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2015.2.13 更新

「モーニング娘。'14 コンサートツアー2014秋 GIVE ME MORE LOVE 〜道重さゆみ卒業記念スペシャル〜」レビュー

「モーニング娘。'14 コンサートツアー2014秋 GIVE ME MORE LOVE 〜道重さゆみ卒業記念スペシャル〜」DVD&Blu-rayが発売された。
さゆのことを考えると、言葉が出てこない。左胸の奥がなんだかきゅうっと痛くなって、色んな場面が鮮明にフラッシュバックするのに、人に伝える言語に変換できる気がしなかったのだ。でも、今ならようやくあの日のことを振り返ることができるかもしれない。繰り返し繰り返し、何度だって観ることができるのだから。

興奮と熱気に包まれたランウエイを颯爽と歩く、モーニング娘。'14のメンバー。自信と誇りに満ちたその姿は、眩しいほどにカッコイイ。最新シングル「TIKIBUN」「わがまま気のまま愛のジョーク」 「What is LOVE?」キラーチューンを立て続けに披露するモーニング娘。'14。目線の流し方や顎の上げ方、所作の一つ一つに魂を込め、全てを捧げてきた大好きなモーニング娘。でいられる時間を燃やし続けるさゆが、そこにいた。

◆「夢は叶うよ 絶対叶うから」

あの日、もっと近い画面でじっくりと観たい!そう思ったのが、まず始めのオープニング映像だった。「時空を超え 宇宙を超え」をサンプリングした音源に載せて映しだされるさゆ、集まってくるメンバーたち。それぞれの駆け寄り方やさゆの反応を見るだけでも、何度も楽しめる。
そのまま曲は途切れずに、本編はスタート。幻想的な空間の中を天女のように舞い踊り、切なく歌い上げるその姿に、すでに視界がぼやける。6期メンバーオーディション課題曲だった「Do it! Now」では、当時と見違えるほどのしなやかさ、そして当時と変わらない可憐さに心奪われる。「歌やダンスが好きなわけでもない、ただモーニング娘。になりたかった」音程の存在も知らなかった少女は、未来行きの切符を手にし、“最高にかっこいいモーニング娘。”のリーダーになったのだ。

◆頼もしくなった後輩たち

9・10・11期のみで披露された「I WISH (updated) 」では、フレッシュながらも安定感のあるパフォーマンスで観客を魅了。シングルリリースイベントで報道陣から「卒業した後モー娘。は大丈夫?」と訊かれさゆが「大丈夫だから卒業するんです。」と即答した、というエピソードが思い出される。ステージ上の「頼もしくなった後輩」たちの姿、きっと誇らしくて仕方なかったに違いない。

ここで「道重カメラ」と題されたVTRが流れる。モーニング娘。としての最後のリハーサルの様子を収めた映像だ。二つ結びにピンクの「道重Tシャツ」をお揃いで着たメンバー達は手を繋ぎ、輪になり歌い踊り、子供のようにはしゃぎまくる。
モーニング娘。'14がとびきり息の合ったグループへと育った最大の所以は、「道重リーダーの人柄」であったと痛感させられる。一回り近く歳の離れたメンバーとかくれんぼをし、隙あらばスキンシップをはかり、一緒にはしゃいださゆ。大きな愛で包み込み、戦う姿勢は背中で教えた。モーニング娘。としてのプロ意識、歴史を背負い未来を担う覚悟。その尊く気高い姿に共鳴するように、幼かった少女たちは洗練されていった。まるで幸せの箱庭のような、美しい絵画のような、神聖なサンクチュアリのようなモーニング娘。'14。それは、永遠の愛の形である。

◆公開りほりほへのキス

さゆラストソロ曲にして、アイドルソング史上最も可愛い「シャバダバドゥ〜」のイントロとともに現れたのは、MVと同じ赤いミニワンピにリボン、トレードマークのうさちゃんヘアーのさゆ。1万2千人を支配する「可愛さ」に、観客はただただひれ伏すしかなかった。「世界一可愛い」さゆは、卒業のその日に「可愛さのピーク」に達するよう、神がかり的に整えてきたのだった。
この日のさゆは、本当に本当に可愛かった。いつも可愛いさゆなのだから可愛くて当然なのだけど、間違いなく世界中で一番可愛かった。それは誇張なんかではなく、誰よりも「可愛い」を追求し、努力を重ね、プライドとプロ意識を持ち歩んできたさゆならば当然と言えるのかもしれない。

