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 『下妻物語』の著者で“乙女のカリスマ”として人気の嶽本野ばらさんと、復刊『おひめさまえほん』が話題の少女画の巨匠・高橋真琴先生。お二人の初のコラボレーション絵本『うろこひめ』は、魔法によって美しくなった醜いお姫様の物語。“本当の幸せとは?”を問いかける、残酷だけれども、寓意に富む物語と、高橋真琴先生が22年ぶりに描き下ろしたお姫さま絵が堪能できるこの本。刊行を記念して青山ブックセンター本店で行われたお二人の魅惑のトークショーをお届けします。◆協力:青山ブックセンター

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嶽本野ばらさん/高橋真琴さん『うろこひめ』『うろこひめ』嶽本野ばらさん/高橋真琴さん
美しくなる代償として一生背中にうろこを持ち、6日毎に人間を食べなければたちまち醜い姿に戻ってしまうという過酷な運命を背負った魔法によって美しくなった醜いお姫様…
1,470円(税込)
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嶽本野ばらさんの本!

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高橋真琴さんの本!

高橋真琴のまんがアンデルセン
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プロフィール

嶽本野ばら さん (たけもと・のばら)
小説、エッセイを中心に執筆活動を行なう。ロリータファッションの追求と耽美的な文章で、“乙女のカリスマ”と評される。主な著書に、『エミリー』(集英社)、『ミシン』『鱗姫』(小学館)など。著書『下妻物語』が深田恭子主演で映画化され大ヒットとなる。
高橋真琴さん (たかはし・まこと)
少女漫画のパイオニアであり乙女の求道者。絵描き歴50年、御年70歳の巨匠。年に2回の個展を中心に活動。‘01年に雑誌BRUTUSの表紙を手掛け、発売後即完売という衰えない人気を誇る。

インタビュー

−−まず、お二人の出会いはどのようなものだったのでしょうか。
野ばらさん真琴先生の少女絵みたいなグッズっていうのが、身の回りにあったので、子供の頃から慣れ親しんでいる感じがあったんですけど。中学・高校ぐらいからですかね。中原淳一などの叙情画家に非常に興味を示し始めた時に、その延長線上に真琴先生がいらして。そういった方々はみんな他界していたのですが、真琴先生は現役で描いていらっしゃった。まだ生きておられる方だとは知らなかった。現役でガンガンやってるとはスゴイなーと思って。スキあらば、真琴先生といっしょに何かできればいいなという野望を抱いてたんですけど。
真琴先生直接お会いしてはいなかったのですが、パルコ出版で『少女ロマンス』刊行記念の展覧会がありまして、ステキなコメントを書いていただいたんです。それではじめてお名前を知りまして。『うろこひめ』を私と、っていうお話をいただきましたが、『ミシン』とか読んで、私の絵で合うのかなということも思いました。絵と合わない、ちょっとコワイ部分があるお話ですが、だからこそ、面白いのじゃないかとも思いました。それに、仕事をはじめて50年、若い方から声がかかってうれしかったし、新しいものにまた挑戦できるチャンスかなと。お会いしてお話するうちに、どこかで共通点があるんじゃないかなとも思いまして、今回の『うろこひめ』誕生となったんです。
−−琴先生は小説を読まれてどんなことを思われましたか?
真琴先生さん原稿を編集の方にいただいて、オレにこんなものが描けるのかなぁ、と。場面、場面でスゴイところがありますよね。ただ、グリムにしても、ペローにしても、童話はコワイんですよ。それに比べたら大丈夫かと。コラボレーションですので、野ばらさんの小説と、私の絵で、二度楽しんでいただけるならいいかなというこ とで、コワイ場面はあまり考えずに描いていったのですが、みなさんはどう感じられたか、楽しみです。
−−どの絵を描くかというのは、ご自分で選ばれたのですか?
真琴先生編集の方が、場面設定をして、この場面はこういう表現でどうでしょうという割り付けをもってきてくれたので、それでいきましょう、と。
−−では、お話を書かれた野ばらさんは、真琴先生の絵を見て、どのように感じられましたか?
野ばらさんこちらからこの場面を絵にして欲しいというようなことは、まったく今回は言わなかった。というのは、コラボなのに話の方が先にできていたので、真琴先生が描きたいところを自由にやっていただくことで、合作という形になるだろうと思ったので。ここをチョイスされたのか、意外だな、とか、ここをチョイスしてくれて、してやったりみたいな。
−−どの絵が野ばらさん的にはお好きですか?
野ばらさんおひめさまがベッドで背中を向けて、見返り美人じゃないですけど、うろこの生えた背中を見せている絵が特別好きで、真琴先生にやってもらってよかったなと。十分でございますってカンジ。
−−真琴先生はこれを絵にしたいという場面はどこでしたか?
真琴先生全部そうなんですけど、一番難しかったのは、いろいろな王子さまと結婚してジューサーにかける…という部分がね…、どう表現したらよいものか…。編集の 方がその場面を抜いて構成してくれて、ホッとしました。あとは、じっくり見ていただける要素、いろんな仕掛けを絵に入れたことですね。 たとえば、はじめに双子の王女様が誕生した場面。一人は可愛いくて、もう一人は醜い。お姉さんの可愛いほうは描けるんですが、妹のそうでもない方は横向きにして、 指を鼻につっこんでいる様子にしたり。

