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あいみょん「青春のエキサイトメント」「君はロックを聴かない」インタビュー

昨年メジャーデビューを飾ったシンガーソングライター・あいみょんが、“生きていたんだよな”“愛を伝えたいだとか”“君はロックを聴かない”という話題のシングル3曲を収録したファーストアルバム『青春のエキサイトメント』を発表。現在22歳のあいみょんがこれまで感じてきた「青春の興奮」を詰め込んだ作品について、じっくりと話を聞いた。

■『青春のエキサイトメント』というタイトルにはどのような意味合いが込められているのでしょうか?
あいみょんさん:「青春」っていう言葉が純粋に好きで、「青春に興奮してきたから、こういう曲を書きました」っていうことですね。あと「そんなん青春やん」って言ってしまえば、すべて許される気がするじゃないですか? 実家の5畳ぐらいの部屋で、小っちゃい音でギター弾きながら作った“貴方解剖純愛歌~死ね~”が、自分の音楽の道の一曲目になったのも、「あれも青春やん」って思う。何をやっても許されるような人間でいたいんです。
■8月にリリースされたシングル“君はロックを聴かない”には〈フツフツと鳴り出す青春の音〉という歌詞も出てきますし、あの曲の存在がアルバムの全体像を決定したような部分もあるのでしょうか?
あいみょんさん:特別意識はしてなかったんですけど、でもたぶんなってますね。この曲は最初はいつも通りに作って、いつも通りにマネージャーに送って聴かせたんですけど、「早くみんなに聴いてほしい。早くライブでやりたい」と思ってたので、この曲がサードシングルになったのはめちゃめちゃ嬉しかったです。
■タイトルや歌詞の内容は、どこから着想を得たのでしょうか?
あいみょんさん:この曲は中高生の男女をイメージしてるんですけど、好きな子同士って、お互いのことを真似したり、趣味を共有し合うことで、もっと近くに来てくれるんじゃないかって思うと思うんですよね。〈青春の音〉っていうのは、歌詞の中ではレコードの音になってますけど、学校のキンコンカンコンっていうチャイムとか、みんなそれぞれあると思うんです。そんな風に、いろんな世代の方の妄想を掻き立てられるような曲にしたくて。
■メロディーやアレンジは王道感があるので、広い世代に受け入れられる曲だと思います。
あいみょんさん:今は自分と同じくらいか、もう少し下の女の子のファンが多いんですけど、せっかくならいろんな世代に聴いてほしいし、嫌われたくない(笑)。かといって、全員に好かれる音楽を意識するのもおかしいし、自分が作りたい音楽をそのままやって、いろんな年代の人が聴いてくれたら幸せです。そこはリリースしてみないとわからへんけど、「自分がこの曲好き」って正々堂々言えることが一番やと思うんで、それが伝わればなって。
■アレンジに関しては、サウンドプロデュースの田中ユウスケさんとはどんなやりとりがありましたか?
あいみょんさん:真夏に書いたわけではないんですけど、もともと夏の曲やと思ってたんで、ギターのリフやったり、アレンジによって、淡い夏感が出せればなって思ってました。田中さんとはもうずっと一緒にやってきてるので、返ってきたのを聴いたら、「わかってるなあ」という感じで、王道のというか、いなたさというか、そこが逆に歌詞と合ってていいなって思いました。あとこの曲を作る中で、田中さんから「ここの歌詞、もうちょっと青春感出せないかな?」みたいに言ってくれて、それはめっちゃ嬉しかったです。音のプロとしてやられてる方が、「もっとこうしたらいいと思う」って言ってくれたのは、曲に対して本気で向き合ってくれてるってことだから、めっちゃ頑張らなくちゃって思いました。
■具体的には、どんな変更点があったんですか?