そして続く「笑顔の君は太陽さ」「彼と一緒にお店がしたい!」では、「モーニング娘。'14の可愛さ」に多幸感MAXに。そしてもちろん「公開りほりほへのキス」事件も、ばっちり収録済みだ。かなりのアップで、りほりほの見開いた目やわずかな抵抗もしっかりと楽しむことが出来る。さらには、事後のさゆのダブルピース、みんなに囃し立てられ恥ずかしがるりほりほ、むくれるえりぽん(生田)…現場ではあっという間すぎて見落としてしまったあんな瞬間も、何度だって観ることができるのだ。ここだけでも、この映像だけでも、このDVD&Blu-rayの価値があると断言する!!!「道重さゆみ、やりましたー」の勝利報告に対し、割れんばかりの歓声と共にピンクのサイリウムに染まる横浜アリーナ。冷静に見るととんでもない光景だ。

◆「道重さんの隣で歌いたい」

ライブ中盤戦は、12曲に及ぶスペシャルメドレーから幕を開けた。しかしこのメドレーの最中に、異変が起こる。さゆが、足を痛めてしまったのだ。それでも表情や手の動きだけで存分に魅せるさゆと、後輩メンバー達の冷静なパフォーマンス、さらにはカメラマンによるカメラワークや場面展開により、アクシデントが起きたことは全くと言っていいほど伝わってこない。関わった全ての人がプロフェッショナルな仕事をした、愛の結晶といえるだろう。
センターステージへと飛び出すメンバーを見送り、一人メインステージに残ったさゆは、最初ほんの少しだけ心配そうな顔を見せた気がした。それでも「A B C D E-cha E-chaしたい」の終わり頃には、臆することなくパフォーマンスする姿に安心したのだろうか。「道重さん、見ててください」と言わんばかりの後輩たちの背中ごしに、嬉しそうな笑顔を見せる。
「ワクテカTake a chance(updated)」「ブレインストーミング」と、人数が足りないことなど感じさせないフォーメーションダンスを披露する9・10・11期メンバー。そして曲終わり、センターステージに向かって走り出したフクちゃん(譜久村)。のちに「フクムラダッシュ」と呼ばれるその姿、実はこの時優しく微笑んでいたことがわかる。そんなフクちゃんを見つけ、思わず顔がほころぶさゆ。この瞬間がしっかりと残っている事実、感謝してもしきれません。
顔を見合わせ、時に支えあうように身体を寄せるフクちゃん・さゆによる「好きだな、君が」。この時のさゆの心境は、計り知ることが出来ない。悔しかったかもしれない。このあとのことを考えて不安でいっぱいかもしれない。だけど、画面いっぱいに伝わってくるのは「希望」だった。それは、これまでの道重さゆみの12年間と一緒だったのではないだろうか。どんなに辛いことがあっても、痛かったとしても、ステージ上では、ファンの前では、夢と希望を与える。そう、「全部はこの胸の中」。アイドルの模範を体を張って示したさゆは、まさにアイドルの鏡であり、プロフェッショナルの頂点に君臨した瞬間であった。

◆「愛する人はあなただけ」

足を痛めても尚、笑顔を絶やさないさゆ。ハードな楽曲が続き、相当辛いはずなのに…。「もう無理しないで…」そう観客が願っても、健気に振る舞い続ける彼女の姿を会場中が見守った。心の底から心配し、愛おしく思った。そうだ、私たちはいつだって道重さゆみに翻弄される。時に女神のように美しく、イタズラにおどけてみせ、蠱惑的に誘惑し、眩しいほどにカッコイイ。そして、ひとりの「女の子」でもあるだなんて。
12年前、山口からやってきた可憐な少女は、凛とした強い女性へと変わった。アイドルも憧れるNo.1アイドルとして、尊敬と羨望の眼差しを一心に受け神々しく輝いている。なのに、こんなにハラハラさせて、心を掴んで離さない。

一挙一動、みんながさゆを見つめた。

さゆの虜だった。DVDには映っていないが、この曲間でさゆは靴を履き替えている。深刻そうな状態に、固唾を呑む観客たち。始まる、次のナンバー。聞き慣れたそのイントロは、さゆのデビュー曲である「シャボン玉」だった。まさか、この状態でこの曲を…!狼狽したのも束の間。「愛する人はあなただけ〜!」スポットライトに照らされ、足をふんばり、そう歌いあげたさゆの姿は、これまでで一番力強く、頼もしく、カッコ良かった。先ほどまでの感情が、少し申し訳ないほどだった。道重さゆみは、やってくれる。いい期待は決して裏切らないのに、いい意味で期待を裏切ってくれる。そんな真骨頂を感じさせる表情が味わえるのだ。

