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乃木坂46 公認コラム『のぼり坂』

2015.7.13 更新

映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』解説

乃木坂46初のドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』が、いよいよ7月10日から全国公開。今回のコラムではこの映画の見どころと、公開に先駆け7月3日に都内で行われた乃木坂46運営委員会委員長・今野義雄さん登壇によるトークイベントの模様を紹介します。

「裏側」ではなく「内側」

この映画は、2011年8月に結成された乃木坂46の4年近くにわたる軌跡を、主要メンバーの心の葛藤や成長していく姿と合わせて追っていくというもの。公式ライバルであるAKB48グループと比較すると、これまで舞台裏をあまり公開してこなかった乃木坂46ですが、ここでは初めて明かされる事実とともに、その貴重な映像の数々が紹介されています。中にはメンバー同士が口論する姿、泣き叫ぶ姿など生々しい映像が次々に飛び込んできますが、この映画の場合はむしろそういった場面がメインになっていないのが、これまでの『Documentary of AKB48』シリーズとは異なる点かもしれません。

本作品の興味深い点は、そういった過去の秘蔵映像よりも撮り下ろし映像の比率が高いところ。映画ポスターやフライヤーにも登場するメンバー(生田絵梨花、生駒里奈、白石麻衣、西野七瀬、橋本奈々未)が幼少の頃から乃木坂46のオーディションを受けるまでを、自身の言葉で語っていくのですが、そういったメンバー生の言葉の合間に、そのメンバーの実母の言葉が挿入されていくのです。今だから明かせるメンバーの思いと、それを一番間近で見守ってきた母親の思い。乃木坂46と各メンバーの歴史が異なる2つの視点で語られる本作品は、グループやメンバーの「裏側」に迫るというよりは、あまり表に出してこなかった「内側」が露わになる興味深い作品なのです。

いくつもの「個」が「束」になるとき

メンバーが乃木坂46のオーディションを受けた理由はさまざま。これまでいろいろなインタビューで語られてきたことですが、上に名前を挙げた5人は誰ひとりとしてアイドルを目指してオーディションを受けたわけではないのが、乃木坂46の面白いところであり、映画の中ではその決断に至るまでの流れが本音で語られています。ほとんどのメンバーは「今の自分を変えたい」からと受けたオーディションだったのですが、加入後にはまた別の困難が待ち受けている。彼女たちはそれをどう乗り越えていったのか。あるいはまだ乗り越えていないのか。そこについては、ぜひ実際に映画を観て判断してほしいと思います。

ここからは極論になりますが……AKB48の公式ライバルという命題を与えられた乃木坂46には、AKB48初の姉妹グループとして誕生したSKE48となんとなく似たものがあるのかもしれません。「打倒AKB48」を掲げ切磋琢磨して士気を高めていったSKE48と、「打倒AKB48」を宿命付けられながらも緩やかに浮上していった乃木坂46。そういう視点で先に公開済みの映画『アイドルの涙 Documentary of SKE48』とこの『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』を比較すると、その違いに改めて驚かされます。グループとしての一体感を目標に個を磨くSKE48と、公式ライバルという高い壁の前にまず自分自身の内側にそびえ立つ高い壁を越えなくてはならない乃木坂46。もちろん、どちらが正しくてどちらが正しくないという問題ではありません。メンバーも違うしスタートした時期も違う。結成のきっかけは似たようなものかもしれないけど、それ以外はすべて異なる。だからこそ、他の『Documentary of〜』シリーズを観てから『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』を観ると、乃木坂46の特異性(=個性)がより強く感じられるのです。

ここで描かれているのは、「束」ではなく「個」。その「個」が集合して「束」になるのですが、内側をさらけ出すことで数々の「個」は少しずつ距離を縮め、最終的に大きな「束」へと進化していく。時には距離が離れたりバラバラになることもあるかもしれませんが、再び「束」に戻ったときには前よりもさらに大きな「束」になる。乃木坂46とはそういうものなのだ……そんなことを、この映画を見終えたときに考えたりもしました。

もっと具体的に「このシーンを観てほしい!」「あんな場面にグッときた」「あのメンバーのこの言葉に胸が熱くなった」と見どころを挙げることもできますが、そんなネタバレは無粋。とにかく1人でも多くの人に劇場に足を運んでもらい、彼女たちはどうやって生まれ変わったのか、そしてそれぞれが抱える「悲しみ」をいかにして「忘れて」いったのかを、その目で確かめてほしいと思います。