あいみょんさん:〈君は気づくのかい?なぜ今笑うんだい?〉ってところは、最初後半が〈僕なりの気づかい〉だったんですけど、「女の子像が見える歌詞にしてほしい」って言われたんです。〈僕なりの気づかい〉だと、その後の〈嘘みたいに泳ぐ目〉にもかかってなかったので。あと、サビはもともと全部同じだったんですけど、1サビは〈少しでも〉〈恋を乗り越えてきた〉なのが、2サビは〈あと少し〉〈恋に焦がれてきたんだ〉にして、だんだんボルテージが上がってくる感じにしたり。
■一曲目を飾るのが「憧れ」をテーマにした“憧れてきたんだ”なのも、アルバムの「青春」というテーマにぴったりですね。
あいみょんさん:女性シンガーソングライターって、どうしても「誰かの真似」みたいなことを言われがちなんですけど、私はその人たちに憧れてきたからこそ、今こうやって音楽をやってるわけで、「それの何が悪いねん?」って曲ですね。「大好きになったら、真似したくなるに決まってるやん?」っていう。それで新しい音楽が生み出されてるんであれば、それは最高やんって、そういうメッセージ性があります。
■なるほど。
あいみょんさん:あと最近ミュージシャンでも俳優さんでも、何かをきっかけにして突然いなくなっちゃったりするじゃないですか?もちろん、犯罪はよくないですけど、それでも、私に憧れを抱かせてくれたことに変わりはないから、「もう一回出てきてくれよ」っていう思いがあります。「あのときの私の青春をもう一回味あわせてくれよ」って。
■今はどんなに才能のある人でも、何かひとつミスを犯すと、一斉に叩かれてしまう傾向がありますもんね。
あいみょんさん:ミュージシャンだと、CDが回収されちゃったりもするけど、「音楽は消すなよ」って思っちゃうんです。その人たちがいなかったら、私は音楽をやってなかったかもしれないし、芸術への意識も今とは違ったと思う。でも、捕まっちゃったりすると、私の後に生まれた子とかは、「あの人は悪いことをして捕まった人」だけになっちゃうじゃないですか?「作品を見てみろよ、これだけ最高やったんやぞ」っていうのをちゃんと伝えないと、もったいないって思っちゃうんですよね。
■「憧れ」というテーマ性だけじゃなくて、時代性も含んだ、一曲目にふさわしい曲ですよね。
あいみょんさん:この曲が一曲目っていうのは決めてました。物語で言うと、「むかーし、むかーし、あるところに」の部分。その後に、「私はいろんな人たちに憧れて、こういう曲を作ってきました」っていう曲が並ぶっていう構成です。
■サウンドプロデュースに関しては、ワンダフルボーイズ/天才バンドのSundayカミデさんが参加されています。同じ関西出身だし、相性も良かったのではないかと。
あいみょんさん:“ふたりの世界”は結構ライブでやってたので、その感じを残しつつ、フルートとかも入って、すごく新鮮でした。Sundayさん、人のプロデュースって私が初めてだったらしいんですけど、初めてだからこそいろいろしゃべりながらできて、バンドをやってるみたいな感覚でした。歌詞に関しては、昔は女性目線の恋愛ソングを書くことが正義やと思ってたので、それが「ちょっと大人になって帰ってきました」みたいな(笑)。“貴方解剖純愛歌~死ね~”で、こういう曲出してもみんな嫌がらへんってわかったから、「こんな言葉使ったらアカン」とか、そういうことは全然気にせず書きました。
■〈大好きで ちょっと嫌いで 今がある〉という最後のラインに象徴される「両面性」、物事には必ず両面があるっていうのは、あいみょん作品の基本のようにも思いました。
あいみょんさん:「好きやけど、嫌いになってほしい」みたいな感情って、たまにあると思うんです。「嫌いになるきっかけが欲しい」とか「別れる理由が欲しい」とか、不安定な恋愛観を表していて、でも2人のバランスはこれで何だかんだで取れている。ちょっとは嫌なこともあるけど、それで今があるのであれば、ふたりの世界は満足ですっていう、前向きな曲のつもりです。
■そして、ちょうどアルバムの真ん中、6曲目の“いつまでも”はアルバムの中でも一番メッセージ性の強い曲になっていますね。
