約3年ぶりのソロアルバム新シリーズ第1弾、小室哲哉「Tetsuya Komuro JOBS#1」2017.3.15 release

 

約3年ぶりのソロアルバム!ちりばめられた点と点を線に結ぶ最新アルバム

約3年ぶりのソロアルバムの新シリーズ第1弾。近年のソロワークを中心に、多岐にわたるジャンルやアーティストとのコラボ楽曲やフィーチャリング曲やライブ音源を集約。 初回生産限定盤には100ページにも及ぶオリジナルインタビューとオフショット写真が収録されたフォトブック付き。


通常版


GET WILDのカヴァー、リミックスも集めた30周年盤作品。


 

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小室哲哉『JOBS#1』インタビュー(Billboard JAPAN×RakutenMusic/楽天ブックス)

小室哲哉画像

小室哲哉、2017年春の音楽論。
 日々めまぐるしく変化していく音楽を取り巻く環境。それをじっくりと見据えながら活動し続けている小室哲哉が、ソロアルバムの新シリーズ第1弾『JOBS#1』や新時代ガールズグループ・Def Willのトータルプロデュース、TM NETWORKの記念碑的コンピレーションアルバム『GET WILD SONG MAFIA』、さらにはアートの世界へのアプローチやテレビ番組での篠原涼子との再会等、トピックに事欠かないほど超精力的なアクションを繰り広げている2017年春。

 今回のインタビューでは、それらひとつひとつのトピックについてはもちろん、今や音楽を聴くツールとして浸透したサブスクの可能性や、東京からの世界戦略などについてもガッツリ語ってくれた。新たな音楽の可能性、すべての話がそこに収束されていくスペシャルインタビュー。

−−先日、テレビ番組で篠原涼子さんと20年ぶりに再会されていましたが、かつてプロデュースしていた彼女との再会はどんな気分でした?

小室哲哉:本当に久々だったので「遠くで心配してたんだよ」みたいな(笑)。元々は、初代・東京パフォーマンスドールのライブを原宿ルイードまで当時観に行ったりしていて、同じレコード会社だったので、TMN(TM NETWORK)の「Love Train」といういちばん売れたシングルのプロモーションビデオに「ちょっと出てよ」って出てもらってるんですよ。

−−「恋しさと せつなさと 心強さと」の前から共演されてるんですよね。

小室哲哉:彼女が17,8歳の頃かな。一緒に話しているとよくお父さんの話が出てきていて、僕はお会いしたことはないんだけど、なんだか家庭環境まで知っているぐらいの付き合いだったんですよね。で、すごく天然な女の子の元祖だと思うんですけど、そういう子だったので「幸せになってほしいな」ってずっと思っていたんですよ。結果、すごく幸せになっていて。

−−女優さんとして日本を代表するレベルになっているので、なかなか簡単ではないかもしれませんが、シンガーとしての彼女をよく知る人からしたらまた歌ってほしいですよね。

小室哲哉:意外と“篠原涼子 with t.komuro”の“with t.komuro”まで憶えてくれている人も多いみたいなんですよね。

−−そんな篠原涼子さんをプロデュースされていた時代から約20年。現在、小室さんは“Def Will(デフ・ウィル)”なるガールズグループをプロデュースされています。そもそも彼女たちを手掛けようと思った経緯を教えていただけますか?

小室哲哉:きっかけは「またじっくり本格的なプロデュースを始めたらどうですか?」と提案してもらって。以前はもうトータルプロデュース的な形はもういいかなとも思っていたんですけど、もしやるんだとしたら時間が経つとどんどんCDを売っていく環境は悪くなっていく一方だし、特に若い女の子たちは「ブレイクする」とか「バズる」とか人気者にする手段が「曲をヒットさせる」ということだけじゃなくなっていて、何をもって「上手くいった」と言われたり思われたりするのか。今すごく考え時だし、誰が何に憧れる形がいちばんベストなのか? 今見えにくくなっている。だからプロデュースと言っても、フォロワーを増やせるようにプロデュースするとか、良い曲を作るとかだけじゃなく、マネージメントとかエージェント的な仕事なのかもしれないなって。

−−それも含めてのプロデュース。

小室哲哉画像

小室哲哉:今のところですけど、世界的に音楽プロデューサーというのは「良いトラックメイカー」ということになんとなくなっていて、でも日本の音楽プロデューサーはちょっと違う。服装やメイクといったビジュアルから、どんなダンスを踊るのか、どんな言動をしていくのか、そこまで含めてコントロールしていって、世の中に憧れられるような存在にしていく。今それを年齢の全然掛け離れたこのおじさんが出来るのかな?というところもあるんですけど(笑)、簡単ではないなと思ってます。

−−それこそ篠原涼子さんに当時していた規模のプロデュースですよね?