スタッフが明かす映画の楽しみ方

劇場公開の1週間前となる7月3日、都内にて有名大学の乃木坂46同好会メンバーと乃木坂46運営委員会委員長・今野義雄さんによるトークイベントが行われました。このトークショーは同好会メンバーが映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』を観てから、その感想や疑問を今野さんにぶつけるというもの。さらにゲストMCとして、乃木坂46も何度か登場しているデザイン&グラフィック総合情報誌『月刊MdN』の編集長・本信光理さんも登壇し、約1時間にわたり乃木坂46についてトークを繰り広げました。

今野さんは乃木坂46における自身の役割を説明した後に、この映画について「皆さんがどう観ていただけたかが一番気になるんですが、(作品を)送り出す側としては本当に素晴らしいものを丸山(健志)監督に作っていただいたなと思っているので、僕自身も素晴らしい映画になったんじゃないかと、手前味噌ながら思っています」とコメント。続いて学生側からも映画を観た感想や印象に残ったシーン、印象的な言葉が次々に語られていき、今野さんはその解釈の1つひとつに対して興味深そうに耳を傾けました。そして「乃木坂46は、彼女たちと同じ世代の人たちから支持されたいとずっと思っていた。だから今日は僕にとっては、とってもうれしい日。こういうイベントができるというのは、本当に同世代の人たちが乃木坂46を好きでいてくれて。彼女たちの苦悩も同世代としてわかることもたくさんあると思う。彼女たちは一歩早く社会に出ていて、いろんな壁にぶつかってがんばっているけど、皆さんももうじき社会に出て荒波に揉まれていくと思いますが、彼女たちを知ってるからこそ『あのときのあれは、こういうことだったのか』と共感してもらえるのでは。そして乃木坂46が好きだったから乗り越えられたってことも、必ず来ると信じている」と、学生たちに向けて自身の思いを伝えました。

また「今野さんから見た乃木坂46メンバーの印象」を質問されると、ポスターに掲載されている5人について独自の視点で解説。生駒は「生田が天才だとするならば、生駒は規格外の怪物。踊っているときの姿の、作品感がものすごい」、西野は「単純にルックスや持ってる世界観がカワイイ。星野みなみが持っているカワイイの才能とは別の種類の天才」、橋本は「どれが本当の橋本なんだと言えるくらいにいろんなものを持っている子。一般的にはクールビューティで冷静沈着という印象だけど、一方で子供っぽかったりと多面性がある」、白石は「初期の頃は器用貧乏なのかと決めつけていたら、実はメンバーの中で確変した回数が一番多かった」、生田は「本当の意味での天才。どこが欠けているという箇所がない。面白さというところでもずば抜けた才能を発揮する」と、聞いている人たちも納得してしまうような説明が続きました。

さらにイベント終盤には、映画にも登場する松村沙友理のあるシーンについても言及。今野さんは同シーンで坊主頭だったことに自ら触れつつ、「実は当時ガンの手術をした後で、抗がん剤治療の影響で髪が抜けた。今は完治しているので大丈夫」という衝撃的な事実を明かして学生たちを驚かせました。そして「あのシーンでは僕はファンの人たちに謝っていたのではなくて、ファン1人ひとりにお礼を言っていたんです」「若い頃は自身の生き様を見せてくれるロックアーティストが好きで、この音楽の世界に入ってきたんですが、当時はアイドルというのはそういう生き様を見せるものではなかった。でも今の時代、その生き様を見せるパワーを持っているのがアイドルのほう。そして、そういうアイドルを支えるファンの人たちの力って、本当に大きいんです」と、当時の心境を伝えました。

今野さんは最後に「僕はすごく恥ずかしがり屋なんで、4年間でこういうこと(=トークイベント)をやったのは初めて。この映画には4年間の活動の1つの区切りという意味もある。そして乃木坂46と同世代の皆さんにいろんな思いでこの映画を伝えてほしい」と話して、1時間にわたるトークイベントは終了しました。イベントでも語られましたが、劇場で販売される映画パンフレットには今野さんのインタビューも掲載されているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。

7月10日(金)公開
『悲しみの忘れ方 Documentary of乃木坂46』

企画:秋元康
出演:乃木坂46
上映時間:未定

公式サイトURL:http://www.2015-nogizaka46.jp
Twitter:https://twitter.com/NGZ46_movie2015
facebook:https://www.facebook.com/nogizaka46movie

©2015「DOCUMENTARY of 乃木坂46」製作委員会

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文:西廣智一 WEBを中心に活動する音楽ライター。バンドマン、フリーター、会社員を経て、2005年末に株式会社ナターシャの立ち上げに参加する。翌2006年よりライターとしての活動を開始し、現在さまざまな音楽サイトや雑誌にてインタビューやコラムなどを執筆中。

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