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TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2015.12.15更新

ノベライザーが語る『スペシャリスト4』と草剛。


不自然を、自然に演じること
──『スペシャリスト』をノベライズ(小説化)したそうですね。
「はい。以前、草剛さん主演の映画『任侠ヘルパー』をノベライズさせていただいた縁のある角川文庫さんからお声がけいただきまして。『4』のタイミングで、スペシャルドラマすべてをやりましょう、ということになりました。『1』と『2』を収録した上巻は現在発売中です。『3』と『4』の下巻は12月25日に出ます」

──『4』はいつご覧になったんですか。
「たしか『3』を脱稿した、ちょっと後だったと思います。そもそも『1』は、『4』の脚本が出来上がる前に書き始めているんですよ。なので『4』がどうなるか、わからないまま書いているんです。ただ、ノベライズの『1』の冒頭に、ある人物と主人公、宅間善人の対峙を、ほとんど無意識に置いたんですね。これはドラマとは違う構成なんですが、それが結果的には功を奏しました。『4』は、その人物と宅間の関係性が裏テーマになっていますからね。たまたまですが、円を描くようにうまくいきました。ドラマのノベライズは、映画のノベライズとは違って、最終的に作品がどこに辿り着くかわからないまま執筆するというのが醍醐味のひとつ。そういう意味では、視聴者のみなさんと同じような感覚で書けるのが、ドラマのノベライズとも言えます。今回は観ることができましたが、映像をまったく観ないで、脚本だけに向き合って書く場合もあります。香取慎吾さん主演の連続ドラマ『MONSTERS』はまさにそうでした。撮影スケジュールと、出版スケジュールの関係で、ドラマの場合はそうなることが多いですね」

──『4』をどのように捉えましたか。
「実は、変則的な順番で観ているんですよ。『3』は初放映時に観ていましたが、『1』や『2』は観ていませんでした。今回、ノベライズのお話をいただいてから、『1』も『2』も観たんです。正確に言えば、脚本を読んでからですね。『3』の、草剛さんの印象を念頭に置いて、『1』『2』の脚本を読み、執筆を始めました。映画でもそうなんですが、脚本と、実際の作品は部分的に違うところもあるので、その確認用に『1』『2』のドラマを観た、という感じです。『4』もそう。『4』の脚本を読んで、あらかた執筆を終えたところで、最終確認の意味でドラマを観たんです。なので、脚本の印象をまず言うと、自分のなかでは『3』で一回、このシリーズが終わってる印象があったので、最初はちょっと意外な感じがしましたね。ただ、書き進めていくうちに、そうか、このシリーズは、さきほど申しました、ある人物と宅間の関わり合いの物語だったことを体感したんです。あくまでも偶然でしたが、『1』の書き出しをああいうふうにしておいて良かったなと思いましたね。ノベライズの『4』の最終章は少々アクロバティックな設定にしましたが、『1』の冒頭が冒頭なので、これは成立する、と思いました」

──草さんのお芝居はノベライズにどのように影響していますか。
「わたしが書くノベライズはほとんどモノローグで構成されています。『スペシャリスト』は基本的に、宅間善人と、南果歩さん演じる姉小路千波、それぞれの目線が交錯するかたちです。いつもは、ある人物の内面的ギャップをキーに執筆するんですよ。他人から見えるそのひとと、そのひと自身にとってのそのひとって、普通、齟齬があると思うんです。映像というのは基本的に客観なので、ある意味、他人が見ているそのひと、なんですよ。だから、ノベライズを書く上では、そうじゃないギャップみたいなこと、逆に言えば、映像からは感じられないような内面を軸にする場合がほとんどなんですけど、草さんの演技はとても説得力があるので、そういうことをする必要がないというか。『3』を観て感じた宅間のキャラクターを、そのままモノローグにも落とし込みました。ここまで、演技に寄り添って書いたことはないかもしれませんね。『任侠ヘルパー』のときも、ノベライズではあえて主人公の弱さ、細さが感じられる内面を描きましたから」