お姉さんは死んで、魔法で妹が身代わりになるんですが、その魔法をかける魔法使いの解釈というか考え方も好きなところです。『ミシン』の時に進化論について触れて おられて、キリンの首が今のキリンとなるまでに、ミッシングリングで途中がない。 進化論ならあって当然のものがない。キリンが高いところの草木を食べるために、執念で、突然変移でキリンとなったというくだりがあって、そういうことこそが突然変異の源なんだと。そういう考え方を含めて好きなんです。

結婚式のパレードも、かわった構図にしていますが、入れ替わったことを知らない子供たちや大衆がいる中で、ほんとうのことを知っているのはワンチャンだけ。普段は、かわいい犬ばかり描くんですが、この犬だけはフーッとしている。そういうと ころを含めて楽しんでもらえたらいいと思います。
−−表紙のインパクトとともに、帯の言葉に惹かれる人もいると思うのですが。込めたかった思い、伝えたかったことなどを教えてください。
野ばらさんまぁ、いろいろ込めたというのはあるんですけれども、その帯に抜き書きしてある、「今以上の幸せを求めるなら…」っていうのは、つまり人それぞれによって、幸福っていうか幸せの形っていうのは個人の価値観なのであって、ちがってあたりまえってことですよ。お金がたくさんあって、物質的に満たされるのが自分の幸せだっていう人もいるだろうし、それはそれでその人が一番に思っているならそれでいいんですよ。物質より精神的なものが価値があると一般にはいわれるんですけど、それもどうなのかなぁというのがあって、自分の価値基準で、自分の幸せは勝ち取っていくものだし、見いだしていくものだし。そのためには「戦い」というものがあったりして、だからみんな自分のために戦おうぜってカンジなんですけど。
−−印象的なページだなって思ったのが「姿・形の美しさより…」からはじまって「ひめとして生まれたものは美しくあらねばならないのです…」というところでしょうか。ここを読んで『うろこひめ』は野ばらさんの理想の女性として描かれているのではないかと思ったんですけど。
野ばらさん女の子はすべて「姫」であれと。姫ばかりになると困るンだけど。姫ってたいへんなんですよ、姫やっていくのって、この時代。お金があったり地位があったりセレブだとか言っても、姫という称号はだれも与えられないじゃないですか。 いま、そういうのはないので、自分で精神的に姫だと思ってやっていくしかない。ぼくも姫体質なんですけど、自分が姫だと思うと「アア、野ばらは姫だからこういうことをやっちゃいけないよなぁ」とか、いろいろ、うるさいことがあるんですよ。

