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和田アキ子さん

いったいおとなはどうしちゃったの?デビュー以来40年、芸能界の第一線で活躍を続ける和田アキ子さんが説く、『おとなの叱り方』

「嫌われるのが怖くて叱れない」「相手のためを思って言ったら逆ギレされた」…叱ることのできる大人が少なくなったと言われる昨今、歯に衣着せぬ発言で多くのファンを持つ芸能界のドンこと、和田アキ子さんが『おとなの叱り方』を上梓。新入社員の理想の上司《BEST10》に10年連続ランクインを果たすなど、「お前、それは違うだろッ!」のアッコ節にますます注目が集まる中、自らの体験を基に綴った、心に渇!を入れるユニークな1冊について伺いました。


和田アキ子さんの本


『おとなの叱り方』
『おとなの叱り方』
735円(税込)

『和田アキ子 Akko わたしはあきらめない』
『和田アキ子 Akko わたしはあきらめない』
1,470円(税込)

和田アキ子さんのCD


『和田アキ子 ベスト・ヒット・コレクション』
『和田アキ子 ベスト・ヒット・コレクション屋』
3,000円(税込)

『ゴールデンタイム』
『ゴールデンタイム』
1,200円(税込)

『今日までそして明日から』
『今日までそして明日から』
2,800円(税込)




プロフィール


和田アキ子さん (わだ あきこ)
1950年大阪府生まれ。’68年「星空の孤独」で歌手デビュー。’72年に「あの鐘を鳴らすのはあなた」で日本レコード大賞最優秀歌唱賞受賞。以後、歌手としてのみならず、’85年から続く人気番組「アッコにおまかせ!」(TBS系)をはじめ、数々のTV、ラジオ番組の司会、映画、ドラマ、バラエティなどでマルチに活躍中。 NHK紅白歌合戦は昨年末で31回目の出場。’07年10月25日をもって記念すべきデビュー40年目を迎えた。 
ホームページ:http://www.akofc.com/

インタビュー


和田アキ子さん−−『おとなの叱り方』とはインパクトの強いタイトルですが、叱るのは子どもではなく、“大人”なんですね。


和田さん そうですね。今は大人がだらしないと思うんです。何を指して「大人らしい」というかは難しいのですが、威厳を持った大人が少なくなった気がします。私自身、自分から言ったこともないのに芸能界のご意見番とか、番長とか呼ばれていますけど(笑)、何か言うと、後輩達は一応聞いてくれる。ということは、ちゃんとした先輩になっているかな…と思うんです。でも、この本に書いたように、今の世の中を見ると親子にしても、先生と生徒、会社の上司と部下にしても、友達みたいな関係がベストといった風潮があるでしょ。それでいいのかなって。いろんな意味でね。
私が子どもの頃は、出来が悪かったから先生によく殴られたんですよ(笑)。でも、親も怖かったから、「先生に殴られた」なんて言えない。そんなこと言ったら、「お前、なにしてるッ!」って逆に怒られたと思いますよ。それぐらい先生というのは怖くて偉い存在だったんですね。
まあ、私の場合は高校に3日しか行っていない短い学生生活でしたけど(笑)、学生時代は誰よりも友達が大事でした。それが大人になってからは、この職業ですから相手に時間を合わせられないこともあって、誰が友達?って思うぐらい友達の数が少なくなった。だからこそ、本当に友達といえる人は大切にしたいし頼りにもしています。そういう関係のことを、私は友達だと考えているんですね。ところが今の風潮は、お互いに腫れ物に触らないようにして、上っ面だけのつき合いを友達だと勘違いしている気がしてしかたない。大人が威厳を持たなくなった分、人間関係が軽くなってしまっているんでしょうね。私が言うのも変ですけど、そうでなくても日本は病んでいると思うんです。だって、本の冒頭にも書きましたけど、私にこんな本の依頼が来るんですよ。びっくりしましたよ。これだけでもね、病んでいるでしょ(笑)。


