩自身の離婚会見がなぞられているのだ。結婚というくびきから解放された美咲は、若い恋人との情事にふけるかと思うと、ファンの男性に求められるまま「女王様」を演じて見せることも。美咲の奔放な性遍歴が赤裸々に描かれていく。告白小説ではないかと疑いたくなるほど大胆な設定の官能小説。初めての長編小説がどう書かれたのか、杉本さんにうかがった。

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杉本彩さん『インモラル』『インモラル』
離婚。それはモラルからの解放。自由になった私の中で、淫らで貪欲な生き物が目覚める…
380 円(税込)
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プロフィール

杉本彩さん (すぎもと・あや)
1968年京都府生まれ。テレビ、映画で活躍する一方、官能小説家として執筆活動を行う。小説の第1作は1999年の短篇「指」(「小説新潮」)。初の長編小説となる『インモラル』は2003年から04年にかけて「小説新潮」に断続的に連載されたもの。官能小説の著書としても初の単行本となる。

インタビュー

−−『インモラル』一気に読みました。官能的でとても楽しめました。
杉本さんホントですか(笑)。ありがとうございます。
−−杉本さんがはじめて小説を書いたのはいつごろですか?
杉本さん1999年に「小説新潮」で発表した「指」という短篇が最初ですね。その次にもう1篇、短篇を書いて、次がこの『インモラル』です。
−−小説を書きたいと思うようになったのはいつごろからですか?
杉本さん20代半ばの頃から漠然と、ちょっとポルノチックなものを書きたいと思っていました。20代後半になって、たまたま女優の冨士眞奈美さんと知り合う機会がありまして、「小説が書きたいんです」というお話をしたら編集者の方を紹介していただいたんです。それが書くきっかけでした。
−−それまでも小説はお読みになっていたんですか?
杉本さん偏ったものしか読んでいませんでした(笑)。たとえば谷崎潤一郎とかマルキ・ド・サドとか、エロティックな描写のあるエロス文芸系のものが好きです。
−−『インモラル』の主人公の「美咲」は、明らかに杉本さん自身を思わせます。どこまでがほんとで、どこからが虚構なのか、読者は翻弄されますね。
杉本さん私の場合、自分のことを本当に事実だけで書いていたら、官能小説なんかになりはしないんですよ(笑)。だから、どうしたって脚色しなくちゃいけないし、自分の妄想的なものを取り入れていかないといけないんです。あくまでも自分はモデルにすぎなくて、読んでいる人がその境目がわからないということでいいんじゃないかと思いますけど(笑)。
−−しかし、読んでいると、杉本さんのことをイメージして読んでしまう。それがまた淫靡というか……。
杉本さん具体的に顔が浮かんできますよね(笑)。
−−しかも第2章の「ボンデージ」では、美咲は「インモラル」という小説を書いて発表までしています。
杉本さんこれはあえてそうしました(笑)。もともとは第1章の「インモラル」だけで終わるはずだったんです。 別に続けて書くつもりはなかったんですが、たまたま読者の方から好評だったもんですから、編集者から「もっと続きを書いてみたら?」と言われて。そこから後の展開を考えていったんです。
−−文芸用語でいえば「メタ・フィクション」。知的で巧妙な仕掛けだと思いました。
杉本さんこの小説のなかで、自分の生き方とか、考え方を巧みに入れていきたいと思ったんです。官能というのは、いろいろなものを表現していく上での1つの手段に過ぎないと思っています。
−−美咲が官能小説を書くとことは、「抑圧されていた女たちを解放したいというメッセージ」でもあるとお書きになっています。美咲=杉本さんと考えれば、杉本彩という女優がなぜセクシーな表現にこだわっているのか、その理由もわかったような気がします。
杉本さんそうですね。ぜひ、女性に読んでいただきたいと思っています。もちろん、男の人も楽しんでいただけると思いますけど。
−−芸能界の内幕を暴露しているショッキングな描写もあります。このあたりも、ご自身の見聞を踏まえていらっしゃるんですか?
杉本さんそうです。芸能界で不器用な生き方をしてきた私にしかわからない部分だと思います。芸能界の裏話も、多くの方に知ってもらえたらな、と思いますね。
−−官能小説ではあるけれど、それだけにとどまらない彩りがありますね。ヒロインが杉本さん自身をモデルにしていることで読者もとっつきやすい。
杉本さんもともとは1章だけで終わるはずだった小説が、2章以降に続いていっても、主人公に統一感があるのは、私自身がモデルだからだと思いますね。
−−2章以降では、ロスト・ヴァージンのエピソードなど、過去にさかのぼるエピソードも登場します。ヒロインの過去が出てくることで、キャラクターがくっきりとしてきます。書き続けられることによって、ご自身を掘り下げていく体験をされたという実感はありますか?
杉本さんありますね。もともと、主人公の過去にさかのぼっていくつもりもなかったですし。ヒロインをよりリアルに表現するには、どういう少女時代をすごしたとか、必要じゃないかなと思って過去についても書きました。
−−女性が成熟していくまでの小説としても読めると思いました。
杉本さん10代、20代、30代と、同じ1人の人間ではあるけれど、それぞれ別人のような考え方をしていた部分もあるくらい、変わっていきますよね。それがまた面白いな、と思いますね。
−−それも、セックスを通して、変わっていくことがわかる部分がある。
杉本さんいつも言うんですけど、「恋愛とかセックスって、仕事だけでは気づかせてくれない自分の本質を気づかせてくれるんですよね」って。どんなに仕事がバリバリできても、セックスをしてみると、人間としてどうなんだろうって思う部分があったりとか(笑)。
−−執筆はケータイで行ったとか?
杉本さん第1章の「インモラル」から第2章の「ボンデージ」の途中まではケータイで書いてましたね。家にいられる時間が少なかったので、クルマの中で書いたものを家のパソコンに送信して、パソコンで編集するということをやってたんですけど。
−−じゃあ、ケータイでメールを打つのはけっこう早い?
杉本さん速いですね、バリバリ。でも、やっぱり、パソコンで打ったほうが絶対速いじゃないですか(笑)。だから、3章以降はパソコンですね。
−−ところで、若い恋人の「洋三郎」っていうお名前ですが、『花と蛇』にも出演されている伊藤洋三郎さんと同じお名前ですね。
杉本さん使わせていただきました(笑)。実は登場人物の名前はぜんぶそうなんです。昨日はたまたま映画『花と蛇2』(5月14日公開)の初号試写があったんで、みんなに『インモラル』を配りました。「使わせてもらってます」って(笑)。変態の中山って人物が出てきますけど、彼の名前も、友だちからもらいました。「ごめん、キミ、変態役だから」って(笑)。でも、自分の名前が出てくるとみんな喜んでくれてます。
−−次は自分を主人公に、という人もいるかもしれませんね。これからもぜひ小説を書いてください。今日はありがとうございました。
杉本彩 記者会見ではカメラマンの求めに応じてポーズを取り、堂々たる女優ぶりを見せていた杉本さん。しかし、自作の小説の話となると、読者の反応が気になってたまらない様子だった。映画『花と蛇』で見せた妖艶な演技そのままに、小説の主人公を自ら演じたような長編小説『インモラル』は、そのへんの上手だがハートのない小説とは一味違う気合の入った仕上がりである。一気読み間違いなし。モデル探しの楽しさも含めて、サービス満点の官能小説である。【インタビュー タカザワケンジ】

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