でも、やっぱり姫でありたいから、めんどうくさいことも全部、やっていく。というか負けてはならないんですね、姫は。負けても負けても勝たなくてはいけないところは、トライしていく。まぁ、つまりはハードボイルドってこと。それをすごく象徴的に、体現しているのが『うろこひめ』なんです。
−−そういう象徴として、オオカミと結婚するお姫様が野ばらさんの理想像なんですね。
野ばらさんそうですね、やっぱり、強く気高く、姫としてはあって欲しいほしいんですけど、恋愛においては女の子なので、弄ばれたいじゃないですか。この人にだったら、弄ばれててもいいなっていう相手をぼくたちは探していて、なかなかみつからないから、男の子を手下に使ったりしてしまう。

でも、ほんとうは身も心もメロメロでかしづいてしまう。そういうことを実は望んでいたりするので、自分がかしづける、夢中になれる、翻弄されてもいい相手なら、大悪党でもいいわけですよ。すごい評判悪い人でも姿形がブサイクでも。そういう意味で、最終的に結ばれる相手っていうのが人間ではなくオオカミという形にしたんですけど。
真琴先生ずっと女の子ばかり描いてきましたが、女の子はお姫様にもなれるし、なんにでもなれると思います。精神面で、そういうものになれるんですね。完全なお姫様でなくても、半分姫でも1/4姫でも自分の心がけ次第じゃないかなと思います。そういう女の子をずっと描いていきたいんですね。それで、5つぐらい、こういう女の子だったらいいなというのがあるんです。少年の気持ちからいうと、こういう女の子がいいなという願いをいいますと、

