SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2013.10.15更新

木村拓哉、未踏の荒野へ――『安堂ロイド』初回、徹底レビュー

「愛してる」は、どう聞こえた?
 冒頭7分でノックアウトされた。
 まず、ぼくが思うのは、信じてるひとは強い、っていうことだ。誰が、だって? 全部だよ。全員だよ。信じてるひとだけじゃない、信じてる生きものは、信じてるモノは、信じてるタマシイは、信じてるセカイは、みんな、すべて、強い。っていうか、何かを信じるっていうことは、強くなくちゃできないことなんだ。
 信じるっていうのは、何かにすがることなんかじゃない。神頼みとかじゃない。自分以外のだれかをアテにするとかじゃない。信じるっていうのは、おそろしいほど孤独な行為で、そして、孤立をおそれない勇気がなければ、成し遂げられないことなんだ。そう、世界中を敵にまわしても、たったひとりでも、それを継続する意思、持続する意志がなければ、信じるなんて、できはしない。信じるって、途方もない行為なんだよ。いや、マジで。
 「あ……愛してる」っていう、発語ひとつで彼はそれを感じさせるわけ。あの声はさ、「アイしてる」とも聞こえる。発声が、断定的じゃないんだ。イントネーションによって、意味をデフォルメするんじゃなくて、言霊を増幅させるっていうのかな。幾つもの真実を偏在させる、そのために透明なヴァイブレーションが送りこまれている。おそれることなんてない、正解なんて探すなよ、答えはたったひとつじゃない、キミが信じるだけ存在するんだぜ、というフラットを超えたフラットさ、メッセージを超えたメッセージ性が感じられる。つまり、多義的ってこと。ひらかれた、ことば。というより、ことばがひらいてる。開脚してる。ぴょんぴょんハネてる、跳躍することば。
 え? ぼく? ぼくには「I(アイ),してる」って聞こえた。つまり、「I,do」、「ボクはやるよ」ってね。

「殺されるからさ」は、どう聞こえた?
 だけど、「愛してる」ということばは、単独でひらいているわけじゃない。花が花として生まれてくるわけじゃないようにね。種が芽吹いて、蕾になって、土があって、雨があって、光があって、風があって、そうして、花はひらく。「愛してる」が、いろんな「アイシテル」に聞こえるのは、たとえば、その前に彼が言った「これから殺されるからさ」ということばの発語によるものでもあるんじゃないかな。彼は「コロされるからさ」と言ってるんだよね。愛するひとを緊張させないように、あえてカジュアルに、けれども冗談ではないよ、だけど心配しなくていい、深刻になりすぎないで、さらには、これからボクが死んでも泣いちゃダメだよ、大丈夫だからね、というニュアンスまで含んだ、ライトな「コロされるからさ」がそこで響いていたからだと思うんだ。もちろん、あのことばをどんなふうに捉えてもいいはずさ。もっと言えば、ぼくには「コロ、されるからさ」と聞こえた。コロ、って犬の名前みたいだと思ったし、単純に「転がる」の「コロ」だとも思った。そうさ、あのとき、ことばは転がっていた。ことばは宙に浮いているだけじゃない。地べたを這って、コロコロ転がってってもいいっていうか。可能性としてアリの発声、だったと思うんだ。
 ここでぼくが思い出したのは、「夜空ノムコウ」のこと。「僕の心のやらかい場所を」というフレーズがあるよね。あの曲は「やわらかい」を「やらかい」と歌ってる。あの曲を作詞したのはスガシカオで、作曲したのは川村結花だ。楽曲提供したこのふたりともセルフカバーしてるし、やっぱり「やらかい」と歌ってるんだけど、SMAPが歌った「やらかい」ほどの多義的なニュアンスには至っていないと、ぼくは感じた。感じ方はひとそれぞれだけどね。
 とりあえずSMAPが歌った「やらかい」は、「やわらかい」の単なる変形じゃあなかった。大げさに聞こえるかもしれないけど、それは日本語を超えること、あるいは、ことばを意味から解き放ち、音そのものに還元する行為だった。

このドラマは、何を信じてる?
 このドラマのすごいところはいくらでもあるのだけど、個人的にいちばんすごいと思ったのは、初回のなかで(ひとりめの)主人公がヒロインと現実には逢っていないということ。ふたりは電話で会話はするけど、顔と顔はあわせていないんだ。ふたりのツーショットがビジュアルとしてかたちになっているのは、(おそらく)ヒロインにとっての回想のなかでだけ。ぼくをノックアウトした場面も、(ひとりめの)主人公の姿は画面になかった。
 その直後、ヒロインが(ひとりめの)主人公の偽者の声を見破ったとき、ぼくは思わず泣きそうになった。
 なぜって? それは、声というものが信じられていたからさ。
 ヒロインは(ひとりめの)主人公の声を信じている。ただ記憶していたんじゃない。自分が耳にしてきた彼の声を信じてきたから否定できるんだ。ほんとうの声を信じているから。
 柴咲コウが、木村拓哉の声を信じていることに感動する。ドラマの作り手が、木村拓哉の声を信じてることに感動する。この作品が、木村拓哉の声を信じていることに感動する。
 そうでなければ、こんな作り方はしないはずだ。
 そして、信じられている木村拓哉もまた、間違いなく何かを信じていることが、わずか7分間で感じとれる。
 信じる力。それがなければ(ふたりめの)主人公は機動しない。信じる力を有する者だけが、このドラマを動かす。言うまでもないけど、キミやぼくも、そのひとりだ。
 声はひとつのはじまりにすぎない。信じる力だけが、(ふたりの)木村拓哉を動かしていく。ぼくはいま、それを興奮しながら、信じてる。

文:相田冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
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木村拓哉が天才物理学者とアンドロイドの2役で、時空を超えた愛に挑む!毎週日曜21時放送。

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