楽天ブックス 著者インタビュー

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忙しい毎日をおくるサラリーパーソン。リストラで人員は減り、新卒採用も減り、その結果一人当たりの仕事量は増えていくばかり。かといって残業代がまともに出るわけでもなく、上司からは「残業代がもったいないから早く帰れ」って。そりゃ、できることならこんなに働きたくないよ! でも一体どうしたら…?そんな中、『残業しない技術』(扶桑社)という本がこの夏登場。発売3日で早くも増刷が決まるほどの話題を呼んでいる。著者は『「クビ!」論』(朝日新聞社)などでおなじみの梅森浩一氏。人事のプロとして名を馳せる氏が、<「サクっ!」と仕事をこなす>ための21のテクニックをわかりやすく紹介している1冊だ。果たして本書は、仕事を抱えた若き社会人たちを救ってくれるのか?

プロフィール

梅森浩一さん (うめもり・こういち)
1958年生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、三井デュポン・フロロケミカルに入社。 1988年、チェース・マンハッタン銀行に転職。1993年、35歳の若さでケミカル銀行東京支店の日本統轄人事部長に就任。以後、国際人事のプロフェッショナルとしてチェース・マンハッタン銀行、ソシエテ・ジェネラル証券東京支店で、それぞれ人事部長を歴任する。現在、エグゼクティブ・人事コンサルティング「アップダウンサイジング・ジャパン」を主宰している。

インタビュー

−−「残業しない人」って言っちゃうと、なんだか仕事に熱心じゃない無責任な人ってイメージがありますけど・・・。
梅森さん本書を出すに当たって、20〜30代男女を対象にアンケート調査を行ったんです。その中で、「ほとんど残業しないにもかかわらず、なぜか評判の良い人が周囲にいますか?」という質問をしたところ、25%の人が「いる」と答えていました。本書でみなさんに目指してもらいたいのはこの4分の1のゾーンです。決して、仕事をサボったり手を抜いたりするのを薦める本じゃありません(笑)。
−−そうは言っても、上司や先輩社員が残っている中で「お先に…」ってのは、何か後ろめたい感じがします。
梅森さん逆に「残業ばかりしているのに評価が低い人はいますか?」という質問をしてみたんですよ。すると、60%以上の人が「いる」と答えているんです。残業しているから評価されるわけじゃない。むしろ、残業というのは罪深いものなんです。会社は残業代を負担するし、社員は自分の時間を負担することになる。そのことを自覚しなければいけません。

−−なるほど。
梅森さんさらにつっこんで「残業してるのに仕事ができない人というのはどういう人ですか?」と聞くと、「ダラダラ仕事してる人」「仕事の効率が悪い人」という答えが圧倒的に多かったですね。昔から、残業代目当てでわざとのんびり仕事をするなんて人がいましたけど、今でもメリハリなく仕事してる人は多いですよね。その対比として、私はこの本で要領よく、効率的に仕事をしようよ、ってことを伝えたかったんです。
−−それがオビにも出ている<「サクっ!」と仕事術>ということですか。
梅森さんさっきのアンケートでも、さまざまな人たちの「残業しない技術」を聞いてみたんですが、中には本末転倒な人もいましたね。「お客とのアポは避ける」とか「電話には出ない」とか。これは<「サクっ!」と仕事術>じゃありません、逃げてるだけです(笑)。あと、面白い答えがひとつあってね。26歳の女性の方なんだけど、「終業時間5分前に、上司に『私、今日は習い事があるんで帰りますけど、何かやるべき仕事があったら5秒以内に言ってください』って言う。そうすると大抵『…な、ないよ』って言われるから堂々と帰る」って(笑)
−−なかなかの知能犯ですね!
梅森さん「今日はやることがほかにある」だけど「決して仕事をサボりたいわけじゃない」ってことを周囲にアピールしてるんですね。その意味では、本書の「早く帰る日にこそいいスーツを!」や「ホワイトボード演技術」などの項目に通じる部分がありますね。ただ、「5秒以内に」ってのは…マズイよね。上司はムッとするでしょう。
−−明らかに、ケンカ売ってます(笑)
梅森さん上司の立場に立って考えるなら、相手に心の余裕を持たせるために、せめて1時間前くらいに同じコトを伝えれば完璧なんですけどね。実は会社の中って、コミュニケーションが取れてるようで取れてない場合が多いんですよ。事前にちょっと一声かけるとか、あらかじめ段取りを組んで相談するとか、相手に伝えるためにはそれなりのことをしなきゃいけないんです。
−−本書で言うと、「ポストイット仕事術」もそれに近いですよね。整理術や思考法などでポストイットを使うというのはよくありますが、「他人に自分の仕事を告知するためにポストイットを使う」というのは面白いと思いました。
梅森さんそうそう。でも実は、この本を書いた直後に知人から感想のメールをもらっててね。「我々の周囲で、ポストイットをべたべた机に貼ってる人って、だいたい仕事できない人じゃありませんでした?」って(笑)。わぁ、そういえばそうだなぁと思ったけど、もう書いちゃったからしょうがないかと(笑)。
−−他にもいろいろなテクニックが本書には並んでいますけど、総じて言うと、どういう人が「サクっ!」と仕事ができる人なんですか?
梅森さんこれは経営者や偉い人でも若手社員でもそうですが、決断が早い人ってのはほめられますね。ちょっとのおカネをケチろうとしてずっと粘る人とかいるけど、やっぱりできる人というのは10倍、20倍の量の決断をしていくから、差がついてくるんです。それから、他人に仕事を上手にふっていますね。もちろん、コレは単に仕事を右から左にスルーすればいいってもんじゃない。頼み方にも、ちゃんとしたテクニックがあるんですが。
−−本書で言うと「忙しいときはお互いさま!」とか「上司へアウトソーシング!」あたりの内容ですね。でも、仕事を頑張ろうと思えば思うほど、自分でやらなきゃいけないことが増えてきて、就業時間中では片付かなくなってしまうんですけど・・・。
梅森さんマジメな人にありがちなパターンなんですが、何でも抱え込んでしまうのはよくない行為です。そういう人はきまって「最後まで責任を取りたい」「いい加減な仕事はしたくない」って主張しますが、人に仕事を任せる=手抜きってことではない。会社で仕事をするというのは、チームワークを組んで行うものです。一人に仕事を抱え込まれたりして周囲のペースを乱してしまうことは、かえって全体の足を引っ張ることになりかねませんから。
−−私の周囲にも、他人に仕事をふれず、結果自分で抱え込んじゃってあたふたしている人がいますね。

