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乃木坂46 公認コラム『のぼり坂』

2016.10.25 更新

桜井玲香&若月佑美W主演 舞台『嫌われ松子の一生』レポート

乃木坂46の桜井玲香&若月佑美がダブル主演を務める舞台『嫌われ松子の一生』が、9月29日から10月10日にかけて東京・品川プリンスホテル Club eXにて上演されました。

『嫌われ松子の一生』は2003年に幻冬舎より刊行された山田宗樹さんの小説が原作で、2006年には映画化&ドラマ化、2010年には青山円形劇場で初めて舞台で上演され、それぞれ大反響を呼びました。

今回桜井と若月は主人公の川尻松子役を演じ、2010年版と同じく脚本・演出を葛木英さんが担当。共演にはオレノグラフィティさん(劇団鹿殺し)、吉川純広さん、岡田達也さん(現劇集団キャラメルボックス)、なだぎ武さん、堀越涼さん(花組芝居)、藤田秀世さん(ナイロン100℃)という錚々たる面々が出演。桜井版は「赤い熱情篇」、若月版は「黒い孤独篇」と題し、同じ脚本を異なる演出で上演するという興味深い内容となりました。

今回の舞台に向けて、桜井と若月は下記のようなコメントを寄せていました。

桜井玲香 コメント

桜井玲香 コメント

決まった時は自分が松子の様な女性を演じるという想像がつきませんでしたが、全く違う自分に出会えることが今からとても楽しみです。 演じる年齢幅も広いので、上手く再現出来るよう試行錯誤していければと思っています。

若月佑美 コメント

若月佑美 コメント

この度川尻松子役を演じさせて頂く事になりました。 松子の壮絶な人生を表現することは簡単では無いし、正直、不安や恐さは凄いです。 幸せの感じ方は人それぞれで周りから見た松子の人生と松子自身の見ていた松子の人生は違うものかもしれない。松子の感情を大事にして演じられればなぁと思います。口であれこれ言うのは簡単ですが それを舞台上できっちり表現出来るように精一杯頑張りたいと思います!!是非 観に来て頂きたいです!!よろしくお願いします。

舞台では過酷な運命に翻弄されながらも愛に生き壮絶な人生を送る川尻松子の生涯を、桜井と若月が全身全霊で演じていきます。原作の中から主に松子の恋愛関係に焦点を当てたストーリー展開となっており、主演の2人以外の共演者はすべて男性という特殊な環境。時には普段の2人からは想像もできないようなセリフや行動が飛び出し、観る者をを驚かせます。しかし主演の2人は舞台の上で完璧に“それぞれの松子”になりきり、見事に松子の生涯を演じきりました。

また桜井と若月はそれぞれ同じ役柄、同じ脚本・セリフで松子役を演じるのですが、おのおのが考える松子を体当たりで演じ、同じ役なのにまったく違って見えてくるから不思議です。桜井は昨年の舞台『すべての犬は天国へ行く』『リボンの騎士』を経てひと皮剥けた印象があり、今春上演された『じょしらく弐?時かけそば?』でも先の2作品とは正反対のコメディ作品を見事に演じきり、舞台に対する度胸や自信がさらに付いたのではと確信していました。しかし、今年の乃木坂46の全国ツアーを体調不良で欠席したこともあり、その点における不安も正直感じていたのですが、実際にステージに立った桜井からは「どこからどう見ても女優」としか思えないほどのオーラが漂っていました。時にヒステリック、時にセクシー、そして時に絶望的なほどに悲しさを感じさせる彼女の演技からは、過去数作の舞台以上の存在感を発しており、だからこそ観る者に感情移入を誘ったのではないでしょうか。ストーリーのヘヴィさと相まって、見終わったときに感じた何とも言えない複雑な感情は、彼女の熱演によるものも大きかったと考えています。

一方の若月は、乃木坂46のメンバー内でもっとも舞台経験の多いメンバー。初めてソロで主演を務めた舞台『2LDK』(2013年10月上演)からちょうど3年経ったタイミングでの今回の松子役ということもあり、彼女がこの3年間、いや、乃木坂46に加入してからの5年間で学んだことのすべてがこの舞台にぶつけられた。そんな印象を彼女の舞台から感じ取りました。若月版松子は「黒い孤独篇」のサブタイトルにも集約されているように常に影を感じさせ、情熱的で感情の起伏が激しい桜井版松子よりもヒリヒリした演技でした。例えば、桜井版松子は幸せの絶頂では本当に幸せそうな表情を浮かべるのに、若月版松子は幸せの絶頂でも「これはずっと続かないのではないか?」という不安が常につきまとうような。こういった演技ができるのも、改めて彼女がこの数年で培った経験の賜物だと考えています。

もちろん桜井、若月という演者のキャラクターの違いもあるとは思います。しかし、同じ役でもここまで演者によって変わるものかと、2つの舞台を観て改めて驚かされたのも事実。すでに上演は終わっていますが、この舞台はできることなら「赤い熱情篇」「黒い孤独篇」双方を観て、各主演女優の個性の違いを味わってほしい作品だと思いました。

乃木坂46桜井玲香&若月佑美がダブル主演『嫌われ松子の一生』

また、同じ脚本でも主演女優のほか、演出の違いによっても作風の違いがアピールされていたのも今作の興味深いところ。「赤い熱情篇」では映像を積極的に導入したことで、場面転換にメリハリが付けられていましたが、一方の「黒い孤独篇」ではそういった演出は極力避けられ、舞台天井から降ろされた「昭和○○年、○○(舞台の地名)、○○才(当時の松子の年齢)」という垂れ幕を場面転換ごとに外していくなど、非常にアナクロな手法が取り入れられました。こういった違いを比較して楽しむのもこの舞台の特色なのではと、2作見終えた今は感じています。

乃木坂46桜井玲香&若月佑美がダブル主演『嫌われ松子の一生』場面

そして乃木坂46ファンにとって欠かせないのが、なだぎ武さんの存在でしょう。彼は舞台中で2場面、桜井&若月とのカラミでファンならクスッとしてしまうネタを提供してくれます。緊張感のある内容だけに、これらの場面になると主演の2人もちょっとだけ素に戻り、リラックスした表情を浮かべていたのが印象的でした。

10日に千秋楽を迎えた舞台『嫌われ松子の一生』。この作品は桜井、若月にとって昨年の『すべての犬は天国へ行く』以上に大きなターニングポイントになったのではないでしょうか。全力で松子を演じきった今、2人が何を思うのか、そしてどこへ向かっていくのか。今後も2人の活躍から目が離せそうにありません。

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文:西廣智一 WEBを中心に活動する音楽ライター。バンドマン、フリーター、会社員を経て、2005年末に株式会社ナターシャの立ち上げに参加する。翌2006年よりライターとしての活動を開始し、現在さまざまな音楽サイトや雑誌にてインタビューやコラムなどを執筆中。

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