−−「今は誰もが人に文句をつけず、叱らず、ただ黙って見守る“いい人”になりたがっている時代」だと書かれていますが、ご自身は、どんな時でも言いたいことを言い、相手にとことん関わっていらっしゃいますね。

和田さん 「臭いものに蓋をする」ではないけれど、みんな他人のことに関わりたくないんでしょうね。私は歩きタバコを見つけたら文句を言うし、子供を車道に歩かせていたら、「歩道にして下さい!」と言います。「アンタだれ?」みたいな顔をされますけど、そうするのは自分が嫌だから。子供が大好きですし、せっかく授かったのに、どうしてそんな危険な目に晒すのかって。
なにしろ、この174センチの身長で昼間の3時半に横断歩道で車に轢かれたことがありますからね。この本の中で、スイスの教育者、ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチの「家庭よ、汝は道徳上の学校である」という言葉を引用しましたが、“いい親”であり続けたいために家庭で基本的なことも教えずに、子育てを学校に任せ過ぎているんじゃないでしょうか。そのせいか、根性のある子が少なくなった気がします。
自分は一生懸命やってるのに報われないと文句をいう人も多い。政治家でも何でも、みんな人のせいにしてしまう。おかしいことはいっぱいありますよ。
 

−−そうした状況を招いた原因は、きちんと叱ることができる人がいないことだと?

和田さん 叱ってくれる人がいないと人間はダメになりますね。昔は学校の先生は本当に怖かったし、うちの場合は父親がものすごく厳しくて、家の中で絶対的な権力を持っていましたから、逆らうなんてとんでもない。今は周りにそういった大人の存在がないでしょ?父権を持った父親もみないですし。ウザったいではなくて、鬱陶しいような存在、どこか自分に緊張を与える人がいないと、人間はどこまでもダメになると思いますね。


−−叱る時のエネルギーのかけ方もすごいですね。助走をつけて叱るとか、感情に走らず、相手のことを真剣に考えて叱っている姿につくづく驚かされました。

和田さん アメとムチですね。TPOも大事です。最近はやりませんけど、昔はよく殴ってね(笑)。でも、相手も痛いだろうけど、殴るほうの手も痛いし、「やっちゃったけど、大丈夫かな」「あんな風に叱ったけれど、伝わったかな」とこちらの心も痛む。だから叱った後は、必ず電話をして「叱られた意味、わかったか?じゃあ、飯でも行くか」と誘います。それで明日、明後日、その翌日ぐらいまでの自分のスケジュールを提示して、相手が会いたいという日を決めてもらうようにするんです。正直、「この日に会いたいと言われたらきついなあ」と思う時もありますよ。それでも会って話して、「ごめん、今日は早めに帰してくれ」と言わなければならない時は、翌日にまた電話して、「近々飯でも食おう」っていう風にやっていく。それぐらい誠心誠意で関わらないと、相手はなぜ叱られたのかも分からないし、叱られたことへのありがたさも感じない。叱りっぱなしは良くないですね。叱る前後は労力をかけたほうがいいと思いますよ。


和田アキ子さん−−そうやって人と付き合うこと自体が、面倒だと感じる人もいるのでは?

和田さん 私自身、人が好きだというのもありますけど、面倒だと感じたことはいですね。叱るということ自体、その人に興味があってやっているわけですから。どうでもいい相手は無視するでしょ。無視されるほど怖いものはないですよ。会った瞬間に好きになったり、逆に苦手だと感じるのは、自分しかいない。今は何でも楽をしたいと思う人が多いんでしょうね。文明が進歩している一方で、人の心はパサパサになっている。文明の進歩に気持ちがついていっていない。それは相手を見て、会話していないからだと思うんです。
この本を通して伝えたいのは、動物の中で人間だけが、こんなに喜怒哀楽を表せるのに、なぜみんな言葉を発しないのかということ。だから、みんなもっと人と関わろうよ、五感を働かせて、表情をみせようよっていうことなんです。そうすれば人間同士、もっと上手くいくと思います。相手の顔色を見て初めて、機嫌が悪いとか、叱られたのかな?とわかるわけで、メールで「元気?」とニコニコマークを付けて送っても伝わらない。世の中には話がしたくてもできない人だっているんですよ。人間として、表現することを放棄してどうするのかと思いますね。