1、気品があって
2、優しくて
3、清潔感があって
4、慎ましやかで
5、凛々しさ

そういうところを感じてもらえる女の子が描けたらいいなということで、今でも毎日取り組んでいるんです。

女の子がお姫様になることによって、男の子が王子様になる努力をするんです。まず、女性があって、男性が変わる、男性を大きく変えていくことができるんじゃないかなと思います。そういうことで、子供時代からずっと考えると、恋愛感情を別にし て、そういう女の子に出合うことによって、王子様になる努力をしたかなって思うところもあります。できれば、女の子にも形で成長していってもらって、ずっとそれをもち続けてくれれば、男性もそれなりの努力をするんです。そういうことを思って女の子の世界を、ずっと描いていけば、いつか表現できるようになるかなと、努力をしてきました。そういう女の子に出会えれば、男の子は王子様になるはずです。ぜひ、努力をするようにさせてください。
野ばらさんそうだなーっと思いながら、あらためて聞きました。男の子はお姫様に出会って、お姫様に自分が似合う者になろうとがんばって王子様になるわけで、いいお姫様がいないと、いい王子様は育成されない。いい王子さまを作るのは女の子次第なんですよね。
−−お姫様がテーマということで、童話、歴史上を問わず、好きなお姫様を教えてください。
野ばらさん実在の姫では、ロシアのエカテリーナがすごい好き。童話だといばら姫とか眠り姫、眠れる森の美女ですね。それは性質が好きとかいうのではなくて、話自体が、少女から大人になる手前に呪いをかけられて、糸車の針を指に指しちゃって永久に眠るとこなんかね、ロマンチックだしエロチックでもあって、好き。いろんな王子さまが助けにくるけれど、みんなへこたれちゃって、真実、彼女に相応しい王子さまだけが助け出すことができるとかね。そういうのが、好きなんですね。
真琴先生私は人魚姫が好きなんですよ。幻想的で、あれだけ一途なのにかわいそうな気がするんですよ。最後なんか空気の精になってしまうでしょ、ものすごくかわいそう。シンデレラにしてもいばら姫にしても、親指姫でもハッピーエンドなのに、人魚姫は小さい頃からかわいそうな印象があって、人魚姫を描く時は、かわいそうだなぁといいながら、感情を込めて描いています。歴史の中で好きなのは、王女ナスカっていうのがあります。小さい時から女王になって、摂政のもとで政治をするわけですが、死刑囚を助けたり、平和を愛する女王で、最後は病気で死ぬんですね。かわいそうなんですけど、そういう生き方といいますかね、弱いものに対する愛情が感じられるのが、好きなんですね。
−−この『うろこひめ』が好きっていう人がでてくるかもしれませんね。
真琴先生この本の最後はちょっと苦労したんです。オオカミと結婚というのをどう表現するかっていうところで。オオカミ男みたいになってもまずいし。オオカミが登場する場面としては3つありますので、ひとつは威厳をだして、ひとつは照れくさくしている、最後は二人でオオカミになっているという、そういうものにしました。オオカミは象徴で、自分をちゃんともった凛々しい王子様、王さまとして描いたんです。そういうことを自然に感じていただけたらいいなと思います。人間だけでなく、今生きている動物、すべてがいっしょの命と、そういうつもりで描いているのでオオカミといっても不自然なところは私の中ではなかったです。
−−『うろこひめ』の中では、お姫様、オオカミと並んで、プリンセスジュースが印象的なんですが。。
野ばらさん人魚姫よりはぜんぜん救いがある話ですけど、けっこうひどいところもあるでしょ。だって、ウロコが生えたり、人を食べたりするでしょ。なのでどっかに、「なんじゃコレ」っていうものを盛り込んでおかないとっていうので。年代とか地域とかは書いてないですけど、ヨーロッパの話と思いますよね。ぼくもそのへんのノリで書いたので、そこに松茸っていう、このハズシ具合がいいかなー、と思ったんですけど、今回は原稿渡したあとで、自分の作品だけど、真琴先生には悪いことしたなぁ、アセッたんじゃないですかね。
真琴先生好きなんです。松茸に見えますか?ほんとの松茸なんか知らないっていう人が多いので、しいたけに見られたら困るなと図鑑を調べまして、今日、ほんとうはここにジュースを持ってくる予定をしていたんですよ。それを作ろうと思ったんです。私がまず試飲しまして、みなさんにもぜひ試飲してもらおうと、松茸を探したのですが、いまはないんです。ごめんなさい。

日本の松茸は香りがキツすぎるかなっていう気がするんですよ。ヨーロッパの松茸はそれが日本のものほど香りがキツクないんじゃないかと思うので、案外美味しいかもしれないですよ。キノコの量とメロンの量とハチミツの量によって、とんでもなく美味しい、しかもキレイになるものができるかもしれないので、ご自分でやってみるのも楽しいのではないでしょうか。モノは試しで。ぜひ、ジュースをおすすめしますので、機会があったら作ってみてください。そして結果を、知らせてください(笑)。
野ばらさんぼくはすすめてませんから(笑)。
真琴先生材料はメロンとハチミツと松茸でしょ、悪いはずがない。調合の仕方、もしくは呪文の力かもしれないですね。一心に唱えながら、自分の手で、執念の思いをこめると、また味もかわってくるかもしれないですから。
野ばらさん成分は知らないですけど、もしかするとほんとうに肌にいいエキスが含まれているかもしれない? そうすると、「発掘!あるある大事典」でとりあげられるかも。そうしたら、プリンセスジュースを二人で登録して世界中に売りましょう。
真琴先生ね、楽しいでしょう?そういうものがいっぱいつまった本なんですよ。
−−今日はありがとうございました。
世代をこたえたお二人のお姫様トーク、いかがでしたか。高橋真琴さんの絵柄は、だれでも一度は塗り絵をしたり、見かけたことがあるのではないでしょうか。少女時代を懐かしく思い出すと思います。この本を読んで、ぜひ、あなたもお姫様となって、彼を王子様に変えてください。

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