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「幸せ」は空から降ってくるのではなく、育てるものだった!!大人気コミック・エッセイ「ダーリン外国人」シリーズのダーリンこととニー・ラズロさんが明かす、「トニー流幸せを栽培する方法」とは…?

トニー・ラズロさん
ベストセラー・エッセイ『ダーリンは外国人1』『ダーリンは外国人(2)』『ダーリンの頭ン中』ですっかりおなじみのトニー・ラズロさんが、これまでに培ってきた幸せになるための秘訣と哲学を紹介した『トニー流 幸せを栽培する方法』。世界各国の格言やことわざ、さまざまな教えとともに、トニーさんならではの「目からウロコ」のアイデアが初公開されている1冊です。ユーモラスなイラストを寄せているのはもちろん、名パートナーの小栗左多里さん。日本語での初の書き下ろしエッセイに込めた想いを、トニーさんに語っていただきました。

トニー・ラズロさんの本


『トニー流幸せを栽培する方法』
『トニー流幸せを栽培する方法』

トニー・ラズロ /小栗左多里
ソフトバンククリエイティブ
952円 (税込 1,000 円)

『ハワイで大の字』
『ハワイで大の字』

小栗左多里 /トニー・ラズロ
ソニー・マガジンズ
1,100円 (税込 1,155 円)

『ダーリンの頭ン中』
『ダーリンの頭ン中』

小栗左多里 /トニー・ラズロ
メディアファクトリー
950円 (税込 998 円)

『ダーリンは外国人』
『ダーリンは外国人』

小栗左多里 /トニー・ラズロ
メディアファクトリー
880円 (税込 924 円)

『ダーリンは外国人(2)』
『ダーリンは外国人(2)』

小栗左多里
メディアファクトリー
950円 (税込 998 円)

『母に習えばウマウマごはん』
『母に習えばウマウマごはん』

小栗左多里
ソニー・マガジンズ
1,000円 (税込 1,050 円)

『英語ができない私をせめないで!』
『英語ができない私をせめないで!』

小栗左多里
大和書房
1,200円 (税込 1,260 円)


   

プロフィール


トニー・ラズロ(TonyLaszlo)
ハンガリー人の父とイタリア人の母の間に生まれ、米国に育つ。自他ともに認める語学好き。1985年より日本を拠点に執筆活動を開始。英語と日本語で文章を書くかたわら、1994年から多文化共生を研究するNGO『一緒企画(ISSHO)』を運営。著書に『ダーリンの頭ン中』(メディアファクトリー)、『さおり&トニーの冒険紀行 ハワイで大の字』(ソニー・マガジンズ)などがある。オフィシャルホームページはHYPERLINK :http://talking.to/tony/

インタビュー


“幸せはいつ、どこから降ってくるかなんてわからない”

――この本のはじめに、「1人ひとりに<オーダーメイドの幸せ>がある」と書かれていますが、このエッセイを書こうと思ったきっかけは何でしょう?

トニーさん だって、もし幸せを栽培できたら、いいじゃないですか(笑)。「幸せ」っていうと、どこからか降ってくるという発想がありますよね。確かに、宝くじに当たって人生が変わるように、「降ってきた」と感じるような場合もあるかもしれません。でも、大抵の幸せっていうのは自分で追求したり、考えたりしながら、育てていくものじゃないかと思うんです。幸せはいつ、どこから降ってくるかなんてわからない。だからこそ、いつも自分なりに幸せを育てていくようにするほうが、健全なのではないかと考えました。もちろん、そのためにはアンテナを広げて、いろいろなアイデアや知恵を拾い集めなければなりません。この本には、僕自身がそうやって組み立てながら、10代の頃から実践してきたことを書いています。これしかないというのではなく、幸せを育てるための一つの方法として紹介したいと思ったのです。

――ニートなど、「やりたいことが見つからない」という若い人が増えている日本の社会状況から感じたことなども、この本を書く上で影響しているのですか?

トニーさん この本を書くにあたってニートとか、「人生に目的がない」といわれる人を特に意識したわけではありません。若い人でもしっかりしている人はたくさんいますからね。それに、若い人に向けて書いたわけでもないのです。考えてみると、僕たちの日常というのは、道に例えるなら、「思い切って左に行こうかな」、とか「もう少し進んでみよう」といった決断の連続なんですね。だから「幸せになる」といっても、過去に戻ってやり直したり、1 から始めたりするのではなくて、「今の流れは良さそうだけど、このままでいいかな」と考えていくことが大切になってくるのです。この本は、今の自分の状況を確認していく上でも、使ってもらえるのではないかと思っています。

――各章のタイトルが「芽、樹、実」というのが面白いですね。芽の章に、「『嫌い』という言葉は絶対に使ってはならない」とご両親から育てられたエピソードがありますが、子ども時代、家の中で教えられたことは多いのでしょうか?

