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SMAPコラム「Map of SMAP」

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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス【Blu-ray】
ミュージックビデオを大幅に追加収録。
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 世界に一つだけの花
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Clip! Smap! コンプリートシングルス
収録曲:シングル55作品の両A面曲を含む全63曲の映像を収録予定
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 世界に一つだけの花
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世界に一つだけの花
TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2016.1.26更新

「ジタバタしてんじゃねぇよ」──『HERO』特典ディスクを観て。


同一線上のアリア

 昨年公開された映画『HERO』がソフト化されました。わたしもBlu-rayスペシャル・エディション2枚組豪華デジパック仕様を入手、早速、特典ディスクを堪能いたしました。
 まず、イベント映像集について。3つ印象に残ったことばがあります。名古屋の舞台挨拶で、鈴木雅之監督が口にした「そこはプライベートですから」ということば。大阪の舞台挨拶で、木村拓哉さんが言った「解決は、みなさんが待ってくれる気持ち次第」ということば。そして、東京の舞台挨拶で、城西支部メンバーたちに「ドS」の烙印を押された木村さんが、自らそのことを実証するエピソードとして披露した、北川景子さんとふたりきりになったときに語ったという「ジタバタしてんじゃねぇよ」ということば。この3つのことばを、わたしたちはいま一度噛みしめるべきかもしれません。
 さて。わたしはこの映画のオフィシャルライターとして、撮影現場を14回見学しています。ですから、この特典ディスクに収録されたメイキング「撮影現場のHEROたち」の大部分に立ち会っています。キャストのインタビューは、わたしがしたものもあります。どうでもいいことですが、映像には一瞬、わたしも映り込んだりしています(笑)。
 この映画の現場レポは、多くの雑誌やサイトに書かせていただきました。ある意味、自分が書けることはすべて書いたような気がしていましたが、こうして映像にまとまったものを目の当たりにすると、やはり、映像でしか伝えられないものがあるのだなあと、当たり前のことを思ったりしています。
 いちばん、よかったなあ、と思うことは、クランクアップしたときの木村さんのことばが映像として残されていることですね。もちろん、わたしもあの現場にいましたし、この木村さんの感動的なことばは、原稿にもしています。ただ、こうして、映像で観ると、木村拓哉というひとの、ものづくりに携わるひとびとへの敬意をあらためて違ったかたちで感じるし、この映像のなかでも、敬意をもってカメラの前に立っている、そのことこそが、演じ手である木村拓哉を木村拓哉たらしめている真実が体感できます。新人の美術スタッフの女の子の涙に、木村さんは多くのひとたちの想いを見出しています。いつも思うことですが、このひとは、ほんとうに現場を愛しているし、現場から生み出されるものを信じている。以前、木村さんに、演技表現について、料理の比喩を用いて質問したことがありますが、彼は、自分は、冷蔵庫にあるありあわせの食材でちゃちゃっと作るのは苦手で、食材も器具も環境もきちんと準備して臨むタイプだ、というようなことをおっしゃっていましたが、だからこそ、スタッフに敬意を抱いているのだと思います。スタッフがいるからこそ、木村さんは準備ができるのでしょう。
 このことは、佐藤浩市さんとぶつかりあうシーンのオフショットで、木村さんも佐藤さんもご存知のベテラン美術スタッフの仕事を見つめる姿にもよくあらわれています。また、スタッフと、どのような距離感で、どのような関係性を結んでいるかも、あの映像からは読み取れると思います。
 おでん屋台に、トラックが突っ込んでくる場面がありますね。あそこで、木村さんは鈴木監督とディスカッションしています。トラックが近づいていることを認識してから、立ち上がるまでのシークエンスについて。久利生の感覚とリアクションの推移を、ある意味、人間工学的な反射の発露として、噛み砕き、共有しようとしています。映像にすれば、一瞬のことです。しかし、人間の感覚がいかに推移するか、そして、それは、いかに本能的な反応なのか、ということを、感情におもねることなく、追求しています。
 木村拓哉という俳優は、どんな役を演じるときも、「それは人間である」ということを念頭に置いているのではないでしょうか。人間として、どう反応すれば、自然なのか。それを、気持ち、ではなく、目に見えるかたち、で示そうとします。リアルに演じる、というよりは、リアリティを作り出す。抽象ではなく、具体を積み上げることに手を抜かない。「なんとなく」のムードではなく、「人間ってこうだよね」のニュアンスを一粒一粒くまなく醸成している。その様に直面しているからこそ、共演者たちは「木村さんはドSだ」と声を揃えるのでしょう。木村さんはNGを出さないことで有名ですが(わたしは『HERO』の現場で一度も彼のNGに遭遇しませんでした)、そんなことは彼にとっては当然のことで、それよりも、丹念に地道に、リアリティを作り出しているから、キャストも緊張するのだと思います。「ドS」の人は、こっちの気を抜かせませんからね。このことは、木村さんにインタビューするたびに、わたしが感じることでもあります。しかし、その緊張はのちに、確実に充実感を与えてくれるのです。
 ネウストリア公国大使館のインターフォン前で展開するドタバタ劇がありますね。このシーンでのメイキングでも、鈴木監督がいかにキャストに芝居を託し、またキャストが芝居を返すか、というチーム『HERO』の臨機応変なリレーションシップの一端を覗くことができますが、あそこで、松たか子さんが、木村さん、いや、久利生さんのフードを引っ張るくだりがあります。わたしは現場にいて、あの瞬間、すごく感嘆したんです。あれは、松さんの瞬発力によって生み出されました。おそらく、雨宮舞子なら、久利生に対してこうするだろう、と瞬時に判断したからだと思います。で、木村さんも、それに応えるんですね。おい! 引っ張り過ぎだろう! という感じで。そして、それは、久利生ならではのリアクションであると同時に、松さんにいきなりフードを引っ張られた木村さん自身のリアクションにも見えた。これには心底震えました。境界線が見えない。木村拓哉は明らかに久利生公平を演じているのですが、ああした、人間的な、きわめて人間的なリアクションにおいて、木村さんと久利生さんは、同一線上に並び、両者には何のヒエラルキーもなくなる。どちらが上で、どちらが下か、という概念が消滅してしまうのです。
 木村拓哉と久利生公平は、五分と五分。ふたりとも「人間である」ことにおいて対等な存在です。フィフテフィフィフテフィの平等性こそが、木村さんの演技の極意であり、また才覚なのだと思わずにいられません。


相田★冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。


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