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SMAPコラム「Map of SMAP」

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TV:CX系ドラマ『僕の生きる道』(2003年1月〜)主題歌収録のシングル。
2016.2.16更新

稲垣吾郎、終わらないステップを踏む──『恋と音楽 FINAL』


ここにいても、いいんだよ

 舞台『恋と音楽 FINAL〜時間劇場の奇跡〜』を観てまず思ったのは、「FINAL」はそもそも「終わり」ではなく「終わらない」ということを示す単語だったのではないかということでした。「完結」ではなく、「永遠につづく」。そんな途方もない「進行形」を感じたのです。
 いえ、このシリーズはずっとつづくとか、そういうことではありません。わたしたちが「終わり」だと思ってきたものは実はすべて、「終わらない」ことを示すためにそこにあった。そのようなことを考えさせられたのです。
 すみません。抽象的でわかりにくいかもしれませんが、句点「。」だと思っていたものが、読点「、」だったというんですかね。ピリオドなんて、この世にはない。あるとしたら、カンマだけなんだと。そんなことを思わせられる演劇だったのです。
 これからご覧になる方のために物語の紹介は極力控えますが、歴史ある劇場を舞台に、あるミュージカルの千秋楽の模様が、主演するスターとスターの秘めた恋の行方とともに語られるこのお芝居には、そもそも境界線というものが見あたりません。たとえば、いったい、どこからどこまでが「バックステージ」なのか。劇場も、ミュージカルも、スターも、そもそもが極めてフィクショナルな存在であるがゆえに、そこではあらゆることが可能になります。「表」も「裏」もない世界といえばいいのでしょうか。サブタイトルにある「時間劇場」は、ある意味、あらゆるものを越境してしまうんですね。平然と。まるで当たり前のことのように。
 お話の構造がそうなっているというよりも、稲垣吾郎というひとの所作がそうなっていたと、わたしは感じます。シリーズのなかで最も軽やかだった本作において、稲垣さんの身のこなしも非常に軽やかでしたが、ひょっとしたら、稲垣さんは舞台において、これまでもずっと、「これくらい」軽やかだったのかもしれません。作品のテイストや、役柄の色合いに引き摺られて、彼の稀有なる軽やかさを、見失っていたのかもしれません。そんな喪失感をつい味わってしまうほどに、稲垣さんは完璧に軽やかだったのです。
 シリーズ三部作のなかで、歌って踊る比重がいちばん高かったということも影響しているかもしれません。演技はとかく、人物の感情を表現すること、と捉えられがちですが、それ以前に、身体を使って「動く」こと、これが前提になります。つまり、「アクション」ですね。アクション映画のアクションだけが「アクション」ではないんです。わたしは、演技というものはすべて「アクション」だと考えています。どんなに静謐なたたずまいも、それを成立させている「アクション」によって伝えられます。逆に言えば、この「アクション」ができないひとは演じ手にはなれません。
 これはダンスにかぎったことではないのですが、とりあえずダンスだけ見つめてみることにします。本作における稲垣さんのダンスは、なんというか、上半身でステップを踏んでるみたいな感じなんですね。ほとんど下半身を感じさせないというか、ある意味、浮遊しているようでもある。あらかじめ重力から自由になっている上半身が泳いでいるように映ります。「泳ぐ」という行為は、大抵の場合、水のなかでおこなわれるわけですが、稲垣さんの身体は、水の重さも感じさせません。ファンタジックなたとえになってしまいますが、宇宙空間を泳いでいるような、そんな感じなんです。
 汗を感じさせないダンスです。ビシッ、ビシッと止めることで際立たせるダンスもこの世にはあるわけですが、その対極に稲垣さんの動きはあります。優雅です。そしてクールです。汗をかかずに泳いでいる。そして、ここが重要な点ですが、一緒に踊っているひとたちを、そっと抱きしめるような、やさしさと、やわらかさがあります。「ここにいてもいいんだよ」、そんな感じの時空が、そこには生まれています。
 流れるように、という形容詞がありますが、稲垣さんの身体から発せられるウェーヴフォームは、まさに流れつづけています。終わることなく流れつづけるものがある。立ち止まらない。絶えることがない。朽ちないもの、と表現してもいい。ぽかんと宙に浮いて、わたしたちを見守っている、銀色の球のような生命力が、ただただ万遍なく、惜しみなく、そこでは流れつづけています。
 ひとはいつか死にます。必ず死にます。物語はいつか終わります。必ず終わります。しかしながら、ひととの別れも、物語との別れも、決して、それが「最期」や「最後」を意味するわけではない。稲垣さんの身体から流れつづける何かを見つめていると、そんな気がしてなりません。
 笑われるかもしれませんが、失恋してもつづく恋はあると思います。相手が死別してもつづく恋はあると思います。そして、もし、耳が聞こえなくなっても、つづく音楽はあると思います。
 終わらない恋。終わらない音楽。稲垣吾郎さんのステップは、そんな恋と音楽によく似ています。



相田★冬二

※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。


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