トニーさん 両親からは、それほどたくさんのことを言われてこなかったのですが、「嫌いは禁止」というのは家訓です(笑)。「『好き』の反対は『嫌い』ではなくて、『好きじゃない』と考えなさい」と厳しく教えられました。あとは言葉で教えられなくても、日本語でよく言うじゃないですか、「親の背中を見て育つ」って(笑)。そんな部分もあるはずです。

――「ほどほどに」することも、「幸せを栽培する方法」のひとつだと書かれています。実は「ほどほど」って、すごく日本的な概念だとばかり思っていたのですが……。

トニーさん 古代ギリシャ時代にも「黄金の中庸」という、日本語の「ほどほどに」にあたる概念があります。西洋の国ではだいたいその流れから、「何事も行き過ぎてはならない」という考え方があるのです。「行き過ぎてはいけない」というのは、裏を返せば「全く取り入れないのもいけない」、つまり「ちょうどいいところを見つける」ということですが、最近、そうした考え方が忘れられている気がするんですよ。食べ物ひとつとっても、健康ブームであれもこれも身体にいいと言われると、何が正しいのかわからなくなってしまうでしょう。今朝のニュースでも、コーヒーを1日に2杯飲むと高血圧にいいと書いてありました。だから、まあ「ほどほどに」ね(笑)。何より、自分で飲んでみて、そこから考える、感じることが大切だと思います。なかなか無意識に「ほどほどに」という発想にはならないので、自分に対して敏感になって、ちょうどいいところを見つければいいんです。人と話すときでも、「ちょっとしゃべりすぎかな?」と気にしただけで、相手の顔をよく見るようになって、そこから感受性も育っていくはずです。

――なるほど。この本の中には、さまざまな国の格言も紹介されていますが、トニーさんは以前から格言に興味があったのですか?

トニーさん 格言って、本当に面白いと思いませんか。本で読んだときは、「そうなんだ」と思っただけだとしても、ある日突然、ずっと前に目にした格言を思い出して、「なるほど、こういう意味だったのか!」とひらめいたりしますよね?(微笑みながら、同意を求められる)。

――トニーさんのように、突然ひらめくほど多くの格言を知らないような……(苦笑)。

トニーさん (笑)。今回紹介しているのは、そんな風に僕が納得してきたものです。この本に書いたことの中に、僕自身が生み出したアイデアというのは少なくて、むしろ人から聞いたり、本を読んだり、親から教えられたことが多いですね。そうしたことへの僕なりの捉え方を紹介したつもりです。

――それにしても、ゾンカ語にカビル語など、聞いたこともない言語の格言が紹介されているのにはビックリしてしまいました。

トニーさん 実は私たちが想像している以上に、この世の中には言語がたくさんあるんです。カビル語はアフリカの言葉ですが、大きな大陸であるはずのアフリカからは、まだそれほどたくさんの知恵が届いてきていないのです。でも、立派な知恵があるわけで、そんなところにも目を向けていきたいと思っています。

――今回、奥様の小栗左多里さんはイラストだけでなく、各章の終わりに「左多里のつぶやき」というコラムを描かれています。トニーさんのエッセイに対する小栗さんのコメント、という形のご夫妻でのコラボレーションがとてもユニークですね。

トニーさん 前作の『ダーリンの頭ン中』は、もともと雑誌の連載でしたから、毎回、話し合いながら作りました。今回は僕が1人で書いて、小栗には全部書き終わった後で読んでもらいました。そこから、彼女もけっこう時間をかけて、あのコラムを作ってくれました。

――でも、トニーさんご自身は、『ダーリンは外国人』を全部読んだことがないのだとか?


トニーさん 『ダーリン……』のシリーズのときは、小栗が1人で書きましたからね。それに、これには2つの理由があるんです。ひとつは出版される前に、もし僕が読んだら、絶対に何か言いたくなるでしょう(笑)。もうひとつは出版された後のことですが、ありがたいことに多くの方に手にとってもらったので、僕の顔を見て分かる人もいるわけです。だから読まないほうがいいな、と思って。『知らぬが仏』ですよ(笑)。

――ところで、トニーさんがこの1ヶ月の間で最も幸せを感じたのはいつですか?

トニーさん あまりそうしたことは考えないのですが、『ダーリンの頭ン中』を読んだ人から寄せられた感想が、とてもうれしかったですね。「この本を読んで参考になった」と書いてくれたからです。「参考になる」のではなく、「参考になった」と言われるのは、書いた本人にとってはすごく幸せなことなんです。

――最後に、この本をどんな人に読んでもらいたいですか?

トニーさん この本がどんな風に読んでもらえるのか、とても楽しみにしています。僕の想像では、この本を読んでくれそうな人にはいくつかのタイプがあるのですが、まず、格言好きの人(笑)。格言を好きな人はもちろん、そうでない人も、たくさんの格言を通して、ぜひ知恵の海に入ってみて欲しいと思います。聞いたことのない言語の格言を知ることで、興味の幅を広げる方もいるかもしれません。各章にトニー度診断もあるので、そこから始めてもいいでしょう。このテストをやると、自分がどんな人かがわかりますよ(笑)。小栗のファンもいるでしょうし、純粋にエッセイとして読んでくださる方もいるでしょう。とにかく、読んでくださった方に、「よかった」と感じてもらえたら幸せです。そして、できることなら「参考になった」と言われてみたいですね。「参考になった」というのはこの本に含まれていない部分で、本を読んだ人が拾って下さって、そこから1歩2歩進んだことなのですから。そんな声がもし聞けたらうれしいですが、それは贅沢な話かもしれませんね(笑)。


芽、樹、実の章で構成されているこの本には、なぜか種の章がありません。その理由をたずねると、「『桃太郎』の物語も実から始まるでしょ(笑)」と茶目っ気たっぷりに答えてくれたトニーさん。すべて日本語で書いたと聞いて、また、言葉の端々から溢れ出る各国文化への造詣の深さには驚かされるばかりでした。ちなみに、種の章がない本当の理由はあとがきに明かされています。さまざまな言語を操り、多様な文化、人とのコミュニケーションを経験してきたトニーさんの「幸せを栽培する方法」は、机の片隅に置いておきたい1冊。ページをめくるだけで、言葉の温かさに、疲れて固くなった心も溶けて、それだけで幸せになれるのです。
【インタビュー 宇田夏苗】


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