あいみょんさん:上京してから書いた曲なんですけど、完全に音楽業界に対してイラついてたときに書いた曲です(笑)。〈「死んだ友達がさぁ」って語れば 売れんのか?〉って出だしですけど、同情で曲が売れるなら誰も苦労しないし、嘘つきまくるわって思ったり。そういう曲があってもいいとは思うんですけど、それだけじゃちょっとなって思うんですよね。私は大家族で育ったから、家はそこそこ苦しかったと思うけど、でも、それを売りにしたくはない。だからこそ、今すっごい曲たくさん作ってるんですけど、ゴッホみたいに、死んだ後に天才って言われるのって、「死んでるからわかれへんやん」って思うんですよね。私はどれだけ叩かれてもいいから、生きてるうちに天才って呼ばれたい。歌詞にもあるように、〈死んだ後に天才だったなんて 死んでも言われたくないもんな〉っていう。
■いまの日本の音楽業界は応援システムみたいになってて、その最たる例がアイドルなわけですけど、シンガーソングライターやバンドもそういった向きがある。でも、そうじゃなくて、ちゃんと曲や作品そのもので評価してほしいっていうことですよね。
あいみょんさん:いまって純粋な曲のファンっていうよりも、サポーターって感じですよね。あとフェスブームだから、踊れる音楽とか、ちょっと変な感じの楽しいライブの方が人気だけど、私は最終的に曲が残らな意味がないって思ってて、「曲を評価してほしい」って常日頃思ってるんです。何でこんな負けず嫌いなんやろうなって自分でも思うんですけど(笑)、でもそこはずっと曲げへんと思います。〈結局腐りやすい生き物でしかないから〉っていうのもホントに思ってて、自分でも生き急いでんなって思うけど、でも「曲書かなアカン」っていうのは常に思ってますね。
■8曲目の“風のささやき”はメランコリックな曲で、決してキラキラしてるだけじゃない、これも青春の重要な一要素だと思いました。
あいみょんさん:この曲は自分の家に「風のささやき」っていうオムニバスのレコードがあったのがきっかけで書いた曲で、あと「ティファニーブルー」にもハマってたので、そこから物語を作りました。〈今日もポケットの中は紙くず銅メダル〉っていうのは、レシートと10円玉のことで、毎日音楽を作っても、リリースできるかどうかもわからない、今の生活に満足できてない感じがあった時期の曲です。「頑張れ」って言われても、「何を思って言ってんねん」って思っちゃうような、そういう時期ですね。
■でも、いつか振り返ったときに、それも青春の一コマになる。
あいみょんさん:こういう感情って、音楽をやってないときにもきっとあって、そういうときはどこかに遊びに行ったりしてたと思うけど、今はこういう感情を曲にしようってなるから、自分は音楽がやりたいんだなって思います。まあ、これもホント青春ですよね。〈頑張れなんて言うなよクソが〉とか言ってる曲も今のうちかなって(笑)。こういう大人に対しての曲を書くのって、20代前半くらいまでだと思うから、そろそろなくなるのかも。
■そして、ラストが映画『恋愛奇譚集』の主題歌でもあった“漂白”で、言ってみれば、「青春」というテーマはこの曲からスタートしてたのかなって。
あいみょんさん:レコーディングはこの曲が一番楽しくて、手応えもめちゃめちゃありました。安心と安全の“漂白”なので、一曲目と最後はすんなり決まりましたね。
■アルバムを一枚作り終えた今、今後についてはどう考えていますか?
あいみょんさん:最近はスピッツやミスチルが改めてすごいなって思ってて、やっぱりいい曲を書けばちゃんと売れるし、残っていくんだなって思うんです。なので、私も「もうこんなアーティスト絶対出てこない」って言われるようになりたいですね。あとは、20代としての青春もちゃんと味わいたいと思ってます。ちょっと前までは、「ずっと音楽やるかわからない」みたいなことをほざいてたんですけど、最近は「なんだかんだ言って、音楽やるな」って思ってるんですよね(笑)。

インタビュー・テキスト:金子厚武

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