SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2013.10.22更新

『独身貴族』の星野守=草剛の非凡さについてお話ししましょう

星野守は丸腰である
  星野守というひとは丸腰なんだな。
 草剛というひともそうなんだろうか。よくわからない。だけどこのドラマを2話観たかぎりではそんなふうに思える。
 ひとはだいたい建前で生きている。建前っていうのはあれだ理想の自分みたいなものだ。できればこうありたいみたいな。もちろん社会生活を送る上で常に理想の自分を演じきるなんてとっても大変だからさ。人間生きてればその理想をどんどん下げていっちゃうんだけどね。特に何度も会ってるひととかだとまあだいたいわかってるよねワタシのことみたいな感じでゆるくなっていく。ゆるい理想。それが簡単に言えば建前。ソトヅラって言い換えてもいいけどさ。
 だけど初対面のひとと話すとき。それも異性。しかも好意とか持てそうな予感のある異性と初めて話すときのことを思い出してほしい。あるよね建前。いるよね理想の自分。そこに。
 同性っていうのはさ。たとえ初対面でも。まあだいたいわかってるよねワタシのこと系に属させちゃってるのよ。かなり下のほうだけど。同じ生きものだからわかるよね的な感じで。まあそういう油断がある時点でゆるいわけ。
 建前ってさ仮面みたいな言われ方するけどそんなことはないよね。よくさ裏切られた騙されたそんなひとだと思わなかったみたいな話があるけどさ。それはそのひとが初対面で相手が打ち出してきた理想の自分の見積もりをまんまキープしたままその後お付き合いしてただけのことなんじゃないかな。見積もりっていうのは一定じゃないよ。変動制だよ。建前は変容しているよ。最初のインパクトが強いとわからなくなるかもしれないけど。理想の自分はいつだって下降線を辿っている。たとえ相手にバレてもバレなくてもね。そんでもって誰かに出逢うたびに理想の自分を新たにセットしているってわけ。

星野守には建前がない
 ただ勘違いしてほしくないのはさ。理想って嘘ではないっていうこと。偽りの自分ではないのよ。よく誤解されちゃうんだけどね。理想っていうのは「あるかもしれない」自分であって。可能性があるから理想なんだよね。ゼロから1は生まれないの。1があるから10になる。っていうか2とか3を7とか8とか場合によっては9に見せたりするのが建前であって。3を8に見せる努力。健気だと思わない? 誰だって最初はそんなふうに一途なのよ。
 星野守っていうひとが面白いのはどうもその理想が見当たらないっていうことなんだよね。いやもちろん彼が本音だけで生きてるとは思わない。だけど建前を弄する必要がないというか建前を構築したことがこのひとはないんじゃないか。そんなふうに感じる。
 それって彼の地位とか財力には全然関係がなくて。あくまでもパーソナリティの問題だよ。もし彼が無職で貯金ゼロだったとしてもああなんじゃないかなと思うんだよね。
 うまく言えないけど目指すべき自分がいないっていうのかな。ネガティヴに聞こえるかもしれないけどこれって思いっきりポジティヴな話だよ。なにも目指してないっていうのは「もうそうなっている」ということだからね。満たされてるというのとはたぶん違うんだろうけど。自分というものに不満を抱いていないというのかな。無理矢理見合いさせられる状況には不平はあるにしろ自分自身に対しては飢えというものが感じられない。それが星野守というひとの普通じゃないところなんだと思う。

星野守は添加物ゼロである
 星野守にくらべれば星野進というひとはとても普通に思える。だって彼には建前がある。仕事上もプライベートでも彼は初対面の異性に対して「まだ手つかずの自分」みたいな理想を繰り出す本能的な才覚があってどことなく親近感をおぼえる。春野ゆき(これって映画にもなった三島由紀夫「春の雪」からきてるんだろうか)に見せる優しさはまさにそういうものだ。彼のようにスマートにできるかどうかはわからないにしても異性と出逢うっていうことは「新しい自分」や「理想の自分」を見つけだすことと同義だから星野進の振る舞いはとても共感できる。
 だけど星野守が「女は象です」とバーで口にするときそれはポーズではなくて。もちろん彼は春野ゆきに対する己の好意に気づいてはいないのだけれど(ひょっとしたら気づいているのかもしれないけど)そんなこととは関係なく何も演じてはいない。それでいてこのドラマの聡明さは星野守をいわゆるツンデレに設定していないところで。だって彼はわざとあんなことを言っているわけではないから。ほんとにそう思ってることを言ってるだけだから。建前じゃない。「女に興味はない」というポーズではない。生(き)のままで混じってるものがなんにもない。添加物ゼロの草剛の芝居がそれを確信させる。
 春野ゆきにとって星野守は圧倒的な「他者」だと思う。そしてこのドラマはたぶん春野ゆきの目線で観ていくドラマなんだと思う。なぜなら星野守は絶対に「僕のこと理解してよ」的な言動は起こさないだろうから。星野守は何もカモフラージュしないでそこに立っている。それは春野ゆきにとっては理解しがたい「他者」に映る。だけどそれこそが肝なんじゃないだろうか。
 星野進も春野ゆきも当たり前の建前やら理想やらを抱えて生きている普通の人間である。そんな世界のなかで星野守だけが武士のように生きている。「いまの自分がすべて」と言わんばかりに。
 しかし恋愛とは「他者」に出逢うことである。そして自分もその「他者」も変わるかもしれない。その可能性こそが恋愛なんじゃないのかな。
 丸腰の恋愛がこれから始まる。たぶん。



文:相田冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
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独身貴族
『独身貴族』

主演の草剛が結婚を必要としない独身貴族を演じる。共演は伊藤英明、北川景子。

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