小室哲哉:彼女の場合は、彼女の名前をどう広げていくか。「この曲を歌っているのは彼女です」ということを分からせていく。曲のイメージが重なっていくよう「なんかこの曲歌ってそうだな」って思わせるようなところも含めたプロデュース。彼女のイメージ=彼女のマーケットを作っていかなきゃいけなかったんです。だから「恋しさと せつなさと 心強さと」が入ってるアルバム『Lady Generation 〜淑女の世代〜』のジャケットイメージも考えましたしね。僕も好きなジャケットなんですけど、実生活を持ってる女性像を彼女には求めたので、すごくリアリスティックというか、ドラマで言ったら先々の夢を見る少女の話ではなくて「明日生きていくには今日どうするか」そういう生々しいキャラクターをイメージ付けて、歌詞もそれを基本にして書いていく。

−−Def Willに対してもそういうイメージは湧いているんですか?

小室哲哉:まず本人たちの環境が「今日働かなかったから明日死んじゃうか?」と言ったらそんなことはないし、それはしょうがないことで「そうなれ」と言ってなるものでもないし(笑)、そういう意味では恵まれている。でも恵まれているんだったら「自分が存在することに何の意味があるのか?」「何か意味があるはずだよね」っていうことを自ら問いかける。ただ、今の本人たちだけで考えると月並みになっちゃう。「オシャレなおねえさんになって憧れられる存在になる」とか……それはそれでいいんですけど、もうちょっと高みを望んで、何かの縁で東京という場所に5人が集まっているので、東京発信の発想とか、東京を生きていく上でのしっかりとした自分の持ち方とか、アジアのトレンドであるとか、アジアのプライドであるとか。「日本」と言うと対抗意識を持たれるんだけど「東京」と言うと持たれなくなるので、東京発信にはしたいと思っていて。

−−なるほど。

小室哲哉:スキルが高いから「東京」というイメージではなくて、何かダメになったらリカバーできる。ファンションでリカバーする、言動でリカバーする、チームワークでリカバーする、東京はそういう強引なことが出来る街。そこに住んでいる若者が行動していく……というところまではイメージしてます。すでに「原宿」とか「渋谷」とかそういうトレンドはあるんですけど、もうちょっと広げてやっぱり「東京」から発信していくイメージにはしたいなって。なので、4ヶ国語、5ヶ国語喋れるグループなんですけど、基本的には東京のことを話していく、発信していく。

−−あらゆる言語で東京のことを発信していく。それもあってDef Willメンバーはグローバルな女の子が多いんですね。

小室哲哉:あと、日本は「単一民族」と言われてるんだけど、意外とそんなこともなくて。あらゆる国、あらゆる民族が集まっているというところも見せたかった。日本のアイドルグループはあれだけ集まってて日本人だらけ。でも都内を歩いててそんな場所はもう見かけないんで。どこを見てもあらゆる国の人が共存している。だからDef Willがそうなったのは自然だと思います。なんだかんだで日本の〆切として2020年というのがありますけど、その頃にはもっと自然発生的にそういったグループが生まれてるんじゃないかな。ちょっとしたきっかけで友達になってグループを組むとか、たくさんあると思う。

−−Def Willはそれの先駆け?

小室哲哉:先駆けになるかもしれない。Def Willは初日からメンバーがグループ内の誰かの家に泊まって帰ったらしいんですけど、それは海外の血が入っている子同士だったみたいで、日本人同士だったら会ったその日に泊めたり泊まったりはしないかもしれないけど、2人の間には民泊感があったんでしょうね。それを聞いて「面白いな」と思いました。ちょうど「民泊」という言葉がトレンドになり出していた時期だったので。

−−TK WORKSヒストリーで見るとどの時期に生まれた世代になるんですか?

小室哲哉:「GET WILD」のときは当然まだ生まれてないですよね。HINAとかはまだ二十歳になってない訳だから、僕が90年代にプロデュースしてたものを家族が聴いていて、それで知っている世代。最もアルバムとか売ったのが96年なので、その前後に生まれてきた子たちですね。

−−その世代をプロデュースするのは、不思議な感覚ではあるんですか?