−−たんなる叱るためのマニュアル本に留まらず、楽屋でのエピソードであったり、和田さんの芸能生活、これまでの人生が浮き彫りにされていく内容にとても惹かれました。

和田さん 楽屋は今は個室が多いですが、私がデビューした頃は、紅白(歌合戦)の楽屋も大部屋で、上座は先輩と決まっていて、あとはどこを取るのか取り合いでした。そこで先輩からいろいろ教わったり。まあ、そういう時代だったんですね。
この本はタレント本でも、マニュアル本として書いたわけでもないんです。タレント本を出すのであれば、絶対に売れるのはわかってますから。全部暴露して、それで堂々と裁判所にも行って(笑)。


−−ご自身の活動としては、昨年10月にデビュー40年目を迎えられたそうですね。

和田さん デビュー当時はデカいし声も太いし、キワモノ扱いでした(笑)。それがこうやってこの世界に生きていられるのは、なにくそ!という思いがあったことと、何より、誰かに生かされているからなんですよ。自分のことを「ナンボのもんじゃい」って思えば、自然と感謝の気持ちが生まれて1歩引ける。所詮、ナンボのものでもないんですから、和田アキ子は。


和田アキ子さん−−そんな風に初心を忘れずにい続けること自体、案外難しい気がするのですが…。

和田さん 忘れないようにするのではなく、感謝する心を持てば、自然にそんな気持ちになりますよ。たとえば会社に入った時の志を持ち続けているかと自問自答すれば、答えはすぐに出るでしょ? 自分自身を一歩引いたところから見ればいいんです。自分を客観視出来ないから、人に何も言えないし、関わりたいとも思えない。
それに今は何でも人と比較し過ぎですね。私についていうと、比較しようにも、第二の和田アキ子なんて出てこないでしょ。でも、自分がこうなりいたいと思ってなったわけではなくて、今、ここにいる和田アキ子は周りのみんなが作ってくれたものなんです。それを大事にしたいし謙虚でいたい。
読者の方も自分は何者なのかともう1度考えることで、たとえば親として何をすべきか、職場でどうすればいいかがわかると思います。みんな誰かに生かされていて、人間、1人では何も出来ないんですよ。


−−最後に、今後の活動について教えて頂けますか?

和田さん この仕事をしていても、いつまでやっているんだろう、いつまでやれるのか…という思いは常にあります。人気商売なので、答えがない。ただ、バラエティをやっても何をやっても、「私は歌手だ」という自負は持ち続けていますね。
デビュー40年目という意味では、自分の神様でもある、レイ・チャールズの故郷のアメリカで何かやってみたいかなと。元旦からオンエアになった新しいCMもあります。
歳を取るのは自然なこと。私は不良のままで、真っ赤なマニキュアしてくわえタバコで、好きなブルースを歌っていられればいいんです。
「歳を取ってからの不良は手がつけられない」というのを誰かに聞いてから、その言葉が好きでね。今もそうだし、歳を取ってからも手がつけられない、でもやってることには納得させられるおばあちゃんになりたいですね。喧嘩はしても清く正しい、そんな不良でい続けたいんです。シワやシミができても、お尻が垂れても関係ない。あとはね、そろそろもっと自然に生きていきたいんですよ。今でも十分だって言われそうですけど(笑)。


−−より自然体になったアッコさんの活躍を楽しみにしています。今日はありがとうございました!



どんな世界でも40年もの間、活躍を続けるというのは並大抵のことではないはず。
ましてや芸能界となれば…ということで、いつかお会いしてみたいと思っていた和田アキ子さん。頼りがいがあって優しく、しなやかなで真摯な大人の女性を目の前にして、長年の活躍と人気の秘密が理解できた気がします。大胆な発言を裏にあるのは、人が大好きだからこそ、関わりたいというひたむきな思い。叱ることはもちろん、生きることへの助言とエールを与えてくれる1冊、ぜひおススメです!
【インタビュー 宇田夏苗】







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