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乃木坂46 公認コラム『のぼり坂』

2015.3.11 更新

西野七瀬ソロ曲「ごめんね ずっと…」解説

 前回のコラムでは3月18日にリリースされる乃木坂46の11thシングル『命は美しい』の表題曲、および同曲のMVについて解説しましたが、今回はそのカップリング曲「ごめんね ずっと…」についていろいろ書いてみたいと思います。

センターを通じて急成長した2014年の西野七瀬

 「ごめんね ずっと…」は、「命は美しい」でセンターポジションに立つ西野七瀬によるソロナンバー。彼女にとっては1月発売の1stアルバム『透明な色』に収録された「ひとりよがり」に次ぐ、2曲目のソロ曲となります。乃木坂46で複数のソロ曲を持つのは彼女が初めて(ここでは個人PVにて披露された伊藤万理華の楽曲は省きます)。「ひとりよがり」の延長線上にあるスローバラードで、作曲を山田智和さん、編曲を住谷翔平さんが手がけています。

 以前僕はアルバム『透明な色』の収録内容が解禁された際、新曲についてライナーノーツを書かせていただきました。そこで「ひとりよがり」について思ったこと、感じたことを下記のように記しました。

生駒、生田に続いてソロナンバーを歌うのは、2014年前半をセンターとしてグループを牽引した西野七瀬。 別れを機に前へと歩き出す女心がつづられたバラードを、西野は切なくも優しい歌声で包み込むように彩っている。 恐らく1年前ならここまで堂々とした歌は聴けなかったかもしれない。 そういう意味でも彼女の成長が遺憾なく発揮された、貴重なナンバーと言える。
(引用元:乃木坂46待望のファーストアルバム概要及びジャケット写真が初公開!!...|ニュース|乃木坂46公式サイト)

 「恐らく1年前ならここまで堂々とした歌は聴けなかったかもしれない」というのは「ひとりよがり」を初めて聴いたときにまず感じたことで、昨年1年間を通じて僕自身が感じていた彼女の変化、成長を真っ先に思い浮かべたから。パフォーマンス中は常に堂々としているものの、いざステージを降りるとどこか自信なさげで弱々しいイメージだった彼女が、2014年が進むにつれてどんどん頼もしくなっていき、オフステージで見せる姿に以前の面影は感じるものの、インタビューなどで話す際に飛び出す言葉には強い意志が表出するようになりました。そんな彼女がこういう切ないバラードナンバーを1人で歌えるようになったという事実にも驚かされたし、表現者としてしっかり歌詞の世界に入り込んで歌っていることにもビックリさせられました。

 ですが、まだまだ1人だけになったときには心細さが表に出てしまうことも。これが今の西野七瀬の弱点でもあるわけです。「ごめんね ずっと…」がラジオ初解禁された2月18日深夜放送のニッポン放送『オールナイトニッポン乃木坂46西野七瀬スペシャル』では、番組冒頭の1人語りの最中に泣き出してしまうというハプニングもあり、あわや放送事故かと深夜にドキドキしたのもつい最近の話。頼もしくなったとはいえ、彼女らしい繊細さも失わずに備わっているところに、ちょっとだけホッとしたものです。そういう意味ではこの危うさ、人間臭さも魅力の1つになっているとも言えるわけです。

リアルと虚像が融合したときに生まれるもの

 そして3月8日深夜放送のテレビ東京系『乃木坂って、どこ?』では、この「ごめんね ずっと…」のMVがフルサイズで初オンエア。さらに番組終了後には、YouTube公式チャンネルにて同MVがフル公開されました。すでにご覧になった方も多いと思いますが、最初に観たときは正直「これ、新しい個人PVにすればいいんじゃないの?」と思ってしまったほどで、それくらい彼女の魅力が凝縮された、西野七瀬ファンにはたまらない1本に仕上がっていると言えます。

 このMVを手掛けたのは、映画監督の山戸結希さん。過去には東京女子流が主演を務めた映画『5つ数えれば君の夢』のほか、神聖かまってちゃん「ズッ友」、おとぎ話「COSMOS」といったバンド系のMVを制作しています。画面が2分割されたこのMVでは右画面に「アイドルの西野七瀬」、左画面には「もしも西野七瀬がアイドルになっていなかったら」をテーマにした映像が映し出されます。「アイドルの西野七瀬」ではライブや握手会でのスナップ写真、過去のライブ映像やMV撮影のオフショットなど、アイドルとして成長し輝き続ける西野七瀬の姿を目にすることができ、もう一方の「もしも西野七瀬がアイドルになっていなかったら」では、アイドルの道を選択しなかった西野が以前「将来の夢」として挙げていた看護師として過ごす日常が展開。実際の幼少時代が垣間見られる写真も使用されており、現実と虚像が矢継ぎ早に映し出されていきます。

 MVは「乃木坂46に入ってからは、前の自分とは全然違う。あの頃の西野七瀬はもう終わったんだなと思います。前の西野七瀬はいなくなりました」というアイドル西野の独白からスタート。すると看護師の西野が「昔から目立つのが苦手で。でもこうやって陰ながら人の役に立てることはうれしいです。誰かのために生きてみたくて」とはにかみながらつぶやく。ファンが知るアイドルの西野七瀬と、もしアイドルになっていなかった場合の西野七瀬。どっちがリアルでどちらが虚像なのか。そしてどちらの人生を選ぶのが幸せなのか。もちろん幸せの度合いは人それぞれで、地味な人生を送るほうが幸せと感じる人もいるはずです。このMVに登場する「もしも〜」の世界だけでは比較するのは難しいですし、最終的にどちらが幸せかを選ぶのは彼女自身。だけど、いろんな選択肢がある中で偶然アイドルの道を選び、今こうしてテレビやステージで歌い踊っているという事実は本当に奇跡なんだということを、このMVを観て改めて実感しました。

 そしてエンディングに再び登場する、2人の西野七瀬による独白。残酷なようで、だけどホッとするようなあの言葉からは……それが彼女自身の本心であろうと、台本として作られた言葉であろうと……西野七瀬の強い覚悟が感じられました。「愛とは 相手のこと思いやる強さと あなたと出逢ってから わかった気がするの」という歌詞と相まって、その思いはより強く伝わってきます。

 2015年の西野七瀬がどんな進化を遂げるのか。そしてアイドル……いえ、もっと言えば表現者としてどこまで成長していくのか。このMVを観てより楽しみになってきました。もしかしたら1年後には、今の僕たちが思いもしないような魅力を兼ね備えた女性になっているかもしれませんね。

命は美しい/ごめんね ずっと…(3/18発売11thシングル)
2015年3月18日(水)に発売する11thシングル。C/W曲として収録される西野七瀬ソロ曲「ごめんね ずっと…」も収録。今回は4バージョンがリリース!Type-A〜Cの初回仕様封入特典、全国握手会参加券+生写真は見逃せない!
CD情報

文:西廣智一 WEBを中心に活動する音楽ライター。バンドマン、フリーター、会社員を経て、2005年末に株式会社ナターシャの立ち上げに参加する。翌2006年よりライターとしての活動を開始し、現在さまざまな音楽サイトや雑誌にてインタビューやコラムなどを執筆中。

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