小室哲哉:不思議というか……「いいのかな? 会話が出来るのかな?」って思いますよね(笑)。ただ、90年代にプロデュースしていた女の子たちのほうが親の理解はなかったんですよ。僕のことを知らなかったんで。「TM NETWORKをやっていて」と言っても音楽ファンじゃないと知らないというか、万人が知っている訳じゃないから。だから当時のほうが最初はやりにくかった。結果で示していかなきゃいけなかったんです。安室奈美恵さん然り「なんでこの人が作ってるんだろう?」と最初は思っていたと思いますから。だから1曲1曲が勝負だったからヘトヘトだったと思う。1曲仕上がるともうヘトヘトで「もう次は出来ないんじゃないか」となっていた時期があったと思いますね。「3曲ぐらい先まで見えてる」とかなかったかもしれない。

−−では、ひとつひとつが「これがダメだったら次はないな」というサバイバルでもあったというか。

小室哲哉:でも恐ろしくコケなかったんだよね。ビックリしました。

一同:(笑)

−−完全に波に乗ってしまいましたからね。

小室哲哉:小室哲哉:「あれ、どうしちゃったのかな?」って思うぐらい(笑)。なので、結果的に納得してもらえたと思うんですけど、Def Willの世代は子供ではあるものの最初から理解がすごくある。それは音楽的な部分でもそうだし、曲のクオリティが高いか低いかというところに対しても分かってる。いろんな情報を持ってますから、洋楽も邦楽も線引きしないで聴いてますし、みんな「好きなものは好き」っていう感じだし、海外のヒップホップの素養がないと出来ないすごく難しいことでも「やってみたい」って言ってくる。だから「ヒップホップの人たち、連れてこようかな?」みたいな。そういう人たちに手伝ってもらえないと出来ないですから。だからその辺も本格的になってるし、ヒップホップっぽいとかロックっぽいではダメになってる。検索すれば本物がボーン!って出てきちゃう時代なので、それを全部網羅して作ってあげるのはなかなか難しい。

−−逆に言えば頼もしくもありますね。

小室哲哉:あとは、仮想のライバルを作んなきゃいけない。本当のライバルというのは、今はどこを探せば同じ方向を向いている人がいるのか分からないので、仮想でいいから「コイツには負けない」と思わせる何かも考えていかないといけない。

−−今日の話を聞いていると、小室さんのプロデュースワークの中で最も難易度は高そうですが、規模も最も大きくなる可能性が秘められたプロジェクトなんじゃないですか?

小室哲哉:そうですね。最初からマーケットは、日本はどんどん小さくなっていくからということで、アジア諸国に運ぶことは念頭に置いてます。日本を10と考えたら、アジア各国で10ずつ。それで100を補う考え方ではあるんですけど。

−−そのモデルでひとつ成功例が生まれたら、未来が拓けますよね。

小室哲哉:欧米の人たちがあたりまえのようにやってきた形ではあるんですけどね。特にイギリスなんて自国には30万ぐらいの音楽ファンしかいない訳で、それでも各国合わせて何千万枚と売ったりしてきた訳だから。

−−Def Willもそうなるかもしれない?

小室哲哉:簡単ではないですけどね。ただ、ひとつ可能性があるとすれば、欧米のアーティストでどーん!といきなり世界に突き抜ける人というのは、今は大体アプリケーションと同時に飛び出ていっている人が多くて。そのシンクロ感を狙う。次にヒットするアプリケーションがあると仮定して、それが飛び出てくるときには必ず乗る。あと、ポータルサイトがだんだん要らなくなってきて、ひとつアプリケーションを開けば別に他のものを開かなくても済むようになってきてるので、その中に飛び込んじゃうか。そのアプリケーションに入り込ませてもらえたら、それの利用者数が増えていくのと合わせて認知度も増えていく、という考え方は今の流れとして間違いないんじゃないかな。

−−音楽を聴くツールとして着実に浸透しているサブスク。以前、小室さんは「もちろん肯定。少なくともコンビニエントにはなった訳なんで。最終的にアーティストルームみたいなところまで行ける、みたいなサービスはどんどん増えていくと思うんですけどね。それでライブまで行けちゃうとか、そこの道になってくれると思うので。好きな楽曲から、それを創ったアーティストまで導いてくれるガイドライン、エントランスみたいなものが増えていくと思います」と仰っていましたけれども、今はどんな印象を持たれていますか?