◆Be Alive

そして本編最後のMC。ここで、初めてさゆの表情が崩れるのが映る。声を震わせ、目に涙を浮かべながら告げた最後の曲名は、「Be Alive」。包み込むようなピアノの旋律に、こらえきれずに頬を伝う涙。その美しい姿がすべて、キラキラとした景色と共に収められている。
ステージから降りるさゆにそっと手を貸すフクちゃん、固く結ばれた手と手。さゆに微笑みかけられ、思わず感情がこみ上げ口をへの字にする香音ちゃん。泣き出しそうなさくらちゃんの肩を、優しくポンポンと叩くまーちゃん。現場では気付けなかった、細かな部分もじっくり見ることができるのがDVDの素晴らしい所。そして絶対に見て欲しい場面は、間奏明け。
「君と共に 友と共に」さゆの真っ白な指が遥か彼方を差し、そして何かを掴みとるように強く握られる。「夢と共に 汗と共に」胸に手をやりながら、涙に光る頬。
かつて、ここまで美しい横顔がこの世に存在しただろうか?人間の尊さを賛美したくなるほどの横顔に、心が洗われる。

◆「みんなあなたがあこがれでした」

鳴り止まない「さゆみん」コールを受け、登場したのは赤い着物姿のさゆと白いワンピース姿の9・10・11・12期メンバー。後輩たちの歌う「見返り美人」に合わせ、花道を歩くさゆ。そして振り返り、向きあう形になったその時。さゆの背中越しに見えるのは、涙ながらに笑いかけようとするりほりほ(鞘師里保)の不器用な姿だった。

卒業セレモニーでのメンバーからの贈る言葉には、それぞれの個性が表れる。
「大好きなみちしげさんを笑顔で送り出す」そう決めていたまーちゃん(佐藤優樹)は、懸命に涙をこらえ明るく感謝を伝えるも、最後の言葉がどうしても言えなくなってしまう。口にすることで現実になってしまう、でもどうしても伝えたいお祝いの言葉…「卒業おめでとうございます」そう言い切ったまーちゃんは少し大人に見え、モーニング娘。'15を大きな愛で包み込んでくれるに違いない、とまだ見ぬ未来に希望を感じさせた。
「私は道重さんが笑ってるだけで幸せなんです。だから、笑ってください。」とだーいし(石田亜佑美)が言うと、会場も笑いに包まれる。「記憶力ってなんでこんなに限界があるんだろ?ってこんなに悔しく思ったことはありません。でもそんな時道重さんが『忘れたくない思い出は絶対忘れないって信じればきっと忘れないよ』って教えてくれたじゃないですか。だから私、道重さんとの思い出、全部、一生忘れません」と抱きつくだーいしに、「さゆみも忘れないよ」と抱きしめ返すさゆ。微笑ましいのに涙が止まらない、この感情に何と名をつけよう。

◆モーニング娘。になるために生まれてきたんだ

そして、とうとう来てしまった最後の時。10分以上続いたさゆみんコール、1万2千人のピンクのサイリウムが揺れる中、Wアンコールとしてお花畑のようなドレスに身を包んださゆからの言葉。8分20秒に及ぶ卒業スピーチは、ぜひご自身の目で耳で確認していただきたい。私の語彙力で言及するのは烏滸がましく感じるので…。
そして、大事な大事な始まりの曲である「赤いフリージア」、一番好きだと言っていた「歩いてる」が披露される。ここにきて、私たちはまた彼女の魅力に唸ることになってしまう…!もう、好き過ぎてどうしたらいいかわからない!牛丼があったら、間違いなく頭から突っ込んでいる!
最後の最後に、あんなにカッコ良すぎるスピーチした後で、あんな歌声が聴けるなんて。可愛い。可愛すぎる。全ての塩梅が素晴らしすぎる。奇跡。人間じゃない。可愛いという言葉の概念を考えさせられるほど、可愛い。可愛い。ちゃんと伝えたかったのだけど、言葉が追いつかないほど感情が制御できないほど可愛い。それは、DVDで見ても同じだった。愛おしくて愛おしくてたまらない。そして、私は再び胸がいっぱいになってしまい、言葉が出なくなってしまった。

さゆは、どこまでもさゆだった。この153分には、さゆのカッコ良さ美しさ可愛さ尊さ全ての魅力と、4329日間の愛の歴史が詰まっている。卒業して2ヶ月以上経った今も、悲しくなってしまうほどに。
だけどきっとさゆの大きな愛は、残されたメンバーをこれからも優しく包み、その姿勢は受け継がれていく。さゆが「愛おしくてたまらない」と思った後輩たちが、さゆの「大好きなモーニング娘。」を創っていく。「モーニング娘。は永遠の愛の形」そう言ったのは、さゆの大好きな同期の絵里(亀井)だった。
愛の軍団はモーニング娘。'15となり、さらに大きな景色を目指すこととなる。その時はさゆと一緒に、その景色の一部としてサイリウムを振っていたい。

コラム記事:塚本舞


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