──それは具体的に言えばどういうことなんでしょうか。
「宅間は結構不思議な人物で、本来は内面を描写するには不向きなキャラクターです。千波目線だけで追っていったほうが面白いし、ふくらむ可能性もある。ただ、草さんはこの不思議な人物を、変わり者とか、変人ということではなく、このひとはこのひとなりに普通に、当たり前に生きている、ということを、非常に自然に体現しているんですね。言ってみれば、不自然なキャラクターを自然に演じている。わたしとしては、そのナチュラルさに呼応しながら綴っていきました」

──どういうところが不思議なんでしょう。
「宅間は冤罪で捕まった人間でしょう? かなりの時間を、無実の罪で失っています。にもかかわらず、悠然と、刑務所で得た糧を有効に用いて、失われた時を活かすような推理をおこなっている。普通なら、どんな出来事にも揺らがない、そんなキャラクターになると思うし、一見、そんなふうにも見えるのですが、実はそうじゃないんですね。案外、感情の起伏が激しい。ときどき、頭を掻きむしったりしています。彼の体内では、青い炎が燃えつづけていて、その炎は案外、ちいさな風でも、おおきく揺れる、というのかな。草さんは、宅間という人物を一面的には演じていないし、だれと対するかによって、実は様子が違うということを、さり気なく、的確に表現しています。わたしがノベライズを書く上で、なんとなく大切にしているのは、人間の多面性ということなんですが、草さんの演技は、執筆する上で、非常に自由度が高かったと思います。違和感が生じない、というのかな」

──それが、俳優、草剛の持ち味なんでしょうか。
「うーん、どうなんでしょう。もちろん、草さんはどんな役も違和感なく演じる方だとは思いますが、宅間善人は、ちょっと特殊な兼ね合いで成り立っているような気がします。硬軟のバランスという意味で」

──ドラマ自体、コミカルなタッチですが、描かれていること、特に宅間の境遇はめっちゃシリアスですよね。
「宅間自身は別にコミカルなキャラクターではありませんからね。悠然としているだけで。マイペースということばは安易に使われすぎだと日頃からよく感じるのですが、宅間もマイペースかもしれませんが、千波だってマイペース。ひとは誰だってマイペースなわけで、宅間のマイペースさは、厳密に言えば、特別なものではありません。ただ、もし、彼が特殊だとすれば、彼が決まり文句のように何度も口にするように、刑務所にいた、という経験の捉え方、正確に言えば、彼のなかでの残り方なんじゃないでしょうか」

──残る?
「彼は推理の途中に、受刑者のエピソードをよく話しますよね。あれは、彼の類稀なる記憶力の発露、というふうにも見えるけど、彼の体内には、単に記憶というだけではなく、刑務所という空間や時間が、いまも生き続けているというのかな、そういう複雑な、特殊な人間性を、草さんは表現していると思うんですよね。残っている、というより、残り続けていて、消えないものを、談話にしている」

──特殊、ですか。
「わたしは、タイトルの『スペシャリスト』を、特殊なひと、と解釈しているんです。そして、草さんは、特殊なひとを、普通に演じることができるから非凡なのだと思います。ですから、わたしも、ノベライズを書く上では、あくまでも普通に綴りながら、あるとき、ふと、あ、普通じゃない、このひとのからだのなかには、刑務所という空間がある、獄中という時間がある、それは普通のことではないんだ、ひょっとしたら、このひとは精神的には、まだ出所してないんじゃないか、と気づかされることが多々ありました。そして、それは、悲劇とか、苦悩とか、狂気とか、一言では言いきれないような、複雑で、やっぱり特殊なことだと思うんです。特殊な能力、という意味ではなくてね」

──連続ドラマはどうなっていくと思いますか。
「脚本を読んではいないので、内容については何も言えませんが、宅間自身の特殊性は、千波はもちろん、宅間自身も認識はできていないと思うんです。あと、たとえあらゆる事件の謎が解明されても、宅間善人の特殊性は特殊であり続けると思います。もちろん、彼自身は、普通に傷つくひとりの人間なわけですが、そのことと、彼が抱える特殊性はまったく別のことで。まあ、性格とかもそうですが、特殊性というものはコントロールできないものなんですよ。だから、連ドラの最後、その特殊性を、わたしたちはどのように認識することができるか、そこが最大の楽しみですね」



相田冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
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