梅森さんその人が病気か何かで休んじゃったらフォローしようがないですしね、そういう人には「みんなで分け合ったほうが、大きないい仕事ができるようになるよ」と言ってあげたほうがいいですね。実は、自分自身にも「完璧主義者」なところがあると自覚してるんです。私は仕事が他人より2倍も3倍も速い自信があります。ただ、部下や周囲にも自分と同じ仕事のしかたを求めてしまう傾向があって・・・。その結果生じるギャップに苦しむのは、他ならない自分なんですよね。私は早めに自分のこの弱みに気づくことができたので、バランスを取るようにはしていますが。
−−本書の第1章にも「80%でもやりすぎ!」というのがありますが、これはまさに、梅森さんご自身が最も注意しているポイントだったんですね。
梅森さんそうですね、そこは確かにボクの要諦となる部分かもしれません。仕事を抱えちゃう完璧主義者の人は、早く「完璧な仕事なんてできないんだ」ってことに気づいたほうがいいですね。仕事もプライベートも含めて、一日はみんなに等しく24時間しかないんです。だったらそれをどう効率よく使って「サクっ!」と仕事を進めていくか考えたほうがいい。
−−お話をうかがっていると、再三出てくる“「サクっ!」と”という言葉は、決してビジネスの世界だけに当てはまるキーワードじゃない気がしてきました。
梅森さんそう、実はこの「仕事術」の後にも「恋愛術」とか「出世術」とか、いろんな企画はすでに用意してあるんです。これらの<「サクっ!」とシリーズ>を、年2回くらいのペースで出し続けていきたいなぁと。それもまずは、この『残業しない技術』の評判がよくなければ続かない話ですなので、ぜひ、こちらあてに本書のご感想を「サクっ!」とお送りください。続編が出るかどうかは読者の皆さんにかかっています、よろしくお願いします!
−−しっかりしてますねぇ (笑)
梅森さん本書で書いたようなテクニックってのは「知らなくて使えない」のと「知ってて使わない」のでは大きな差があります。まるまるマネしなくても「このやり方は自分には合わないな」とか「いつかそういう場面があったら使ってみようかな」というのだけでもいいんです。そういう意味では、この税込1,050円ってのはお買い得じゃないかなぁ(笑)
終始和やかに「サクっ!」と取材に応えてくれた梅森氏。ご自身も、超多忙なスケジュールをさらりとこなし、だいたい6時くらいには会社を出てしまうという。「以前、ある取材の席で『帰って何をしているんですか?』って質問されたので、『何もしてませんよ』と答えたんです。そうしたら、その記者がかなり驚いていたんですね。『何もしないのに早く帰るんですか?』って(笑)。ボクはスポーツジムに行くわけでも呑みにいくわけでもなく、習い事もしないし映画も観ない。とにかく会社を出たいんですよ。で、帰ってぼーっとしているだけ。でも、この“何もしない”ってのがボクにとってはイチバン大切な時間なんですよね」。さぁ、アナタは本書で「残業しない」生活を手に入れたら、まず何をしますか?

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