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乃木坂46 公認コラム『のぼり坂』

2015.3.4 更新

11thシングル『命は美しい』表題曲&MV解説

2月22日の「乃木坂46 3rd YEAR BIRTHDAY LIVE」で初披露され、多くのファンを喜ばせた乃木坂46の新曲「命は美しい」。同月25日にBSスカパー!にてオンエアされた「スカパー!音楽祭 2015」でもパフォーマンスしたほか、翌26日にはMVもYouTubeにて公開されました。今回のコラムでは、いよいよ3月18日にリリースが迫った11thシングル『命は美しい』の表題曲について書いていきたいと思います。

より作品性を高めた「一段上の楽曲」

ご存知の通り、今回の選抜メンバーは過去最多の18名。これまで16名が基本フォーマットで、ときにより17名編成になることもありましたが、ライブ映像やMVを観る限りでは2名増えただけでかなり多くなったような印象を受けます。これはキレイに揃ったフォーメーションダンスの影響もあると思うのですが、それについてはまた後ほど。

楽曲はピアノのフレーズが耳に残るダンスチューン。とはいっても、過去に発表された「制服のマネキン」や「世界で一番 孤独なLover」のように「クールなんだけど強い熱を発し続ける」タイプではなく、今回は「終始淡々と冷たいイメージなのにどこからか熱をジワジワ感じる」タイプと言いましょうか……このニュアンスの違い、ご理解いただけるでしょうか? あるいは前者は歌やパフォーマンスでグイグイ引っ張っていくライブ向けの楽曲で、後者は歌やダンス、演奏などトータルで表現して魅せるアート作品みたいな。初期乃木坂46に足りなかった「爆発力のあるダンスナンバー」として用意された前者の楽曲を、さらに一段高いところまで持っていったのが今回の「命は美しい」なのかな、と個人的には考えています。そういう意味では、方向性としてアンダー楽曲の「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」に近いものがあるのかもしれません。

3月1日深夜放送の「乃木坂って、どこ?」でオンエアされた際のクレジットによると、「命は美しい」の作曲・編曲を担当したのはHiroki Sagawaさんという音楽家。Sagawaさんはプロデュースチーム・Asiatic Orchestraの一員で、これまでに三代目J Soul Brothers「花火」「冬物語」「C.O.S.M.O.S.〜秋桜〜」やFlower「太陽と向日葵」「白雪姫」、東京女子流「Liar」「追憶」(Asiatic Orchestra名義)などの作曲を手掛けたほか、乃木坂46でも「初恋の人を今でも」(7thシングル『バレッタ』収録)の作曲・編曲を担当しています。多くの楽曲にピアノやストリングスを主軸にした、ドラマチックでモダンなアレンジが施されていますが、それは今回の「命は美しい」にも共通するポイント。静と動をうまく使い分けることでダイナミックさが強調され、サビに入る前のブレイクで情熱的なピアノフレーズが入ることでその後のサビをより盛り立てています。しかしこれだけ盛り上がりのあるアレンジながらも、メロディのキーがこれまでの楽曲と比較して低めに設定されていることから、どこか落ち着いた印象を受けます。もしかしたらその落ち着いたトーンが、楽曲全体に冷たさを残しているのか……このへんは先に書いた「終始淡々と冷たいイメージなのにどこからか熱をジワジワ感じる」ことの一因かもしれませんね。

ストーリー性を排除し、より抽象的に

そしてMVについても触れておきましょう。今作を手掛けたのは映像作家の井上強さん。アイドルから女性ソロアーティスト、ポップグループ、ロックバンド、ヴィジュアル系までさまざまなアーティストのMVを制作してきた井上さんですが、乃木坂46とは今回が初タッグとなります。

楽曲自体は「命」をテーマにしたシリアスな内容ですが、MVからは特に強いメッセージやストーリーは感じられず、乃木坂46のダンスシーンとゴシック調の抽象的な映像が中心。これまでシングル表題曲のMVにはドラマシーンがフィーチャーされることが多かったものの、今回は余計なストーリーにとらわれることなく、楽曲と彼女たちの歌、ダンスにしっかり注目してほしいという思いが強く感じられます。

そのダンスも、「何度目の青空か?」やここ数作のアンダー曲で垣間見ることができたフォーメーションダンスを本格導入。ライブでの初披露時には気付かなかったものの、先の「乃木どこ」でのライブ映像や今回のMVでその作り込まれたダンスフォーメーションをチェックすることができます。「キレのある激しいダンス」というと過去には「制服のマネキン」や「その先の出口」(9thシングル『夏のFree&Easy』収録)のような楽曲もありましたが、今回は激しいダンスで「生」の力強さ、そして儚さをドラマチックに表現するという難易度の高さが求められます。そういう意味でも過去の楽曲とは違った気合の入り具合を、個々のメンバーの表情から感じることができるはずです。

さて、話はMVに戻ります。MVの中では2種類の衣装を身にまとうメンバー。冒頭から登場する1着目はバースデーライブでも着用していたもので、2コーラス目で登場する2着目は1人ひとりデザインの異なるゴシック調の衣装。1着目の際にはメンバーが白や紫のスニーカーを履いているのも興味深いポイントで、これも本格的なダンスを導入したことによる結果なのでしょう。そんな衣装を着てひたすらシリアスな表情で踊る彼女たち。その合間には観る者を刺激する抽象的なイメージカットが挿入されます。暗い木々をバックに白い羽が舞う中佇む西野七瀬のシーンも印象に残りますが、特に2コーラス目以降に登場するメンバーの手からこぼれる液体や目から涙を流すシーンにドキリとさせられた人は多いのではないのでしょうか。血を彷彿とさせるその液体は赤というよりはドス黒く、そのおかげでより生々しい印象が受け付けられます。さらにラストカット近くで映る松井玲奈の涙は白かったりするので、さらにいろいろ考えさせられます。

MV自体に物語のようなストーリー性はないものの、楽曲同様に「命」や「生」をイメージさせる映像が多数含まれていることから、ダンスの躍動感とメッセージ性の強い歌詞と相まって、MVを観終えたあとは1つの抽象的な映像作品を堪能したような気分になります。楽曲、歌、ダンス、そしてMVのすべてが歩み寄ることで完成した「命は美しい」は、乃木坂46が新たなステージに到達したことを証明するに十分な1曲と言えるでしょう。

発売日が近付き、その全貌が少しずつ明らかにされていく11thシングル『命は美しい』。今後もその魅力について独自の視点で解説していきたいと思います。

命は美しい(3/18発売11thシングル)
デビュー作『ぐるぐるカーテン』がオリコンウイークリーチャート2位。 セカンドシングル『おいでシャンプー』から前作『何度目の青空か?』まで9作連続でオリコンウイークリーチャート1位を記録。 1月7日にリリースとなった記念すべきファーストアルバムも大ヒットし、同チャート1位を獲得している。 そんな今一番勢いのあるアイドルグループの乃木坂46のアルバム後初となるリリースは、通算11枚目のシングルになります。
CD情報

文:西廣智一 (WEBを中心に活動する音楽ライター。バンドマン、フリーター、会社員を経て、2005年末に株式会社ナターシャの立ち上げに参加する。翌2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」を筆頭とした音楽サイトにてインタビューやディスクレビューなどを執筆。)

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