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乃木坂46 公認コラム『のぼり坂』

2014.12.18 更新

“アイドル”を演じる──秋元真夏・生田絵梨花・橋本奈々未主演映画「超能力研究部の3人」の見どころを解説

女優面が一気に開花した2014年

秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未の主演映画「超能力研究部の3人」が12月6日から、ついに劇場公開されました。“アイドル・乃木坂46”の演技面に注目が集まっているタイミング、また監督を務めたのが「リンダ リンダ リンダ」や「天然コケッコー」「苦役列車」で知られる山下敦弘ということもあり、8月の情報解禁以上大きな反響を呼んでいました。

アイドルとして歌やバラエティを中心に活動する乃木坂46ですが、2014年は特にミュージカルや舞台、映画での活躍が目立った1年でした。グループとしては年に一度、「16人のプリンシパル」という劇場公演を行っていますが、ソロとしても春に井上小百合&樋口日奈が「學蘭歌劇『帝一の國』」、秋には生田絵梨花が「虹のプレリュード」、若月佑美は「生きてるものはいないのか」、衛藤美彩&桜井玲香は「Mr. カミナリ」に出演。また能條愛未は「死の実況中継 劇場版」、中田花奈は「デスブログ 劇場版」、そして10月に卒業した伊藤寧々も「杉沢村都市伝説 劇場版」と、それぞれの個性や演技力が生かされた作品で主演を務めました。こういった個々の女優活動はすべて「16人のプリンシパル」で培った実力の賜物かもしれません。

「超能力研究部の3人」で主演を務めた3人も、もともとは昨年3月発売の5thシングル「君の名は希望」のMV撮影で実施された“架空の映画オーディション”で、山下監督に選出されたメンバー。当時山下監督にインタビューした際、この3人を選んだ理由を「これからやっていく中でいろいろ伸びしろがあるというか、一緒に映画を作っていく中で変化をしていきそうな子」「友達がいなさそうなで、コミュニケーションが下手な子」と説明してくれました。最初は演技力が評価されたわけではなかったようですが、実際に完成した映画を観ると「これ、どこまでが素でどこからが演技なの?」とスクリーンの中の3人に驚かされることになります。MV撮影から実際の映画撮影までブランクが1年あったことも影響しているのかもしれませんが、それ以上に短い撮影期間を経て3人の個性や魅力がより際立つようになったことは否めません。

アイドルだからこそ演じられること

ここからはある種ネタバレになってしまうので、映画を観る前に詳細を知りたくない人はこのページを閉じていただき、一度鑑賞してから読むことを推奨します。もちろん、先に映画の本質を理解しておきたいという人はこの通りではありません。

「超能力研究部の3人」という映画は、大橋裕之の連作短編マンガ「シティライツ」を原作にしたストーリーに撮影の裏側(メイキングシーン)を織り交ぜた、「虚像(=演技)」と「現実(=素)」の境界線が曖昧な作品です。しかし映画の公式サイトなどで明かされているように、撮影の裏側を収めたシーンすらもフェイクであって、何も知らずに観た人はその生々しいやり取りにドキドキすることでしょう。ただ、映画の中で3人が口にする悩みなどは監督やスタッフが実際にメンバーへ聞き込みをしたものがもとになっているようなので、あながちすべてがウソとは言い切れないわけですが。

そんな虚像と現実が入り交じったこの作品の個人的な見どころ、特にドキッとさせられたのが下記の3場面でした。

秋元真夏に対する監督の追い込み
生田絵梨花の葛藤、そして秋元との衝突
橋本奈々未の本音と涙

,榔撚茲糧羈單序盤に登場する、とあるシーンでのこと。彼女から「怒り」の感情を引き出すために山下監督が取った行動、そしてテイクを重ねるにつれ追い込まれていく彼女の姿に、ハラハラするファンも多いのではないでしょうか。このシーンでは秋元の人の良さ、そして人が良いからこそ生じる葛藤が見事に描かれています。秋元のことを「怪物と仲良くしていそうなキャラ」と称した山下監督の本気が感じられる場面と言えます。演技力の点ではもっとも未知数だった彼女に対して、(本人は「自分はネガティブだ」と言って否定するかもしれませんが)常に物事を前向きに捉えて持ち前のガッツで困難に立ち向かって行く姿に「なんだよ、まなったん、やれるじゃんか!」と、彼女の成長を感じたのはきっと僕だけではないはずです(そんな彼女が初挑戦したキスシーンと、それを取り巻くひと悶着も見どころですね)。

△蓮△修鵑塀元と自身を比較し、1人になったときに涙を流しながら本音を吐露するシーンが印象的です。彼女は撮影中、山下監督の注文に思うように応えられず壁にぶつかる。そんな中、秋元とのちょっとしたやり取りをきっかけに、それまで抑えていた感情がコントロールできなくなり一気に爆発させ、2人の関係はぎくしゃくします。映画の完成披露試写会にて橋本が「2人は劇中で衝突する場面があるんですけど、そういう演技を経てより距離が近付いたんじゃないかと思いました。今では2人でベタベタしてますし(笑)」と言っていましたが、秋元と生田が絆を深める過程を知れるという意味でもファンには見逃せないエピソードです。

そんな2人の仲を取り持つのが橋本。落ち着いた印象の彼女がのように、撮影の裏側でポロポロこぼす本音はどれもが意味深なものばかり。等身大の女性としての悩みとも取れるし、乃木坂46における悩みとも受け取れる。そして映画終盤、突然流す涙。メイキング監督も思わず「美しい」と漏らしてしまうそのシーンは、本作の中でも特に印象的で意味深な瞬間でしょう。普段クールな印象が強い彼女ですし、それまでの発言を経て飛び込んでくるこの場面にいろんな妄想をふくらませてしまう人もいるのでしゃないでしょうか。

……と、ここまで書いたすべての場面が“フェイクドキュメンタリー”の一部であるわけで、本当にどこまでが虚像でどこからが現実かは謎。もしかしたら全部フェイクかもしれないし、全部が素の彼女たちかもしれない。でも主演女優の3人はアイドル。常に“偶像(=アイドル)”を演じ切る彼女たちだからこそ成し得た作品とも言えるわけです。本作の完成披露試写会で山下監督は「アイドルとしての3人の魅力を映画にしたことだけは間違いない」と発言しましたが、それは単に3人のかわいらしさが凝縮されたというだけではなく、“アイドル”を全うする姿が完全に収められたという意味も込められているのではないかと思います。

文:西廣智一 (WEBを中心に活動する音楽ライター。バンドマン、フリーター、会社員を経て、2005年末に株式会社ナターシャの立ち上げに参加する。翌2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」を筆頭とした音楽サイトにてインタビューやディスクレビューなどを執筆。)

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