小室哲哉:ミュージシャンとしてはプロモーションツールとして利用していくもの。聴き放題で、場所も選ばず、学校でも会社でも移動中でも、友達と何か食べながら飲みながらでも、とりあえず聴いてもらって興味を持ってもらう。なので、作品の置き場所という感覚にはなってないと思うんですけど、プロモーションにはなってると思います。で、株じゃないんですけど、銘柄じゃないんですけど、そのプロモーションでもって名前を認知させるというか、ブランド名を覚えさせる。「こんな音楽をやっている」「こんなキャラクターでやってる」「こんな活動をしている」というところまでは、サブスク含めネットを使ったいろんな事業でやれているんじゃないかな。「今流行ってるよね」「今キテるらしいね」というアーティストの名前をちゃんと挙げさせるところまでは出来ていて、それが蓄積されていくと何かのときにちゃんとお金になるというか、ビジネスとしてしっかりしたものになる。「今、AとBがキテるらしいぞ」「絶対Aですよ、みんな騒いでますから」ってなったら、例えばCMや何かのタイアップに使われます。そうすると莫大なお金がそのアーティストやグループに入ってくるし、世間的にお「本当に良いんだな」ということになってくる。

−−今、そうした流れの実例がいくつか出てきてますもんね。

小室哲哉:それでアリーナとかドームでライブが出来るようになると「凄いね、ドームまでやれてるんだ?」という話になって、新しいファンが「私もチケット買って観に行こう」となってくる。そうするとひとつのラインが出来て「はい、登録ね」みたいな感じで囲ってしまう(笑)。要するにひとつの島が作れる訳ですよ。その島が作れると、そこでいろんなマーチャンダイズだったり、CDだったり、映像であったり、ライブの予約だったり、いろんなビジネスモデルが成立するようになる。それでお金が回り出すとモチベーションも上がりますし、次のクリエイションにも跳ね返ってきますから、どんどん良いものが出来るようになってきますよね。そういった一連の流れまで持っていけるかどうか。

−−2016年〜2017年の音楽シーンの中でも、その一連の流れが作れて成功したアーティストはいますよね。サブスクで「この曲、良いね」って聴かれるようになり、そこからCMや番組に起用された流れが見えるアーティストも何組かいますし。

小室哲哉:サブスクで持ち上げられたおかげでブランドになり、そこに選ばれる。そこで大きなお金が一度動きますよね。そうなると「ライブにも行ってみようかな」という人たちが増えて、島が作れるようになる。

−−今回の小室さんのソロアルバム『JOBS#1』は、それこそサブスクでピックアップされてきたような曲も多数収録されている訳ですが、自分的にはどういった位置付けの作品になっているんでしょう?

小室哲哉:音楽を作る、作品にする、CDにする、CDを売る……というような流れではなくて、音楽が必要な何かがある、エンタメがある、イベントがある。その音楽を誰に頼もうか、小室哲哉に頼んでみようか。という流れから生まれた楽曲群ですね。元々CDをリリースすることが目的で作られた訳じゃないんだけど、もう1回聴いてもらおうか。という感覚でひとつのアルバムにまとめた作品。そういう曲ってCDとか作品にしないと置いてけぼりになっちゃうんです。会話のやり取りの中で「どう作品に残しましょうか?」という話がないんで。昔は「レコード会社さんはCDにしますよね?」そういう話は必ずあったんだけど、それがないケースの仕事が増えていて。ま、バンドとかグループだったら「ライブでやるので」というところから作品になるのかもしれないですけど、特に僕とかの場合はそういう流れもないので。だからこのアルバムに落とし込む為に作った曲はひとつもなくて、何かを色付ける為に作った曲の集まり。「音楽職人のお仕事です」みたいな感じですかね。そういう仕事は今後も増えていくと思うし、そういう意味での『JOBS#1』。今後『JOBS#2』『JOBS#3』となっていくんだろうなって。

小室哲哉画像

−−今作には、小室哲哉 feat.神田沙也加(TRUSTRICK) & tofubeats「#RUN」や、Tetsuya Komuro × Tsunku♂ feat. May J.「Have Dreams!」、J SPORTS 15/16イングランドプレミアリーグ中継エンディングテーマ「a new lease on life」、TFM『blue ocean』テーマソング「BLUE OCEAN」等、たしかに何かの企画やイベントに求められて制作された楽曲が多数収められていますが、こういう仕事が今後どんどん増えていくということですよね。

小室哲哉:そうですね。で、面白いものがどんどん増えていくとも思ってます。「これにも音楽を付けるんだ?」「これにテーマ曲必要なの?」みたいなものも含め(笑)、2020年までにもっと増えてくるような気はします。あと、有名建築家のデザインの一覧とか見て「これもそうなんだ。あ、これもそうなんだ。うわ、これもそうなんだ。凄いな」って思ったりするんですけど、実際にそういうものがないとダメだなとも思うんで、僕の場合はこういうアルバムにして改めて聴いてもらえる機会を作らなきゃいけない。三菱地所じゃないですけど、ちゃんと観に行くからリアリティが湧くところもあると思うので。

−−そのソロアルバム『JOBS#1』のリリース翌月には、TM NETWORK『GET WILD SONG MAFIA』がリリースされます。言うならば「GET WILD」の30周年をお祝いするアルバムだと思うんですが、こうした作品を残せるのはどんな気分ですか?

小室哲哉:TM NETWORKの頃から「新しいビジネスモデル」みたいなものはしっかり考えていて、1989年に『DRESS』を作ったときも、ツアー中でどうやってもレコーディングが出来なくて、でも「なんとかニューアルバムを出せないかな」という発想でリミックスが楽しめるアルバムが生まれたりしていて。そういうことは間違いなく誰もやってなかったと思うんですよ。仮想のライブアルバム『TMN COLOSSEUM』を作ったりとかも。とは言え、どの曲でもそういうことが出来る訳じゃないんですけど、「GET WILD」に関してはそれだけでひとつのアルバムが作れるほどのバージョンが生まれているので、何かそういう魅力がある曲なんだろうなって。世界中のどんな凄いバンドでもユニットでも「これだよね!」っていう曲は何十曲も持ってなくて、レッド・ツェッペリンでもピンク・フロイドでもイーグルスでもアンダーワールドでもケミカル・ブラザーズでもやっぱり1,2曲「これは!」という曲がある。「GET WILD」はそういう曲なんだろうなと思います。TMにとってはもちろん、僕にとってもそうかもしれない。

−−なるほど。

小室哲哉:ただ、今、洋楽のアーティストの名前を挙げたのは、いわゆる歌謡曲の「この1曲」とは違うからなんですよ。洋楽っぽい在り方。歌謡曲の「この1曲」は作法みたいなものもしっかりしていて、その人が歌わないと成り立たない。というものとは違うのかな。

−−作法という意味では、逆にいろんな作法をぶち壊してきた30年間の歴史を持つ楽曲ですからね(笑)。どれだけのバージョンを作っているんだという。

小室哲哉:それこそ『DRESS』のときに「ここまで壊していいんだ」って学んだんです。あのアルバムのリミックスを手掛けている人たちはユーロビートの本家本元で、自信を持ってぶち壊してきてくれたんで(笑)。ナイル・ロジャースはナイル・ロジャースでしか出来ないことしかやらない。「それでいいんだ?」って思うぐらい。彼のチャカチャカ♪っていう音はダフト・パンクのリミックスにも入ってるんですよ。全くおんなじフレーズ。おんなじフレーズ、1000曲ぐらいあるんじゃないかな。

一同:(笑)

小室哲哉:「それでいいんだ?」っていうのは海外のアーティストからたくさん教えてもらいました。「そのまんまじゃん!」みたいな(笑)。でもそのまんまでも通るぐらい世界は広いんですよ。未開地があって、まだ届いてないところがいっぱいあって、知らない人にとってはそれが初めて聴く音になる。ツウな人が全部知っているだけであって、案外みんな知らない。あと、「GET WILD」に関しては、例えばギタリストであればどうしても弾いてみたいソロってあるじゃないですか。ディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」みたいな。そういったフレーズが「GET WILD」にはどれだけ並んでいるかっていう。チャンチャンチャン♪っていうイントロ部分もちょっと弾いてみたくなるだろうし、ちょっと口ずさんでみたくなったりする。そういう魔力もあると思いますね。

−−では、最後に。今現在、小室さんは音楽にどんな可能性を感じていますか?

小室哲哉:去年1年どっぷりアートのことを勉強して、キュレーターみたいな人たちを音楽にも付けるとか、いろんなことを考えさせられたんですけど、驚くほど不思議なことにアートの世界はそういう何十人かのキュレーターみたいな人たちが、ピカソやゴッホの何百億円という価格を下げないように貢献してて。その人たちの言葉ひとつでその値段が下がってない。でも音楽は全く真反対で、誰がどんなことを言おうとタダに近いものになっていってる。ただ、その真ん中にメディアアートがあって、アート側の人が「何十億、何百億の価値がある」って言うと音楽もその中に含まれる。面白いですよね。その辺に目を付けている人たちが出てきていて、今ざわついてるんですけど、そこにもひとつ音楽の可能性があるのはたしかだと思います。

Interviewer:平賀哲雄

Photo:munemuranaoya

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